さて、野木あやの二塁打で始まり野木あやの二塁打で終わったトキめき新潟国体。全体的に大差の試合が多くて味気ない感じはしたが、どことなく国体らしくて良かったなという気分にさせてくれたのは地元新潟県や熊本県代表の存在と島根県代表の頑張り、それから福岡県代表のチーム編成があったからだろうか。
上越市高田公園ソフトボール場で戦った熊本県は、1回戦で敗れはしたが出場登録は「オール熊本」というクラブチームがメインでそこに園田学園女子大の薮田望に西村有加、熊本学園大の東嶋清華、安藤千恵、神田知佳が補強された実業団選手ゼロのチーム(OG選手は居たのだろうか?)。終盤大量点を奪われ大差になったが、4回裏にママさん選手の西村歩が目の覚めるような当たりの完璧なホームランを打った時点までは東北福祉大とTOETECKの混生チーム宮城県に食らいついていく感じで健闘しており、ベンチの雰囲気などとても元気で楽しそうだった。
<完璧なホームランを放ったママさん選手西村歩、大喜び>
<これには大学No.1投手の長南も苦笑い>
福岡県は2部の東芝北九州をメインに、織機から内藤恵美、長澤佳子、デンソーから田中美奈子の福岡出身選手が補強され、クラブチームから元戸田中の中山紀恵投手が加わったチーム。1部の2チームからと元1部選手が加わって福岡で出るなんて、ふるさとのためにみんな集まってきたみたいでとても良い感じじゃないですか?
ただ実際の試合はそうそう簡単には行かないのが勝負の厳しさ。エースの中山投手が序盤コントロールが定まらず押し出しとワイルドピッチで2点を許すがこれが結局は大きく響く。その後1点を返して迎えた5回のチャンスも内藤のライナーがセカンド正面とツキもなく、島根県代表に1回戦で負けてしまった。
<内藤のジャストミートは不運にもセカンド正面>
<その他補強された3人、左から中山、長澤、田中(美人が台無し)>
その島根県、好投手と評判の古瀬由梨亜が好調で、福岡県を破ると大和電機主体の長野県にも勝ちベスト4に進出。準決勝では惜しくも敗れたが、それでも実力を存分に発揮した大会だった。向上心の強い古瀬投手、1部の選手を力で抑え、これからどんどん良い投手に成長していくだろう。
<好投手・古瀬が実力発揮。恐い福岡打線を1点に抑える>
1部チームが集まった高田公園野球場ではデンソー主体に織機選手3人(田中幹子、古田真輝、狩野亜由美)を補強した愛知県が力を見せ、1回戦の対岡山県(平林金属)、2回戦の対兵庫県(シオノギ製薬+園田学園大の森田)で松本尚子と東美幸が2本塁打、狩野姉も1本塁打などと打ちまくりともに11対1で大勝。準決勝の京都府(佐川急便)にも染谷美佳が好投し完封勝ちし決勝に進んだ。
<東姉(上)と狩野姉(下)のホームラン。お姉ちゃんは強し>
愛知県の外野ではレギュラー右翼手は織機の田中幹子だが、試合後半から狩野香寿美が出場し、姉妹外野手という国体でしかお目にかかれない光景にも巡り会えた。
<このシーンを待ちわびていた(笑) 左から狩野姉、増山由梨、狩野妹>
けっこう格好いいユニフォームの兵庫県は1回戦の北海道(北翔大+ソフトウェアOGの菅原綾乃など数人補強)戦では森田涼の先頭打者弾と宮幸代の2本のホームランなどで大勝。大分県代表で出た主力を欠く中、センターの高木由美子をファーストで使ったり宮がレフトを守ったりと、ファンにとってはなかなか面白い大会ではあった。ただ愛知県と戦った試合では松村歩が早々に打たれて降板、高倉さやかがある程度頑張って抑えたが、できればもっと僅差の試合にして欲しかった。
<サマになってる??ファーストの高木(ランナーは去年までソフトウェアにいた菅原>
<大差の試合で意地のホームラン。岡山県の佐久間彩と兵庫県の安田真富果>
京都府の佐川急便はこの前の総合選手権あたりから外山美紀が良い投球を続けており、今大会もエースの帰山悦子と二人で頑張り、愛媛県(伊予銀行)をタイブレイカーで破り、地元新潟県も破りベスト4に進むなど健闘。ただ今回戦った選手がいる伊予銀、織機とは後半早々の刈谷大会でもすぐに当たるわけで、せっかく上越くんだりまで行ったんだからどうせなら普段あまり戦わない2部のチーム等とも試合をさせてあげたかった。
シードで2回戦から出場した地元新潟県はNYと新潟コンマJrというクラブチーム主体で関東学園大の横山綾香を一人補強したチーム。0-10の大差負けだったが1部チーム相手に4回まで0-3と大健闘。地元の声援も大きく楽しんだ試合だっただろう。
<身内の応援も多かったことでしょう。試合前に楽しそうな新潟県代表>
ちなみに整理すると、__リーグ非加盟のクラブチーム__主体が新潟県と熊本県、__2部チーム__主体が宮城県(ただしTOETECKは半数以下)、長野県(大和電機)、岡山県(平林金属)、島根県(島根三洋)、福岡県(東芝北九州)、__大学生__主体が北海道(北翔大)と宮城県(東北福祉大)で、残りは1部チーム主体であった。
宮城県はTOETECKと東北福祉大がほぼ半数で6人と7人の混成チーム。この1年、投げまくって大学ソフトボール界に歴史を作った東北福祉大の長南友子投手も、この国体が大学生最後の登板だったのではないか。準決勝ではもう結構バテバテだったが、とにかく4年間ごくろうさん。また来年、今度は日本リーグで。
<長南友子、大学生活最後の公式戦登板>