【真夏の昼の夢~ロンドン五輪決勝戦・7回】

【真夏の昼の夢~ロンドン五輪決勝戦・7回】


 

【7回表・日本の攻撃】

銀猫「さあ最終回です、日本追いつけるか!?」

銀猫「先頭の平林ですが、ここまで3打席連続でセフティーバントです。どうせこの打席もバントでしょう」

達川「あのねぇ~あのねぇ~」

銀猫「第1球です…。平林、初球をバ、いや強振しました!!打球は前進守備のファーストのアリオトの右を抜けてあっと言う間にライトフェンスへ!平林二塁を蹴って三塁へ!三塁打!三塁打!ノーアウト三塁!日本、絶好の同点のチャンス!」

達川「いや~参りました!最初の3打席のセフティバントはこのためのいわば撒き餌みたいなもんやったんですね。フォワストも2,3歩前に出てきてた分、瞬時に反応できんかったんですわ~。僕もテレビ新広島の『釣りごろつられごろ』の企画で佐々岡君と一緒にしょっちゅうチヌ釣りをするんでねぇ、撒き餌の重要性はよ~わかっとります。ナイス、ヒラバ!」

銀猫「さあこの絶好のチャンスに迎えるはこの試合3打席連続空振り三振の鈴木美加です。しかし福田監督代打を送りません。鈴木に賭けます!」

達川「(打木さんの筆談メモを読みながら)え~打木さんからですが、『美加は3打席どころかロンドン五輪始まって以来21打席ノーヒット。いくら三科真澄のジャパンのセカンドの後継者だからって、五輪でさっぱり打てないことまで引き継がなくていいんだよ!!このバ…、うましか!!』だそうです」

銀猫「この打席もあっさりツーストライクと追い込まれました。もう応援するしかありません!美加~!打て!!目つぶって振れっ!!!」

 カキーン!!!

銀猫「鈴木、打ったぁ~!いや、当たったぁ~~~!!!」

銀猫「レフト頭上を完璧に越えてフェンス直撃!!タイムリー二塁打!日本同点に追いつきました!」

銀猫「さあ一気に勝ち越したい日本、3番中森ですがここはキッチリと送りバントを決めました!ワンアウト三塁と勝ち越しの走者を三塁に進めます!」

 ※わき上がる日本ベンチはナイン、スタッフ総出で送りバントを決めた中森を笑顔で出迎える。それに対し全くの無表情で応える中森。

銀猫「さあ3番の小野です!ヒロインになれるか!?」

 バギッ!

銀猫「あ~、っと小野、デッドボール!しかもオイスターソースマンのライズカーブが顔面を直撃しました…。大丈夫でしょうか…」

達川「あのね~あのね~、心配じゃのぉ~」

銀猫「小野、立ち上がりました!わ、笑ってます。なぜか満面の笑み。何が嬉しいんでしょうか!?意味がわかりません!とにかくニコニコ笑って嬉しそうに一塁に向かいます」

銀猫「さあ一三塁となりました。ゲッツーも怖いですがチャンスには日本一強い佐々木瞳が打席に入ります!佐々木、打ち上げたー!」

達川「あのね~あのね~」

銀猫「センターに上がったー!飛距離は十分!!鈴木がタッチアップでホームへ還る!日本、7回にとうとう逆転しました!!!」

 ※つづく柳瀬がショートへのゴロで併殺に倒れるも、日本、勝ち越して7回裏に入る。

【7回裏・アメリカの攻撃】
 ※この回を抑えれば日本の五輪連覇。6回にリエントリーしたUN20番投手がこの回もピッチャーズサークルに向かう。

 ※しかし先頭の1番ムルトリーを四球で出し、2番メイジョンソンが送って1死二塁。3番ギブソンは故意四球で塁を詰めて一二塁も、勝ち越しの走者が塁に出てしまうことに。

 ※この大ピンチでさらに4番コックランに2ボールとしたところで、藤原投手コーチがアドバイスに向かう。

藤原「ここよ、ここを抑えるために、あの苦しい辛い、冬の八甲田山での極寒トレーニングを積んできたのよ。夏は恐山での瞑想も続けたじゃない。イタコにも負けない精神力を手に入れたのよ。大間のマグロとの命を賭けた格闘も経験したじゃない。ここで踏ん張らなきゃ。でも重荷に感じちゃダメ。五輪の舞台で投げられるなんてこんなに幸せなことないんだから。夢だった五輪で投げられなかった私の思いもどうか叶えて!でもだからって力を入れなくてもまだまだスピードは落ちてないわ。とにかくコントロールよ。ピッチングはコントロールが大事なの。何より、自分の心をコントロールするのよ。」

UN20「は~い、わかったー」

 ※立ち直ったUN20、2ボール2ストライクと並行カウントに戻し、コックランをファーストゴロに打ち取る。しかし走者がそれぞれ進んで2死二三塁。一打出れば逆転サヨナラのピンチに。

銀猫「さああと一人ですが、ピンチは続きます!」

達川「あのねぇ~あのねぇ~、頑張れ日本!」

銀猫「5番は今日ホームランを放っているアリオト。塁を詰める選択肢もありますが、押し出しも恐いですし、ここは日本バッテリー、勝負です!」

銀猫「さあアリオトです。打ちました!ジャストミート!!!」

達川「(打木さんの筆談メモを読む)『ギャァァァーーー!うわぁぁ』」

銀猫「センターに抜けたー!日本、万事休すーーー!?」

銀猫「ああーーーーっと!!!」

銀猫「セカンドの中村です!中村瞳です!中村が横っ飛びでダイビングキャッチ!!!そのまま右中間へ抜けようかというようなもの凄い当たりを、この回からセカンドの守備固めに入っていた中村瞳がダイビングキャッチしました!!!日本勝った!!勝ちました!!」

達川「中村素晴らしい!さすが名手!美技の申し子!東出の100倍うまい!試合終わったら携帯ストラップをプレゼ」

バギッ!ボギッ!

銀猫「打木さんからのメモです『うわぁぁぁぁ~~あぁぁぁぁ~~勝ったぁぁぁぁ~~~~』」

銀猫「日本、優勝です!!!!!!」

 

ワーワー…

 



<7回表:日本~2点>

平林一塁線を抜く三塁打
鈴木レフトオーバーのタイムリー二塁打
中森:ファーストへの送りバント
小野:死球
佐々木センターへの勝ち越し犠牲フライ
柳瀬:ショートゴロ併殺打

<7回裏:アメリカ~0点>
ムルトリー:四球
メイジョンソン:サードへの送りバント
ジョンソン:故意四球
コックラン:ファーストゴロ(ランナー二三塁に)
アリオト:セカンドライナー(中村が超ファインプレー!)

日本 010 0012…4
米国 201 0000…3


(つづく。…まだ続くのか…)

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