【2011年第4節鹿児島大会二日目:トヨタ vs 織機~アメリカ代表投手による歴史的投げ合いは予想通りの延長戦も、最後は思わぬ大差に】

トヨタ自動車
 000 0000 5…5
 000 0000 0…0
豊田自動織機

トヨタ自動車:○モニカ・アボット - 渡邉華月
豊田自動織機:●キャット・オスターマン-メーガン・ウィリス


【先攻:トヨタ自動車】

1(D):ナターシャ・ワトリー
2(4):鈴木美加
3(9):藤野遥香
4(5):坂元令奈
5(8):長崎望未
6(6):渥美万奈
7(7):小野真希
8(3):馬渕朝子
9(2):渡邊華月
FP(1):モニカ・アボット

【後攻:豊田自動織機】
1(7):白井沙織
2(8):狩野亜由美
3(5):古田真輝
4(3):小柳薫
5(9):国吉早乃花
6(D):本田小百合
7(6):高坂香月
8(2):メーガン・ウィリス
9(4):吉良真利菜
FP(1):キャット・オスターマン



【戦評】

 雨で試合開始が遅れたり他会場が全て中止になるなどソフトボール関係者やファンにとって慌ただしくバタバタした一日となってしまった。アメリカ代表の2枚看板が先発で投げ合いしかもワトリー対オスターマンの対決でスタートするなど歴史的試合だったのだが、そういう理由であまり盛り上がらず注目度が下がったのが残念だ。
 試合は大方の予想通り延長タイブレイカーにもつれ込んだが、結局はこういう試合にありがちなひとつのミスで試合が決まり、そしてミスが積み重なって結局は思わぬ大差の試合になってしまった。

 8回表トヨタの攻撃、無死二塁から小野がサードの正面に弱いゴロ。余りにもおあつらえ向きすぎて古田が慎重になってしまいふわっと送球、これをカバーのショート高坂が捕ってタッチに行くも掴み切れておらずに落球してセーフに。弱い送球はえてしてこういうことになりがちで、1死一塁となるはずが無死一三塁に。結局はこれで決まってしまった。
 そして小野の二盗で無死二三塁とした場面でのトヨタの攻撃。8番馬渕、9番渡邊と続く打順でともに小技はなしで普通に打たせ、馬渕は三振、渡邊もツーストライクと追い込まれてからなんとスクイズ。失敗すれば一気にチャンスが潰える作戦なのだが、わざと餌を撒いて油断させた上でスクイズするというような、そこまで計算した上での作戦だったような気がしてならない。もちろん単に追い込まれてからひらめいたのかも知れないが、ツーストライクの時点で相手はスクイズ警戒を解くわけで打者は強い打球でも転がしさえすればOK、三塁走者も遅めにスタートが切れるわけで、意外とスクイズを決めやすい状況なのかも知れない。とは言っても投手はオスターマン、とにかく決めた渡邊は立派だった。
 個人的にはしかしこの渡邊のツーストライクからのスクイズは予想していた。なぜなら高校野球時代、1-0で勝っていた8回、相手の攻撃で1死満塁から三番打者がツーストライクと追い込まれてから二つファールした後にスクイズを決められ同点にされた経験が僕自身にあったからだ。結局その試合は延長に持ち込まれて最後はサヨナラ負けで、それで3年間の野球生活が終わった。あのツーストライク後のスクイズは骨身に沁みているのである。
 以上、余談。

 ただこの場面、タイミング的に無理なホームに送球してしまった小柳のミスが結局は大きかった。スクイズもあると予想した上でのプレーならわかるが、予想外にスクイズをされて焦ってホームに投げたとすればさらに相手の思うつぼ。ミスで無死二三塁となった時点で1点は覚悟していいし、何より大事なことはタイブレイカーでは2点目を絶対に与えないこと。そのくらいの気持ちで臨めばこの場面では確実に一塁で殺して2死目を取っておけたはずで、そうすると試合もどうなったかわからない。結局は焦って1点を防ぎに行った結果、5点を取られてしまった。
 さすがにこの5点は大きすぎるので、最終的にトヨタと2位以内を争うことがあっても織機が上に行くことはなくなっただろう。前半戦の戦いは勝敗と同じくらい負け方も重要になってくる。負けるにしてもなんとか0-1で負けておきたかったものだ。オスターマンも8回使ってしまったし、2度の無死のランナーを送ることもできなかった。織機にとっては白井が一人気を吐いた以外はあまり収穫のない試合になってしまった。



【1回表:トヨタ~0点】

ワトリー:二飛失(詰まった後ろのフライ落球、風を考えて?記録はヒット)
 ※五球目にワトリー二盗
鈴木:空振り三振
藤野:見逃し三振
坂元:遊ゴロ

【1回裏:織機~0点】
白井:一ゴロ(初球セフティバントも強かった)
狩野:遊小飛(ツマリ)
古田:遊ゴロ

【2回表:トヨタ~0点】
長崎:右飛
渥美:一塁線右前打
小野:一小飛併殺打(バント失敗)

【2回裏:織機~0点】
小柳:三強安打
 ※代走に千葉逸美
国吉:遊ゴロ併殺打(当てに行く打席に徹したがランナーは走らず)
本田:空振り三振

【3回表:トヨタ~0点】
馬渕:空振り三振
渡邊:空振り三振
ワトリー:右前打(ファールチップ落球後、一二塁間真ん中をコロコロと)
鈴木:空振り三振

【3回裏:織機~0点】
高坂:見逃し三振(3-2まで粘ったが)
ウィリス:投ゴロ
吉良:見逃し三振

【4回表:トヨタ~0点】
藤野:右飛
坂元:四球
長崎:見逃し三振
 ※渥美の初球に坂元二盗
渥美:空振り三振

【4回裏:織機~0点】
白井:右翼線安打(糞ボールを大根斬り)
狩野:一飛(痛いバント失敗)
古田:空振り三振
小柳:空振り三振
<アボットの高めを上から叩いてライト前に。こんな自由自在なバッティングは白井にしかできない>

【5回表:トヨタ~0点】
小野:空振り三振
馬渕:空振り三振
渡邊:空振り三振

【5回裏:織機~0点】
国吉:左邪飛(小野好捕)
本田:空振り三振
高坂:空振り三振

【6回表:トヨタ~0点】
ワトリー:二ゴロ
鈴木:左邪直(白井がダイビングキャッチの超ファインプレー!)
藤野:見逃し三振
<鈴木のライナーがレフトライン際、非常に難しい当たりだが白井が走って好捕>

【6回裏:織機~0点】
ウィリス:二飛(高く上がったフライ、鈴木がよく追った)
代打池原恵:空振り三振
白井:二ゴロ
 ※アボットかなり白井を嫌がり粘られながらもなんとか打ち取る

【7回表:トヨタ~0点】
坂元:中飛(大、一瞬ヒヤリ)
長崎:投ゴロ(初球)
渥美:投ゴロ(初球)
 ※渥美が初球に手を出すとは!

【7回裏:織機~0点】
狩野:見逃し三振(納得行かず)
古田:二飛
小柳:空振り三振


【8回表:トヨタ~5点】

 ※二塁代走に中村早紀
小野:三ゴロ・遊失
 ※弱いサードゴロを古田が捕ってカバーの高坂へ、タイミングは余裕でアウトだが、高坂が痛恨の落球
 ※小野二盗
馬渕:空振り三振
渡邊:一前スクイズ野選
 ※2-2と追い込まれながら
 ※一塁代走に山崎早紀、二盗
ワトリー:四球(最後は敬遠)
鈴木:中越2点二塁打(狩野が一瞬目測を誤り捕れず)
藤野:右犠飛
坂元:中前適時打
 ※オスターマン最後はさすがに切れてしまったか
長崎:空振り三振
<ショートの高坂はタッチをアピールも、ボールがこぼれていたことを見ていた塁審がしっかりと指摘>

<フルスイングで空振りし追い込まれ2-2からスクイズを決めた渡邊>

<オスターマンからは良い当たりをしていた鈴木が最後に決めた。低いライナーでそのままワンバウンドでフェンスを越える、名手狩野ですら一瞬目測を誤る凄い打球だった>

【8回裏:織機~0点】
国吉:空振り三振
代打西井春菜:空振り三振(三球フルスイング!)
代打川口藍:空振り三振

 

【試合終了】

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