【新生日本代表選手の紹介~内野手編・その3(遊撃手)】

【代表遊撃手の紹介】
<新たに選出された選手>
松本尚子(24、デンソー)

<北京五輪代表選手>
西山麗(26、日立ソフトウェア)
※西山は継続して代表に参加。坂元は三塁手として紹介

 

松本尚子(24、デンソー)は非常に守備のうまい選手として高校時代から注目をされてきた選手である。
中学までは野球をやっており、高校進学とともにソフトボールを始めたのは代表主将の山田恵里と同じパターンである。進学した京都西山高校の同期には同じく日本代表の江本奈穂(豊田自動織機)がおり、3年次には松本もレギュラーショートとして活躍し選抜優勝、インターハイ3位の好成績を残している。ちなみにこの時のチームにはサードに福井薫(元豊田自動織機)が、センターには亀本伊純(日立マクセル)がいた。
松本本人は最初は古豪の夙川学園に進みたかったそうであるが、指導体制が整いつつあった西山に進学して結果的に全国優勝を果たしたのであるからその判断は間違っていなかっただろう。

松本の売りはなんと言っても守備のスピードである。少年野球の盛んな大阪で中学時代まで野球を続けていたこともあり、打球への反応や瞬発力、左右の守備範囲の広さなどは、小柄な選手ながらも野球仕込みのダイナミックさがある。
ただ守備では名手であっても打撃の方はやや非力であった。昨年までの5年間で最高が2006、2007年の2割ちょうど、レギュラーを掴んでもっとも多く打席に立った昨年は0.133であった。
それが今年、代表に選ばれたことが自信となったか一気に打撃が開花し、前半戦35打席に立ち長打はないが0.407と4割を超えるアベレージを残している。もともと小技も上手い打者であったが、今年はそれにヒットを打てる確実性が加わってきた。
抜群のショートでの守備に加えてヒットも打てて小技もできるしぶとい打撃、まさに中日の名手井端弘和を彷彿とさせる選手だ。代表ではセカンドを守る機会もあるかもしれない。とにかく、この名手の守備には注目してほしい。


 

【遊撃手の選考について】
多くの北京五輪代表選手が今年の代表への参加を辞退したが、ソフトウェアの三人衆は継続的な参加を表明してくれた。その中に名手・西山麗がいることから、代表の遊撃手は安泰だろう。
もともと日本は遊撃手に世界的な才能の選手が集まっている。北京五輪時にも不動のレギュラーとして考えられていた内藤恵美以外に、この西山麗や三科真澄(28、ルネサス高崎)、佐藤理恵(29、元レオパレス21)といったレベルの選手がひしめいていたことをみてもわかるだろう
日本が世界レベルで活躍するようになってからは、守備では世界一(あくまで“守備で”だが)の安藤美佐子(39、湘南ベルマーレ)が永らく代表正遊撃手の座を占めていたが、その後安藤から代表レギュラーの座を奪ったのが内藤恵美(31、豊田自動織機)であった。安藤のような力強さはないが守備における球際の強さ、打撃における勝負強さは抜群で、走攻守全てにおいて神がかったプレーを連発する選手である。「そこに内藤がいる」というだけでチーム全体が何か救われた気になる選手である。もうこんな選手は出てこないであろう。
その内藤が五輪前に怪我をした一大事でその穴を見事に埋めたのが芸術的なグラブ捌きを見せる西山麗(26、日立ソフトウェア)であった。確かに三科や佐藤もいたが、内藤がいないなら西山で、と首脳陣も決めていたはずである。それくらい守備に関しては西山の評価は高かったはずだ。
ここまでの日本代表遊撃手として、安藤、内藤、西山と世界最高レベルの遊撃手が続いてきたその系譜に、果たしてこの松本が名乗りを上げられるかどうか。代表選手として活躍して好プレーを連発し信頼を得られれば、十分その可能性はあると思っているし、その素質は十分にある。

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