【2011年夏季・日本代表選手成績と雑感~外野手編】

【外野手+投手(打席数順)】
<カナダカップ>
上野由岐子(ルネサス高崎)
☆打率0.571, 9打席, 7打数,2得点, 4安打,2二塁打,0三塁打,1本塁打,2打点,2四死球,0三振,0犠打,0失策
山田恵里(日立ソフトウェア)
☆打率0.344,37打席,32打数,7得点,11安打,3二塁打,0三塁打,1本塁打,2打点,5四死球,4三振,0犠打,0失策
藤野遥香(トヨタ自動車)
☆打率0.323,31打席,31打数,6得点,10安打,1二塁打,0三塁打,1本塁打,1打点,0四死球,5三振,0犠打,0失策
岩渕有美(ルネサス高崎)
☆打率0.208,28打席,24打数,3得点, 5安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,0打点,4四死球,6三振,0犠打,0失策
染谷美佳(デンソー)
☆打率0.000, 1打席, 0打数,0得点, 0安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,0打点,0四死球,1三振,0犠打,0失策

<USAカップ>
山田恵里(日立ソフトウェア)
☆打率0.389,23打席,18打数, 6得点,7安打,2二塁打,0三塁打,1本塁打,5打点,5四死球,5三振,0犠打,0失策
大橋美奈(Honda)
☆打率0.400, 6打席, 5打数, 2得点,2安打,1二塁打,0三塁打,0本塁打,0打点,0四死球,1三振,1犠打,0失策
岩渕有美(ルネサス高崎)
☆打率0.333,12打席,12打数, 1得点,4安打,1二塁打,0三塁打,0本塁打,2打点,0四死球,4三振,0犠打,0失策
永吉理恵(デンソー)
☆打率0.158,22打席,19打数, 3得点,3安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,3打点,1四死球,4三振,2犠打,0失策

【コメント】
 試合数の多かったカナダカップでは古田や林、蔭山なども外野を守ったが、センターの山田、レフトの岩渕が2大会を通してほぼ固定で、ライトはカナダカップでは藤野、USAカップでは永吉だった。
 山田恵里は相変わらず良い成績を残しているし良いところで打っている。両大会で打率0.360に2本塁打、5二塁打と素晴らしい成績。ただその成績以上に貫禄なのが10四球。チャンスで山田にまわってくるとほとんどのチームが勝負を避けて敬遠していた。あのオスターマンが来日して最初に選手名鑑を見つけたら「ヤマダはドコ?ヤマダは?」と真っ先に探したらしいくらいで、国際大会では打者としてやはり世界トップクラスの風格が感じられる。
 藤野遥香はカナダカップだけだったが与えられたチャンスの中では十分結果は出した。彼女の良さは安心感。藤野がライトにいるだけで安心できる何かがある。一方の岩渕有美はカナダカップでは不調でアメリカに移動してなんとか帳尻を合わせた感じか。
 USAカップから参加した永吉理恵はその大会ほぼライトでフルに出場したが2割未満の打率と消化不良。ただ同じくUSAカップからの参加となった鈴木美加、溝江香澄も今ひとつだったので、短い期間の大会に後から参加してすぐに結果を残すのはやっぱり難しいのだろう。
 さて今回の代表選出では最大のサプライズの一人だったのがHondaの大橋美奈。守備、走塁に関しては一流で打つ方も年々力強くなってきたが総合力で代表に選ばれる選手かというと難しいと思う。しかしちゃんと守れて足がべらぼーに速いというのはとにかく魅力で(そして肩も強い)、こういう選手はむしろ日本代表のようなチームでこそ使う用途が多い。アテネ五輪時の佐藤由希のような立場か。それに面白いことにやっぱり日本代表のユニフォームを着て3週間も過ごせばちゃんと自覚も出て代表の顔、代表のプレーになるもんだ。USAカップでは限られた出場機会ながら足を生かした大橋らしいヒットを2本きっちり見せてくれた。とにかく、ヤラかすことなく、ちゃんとチームに貢献してくれて非常にホッとした(笑)。今後この経験をチームに持ち帰ってどういう形で伝えられるか、後半のHondaも楽しみだ。

 さて今年の夏の国際大会をどう捉えるかということを考えたとき、勝つことをどれくらい重視したのかと問われると、上野がアメリカで投げなかったうんぬん以前にこの外野のメンツを見れば自ずと答えは出ていた。両大会ともに誘電の河野美里が選ばれてないのである。もちろん真剣勝負のアジア大会では選ばれているが、この夏の大会も本気で勝つつもりなら河野を外すはずがないわけで、つまるところ今年の夏は選手を試したい大会だったのだ。
 ただそれならもっと多くの選手にチャンスを与えても良かったのではないだろうか。大橋と同じく大抜擢された佐川急便の好打者松下友里や、トヨタの名手小野真希は結局一度も大会に招集されなかった。今更大ベテラン岩渕の実力を試す必要などないわけで、それなら岩渕をどちらかの大会だけにして松下やあるいはその枠で今泉早智などを呼んであげて欲しかったと強く思う。繰り返しになるが、もし勝ちに行くなら河野を連れて行ってないのはおかしいのだから。
 結局は多くの代表候補選手にチャンスを与えたいわけでもなく、勝ちに行くわけでもない。つまるところルネサスの選手に多くのチャンスを与えたかっただけと考えた場合のみ合点がいくような、なんとも不可解で消化不良な代表選手招集、選手起用で終わってしまった今夏の国際大会だった。

 以上で代表シリーズ終わります。なんか精神的にしんどかった(笑)。
 次からは純粋にソフトボールを楽しみたい…。


【参考】
<カナダカップ、USAカップ両大会に選出された代表候補選手>
上野由岐子(ルネサス高崎)
染谷美佳(デンソー)
峰幸代(ルネサス高崎)
平原かすみ(東京女子体育大)
大久保美紗(ルネサス高崎)
山本優(ルネサス高崎)
古田真輝(豊田自動織機)
蔭山遥香(ルネサス高崎)
岩渕有美(ルネサス高崎)
山田恵里(日立ソフトウェア)
 ※ルネサスの選手は全員。古田は鈴木の怪我で急遽カナダカップ招集

<代表候補でありながら両大会どちらにも選出されなかった選手>
今泉早智(デンソー)
小柳薫(豊田自動織機)
小野真希(トヨタ自動車)
河野美里(太陽誘電)
松下友里(佐川急便)

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