【日本リーグ2009/2010シーズンの引退・移籍・新加入選手と展望~2部・その1 (靜甲、島根三洋、東芝北九州、マクセル、東海理化)】
【靜甲(ホープセクション)】
退団選手:1人
(4/IF)太刀掛あおい(2)
新人選手:2人
(4/IF)吉田早希(大垣商→東海学院大)
(25/C)今倉麻衣子(明治学院→大阪体育大)
復帰選手:1人
(22/OF)原田真由美(郡山東→日体大→靜甲)
※今年の靜甲チームについて
ソフトボール協会の名鑑に、移籍選手とも新人選手とも注釈のない「原田真由美」という選手が新しく入っている。この選手、いわゆる「滝真由美」選手である。結婚のため2008年限りで一度ユニフォームを脱いだが、出産したあと1年のブランクだけで再び靜甲に戻ってきてくれた。
靜甲の歴史上唯一の1部昇格年の2007年、競争相手に恵まれたとはいえ、DP部門で1部のベストナインを獲得するなど靜甲歴代最高打者と言えるかも知れない。
とにかくスイングが速く打球が鋭い。2部でダントツの成績でタイトルを取ったことはないが、どんな場面でどんな投手相手にも期待が持てる打者である。出産という大仕事のあとにどこまでプレーヤーとしての体力が戻ってきているかは不安だが、再びDPかせめて代打ででも毎試合使えるようになるとかなりの戦力アップだ。
原田のほかに二人の大学生を含め3人が新加入したが、引退選手は2年目の太刀掛一人だけだ。太刀掛なんて珍しい名前だなあと珍名好きの僕としては惚れ惚れしてしまう選手だったが、残念ながら引退してしまった。
基本的には昨年とほぼ主力は変わらず戦うことになるが、昨年は開幕第1試合の大鵬薬品戦で負けたことが最期まで響いたように、今年は最初から全力でとばしていかないといけないだろう。ちなみに新人で入った捕手の今倉の打撃も良さそうで、使える場面も多そうだ。
<滝時代の原田>
<公式戦で見た太刀掛の唯一の打席は死球だった…>
【島根三洋(ホープセクション)】
退団選手:3人
(13/LF)星野恵(8)
(24/1B)中山麻衣(7)
(23/RF)福田茉美(3)
新人選手:2人
(18/P)岸本華乃(園田学園高)
(24/P)山本亜衣(小林西)
移籍入団選手:なし
※今年の島根三洋チームについて
レオパ軍団のドリームへの大量移籍、呂投手のマクセル加入がなかったら、確実に靜甲と激しい首位争いをしたであろうチームが島根三洋だ。
近年の戦力充実を裏付けるように3人の退団選手に2人の新加入選手と、主力は残留して迎える2010年だが、2008年に首位打者を取った中山の引退は若干の痛手か。
エースの古瀬に控えの古賀と、打撃力もある投手二人がそこそこしっかりしている。ただ野手が3人抜けたなか高卒投手二人のみの補強であることを考えると、古瀬と古賀の二人には投げるのはもちろん、打者としても大いに働いてもらわないと困るだろう。
<打撃も良い投手の古賀>
<島根三洋の大黒柱、古瀬“Yuria”>
【東芝北九州(アドバンスセクション)】
退団選手:なし
新人選手:2人
(1/P)實政咲紀(高川学園)
(5/IF)山本澪(佐賀女子)
移籍入団選手:なし
※今年の東芝北九州チームについて
島根三洋の項で、ドリームとマクセルの補強がなければ靜甲と島根三洋が強い、と述べたが、その条件で確実にダークホース的な存在になりそうだったのがこの東芝北九州だ。
退団選手なしで新加入が二人だけと、靜甲や島根三洋と同じように主力が変わらないのは最近の戦力充実を表している。特にチームの売りである打撃力は今年も健在で、今年からキャプテンを務める古賀香須美が2年連続で打率ベスト5入りと着実に強打者への道を進んでいる。一昨年ベスト10に4人が名を連ねたように、小柄ながら思い切りのいい笹田や、昨年調子が悪かった田中蘭などが数字をあげるとさらに面白い打線になる。
ただやっぱりここは投手である。もちろんエースの徳田葵も2年連続で防御率1点台と頑張ってはいるのだが、やはり上位2チームに入るには1点を切るような投球が求められる。打撃は心配のない東芝北九州、すべてはエースの徳田次第だろう。
<大鵬薬品の鈴木碧相手にホームランを放った古賀(上)と笹田(下)>
<とにかく今年の(も)東芝北九州は徳田次第>
【日立マクセル(ホープセクション)】
退団選手:5人
(3/RF)平野仁美(7)
(7/OF)松花エリカジェーン(2)
(12/C)栫裕未(3)
(22/C)藤原幸代(5)
(23/RF)亀本伊純(2)
新人選手:なし
復帰選手:3人
(9/C)中村祥子(スコアラー兼任)
(28/P)呂偉(北京222中学)
(30/C)小林良美(監督兼任)
※今年の日立マクセルについて
いろんな意味で一番びっくりしたのがこのチーム。
(1)主砲の藤原幸代捕手が引退、(2)次期主砲の栫裕未捕手も引退、(3)手薄になった捕手になんと小林監督と中村スコアラーが復帰して選手登録、と、捕手に関して三つも驚かされたうえ、エリカジェーンと地元京都の星・亀本選手が引退し、織機から移籍した平野仁美が沖縄に移住したりと、いろいろあった。
しかしなんと言っても最大の驚きは、“呂偉投手の復帰!”これに尽きる。この補強で靜甲と島根三洋以上にマクセルが俄然優勝候補筆頭になってきた。
ただ前回五輪があったとはいえ呂投手が参戦したのが後半からで、今年最初から登板してくるのかどうかがカギ。もしエースとして最初から活躍できれば、中国五輪代表監督のワン・リーホンさんが日通工時代に達成したシーズン防御率0.00の大記録を、1部と2部の違いはあるとはいえ達成するかもしれない。
しかしそれでもやはり攻撃面で藤原と栫の抜けた穴は大きい。チームの勝利に関しては、呂投手の成績以上に(良い成績を残すのは当たり前だし)、阿部環や加藤愛、高崎千恵といったベテラン選手がいかに点を取れるしぶとい打撃ができるか、田中涼子を要とした二遊間がどれだけしっかり守れるかにかかってくるのかも知れない。いくら投手が抑えても、0点ではいずれタイブレイカーで負けてしまうのだ。
<体を張ったプレーに長打力が魅力だったマクセルの元主砲・藤原>
(注)日立マクセルに関してはらいんばっくさんの100分の1の知識しかありませんが…(笑)
【東海理化(ホープセクション)】
退団選手:3人
(3/3B)小峰佳美(9)
(14/P)玉城美沙斗(2)
(1/LF)永井百合加(8)
新人選手:なし
移籍入団選手:なし
※今年の東海理化について
サードを守りマネージャーも兼任していた小峰佳美選手が引退した。靜甲にいた大矢留美(現ドリーム)や大鵬薬品の森田まゆ、東芝北九州の原田明香や日本精工の福本まどかのように、あくまで個人的印象なのだがなんとなく「そのチームを象徴する選手」というのがいて、川戸道友紀、蔦ゆみ子と並んで小峰はまさに“いかにも東海理化らしい選手”だった。それだけに引退は残念だが、美人選手だったので寿引退だろうか?(勝手な想像です)。ただ昨年から三塁には後継者の中田も育っており、戦力的には問題ないだろう。
1部の強豪チーム揃いの愛知県にあって唯一の2部チーム。ただ2部ながら他にも越智華奈子や萩原里美などいい野手が多いだけに、懸念はやっぱり投手だ。超スローボールを駆使し昨年はエース級の活躍をした新里あさみはいいとして、かつて主戦も努めた玉城美沙斗の抜けたあとを埋めるような投手が最低でも一人出てこないとリーグでは厳しい。
マクセルの補強で俄然厳しいセクションでの戦いとなったが、優勝争いをかき乱すような意外性のある戦いを期待したい。
しかしそれにしても、東海理化の福島県浪江高出身選手は、織機の八代東高出身選手並に顔面偏差値が高い。
<サードを守っていた小峰選手。今年もプレーを見たかった>
<一昨年はチーム1の打率を残した越智>
<“2部の露久保”、新里あさみ。気合いの雄叫びと超スローチェンジアップ。見ていて楽しい投手だ>