【2019年日本リーグ1部第2節・掛川大会:トヨタ vs. 誘電 ~ 延長13回、誘電は全選手を送り込む死闘も敗れる】

トヨタ自動車
 020 0013 001 004…11-11-2
 004 1100 001 000…7-8-3
太陽誘電

トヨタ自動車:モニカ・アボット、後藤希友、○モニカ・アボット - 峰幸代
太陽誘電:曽根はん奈、尾﨑望良、●藤田倭、山口美紀- 佐藤みなみ、青木千春、佐藤みなみ
(本):山崎早紀、坂元令奈②(ト)
(三):中溝優生(誘)
(二):山崎早紀(ト)、藤田倭(H)

【戦評】
 なんとも形容がしがたい壮絶な試合。原田のどかがモニカ・アボットから死球を受けて骨折かと思われるくらい痛がって試合が中断したことをきっかけに、青木千春が空振りした投球を顔面に受けて交代。さらには大黒柱の藤田倭が延長13回に打球を処理した際に両足を痛めて悶絶し、トレーナーに負ぶわれて退場し救急車で搬送された。実は前日の他会場で上野由岐子が顎に打球を受けて骨折していたこともあり「さらに藤田もか!?」という緊急事態。救急車で運ばれるところを見たが、右足が完全に引きつって動かず、左足が痙攣していたので、てっきり右足のアキレス腱を断裂したのかと危惧したが、両足がつっただけだったようで、直後に招集されたアジア大会にも参加できたようだ。人騒がせな!と思ったが、アボットと投げ合っての延長13回はあの藤田倭でも両足がつるくらいの極度の緊張、疲労だったのだろう。
 その太陽誘電は勝ちに行くための早め早めの交代で投手の森真里奈を代打に出すくらいの勝負に打って出たが勝ち越せず、先発の丸本里佳に二度代打を出したことで代わりに出さざるを得なくなったセカンドの竹田采実のところにゴロが飛んで後逸して同点に追いつかれるという場面もあった(もちろんエラーではないが)。ただああいうふうにして高卒1年目の選手でもあんなに大事な場面で出番が回ってくるという誘電というチームは、そりゃ若手も成長するわな、という妙な感心をした。竹田の今後の成長に期待したい。

 ところで試合内容。地元掛川の観光大使を務める山崎早紀が7回1死満塁から走者一掃の二塁打を放って同点に追いつくという展開は「さすが王者トヨタ」というところだが、それ以前の問題。そもそもアボットの一塁悪送球や送球ミス、ライト長﨑望未の緩慢なプレーなど、目を覆いたくなるようなプレーの続出でやらんでもいい点をたくさん誘電にプレゼントして試合をややこしくしたのもトヨタ自身。勝って良かったと喜んでいられないような下手な試合運びだった。
 正直、延長8回、9回くらいは「次の試合もあるねん。どっちでもええから、ええ加減に終われよ~」的な感じだったが、さすがに延長も12回、13回となると滅多に見られない試合。最後は引き込まれて「これはいったいどういう終わり方をするのか。どういう決着になるんだろう!?」と、思いっきりのめり込んでいた。

 



【トヨタ自動車:先発と交代選手】

1(7):石川恭子→(9)長﨑望未→(再走7)石川恭子
2(5):鈴木鮎美
3(3):山本絵梨奈
4(8):山崎早紀→(走)鎌田優希→(再8)山崎早紀
5(4):坂元令奈
6(D):アリー・アギュラー
7(6):渥美万奈→(走)有吉茜→(再6)渥美万奈
8(7):古澤春菜→(7)古澤春菜→(走)伊波奈々→(再7)古澤春菜→(9)古澤春菜
9(2):峰幸代
FP(1):モニカ・アボット→(1)後藤希友→(再1)モニカ・アボット

【太陽誘電:先発と交代選手】
1(7):原田のどか
2(5):山本晴香
3(D):藤田倭→(走)石濱真実→(DP1)藤田倭→(DP1)山口美紀
4(6):中溝優生
5(2):佐藤みなみ→(2)青木千春→(再打2)佐藤みなみ
6(3):大塚枝里香
7(4):丸本里佳→(打)瀬戸口莉乃→(再4)丸本里佳→(打)佐竹紫乃→(4)竹田
8(8):川村美沙
9(9):松瀬清夏→(打)森真里奈→(再9)松瀬清夏
FP(1):曽根はん奈→(1)尾﨑望良→(解除)

 



【1回表:トヨタ自動車~0点】

石川:遊邪飛
鈴木:投ゴロ
山本:中直

<誘電の先発は曽根はん奈。この時点で何か波乱の予感はした>

【1回裏:太陽誘電~0点】
原田:空振り三振
山本中前打
藤田:三飛
中溝:中飛

【2回表:トヨタ自動車~2点】
山崎中越本塁打
坂元中越本塁打
アギュラー:右飛
渥美:一小飛(どん詰まり)
古澤一二塁間右前打
:二飛

<山崎早紀、坂元令奈の二者連弾。この時点でまさかあんな展開になるとは思わなかった>

【2回裏:太陽誘電~0点】
佐藤:中飛(大きな当たり)
大塚:中飛
丸本:空振り三振

<佐藤みなみの一打はあと少し>

【3回表:トヨタ自動車~0点】
 ※誘電は投手交代、曽根→尾﨑
石川左中間二塁打
鈴木:一犠打
山本:見逃し三振(3-2)
山崎:遊ゴロ

【3回裏:太陽誘電~4点】
川村投セフティバント安
松瀬:空振り三振
原田:死球
 ※左手首に当たり激しく痛がる
山本三前安送球失
 ※ボテボテのゴロを鈴木がダイビングスローもワンバウンドで山本も弾いて後逸。1点入りなお一三塁
藤田左越適時二塁打(二三塁)
 ※二塁代走に石濱
中溝:空振り三振
佐藤:投ゴロ・2点送球失
 ※普通の投ゴロをアボットが一塁悪送球
大塚:三ゴロ
 ※石濱に代わり藤田が投手に再出場

<最初のけが人、原田のどか>

<藤田倭がレフトの頭上を完璧に破る>

<佐藤みなみのボテボテのゴロをアボットが悪送球>

【4回表:トヨタ自動車~0点】
 ※誘電は尾﨑に代わりDP投手で藤田、捕手に青木
坂元:四球
アギュラー:右直
 ※渥美の打席で坂元が二盗
渥美:空振り三振
古澤:見逃し三振

【4回裏:太陽誘電~1点】
 ※トヨタは投手に後藤

(打)瀬戸口(←丸本):遊ゴロ
川村遊内安
 ※川村二盗
松瀬:空振り三振
原田左前適時打
山本:空振り三振
 ※瀬戸口に代わり丸本がセカンドで再出場

<トヨタは早々にアボットを(試合を)諦めて後藤希友に交代>

【5回表:トヨタ自動車~0点】
:遊飛
石川:死球(初球)
鈴木:四球
 ※ライトファールフライを松瀬が落球する失策のあと
山本:空振り三振
山崎:三ゴロ

【5回裏:太陽誘電~1点】
 ※レフトの石川に代わりライトに長﨑、ライトの古澤がレフトへ

藤田:左飛
中溝右越三塁打
 ※ライトの長﨑がグラブを出せば捕れた打球。なぜかグラブを上げずに見送ってフェンス直撃の三塁打。捕る気なくてホームランにしようとしたのか?
青木:四球
大塚中犠飛
 ※一塁テンポラリー走者に大塚
丸本:空振り三振

【6回表:トヨタ自動車~1点】
坂元右越本塁打
アギュラー:一ゴロ
渥美:見逃し三振
(打)(←古澤):スラップ投ゴロ
 ※レフトに古澤が再出場

【6回裏:太陽誘電~0点】
川村:遊ゴロ
松瀬一前内安
原田:中直
山本:二ゴロ

【7回表:トヨタ自動車~3点】
:四球
 ※代走に伊波
長﨑:死球(右ひざを出した感じ)
鈴木一二塁間右前打(無死満塁)
山本:捕ゴロ・本封
 ※ワンバウンドで高く上がったフライになったため2-2-3の併殺とはならず
山崎左翼線3点二塁打
 ※サードのベース上をギリギリで通過してフェンスまで
坂元:投犠打(三塁)
アギュラー:四球(ストレート)
渥美:二ゴロ
 ※伊波に代わりが捕手で再出場

<鈴木鮎美がヒットで繋いで満塁に>

<とにかく今のトヨタでは抜群に頼りになる山崎早紀。1死満塁から3点二塁打に同点に。この選手は日本代表でも4番を打つべき選手>

【7回裏:太陽誘電~0点】
 ※トヨタは投手にアボットが再出場

藤田:四球
中溝:空振り三振(投球が体に当たる)
青木:二ゴロ併殺(4-6-3)
 ※セカンド坂元が巧いバックトス

【8回表:トヨタ自動車~0点】
 ※渥美に代わり二走に有吉
古澤:空振り三振
 ※バントのファールが2球後バスター空振りの3球三振
:遊飛
長﨑:三ゴロ(止めたバット)

【8回裏:太陽誘電~0点】
 ※二塁走者に青木
大塚:一ゴロ(三塁)
(打)佐竹(←丸本):空振り三振
川村:空振り三振
 ※代打の佐竹に代わりセカンドに竹田


【9回表:トヨタ自動車~0点】

 ※二塁走者に再出場の石川
鈴木:三犠打(初球)
山本:空振り三振(ハーフスイング)
山崎:遊ゴロ

【9回裏:太陽誘電~0点】
 ※二塁走者に川村
松瀬:空振り三振
原田:四球(ハーフスイングがギリギリで止まる)
山本:空振り三振(粘ったが)
藤田:四球(ストレート、満塁に)
中溝:空振り三振

【10回表:トヨタ自動車~1点】
 ※二塁走者に山崎
坂元:三犠打(初球をキッチリ)
アギュラー二横適時打
 ※セカンドの竹田がバウンド合わせ損ねてゴロでライトへ。丸本なら普通に捕っていたか
渥美:二ゴロ二封(バックトス)
古澤遊後ポテン安(一二塁)
:遊ゴロ三封

<代わった誘電のセカンド竹田采実のすぐ横、というかほぼ下を通過するアギュラーのタイムリー>

<しかし竹田はその後は無難にプレー。バックトスで二封の良いプレーもあった>

【10回裏:太陽誘電~1点】
 ※二塁走者に中溝
青木:三犠打(初球)
大塚投ゴロ
 ※ホームに投げれば楽にアウトだったが、握り損ねたか悪送球をビビったか、アボットがホームに投げずに一塁に送球
竹田:空振り三振

<大塚枝里香が投前にエンドランを成功させて同点になったが、普通に本塁アウトにできた打球。アボット、握り損ねて投げられず>

【11回表:トヨタ自動車~0点】
 ※二塁走者に
石川:一ゴロ・三進
鈴木:二ゴロ
 ※三塁テンポラリー走者に鈴木
山本:三半直

【11回裏:太陽誘電~0点】
 ※二塁走者に竹田
川村:バント一飛
(打)(←松瀬):空振り三振
 ※代打で投手の森。いいスイングだったが
原田:四球
山本:三右ゴロ
 ※三遊間抜けそうな打球を鈴木がダイビングキャッチ!
 ※松瀬がライトに再出場

<投手の森真里奈も代打に。まさに総力戦。三振に倒れたが良いスイングだった>

【12回表:トヨタ自動車~0点】
 ※二塁走者に代走の鎌田
山崎:投ゴロ・三進
坂元:空振り三振・2-5タッチアウト
 ※2ストライクからエンドランも低めのボール球で坂元が三振、鎌田も挟殺
 ※鎌田に代わり山本が再出場

<坂元令奈の打席で2ストライクからエンドランをかけたが投球がワンバウンドになって空振り三振、ゲッツー>

【12回裏:太陽誘電~0点】
 ※二塁走者に山本
藤田:空振り三振
中溝:一ゴロ
青木:※
 ※青木がインコースを空振りしたときにボールが顔(ヘルメットのつば)に当たり負傷退場、佐藤に交代
(再打)佐藤(←青木):一邪飛
 ※ファーストの山本が腕をフェンスの外に伸ばしてキャッチする好プレー

<こんどは青木が投球を顔面に受けて負傷退場>

<佐藤の打球はファーストの山本絵梨奈が珍しく好捕>

【13回表:トヨタ自動車~4点】
 ※二塁走者に坂元
アギュラー:一犠打・送球失
 ※アギュラーの一塁線への上手い犠打を藤田が処理して一塁にダイビングスローも悪送球で竹田が捕れずに足に当たる
 ※この時、藤田が両足が吊る負傷で担架で運ばれて退場
 ※誘電は投手に山口
渥美中前打(一三塁に)
古澤:遊ゴロ・失(満塁に)
二遊間中前適時打
石川右犠飛(一三塁に)
 ※鈴木の打席で暴投(なお二塁)
鈴木:四球
山本:二ゴロ
山崎:三ゴロ

<先頭のアギュラーが犠打>

<この打球を必死に処理した藤田倭が負傷退場。両足を吊った>

<藤田が負傷退場した時点で試合は終わった。その後は急遽登板の山口美紀からヒットヒット、さらに暴投もあってトヨタが4得点>

【13回裏:太陽誘電~0点】
 ※二塁走者に佐藤
大塚:見逃し三振
竹田:空振り三振
川村:空振り三振

2 comments for “【2019年日本リーグ1部第2節・掛川大会:トヨタ vs. 誘電 ~ 延長13回、誘電は全選手を送り込む死闘も敗れる】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です