4月24日(金)、1部の開幕節から2週間遅れて2部もようやく開幕しました。基本的に1部の日程が重なることからなかなか見にいけないのですが、やはり1部とはまた違った面白さが2部にはあります。2部中心でまわろうかなあと、行った後はいつも悩んでしまうほど。
今回は残念ながら開幕日1日だけの観戦になりましたが、簡単に振り返ってみたいと思います。
※日本精工
地元の滋賀での大会、会社からは若い社員がバスで大勢つめかけ声援を送った精工だったが、先発した染谷が東芝北九州打線に捕まり、初回は3安打で1点、4回には1番佐藤にツーランを浴び計3点を失ったところで交代。2部レベルではかなり力のある球を投げ込んでいたが、球が高めに浮いたところを痛打され、大勢の応援団の期待に応えることはできなかった。大鵬薬品から強打の松山夏美を補強し打線に力強さは増してきた日本精工だが、染谷がエースとして1本立ちできるかどうかが今後のカギだろう。
<打線には力のある打者の多い日精工、課題は染谷を中心とした投手陣>
<大鵬から移籍した松山>
※東芝北九州
昨年打撃ベスト10に田中、古賀、松本、佐藤と4人が入った打撃力は健在。防御率4位のエース徳田もこの試合1失点で完投し今年も好調。パナソニック電工津が大幅に選手が抜けゼロからのスタートとなり、靜甲や大鵬からも主力選手が抜けた今季、東芝北九州が2部の台風の目になるかもしれない。
<強力・東芝北九州打線の中心、四番に座る好打者の古賀>
※簡単な試合経過
マクセルは5回まで1-3とリードされそろそろ嫌な雰囲気の漂ってきた5回ようやく反撃に移る。阿部が四球で出るとすかさず盗塁。頼りになるキャプテン加藤が右翼線に三塁打を放ち1点差に迫る。ここで超スローボールを駆使して好投を続けていた新里に替えて玉城がリリーフに。
しかし、玉城の投球を見た審判が一度集まって協議。その次の投球でイリーガルピッチを宣告する(原因は投球時にプレートを踏んでいないといったものか?あるいは今年からより厳しくなったジャンピングか)。
投手にとって試合中にイリーガルを取られるのは非常に大きな負担となるようで、四番藤原に左前に同点適時打を打たれると、続く東の時にワイルドピッチ、簡単に逆転されてしまう。ここで玉城は降板し新里がリエントリーされる。しかしマクセルの勢いは止められず、栫(かこい)の左前適時打で追加点を奪われる。
しかし、オープン戦で江本姉を打ち崩した今年の東海理化打線はやはりただものではなかった。6回表、1番小峰のホームランで1点差に迫ると、7回表、代わったマクセル高田を攻め、二塁打の赤堀を蔦の遊ゴロで三塁に進め、川戸道の左犠飛であっさりと同点に追いついた。
延長タイブレイカーにもつれ込んだ8回、東海理化はこの回から登板のマクセルのエース森川から二死三塁とし、前の打席ホームランの小峰がセンターへ会心の一撃。その打球をセンターの亀本が思い切って飛び込んで捕球する大ファインプレー。打球の勢いや方向からすると、まさに窮地を救う超ファインプレーだった。
<試合を救ったマクセルのセンター亀本のファインプレー。5回にショートの田中が負傷退場し、ショートに移ったセンターの名手阿部の後をしっかり守った>
その裏、マクセルは亀本を敬遠しまず1、2塁と塁をつめたが阿部にも四球を与えてしまい無死満塁。最後はキャプテン加藤が三遊間を抜いてなんとか試合を決めた。
<サヨナラヒットを放った主将の加藤>
※日立マクセル
先発した豊崎が6回3失点、森川が復活してくれないと投手に関してはある程度の失点は覚悟した戦いが続くだろう。その代わり打線はやはり本物で、2部レベルでは毎試合普通に5、6点は叩きだせる打線だ。特に四番の藤原、おそらくもし1部のチームに移籍したとして多くのチームで中核を打てるレベルの打者だが、この日もウェルネス戦でホームランを放つなど格の違いを見せ付けていた。
さらにこの日目を引いたのが7番に入っていたファーストの栫(かこい)。昨年は「粗さ」が目立ったがそれでも1部ではホームランも放った逸材である。この日は2試合で7打数5安打。最後の打席も火の出るようなライトライナーで、打席での風格を見ても大化けしそうな予感がする。
阿部、加藤、小林、高崎、東といったベテランも元気で、やはり優勝候補の筆頭であることは間違いなさそうだ。この打線が靜甲の鈴木麻美、大鵬の鈴木碧とどう対峙するか、非常に楽しみだ。ただ打球を左目に当てて退場した守備の要のショート田中が心配だ。早く帰ってきてくれることを願いたい。
※東海理化
この日の先発は9小峰、5中田、8赤堀、4蔦、3川戸道、2石田、7越智、6荻原、D中井。もともと力のある赤堀、蔦、川戸道、越智などの打者に加えて昨年はあまり出場のなかった1番小峰の復活で、打線はかなり力強く感じる。
課題は投手。去年エース格だった濱地が抜けて新里、玉城の2本体制。しかし玉城がイリーガルに関して投球フォームが定まらないとなると非常に苦しい。投手さえ踏ん張れば上位に食い込める力のある打線があるだけに、なんとか頑張ってもらいたい。
<ホームランも放ち、延長では勝ち越しかと思われたセンターライナーを放った東海理化の斬りこみ隊長・小峰>
※パナソニック電工津
昨年4位、優勝した伊予銀行や3位の大鵬薬品に勝った実力あるチームで今年こそはと思ったが、監督の田上がぺヤングに移ったのをはじめ大ベテランの荻原を含め7人が引退、補強も二人だけで計11人という大幅縮小したチームでゼロからのスタートとなった。その二人の移籍選手は、戸田中から移籍した本田と廃部した三島中央病院から移籍した川村で、外野手の戸田はパナソニックではショートで5番、川村はセンターで1番である。
<戸田中から移籍し外野からショートにコンバートされた本田(左)と、三島中央病院から移籍した川村(右)>
※甲賀医療専門学校
専門学校ながら毎年日本リーグ1に選手を送り込んできた甲賀医専。今年も主力には力強い打者が多く、特に2番レフトの後口(うしろ)、3番ファーストの三宅、4番キャッチャーの伊藤などは将来が楽しみな選手だ。
<甲賀の3、4番を打つ将来楽しみな三宅(左)と伊藤(右)>
※島根三洋
野村運動公園でパナソニックと甲賀の試合を終盤まで見てからグリーンスタジアムに移動したがこの試合もすでに終盤6回表。その後はあまり試合展開に変化はなく、三洋の投手古瀬が平金打線を淡々と抑えて試合が終了した。投打にそれなりの力もあり、3強入りもあるのではと密かに期待している島根三洋。古瀬、古賀の両投手がいかに成長できるかにかかっているだろう。
<先発し7安打を浴びながらも1失点と好投した島根三洋の古瀬“ゆりあ”投手>
※平林金属
ここ最近力をつけてきて、リーグでも上位を破りカギを握ることが多い平金。この日、地元岡山からものぼりを携えて応援団がやってきたが、三洋の好投手・古瀬に同じ7安打を浴びせながらあと一本が出ず1点に抑えられた。この日の観戦では唯一平金だけあまり見ることができなかったので、今度は平金メインで観戦してみたい。
※日本ウェルネス
リーグ加盟2年間でいまだ勝ち星のないウェルネス。この日も投手が踏ん張れずマクセルに大敗。
専門学校ゆえ選手集めなど難しい部分も多いが、やはり投手がある程度抑えてくれないとなかなか試合は作れないだろう。ただこの日はマクセルの新人長尾が相手だったが、打つほうでは3番橋元、5番板倉の二塁打2本で2点を奪うなど、中軸打者は力のあるところを見せてくれた。特に、カネボウ小田原から移籍してきた板倉は見るからに風格漂う選手。コーチも兼ねておりウェルネスの有名選手になりそうだ。
<貫禄抜群のウェルネス・板倉>
<猛打爆発のマクセル。藤原の豪快な一発は格の違いを見せ付けた>