ペヤング
000 0000…0
000 201x…3
大鵬薬品
大鵬薬品：○井俣茉莉 － 増井知美
ペヤング：●小長井美希、菊池 － 村中梢
(二)：佐々木（大）
【テーブルスコア】
【戦評】
3-0で大鵬勝利、というスコアだけ見れば実力に勝る大鵬が1部のチームとしての貫録勝ちをしたかのように思いそうだが、試合の中身はまるで違った。正直、ひとつ間違えば4-0でペヤングの勝利、というような展開だってありえたかのような、どちらに転ぶかわからない紙一重の試合で、ペヤングは4番岩本のいい当たりが2本も正面を突いたり、完全に打ち取った当たりを2点タイムリーにされたりと、不運が重なってしまった。
しかしその内容的に互角以上の展開にペヤングが持っていけたのも、ひとえに小長井の好投によるものだ。結果的に3失点（自責点2）したが、序盤から大鵬の打者のタイミングを外して内野ゴロ、内野飛球の山を築くあたりがまさに小長井の真骨頂。わかっていても引っかけさせられ、詰まらされる投球術は実に見事だった。
そんな好投した小長井だったが、やはり格が違ったのが大鵬が誇る3番、4番の中山と佐々木。この日は1、2番が抑えられたことからチャンスで回ることはなかったが、それでも二人とも2安打ずつを放ちしっかりとチャンスメイク。中山、佐々木の連打で築いたチャンスから2点、佐々木の二塁打を足がかりに駄目押しの1点と見事に点に結び付けた。
ただそんな勝利した大鵬だが、やっぱり入れ替え戦のプレッシャーは1部チームの方が大きいのか、名手酒井や森田がエラーを重ねてピンチを作るなど序盤は浮足立っていた。そのピンチを凌いできた井俣もリードした次の回に四球を連発するなどピンチの連続で危うい展開だった。ただそれでも結果的に完封してしまうあたりがさすが井俣！といった感じか。
ともあれこれで一つ勝ったことで大鵬はかなりリラックスし明日はもっと本来の力が出るだろうが、2戦目に負けてしまい3戦目にもつれ込むと今度はさらにプレッシャーがかかるので一気に明日の第1試合で決めたいところ。
逆に小長井で落としたペヤングは痛いことは痛いのだが、内容的には互角以上で、かつ試合後の選手の表情も明るかったのが救い。明日はもっと思い切ってぶつかってくるはずで、すると予期せぬ何かが起きる可能性だって大いにあるのだ。
ちなみに大鵬の先制の2点には、実はちょっとしたベンチの勘違いも作用した。
序盤から緊張したのかエラーを重ねて浮足立つ野手陣に対する一番の薬は「先制点」。その最初の1点を何としてでも奪いたい大鵬ベンチはいつもより早めに仕掛け、3回裏1死から増井がエラーで出塁し佐藤光の内野安打で2死一二塁となると二走の増井にかえて代走に浜田を送った。その回は結局無得点だったが続く4回、中山、佐々木の連打などで2死満塁のチャンスを作ると、打席に向かう増井に対し、ベンチは切り札の鷲野を代打に送りかける。しかしこれが2回目の交代になることをベンチは忘れていたようで、選手たちが指摘して慌てて代打を送るのやめた。この辺りは監督、コーチも若干緊張していたのかなと思うが、しかし結果的にこれが大正解。増井もバタバタしたことで肩の力が抜けたのか、逆に力が入りすぎたのかどっちかわからないが、とにかくそのまま打席に立った増井が決勝のタイムリーを放ったのだ。
それにしても増井の打球は”素晴らしい完璧な当たり”だった（完璧すぎる、どんづまり、だった、笑）。
まあそんな冗談は別にして、文句なしに増井の一打は素晴らしかった。
ことここに及べば内容より結果。いままであまり打では貢献してこなかった増井であるが、大事な大事な入れ替え戦でのこの一打は非常に価値の高いものである。
実は試合前からなんとなく増井が打ちそうな予感はしていた。ふと何年か前のシオノギが出場した入れ替え戦で、その当時あまり打てなかった捕手の橋元が打で大活躍したことを思い出したからなのだが、ともかくリーグでの何安打分にも値する大きな1本だった。
【試合経過】
【3回表：ペヤング】
先頭秋山のゴロを森田がエラー。確かにバウンドはイレギュラーしたが、一歩前で捕っていれば問題ない打球で、やはり緊張感からか内野手の動きは序盤悪かった。
その後、一三塁となって迎えるのはもっとも頼りになる4番岩本。火の出るようなライナーが左方向に飛ぶがこれを森田がおなかのあたりでガッチリとキャッチ！
＜岩本の一打は火の出るような当たりだったが不運にもショート正面＞
【3回裏：大鵬薬品】
サード秋山の失策と佐藤光の内野安打でチャンスを作るも、酒井の当たりはレフトへのファールフライに。
【4回裏：大鵬薬品】
先頭の3番中山のセンター前、続く佐々木のレフト前でチャンスを作ると千原が送って1死二三塁。ここで稲垣に期待がかかるも2-0から詰まったショートフライ。続く上釜に対して追い込みながらも腕をかする死球で満塁に。ここで上述した代打ミスしかけたあと打席に入った増井が詰まりながらもセカンドの頭上にふらふらっとした打球を放つとセカンドの中村が差し出すグラブのわずか横をすり抜けてポトリ。値千金のどん詰まりで貴重な先制点が大鵬に、しかも2点入る。
＜さすが大鵬自慢の3番4番。連打でチャンスを作る＞
＜ここで増井が“素晴らしい！”当たり。どん詰まりがセカンドの後ろへ。相手が受けるダメージはむしろクリーンヒットより大きいかも！？＞
【5回表：ペヤング】
点をもらってついつい勝ちを意識してしまうのが井俣唯一の欠点。先頭の村中にストライクが入らずストレートの四球を与えると、犠打を挟んで再び中村にストレートの四球。土谷のサードゴロでせっかく三塁封殺するも、暴投で二三塁としたあげくに大塚にも四球で2死満塁。ほとんど崩れかけた状態で迎えたのが4番の岩本。1本出れば試合はひっくり返っていたかもしれないが、またしても完璧にとらえた打球がショートの正面に。これを森田がガッチリと拝み捕りして三者残塁。この日のペヤングの打球には不運が付きまとう。
＜岩本の一打は火の出るような当たりだったがまたしてもショート正面＞
【6回裏：大鵬薬品】
先頭の4番佐々木が貫録の二塁打で出塁すると千原が再び送って1死三塁。満を持して登場した代打鷲野が初球を詰まらされてショートフライに打ち取られると、続く上釜も打たされてボテボテの当たり。しかし俊足上釜に焦ったか、ファースト大塚が痛恨のファンブル。最終回の攻撃を前に大きな1点を与えてしまう。
＜4番佐々木が4番の働き。先頭で二塁打を放ち再びチャンスメイク＞
＜大塚のファンブルも痛かったが、打球もいかにも上釜らしい嫌らしい当たり。こういう打球を打っていればチャンスは訪れる。佐藤このみが生還して貴重な追加点＞
【7回表：ペヤング】
序盤は内野手のエラーから、中盤は自らの四球連発から、何度も崩れそうになりながらも持ちこたえてきた井俣。結果的には7回まで一人で投げ抜き、最後の打者の代打菊池沙樹のライナーも自ら長い腕を伸ばしてキャッチしゲームセット。苦しみながらもまさに粘投で井俣がペヤング打線を完封した。
＜最後の打者菊池沙の打球をガッチリキャッチした井俣＞
＜ペヤング・小長井も持ち味を十分に発揮した素晴らしいピッチングだったが…＞
【先攻：ペヤング】
1(4)：中村藍子
2(8)：土谷祐美子
3(3)：大塚枝里香
4(D)：岩本典子
5(9)：小澤麻美
6(6)：平子智恵美
7(7)：後ロ真紀子
8(2)：村中梢
9(5)：秋山磨貴子
FP(1)：小長井美希
【後攻：大鵬薬品】
1(5)：佐藤光紗
2(4)：酒井かおり
3(D)：中山亜希子
4(7)：佐々木瞳
5(9)：千原香奈
6(6)：稲垣ゆみこ
7(8)：上釜恵
8(2)：増井知美
9(6)：森田まゆ
FP(1)：井俣茉莉
【1回表：ペヤング～0点(井俣)】
中村：投ゴロ
土谷：空振り三振
大塚：空振り三振
【1回裏：大鵬薬品～0点(小長井)】
佐藤光：投ゴロ
酒井：右飛
中山：中前打
※佐々木の4球目に二盗失敗
【2回表：ペヤング～0点(井俣)】
岩本：二ゴロ
小澤：中前打(ゴロで酒井の左をギリギリ)
平子：二ゴロ失
※ゲッツーコースバウンド難しかったが名手酒井まさかのエラー
後ロ：二飛(ツマリ)
村中：右直
※いい当たりもライト正面
【2回裏：大鵬～0点(小長井)】
佐々木：三ゴロ
千原：遊飛(チェンジアップにタイミング合わず)
稲垣：遊ゴロ(ツマリ)
【3回表：ペヤング～0点(井俣)】
秋山：遊ゴロ失(イレギュラーしたが待ってしまったため)
中村：一犠打
土谷：投ゴロ・三進
大塚：死球
岩本：遊直(火の出るようなライナー、森田腹付近でキャッチ)
【3回裏：大鵬薬品～0点(小長井)】
上釜：投ゴロ
増井：三ゴロ失
森田：空振り三振(走者遅れず)
佐藤光：遊内安(バットの先三遊間、間一髪)
※二塁代走に浜田京香
酒井：左邪飛
【4回表：ペヤング～0点(井俣)】
※捕手に増井が再出場
小澤：左飛(浅い)
平子：二飛
後ロ：遊ゴロ
【4回裏：大鵬薬品～2点(小長井)】
中山：中前打
佐々木：左前打
千原：三前犠打
稲垣：遊飛(2ボールからツマリ)
上釜：死球
増井：右前2点適時打(詰まりながらも執念でセカンドの後ろに落とす)
森田：一ゴロ
【5回表：ペヤング～0点(井俣)】
村中：四球(ストレート)
※代走に福野香織
秋山：捕前犠打
中村：四球(ストレート)
土谷：三ゴロ・三封(5→6)
※初球の暴投で二三塁
大塚：四球
岩本：遊直(火の出るようなライナー森田拝み捕り！)
【5回裏：大鵬薬品～0点(小長井)】
※村中が再出場
佐藤光：二半直
酒井：二ゴロ
中山：一ゴロ
【6回表：ペヤング～0点(井俣)】
小澤：二ゴロ
平子：捕飛(ツマリ)
ph南美憂(←後ロ)：中前打
※一走に後ロが再出場
村中：遊ゴロ
【6回裏：大鵬薬品～1点(小長井)】
佐々木：右中間二塁打
※二塁代走に佐藤このみ
千原：三犠打
ph鷲野留美(←稲垣)：遊半直(初球)
上釜：一ゴロ・適失
※ボテボテの一塁ゴロ、急いだ大塚が痛恨のファンブル！
※ここで投手交代、小長井→菊池遥
増井：
※初球に上釜が二盗失敗
【7回表：ペヤング～0点(井俣)】
※佐々木、稲垣が再出場
秋山：二半直
中村：遊直
ph菊池沙樹(←土谷）：投直
【試合終了】