【藤原麻起子を支えた一体感 ~ 守り抜いた日立ソフトウェアの2010年決勝トーナメント】
今年はやはりトヨタの年だった。ルネサスとの熱戦を伊藤の執念のヒットでサヨナラ勝ちすると、決勝戦ではアボットが完全試合。絶対に優勝するという意地と本物の強さを見せつけたトヨタの優勝で終わった2010年の決勝トーナメントだった。
しかしその優勝したトヨタに勝るとも劣らないほど、今年の決勝トーナメントを盛り上げ素晴らしい大会にしてくれたのが準優勝した日立ソフトウェアの藤原麻起子であり、藤原をもり立てたバックの堅い守りだったのではないか。
そのチームが一丸となって“藤原麻起子を支えた一体感”を、もう一度写真で振り返りたい。
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<レフト馬渕がトヨタ小野のホームランをもぎ取ると、>
<センター山田が右に左に走ってはヒット性の当たりを何度もキャッチし、ショート西山が難しいバウンドを芸術的に捌く。>
<ライト杉山がルネサス蔭山の右翼線三塁打性の当たり、抜ければランニングホームランにもなりそうな打球を食い止め、>
<サード林が体全体で強い当たりを何度も遮り、ピンチでは2度の併殺にからむ。
そしてファースト濱本、手塚も基本に忠実なプレーでしっかり守りきると、
<心配したセカンド溝江もガッチリ素手でキャッチする(笑)>
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<もちろん野手だけじゃない、キャッチャーの鮫島は抜群のリードで藤原をサポートし、>
<その藤原自身が軽快な守備で何度も難しいゴロをアウトにする。>
<しかも何もグランドに出ている選手だけではない。>
<来條の鋭い打球を山中が顔面でキャッチすれば、
<西山のジャストミートを藤本監督が腹で受け止める(笑)>
<そしてなぜか拍手。玉利、喜びすぎだお前(笑)>
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とにかくそうやって必死になって守って守って藤原をもり立て、藤原もピンチになればなるほど冴え渡る投球術で点を与えない。馬渕のエラーによる失点から始まったこの大会ではあったが、その後はエラーゼロで乗り切ったのではないか。とにかく本当によく守った。
こんな試合になれば素手であろうが捕れば十分。溝江のあの場面も、1死走者一塁からのルネサス山本の強いゴロで、抜けていたら大変なところをしっかり抑えて二封したことでピンチにならなかった。
相手の立場としてみていると、打っても打っても点が入らない、何本ヒットを重ねてもスコアボードにゼロが並ぶ、そんなような藤原最高のピッチングであり、そしてソフトウェアの守りだった。
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2006年レギュラーシーズンを2位通過したソフトウェアは第1試合で織機に敗戦したが翌日は強打のレオパレス打線を藤本索子の本塁打の1点に抑えて7-1と快勝。
決勝で再び当たった織機戦では最後は前川仁美のサヨナラスリーランで1-4と悔しい敗戦で終わったが、そこまではエースの遠藤有子が打たれても打たれても点を与えず、8安打を浴びながら6回を1点に抑える粘り強いピッチングだった。
今年の藤原麻起子は、まさにあの年最多勝を獲得した遠藤有子の生き写しのような素晴らしいピッチングだった。
その2006年以来の総合2位になったソフトウェアだが、怪我の影響もあり2007年以降はあまり投げられなかった遠藤と主戦投手の座が入れ替わるように2007年に入団した藤原が、彼女が主軸になって以降の3年間、期待の瀬川が伸び悩んだのも理由だが6位→3位→5位と2度も決勝トーナメントに進めなかった。今年も最終戦までもつれ、デンソーに負ければ決勝トーナメントに出られないというギリギリの戦いだった。
しかしそれらを全て吹っ切るかのような決勝トーナメントでの藤原の素晴らしいピッチングとバックの懸命の守り。確かに優勝は逃したが、見ているファンに与えた感動は優勝したトヨタと等しいものだったことは間違いない。
だからどうかせめて、どうかせめて、伊豆か箱根か熱海の温泉にでも準優勝旅行だけはさせてあげてくれませんかね?会社の偉い人(笑)
<2006年大活躍の遠藤有子が乗りうつったかのような藤原麻起子のピッチング。既に日本代表としても十分実績のある藤原だが、今回の好投で石川多映子、遠藤有子と続いてきたソフトウェアのエースの系譜に名を刻み込んだ>