【2008年日本リーグ決勝トーナメント:1日目のみどころ】

2008年11月8日午前10時30分試合開始予定
【第1試合~3位デンソー v.s. 4位豊田自動織機】

(1)増山由梨v.s.織機バッテリー
今年の対戦成績はデンソーの2勝である。前半戦は1-0で染谷の完封勝ち、後半戦は2-1で増淵-染谷の継投勝利である。ともに接戦であったが、デンソーが織機のエースミッシェル・スミスからあげた計3点は、全て増山由梨が一人であげたものと言っても過言ではない。
山梨で行われた後半戦では、スミスが気にするあまりか増山を四球で出塁させる。投球ごとにスタートを切る姿勢を見せる増山に挑発された捕手のリベラが一塁へ牽制したがこれが悪送球で増山は二塁へ。さらに続く田中のサードゴロを、捕球した古田が二塁ランナーの増山を気にするあまり1歩余分なステップをセカンド方向にしてしまい一塁に悪送球。増山は労せずして三塁へ、その後の二、三塁から頼りになる三番キャプテン東のタイムリーで、決勝点となる2点をあげた。
完全に増山がかき回してあげた2点だったが、前半戦の試合はさらに強烈だった。四球で出た増山が二盗。捕手リベラからの送球が悪送球となる間に三塁へ。さらに次の投球がワンバウンド し、リベラがほんの少し横にはじく。目で牽制したことにより生まれた一瞬の隙をつく完璧な走 塁でホームへ。四球1個だけのノーヒットでスミスから1点を奪ってしまった。  織機の守備陣の中でも、特にスミスとリベラが増山にかき回されている感じがする。あの偉大 なるミッシェル・スミスが、増山を嫌がるあまりに四球で出してしまい、リベラは必要以上に焦 って悪送球を繰り返してしまうのだ。  それ以外のデンソーの打者は比較的抑え込んでいるだけに、この増山をどう処理するのかがこ の試合の最大のポイントだろう。  しかしながらそこは連覇中の織機である。三度やられることはないと思われるし、あってはな らないのだ。現役生活の最後が近づいているソフトボール界の神様、ミッシェル・スミスが、今 度はいかにして完璧に増山を封じるか、そこを大いに楽しみにしたい。


(2)染谷美佳v.s.織機打線
さて増山を封じたとして、織機には大きな壁がもう一つある。染谷美佳である。
五輪にも選ばれた好投手は、どうやら五輪が大きな自信となりさらに一回り大きくなったような気がする。もちろん調子自体は今年は春からずっと好調で、前半戦では先に述べたようにスミスに投げ勝ち1-0で完封勝利している。後半戦も2-1と1点差に迫られた6回のピンチから登板し、余裕の笑顔を見せながらも後続の織機打線を完璧に抑え込んだ。今年は織機打線に1点も取られていないのである。
ただし、前半戦完封負けと言っても、織機も完璧に抑え込まれたわけではなかった。ヒットは出るのだがバント失敗などでランナーを進められなかったり、チャンスを作ってもタイムリーが出なかった。ライナー性の当たりが正面を突いたり好捕されたのも多かった。
今年の織機打線は昨年までの試合後者の姿はほとんどなく、嫌らしく点を取ることができなかった。前半戦のデンソー戦も染谷から5安打しながら0点、後半戦などは増淵、染谷から9安打もしながらソロホームランの1点だけだったのだ。それだけに、逆にデンソーに対して苦手意識があるのなら厄介だが、決勝トーナメントでは違った戦いを見せてくれるはずである。特に前半戦でも染谷に対していい当たりを連発し、キッチリ犠打も決めた小森の存在が大きいのではないか。
小森は、今年滑り込みで決勝トーナメント進出を決めた最終節の2試合では4番を任され、その2試合連続で先制タイムリーを放った。
昨年の決勝トーナメントでも、上野を攻略するキッカケとなる二塁打を放っている。チームが窮地に陥れば陥るほど頼りになる織機が誇る小さな大打者、小森由香主将の調子が上がってきている今、今年苦しんだ織機打線の姿はもうそこにはないだろう。


2008年11月8日午後1時試合開始予定
【第2試合1位ルネサス高崎 v.s. 2位日立ソフトウエア】

(1)上野 v.s. ソフトウエア打線
今年もリーグで二度対戦しているわけだが、やはり決勝トーナメントの舞台となると重みが違ってくる。西山、杉山、山田、馬渕、森下、濱本、鈴木、来條、溝江、と、1番から9番まで有名選手がずらりと並んだ破壊力抜群のソフトウエア打線と上野との対戦である。想像するだけでワクワクしてくる。
今年の対戦は前半が3-2でルネサスの勝利。1、2回に3点をリードされたソフトウエアが終盤に馬渕の三塁打などで2点を取り追い上げるも1点及ばなかった。後半戦では逆に1-0でソフトウエアが勝利。山田のタイムリーであげた1点を瀬川と守備陣が守りきり、上野の連勝記録をストップさせた意地の勝利であった。
リーグでの対戦成績は1勝1敗、得失点は3-3の完全なイーブン。今年、他の追随を許さなかった2強チームの、まさに雌雄を決する激突である。


(2)ソフトウエアの先発投手は?
先発投手が瀬川絵美か藤原麻起子のどちらでくるのかも非常に興味深い。ページシステムでは1位と2位は同等である。一度負けても敗者復活戦があり、その状況を藤本監督がどう捉えるのかも、先発投手をどちらでくるかに影響してくるだろう。
どうも今年の瀬川は調子の波が大きい。ルネサス戦で1安打完封したように好調時は上野に匹敵するくらいの完璧な投球をする一方、総合のHonda戦で大荒れだったように、一度ストライクが入らなくなるとまるで手をつけられなくなる。リーグ戦でも不調の時は序盤に簡単に失点してしまうことが多かった。今回も瀬川が先発の場合、上野に投げ勝ち完封する可能性も大いにあるが、逆に試合が壊れる可能性もあるのだ。
今年の防御率2位が示すように安定感抜群の藤原が先発した場合、確実に試合は作るだろうが、ルネサス相手では1点は覚悟すべきかも知れない。上野が相手ではその1点が致命傷になってしまうのだ。
初日のルネサス相手には瀬川を先発させて瀬川に賭け、もし瀬川が好投すればそのまま決勝戦にまわれる。たとえ瀬川がダメでも、次の日の敗者復活戦以降には満を持して今年好調の藤原を登板させる。藤原には確実に試合を作ってもらい、そしてリーグ1位の破壊力を誇る強力打線の援護に期待する。1度負けられる状況を積極的に利用するなら、このような投手起用でくるのではないだろうか。
ちなみに今年のリーグ戦では、ルネサス戦は2度の対戦とも瀬川が先発、完投している。ここが若干気になる。公式戦ではルネサス相手に1度も登板していない藤原の抜擢も、もしかしたらあるかもしれない。

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