【2008年入れ替え戦特集~靜甲チームの紹介】

【入れ替え戦特集:悲願の1部復帰なるか~靜甲チームの紹介】

一昨年(2006年)、2部で2位となった靜甲は1部11位の大鵬薬品と入れ替え戦を行った。初戦を5-1で落としたものの2戦目には0-2から終盤逆転し3-2で勝利。勢いに乗った3戦目、エース東が打たれながらも力投し延長タイブレーカー9回を制して勝ち越し。2日間で3試合、ほぼ全てを一人で投げきった東瑠璃投手の活躍で初の1部昇格となった。

迎えた2007年、初の1部の開幕戦を安城で迎える。初戦の相手は坂井寛子擁する強豪太陽誘電。先発した東が序盤から失点を重ね、田淵、エライネと継投するも3回には一挙7失点の計11失点。これは到底1部では通用しないなと、その時は感じた。応援に来て試合前からビールを飲んでいた清○区ソフトボール協会の関係者も、すでに3回の時点でビールを飲み干しワンカップに移る。6回に坂井に代わった後藤から一部初得点となる1点をあげたが、「これは珍しいものが見られて良かった。これで精一杯だろう」というのが素直な感想であった。

そして上記の関係者が「どうせ大敗するんだったら新人の鈴木麻美にでも投げさせたらいいんじゃないか?(笑)」と冗談で笑いながらしゃべる後ろの席に、当の鈴木麻美選手の御両親がいたもんだから(試合前に話しているのを盗み聞きしてわかった)ひやひやしつつも、「ほう、鈴木麻美は投手なのか」と頭にインプットされたのだった。
さて翌日、第1節の二日目は次の日の個人的な都合から地元の西京極球場での試合を観戦していた。その途中、安城球場で行われた試合結果を聞いて驚いた。覚えたばかりの靜甲の新人投手、鈴木麻美が開幕2戦目に早くも先発し、延長タイブレイカーの10回までをシオノギの好投手、松村歩と堂々と投げあい、3-2で勝利したのである。

そこから2007年前半の靜甲の快進撃が始まる。第2節の江戸川大会ではまたしても鈴木麻美が好投、戸田中のエース堤と延長8回を投げあい2-1で勝利。第4節の刈谷大会では新人の鈴木麻に負けじと今度はエースの東が好投、佐川急便の豪州代表投手、ターニャ・ハーディングと堂々渡り合いなんと3-0で完封勝利する。圧巻は第5節の釧路大会。この年不調だったとはいえ代表選手を何人も揃える日立ソフトウエアに対してまたしても新人の鈴木麻美が好投。前年2006年の最多勝投手、遠藤有子に3-2で投げ勝ってしまう。まさに靜甲旋風であった。
前半戦の4勝はソフトウエア、デンソー、佐川急便と並ぶもので、間違いなくこの年の台風の目で最も注目を集めたのはこの靜甲であった。当然1部残留を決めるだろうと思われたが、残念ながら後半は息切れし、他のチーム(特に前半戦全敗の戸田中)も巻き返してきたことから相次いで接戦を落として全敗。最後の最後に戸田中に交わされ、旋風を巻き起こしつつも靜甲初の1部は1年で幕を閉じた。

そして再出発を近い2部で迎えた今年、チームを支えてきたベテラン選手が何人か去ったため前半戦は調子が上がらなかったが、それでも順当に2位以内を確保した。直接対決で惜敗してしまったため勝敗は同率の伊予銀行に自動昇格となる1位の座は譲ったが、チーム力としては伊予銀行より上かも知れない。
特に昨年1部を経験した二人の投手、鈴木麻美、東瑠璃はやはり2部では格が違った。ともに唯一の防御率0点台で0.42と0.98の1位、2位である。特に鈴木麻美の防御率は群を抜いている。1部11位で靜甲と入れ替え戦を戦うこととなったシオノギにとっては、むしろ1位の伊予銀行より靜甲に出てこられたのは不気味な感じがしているのではないだろうか。
昨年1部での靜甲とシオノギの対戦成績は靜甲の3-2、0-1の1勝1敗、得失点差も同じと全くの互角。しかも今年の全日本総合では、シオノギが入れ替え戦枠脱出争いに敗れた1部10位の戸田中を相手に1回戦で靜甲が4-3と勝利しているのである。実力は十分だ。

靜甲、シオノギ、ともに投手力を軸に接戦をものにしていく似たタイプのチーム。11月6日から天城ドームで行われる入れ替え戦は、非常に面白い対戦となりそうである。
正直、個人的にはどちらのチームも1部にあげてあげたいのだが・・・

 

【野手】

1(7)植松尚子「19」(17試合、50打数、打率0.260)
甲賀医専出身の新人選手。今年で廃部するといううわさの甲賀医専は、実業団をクビになった選手が再起を目指して所属することも多く、ここを経由して再び実業団チームに復帰して活躍している選手が何人もいる。それだけに甲賀出身と聞くだけで自然と応援したくなる。
新人ながら全試合出場の打率0.260は立派だ。レフトの守備も巧い。

2(D):田中美穂「3」(11試合、19打数、打率0.474、打点、三塁打2)
名門厚木商出身。その後、大学、NECアクセステクニカと渡り歩き今年から靜甲に入った。捕手であるがDPとしての出場が多いか。打数は少ないが5割近い打率は潜在能力の高さを感じさせる。

3(6):鈴木優子「10」(15試合、45打数、打率0.356、打点、二塁打1、本塁打1)
正直、かなりの(イケメン風)美形であると思っている。内野の要でショートの守備力には定評があり、打撃もチャンスに強い。走攻守すべてにおいてレベルの高い選手である。靜甲が昨年物怖じせず一部で堂々と戦えたのも、鈴木優のようなレベルの高い選手がいたからではなかろうか。今年からは主将も努める。

4(8):滝真由美「22」(17試合、49打数、打率0.408、打点、二塁打7、三塁打2、本塁打1)
2007年1部のDP部門ベストナインに選ばれた実力は伊達ではない。今年2部での首位打者の座は譲ったが、二塁打7、三塁打2、本塁打1での打点王は圧巻である。打球の速さや長打力は、正直、2部では頭一つ抜けているように感じる。シオノギ投手陣にとって、いかに滝を抑えるか、滝の前に走者を溜めないか、大いに苦労しそうである。

5(5):大矢留美「8」(17試合、52打数、打率0.404、打点、二塁打2、三塁打2、本塁打2)
2007年の1部では靜甲の切り込み隊長1番打者として、そして主将として大いにチームを牽引した。地元静岡の浜松市立高校出身。先頭に立って体でチームを引っ張っていく根っからのリーダータイプである。ガッツ溢れるかっこいい選手である。

6(3):計盛(かずもり)志津子「26」(17試合、31打数、打率0.323、打点、二塁打3)
靜甲のお笑い部門担当選手。投球がインコースに来ると大げさに腰を引き、高めに来るとバットを上げ膝でしゃがみこんでより高いボールに見せようと工作する(これが靜甲名物「計盛の提灯」である、笑)。打ち損じると「あちゃぁ!」と喚き、ジャストミートすると「よっしゃー!」と叫ぶ。こんな楽しい選手もそうそういない(笑)
しかしそれだけの選手かと思ったらノノンノン。総合の戸田中戦でも好投手・堤の球をシバキ倒してレフトに放り込んだように、ツボにくれば叩き込むだけの長打力も持っている。
54打席で31打数なのは四球が16もあるから。いかに相手がその長打を恐れているかの証拠である。

7(2):萩藤寛子「35」(14試合、35打数、打率0.257、打点、二塁打2)
植松選手の紹介欄でも書いた、実業団退部から甲賀を経由して復帰した選手がまさにこの萩藤だ。今年の靜甲の戦力アップには、1部のデンソーに所属していた経験豊富なこの萩藤捕手の加入も大きい。パンチ力のある体の大きな捕手で、とても性格のいい大らかな選手のようである。

8(9):白井加奈絵「16」(17試合、42打数、打率0.405、打点、三塁打2)
静岡出身で白井と言えば真っ先にレオパレス21の名サード白井奈保美が思い浮かぶが、顔はあんまり似てないがこの白井はその白井の実妹である。おもに8番を打つ右翼手だが、実は彼女が8番にいるのが靜甲打線のキーである。8番に4割打者が座る打線というのも恐怖だろう(織機の「8番リベラ」には劣るが、笑)。入れ替え線においても白井が実力どおりの働きをすれば、靜甲の1部昇格が近づくはずだ。

9(4):尾方栄里「9」(17試合、34打数、打率0.324、打点)
小柄でスピードもある好選手である。塁に出すと相手にとって脅威だ。タイプ的には今年大活躍のデンソーの増山由梨に非常に良く似ている。セカンドの守備もよく身体能力も高いいい選手なのだが、唯一にして最大の欠点が「常にテンパってる」ことだ。それでいつもついつい空回りして自爆してしまう。増山を見ならない、相手を挑発するくらいのふてぶてしい態度で自信をもってかき回せれば、ホンとにいい選手になると思うのだが・・・。
しかしまああの気が弱くおとなしそうなところこも魅力ですけどね(笑)

(D)中村夏美「17」(13試合、19打数、打率0.105)
昨年高卒で靜甲に入った2年目の選手。今年多くの新人選手が入ったが、みな大卒以上の年齢であり、悲しいかな今年も1年下っ端生活が続く。
静岡の名門常葉菊川高出身で、織機に入った栗田美穂とは同期である。昨年1部でデビューした時の最初の2打席を見たが、2打席とも速球で追い込まれチェンジアップで翻弄されるという、素人が上野と対戦するようなまるで当たる気配もないような三振であった。
しかしそれが1年経ち実業団の水に慣れたか、見違えるような落ち着きを見せるようになった。小柄な外野手で、身体能力はさほど高くはないが、どうやら高校時代にソフトボールマガジンでも紹介されたようにバッティングセンスは非凡なものがあるようだ。
振り返ると大きな意味を持っていた大鵬薬品との試合、初回に一挙6点をあげたのは2番DPに入ったこの中村が粘って四球を奪ったから。あの試合にさえ勝っていれば、実は大鵬薬品が1位通過だったのである。


(7)山口ひとみ「6」

(H)菊池美咲「8」(12試合、16打数、打率0.313、二塁打1、三塁打1)
スイングスピードの速い思い切りの良いバッティングをする新人。
たまたま泊まった万場町の宿にこの菊池美咲と山口ひとみのサインがあったもんだからちょっと気になる選手。



(6)松井志帆実「2」(9試合、15打数、打率0.200)

(D)福島早苗「3」(4試合、7打数、打率0.286、打点1)

(H)加藤菜奈子「24」(3試合、2打数、打率0.000)


【投手】
鈴木麻美「18」
昨年1部で新人賞を取った実力十分の2年目エース。2部での防御率は他を大きく引き離しての1位。入れ替え戦ではこの投手の肩に掛かる比率が大きいだろう。

東瑠璃「23」
靜甲を支え続けてきた小柄な左腕エース。小さな体ながら気合い満点の投球をする。鈴木には劣るものの防御率は0点台だ。


※今から紀伊半島の山に行かないといけなく、靜甲もシオノギも全員コメントできませんでした。
申し訳ありませんだみつお。ナハナハ

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