【日本リーグ2010_2011シーズンの引退・移籍・新加入選手~1部・その2(デンソー・Honda・佐川急便・太陽誘電)】

【日本リーグ2010_2011シーズンの引退・移籍・新加入選手~1部・その2(デンソー・Honda・佐川急便・太陽誘電)】

 ※表記は「(背番号/ポジション) 選手名 (在籍年数または出身校)」

 


 

【デンソー】
退団選手:4人
(17/C)東美幸(9年)
(1/P)和田侑子(4年)
(8/OF)福島槙子(4年)
(5/3B)タミー・ウィリアムス(1年)
新人・新加入選手:1人
(8/IF)松木瑛里(八代東)
(33/P&1B)メイガン・ランゲンフェルド(UCLA)
移籍加入選手:2人
(1/2B)今泉早智(九州女子→福岡大→戸田中央総合病院)
(17/C&1B)伊藤綾香(埼玉栄→レオパレス21→ドリーム☆ワールド)

 

※退団選手
 東美幸ほど、打席で打ちそうな雰囲気を醸し出している打者はいなかった。もちろん実際にもよく打ったしとにかくチャンスに強かった。長く活躍した選手だがやはりすぐに思い出されるのは2008年の決勝トーナメント第1試合で織機のミッシェル・スミスから放った逆転のスリーラン。自らのエラーをきっかけに逆転され1-2で負けていた試合を一発で4-2とひっくり返した。ただそれでヒロインになり切れないのがまた東の不運なところで、6回裏に3点奪われ再逆転されると最終7回の打席ではチャンスを広げられず最後の打者になった。ただ愛称ズーさんは、なんとなくそういう哀愁が似合う選手だった。日本でもトップクラスの打撃技術に勝負強さ、捕手と外野を守れる守備力がありながらもフル代表として活躍する機会はなかったが、それでもやっぱり凄い選手だった。「いぶし銀の名選手」という名がこれほど似合う選手はいなかった。
 和田侑子、福島槙子と言えば一部のマニアックなファンに絶大な人気?を誇る「デンソーBチーム」のエースに主力打者。望月監督のアドバイスにほとんど耳を貸さない命知らずな和田の向こうっ気の強さに、抜群のルックスと美声を誇る福島。どちらも印象的な選手だった。

※新加入選手
 まさかの今泉早智に伊藤綾香の移籍入団。ドリームワールド経由の伊藤は1年間2部を経験してきたのをちゃんと財産として生かせたら人間的にも一回り大きくなって日本代表にも定着できそうだが、果たしてどうか。今泉も1年くらい2部でやっても良かったのに、とは思うが、伊藤より4才年上の27才だと1年でも長く1部でやりたい気持ちはよくわかる。幸い円満移籍だったようで良かったが、しかし永吉理恵や伊藤と違って確実に移籍一年目から結果は求められるだろう。
 この即戦力の移籍組2人を除けば実質的な新人は松木瑛里一人。U-19日本代表の超高校級内野手と評判だが、層の厚くなったデンソー内野陣においてはじっくり育てていくことになるだろう。
 新外国人のメイガン・ランゲンフェルドは上背はないが投手と一塁の出来る打力のある選手。昨年のジャパンカップにはアメリカ代表として来日し、日本戦にも6番ファーストとして先発出場した。ちなみにその試合ではサードで元デンソーのタミー・ウィリアムス、投手で現デンソーのアイリーン・キャニーが先発しており、ランゲンフェルドは途中でキャニーをリリーフしマウンドにも上がっている。

<打席での雰囲気を一番持っていた選手かも知れない東美幸。剣の達人のような雰囲気があった>


<昨年のジャパンカップでのランゲンフェルド>


 

【Honda】
退団選手:4人
(9/RF)原田美樹(7年)
(24/IF)平澤こずえ(3年)
(42/P)ステイシー・ネルソン(1年)
(7/C)ローラン・ルプネッティ(1年)
新加入選手:4人
(20/P)西岡里恵(伊勢学園→園田学園女子大)
(13/P)サラ・パウリー(テキサスA&M大)
(37/C)ローラン・ラッピン(スタンフォード大)
(9/IF)小川絵里加(埼玉栄→富士大)
復帰選手:1人
(31/IF)金谷麻美(3年ぶり復帰)

 

※退団選手
 1部昇格の2004年にチームに入った原田美樹がユニフォームを脱いだ。2010年の45打席が最多だがこれは規定打席に1打席足りず、結局7年間で193打席に立ちながら一度も規定打席に到達しなかった。こういうところも何となくこの選手らしい。ほぼ毎年15試合以上に出場し、セカンド、ショート、サード、ライトと守りながらも振り返ると強い印象がない。それは原田が試合を決めるような派手な活躍をしたことがほとんどないからだが、逆にチームにとって痛いミスを犯したことがないということでもあるのだろう。どういう場面でどこを守らせても、目立たないが堅実なプレーですごく安心して見ていられた。こういう選手こそチームにとってありがたい選手ではないだろうか。古豪平塚商出身の選手として日本リーグの中でしっかりと役割を果たしたような気がする。
 おもに代走での出場だった平澤こずえは結局6打席でヒットを放てなかったのが残念だ。

※新加入選手
 ローラン・ラッピンは北京五輪アメリカ代表の捕手で、昨年の世界選手権でも代表の正捕手で出場し日本戦でも活躍したバリバリのアメリカ代表選手。一昨年の仙台ジャパンカップにも来日しジェニー・フィンチやケイティ・バークハートとバッテリーを組んでいた。キャット・オスターマンの来日が強烈過ぎるのだが、このラッピンの来日も大きなニュースなのだ。もう一人のサラ・パウリーに関しては噂は聞いているがどんな投手かさっぱりわからない。
 西岡里恵、小川絵里加も大学時代から有名な選手だったが個人的にはあまり見たことがない。ただ同じ三重県出身の西岡と、埼玉栄→富士大という大鵬薬品の強打者佐々木瞳と同じ道を歩んでいる小川には個人的にはかなり期待している。
 引退後3年間Hondaでコーチをしていた金谷麻美が現役復帰した。かなり衝撃的な事実なのだが、実際にプレーしている姿を見るまでは信じないことにしている。

<内外野を守れるユーティリティープレイヤーだった原田美樹>


<平澤こずえの打席を見られたのはこの試合だけだったかも知れない。気持ちの良いフルスイングだった>


<ジャパンカップで来日した時のローラン・ラッピン(と思われる捕手、笑)>


【佐川急便】
退団選手:6人
(4&IF)宗利美保(ミキハウス9年+佐川急便6年)
(12&P)帰山悦子(ミキハウス2年+佐川急便6年)
(9/OF)石垣弥裕世(5年)
(18/P&1B)外山美紀(4年)
(26/OF)那須成美(3年)
(15/P)岩崎雅美(2年)
新人選手:5人
(9/IF)上田千裕(筑陽学園)
(12/IF)村中美紀(中村女子)
(17/P)関根有希(淑徳→淑徳大)
(18/IF)森田歩(済美)
(26/OF)松下美稀(九州文化学園)

 

※退団選手
 宗利美保はガッツもありリーダーシップも抜群で本当に良い選手だった。廃部と3部降格を経験したチームを引っ張り続けてきたのは高木美晴と帰山悦子とこの宗利だっただろうし、中でも長年キャプテンを務めた宗利の存在が一番大きかっただろう。
 帰山悦子は2部時代に大活躍してチームの1部昇格に大貢献。1部に昇格後はほぼ毎年規定投球回数以上を投げ日本人エースとして活躍した。なかなか勝てないながらも健気に黙々と投げ続けていた姿が印象に残っている。
 小さい体ながらもバッティングセンスが抜群で守備も上手く、しかも投手としてもしっかり試合を作れるというマルチな才能だった外山美紀も昨年限りで早すぎる引退を決意した。外山にあと10cm身長があったら、日本代表レベルの凄い選手になっていたはずなのだが。
 石垣弥裕世と言えばなんと言っても2008年故郷の熊本八代大会でレオパレスのローチから放った逆転サヨナラ二塁打。あの一打がなければ織機の代わりにレオパレスが決勝トーナメントに行っていた可能性が高く、そうするとソフトボールの神様ミッシェル・スミス(織機)に最後の花道としての決勝トーナメントを用意してあげることも出来なかった。もちろんチームの一部残留を確定させたヒットでもあり、いろんな意味で本当に大きい価値のある一打だった。
 石垣と同じく代走での出場が多かった那須成美も引退。いつも笑顔を絶やさない明るい選手だったが、さすがに昨年の福山大会Honda戦で二死満塁の場面で三塁走者で離塁アウトを取られた時は道でウンコを踏んだ時みたいな何とも言えない絶望感でいっぱいの呆然とした顔をしていた(笑)そんな印象が一番強くて申し訳ないのだが、まあ笑顔で許してくれるだろう。
 岩崎雅美は結局リーグで投げる場面を見ることはできなかった。こういう選手の引退が実は一番残念だったりする。

※新加入選手
 新加入選手は熊野で見たが多すぎてまだ整理し切れていない。これからじっくりプレーを見させてもらいたい。選手ではないが注目してるのはコーチとしてチームに入った島田裕子さん。佐川急便中部の監督として東海地方の大会や実業団大会などでよくお見かけしていた。前身のミキハウス出身の新コーチとして後輩達をしっかり鍛えあげて欲しい。

<宗利美保がいなくなった佐川急便を春に見たが、やはり何かとても物足りない感じがした>


<宗利と同じく佐川急便の象徴的選手だった帰山悦子>


【太陽誘電】
退団選手:3人
(5/2B)上西晶(11年)
(25/3B)廣瀬芽(11年)
(15/OF)川原若菜(甲賀医専2年+誘電3年)
新人選手:2人
(5/SS)山城みな(須磨ノ浦女子)
(55/P)尾崎望良(辻→園田学園女子大)

 

※退団選手
 あんなに偉大な選手でありながら、ほとんど誰も知らない間にこそっとユニフォームを脱いでるこの感じがまたいかにも廣瀬芽らしくていじらしい。しかも誘電に残って当然コーチになったのかと思っていたら肩書きが「スコアラー」。試合で勝負を避けられ続けても決してボール球には手を出さず黙々と四球を選び続けながら好球を待ち、基本に忠実な守備でほとんどエラーをせず堅実に守り続けた。廣瀬で1本ACのCMが出来そうなくらいだが、やはりここは何もせずにそっとしておいてあげるのがいいのだろう。
 夙川学院から廣瀬と同じ道を歩んできた上西晶も昨年限りで引退。織機の小森由香と同じく上西も美人選手として有名でTV番組のスポルトにも「美人アスリート」としてソフトボール選手代表で出演していた。北京五輪出場を決めた2006年には世界選手権にもアジア大会にも代表選手として出場していたが、田中幹子と同じように結局は不運にも一度も五輪に出場することは出来なかった。俊足のスイッチヒッターで内外野の守備も抜群に巧かったが、そういう選手にありそうな対戦相手からみての「嫌らしさ」が余り感じられなかった。ただそれは上西のプレーがとてもスマートで品があったからだろう。プレー全体から美しさや華麗さを感じさせてくれる選手だった。
 川原若菜も思いきりの好いバッティングで甲賀医専時代から応援していたのだが、やはり昨年の夏くらいから今年で最後かなという雰囲気はあった。残念なのだがやっぱりあの3年前の豊橋大会でミッシェルから放った完璧な二塁打は印象に強い。一生自慢できるはずだ。

※新加入選手
 廣瀬、上西が抜け水谷直子もまあまあ休みが多くなるとすると急激に若返る内野守備が余りにも心配な誘電。遠山佑奈や泣き虫石濱真実の急成長が必須なのだが、今年の新人山城みなが非常に良い動きをしていてもしかしたらいきなり活躍するかも知れない。

<正直、廣瀬には来年以降の復帰を強く望んでいる>


<今年でチームを離れた上西もいずれどこかでまたソフトボールに関わって欲しいと願っている>


<高卒新人の山城みな。今年は大いにチャンスがある。レギュラーの一角を奪えるか>


 

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