【日本リーグ2010_2011シーズンの引退・移籍・新加入選手~1部・その1(トヨタ自動車・日立ソフトウェア・ルネサス高崎・豊田自動織機)】
※表記は「(背番号/ポジション) 選手名 (在籍年数または出身校)」
※選手名鑑については協会ホームページでもアップされていますし今月号のソフトボールマガジンにも付録でついてきていますので正確にはそちらを参照ください。
※マガジンの名鑑は年々充実度が増してきてます。我が家では今月号は2冊買うのが定例。
【トヨタ自動車】
退団選手:1人
(8/1B)伊藤幸子(13年)
新人選手:3人
(8/OF)長崎望未(京都西山)
(11/P)中村友佳(星野)
(5/SS)鈴木鮎美(日出)
移籍入団選手:なし
※退団選手
全日本総合、日本リーグを制覇という最高のシーズンを締めくくるかのように、トヨタ自動車のみならず、日本のソフトボール界を支え続け日本代表主将も務めた「姉御」伊藤幸子が静かにユニフォームを脱いだ。2009年は総合、リーグともに優勝まで目前に迫りながらルネサスに奇跡の逆転負けを喫した。その悔しさが2010年の現役続行と、そして決勝トーナメントのルネサス戦での上野由岐子からの気迫のサヨナラヒットに繋がった原動力になったのだろう。熱烈なファンが多いことでも知られ、そのファン達がチームを支えてスタンドから声を枯らして応援していた。そのスタンドとグランドの一体感がトヨタ自動車の(特に地方開催での)試合の良さでもあったが、それもこれも伊藤幸子の存在あってこそだった。
全てのソフトボール関係者やファンから愛された伊藤幸子選手。本当にご苦労様。
※新加入選手
その偉大なるトヨタ自動車の背番号8を空白期間なしで埋めたのが将来的には日本代表の主軸になりそうな長崎望未。強豪京都西山高では1年時からレギュラーで全国制覇に貢献した逸材だ。
昨年の秋の東海オープンに参加していきなりホームランを放つと、春の熊野オープンでもホームランを打ちまくり、モノが違うところを見せつけている。いったいどれくらいの成績を残すのか、新生宇津木ジャパンに抜擢されることはあるのか、興味は尽きない。
他の二人、中村友佳も鈴木鮎美も高校時代から名の知られた選手なのだが、実力以上に注目されるのがそれぞれが現トヨタに属する選手の妹ということ。姉妹を集め始めていったいトヨタは何を企んでるのだろうか?まあ保護者を集めて懇親会でもやるときには経費は半分で済むことだけは確かだ(笑)
<北京五輪でオスターマンからセンター前ヒットを放った伊藤幸子>
<藤野遥香のユニフォームを借りて秋の東海オープンに出場した長崎望未>
【日立ソフトウェア】
退団選手:1人
(25/LF)馬渕智子(11年)
(6/2B)栗原志帆(5年)
(26/C)浅見美幸(4年)
(15/OF)袴田友美香(4年)
新人選手:5人
(5/SS)森田涼(須磨ノ浦女子→園田学園女子大)
(9/LF)田邊奈那(九州女子→環太平洋大)
(17/P)佐藤佑樹(厚木商)
(27/C)粟倉陽香(常葉学園菊川)
(28/IF)濱名真未(常葉学園菊川)
移籍入団選手:なし
※退団選手
打率4割3厘、ホームラン3本、打点17と全てにおいてリーグトップクラスの金メダリスト馬渕智子が突然、と言っていいほどの絶頂期にユニフォームを脱いだ。まだまだやれるとか外野がとやかく言えないような重い決断、馬渕なりの人生設計があったのだろう。とにかく一つだけ強調したいのが、日本が北京五輪で金メダルを獲得できた重要なポイントを一つだけあげろと言われたら、僕は迷わず、オーストラリア戦での馬渕のサヨナラヒットをあげる。あの奇跡的なヒットこそ、あそこに打球を運んで落とせる技術とパワーこそが、日本を金メダルに導いてくれたのだ。
5年目のセカンド栗原志帆、捕手の浅見美幸、外野手の袴田友美香もユニフォームを脱いだ。袴田は開幕節で織機のバークハートから打った二塁打が強く印象に残っている。
※新加入選手
森田涼、田邊奈那という即戦力の大学生が2人に将来性豊かな高校生3人というバランスのいい補強。特に2人の大学生はすぐにでもリーグで通用しそうな実力を備えている。
森田は大鵬薬品の森田まゆの妹。顔も似ているのだが姉とは正反対にヤンキー風なところがまるでない(笑)2010年にはシオノギ選手の中に一人混じって兵庫代表として新潟国体に出場し、ホームランも放った。
<北京五輪での決勝トーナメント豪州戦。11回裏の馬渕のタイムリーによる1点が日本を金メダルに導いた>
<兵庫県代表として新潟国体に出場した森田涼>
【ルネサスエレクトロニクス高崎】
退団選手:6人
(19/OF)奈良岡彩子(3)
(11/2B)城戸絵理沙(2)
新人選手:4人
(11/OF)森さやか(星野→東女体大)
(14/C)宇野有加里(木更津総合)
(26/IF)市口侑果(木更津総合)
(51/OF)小松美樹(須磨ノ浦女子)
移籍入団選手:なし
※退団選手
東女体大時代から実力が知られており、若い時の(貫禄が出る前の)国吉早乃花を見ているような感じで守備が上手くてスピードがあり個人的にはルネサスで一番応援していた城戸絵理沙が2年でユニフォームを脱いでしまった。1年目は期待されながらかなりの低打率だったが、2年目は2割近くにまで打率を上げていよいよ3年目は、と思っていただけに本当に残念だ。関友希央と外野の両翼を守ったときの打者の左右によるレフト←→ライトの頻繁な入替が、ある意味ルネサス名物でもあった。また違うチームで復帰して欲しいと心から願う
※新加入選手
ルネサスの新人選手に関しては森さやかを見た記憶があるくらいであまり詳しくはない。ただ須磨ノ浦女子出身の小松美樹は良い選手だという噂は耳にした。他の選手も一芸に秀でたいかにもルネサスらしい選手だろうと期待している。
<1年目から守備力を買われてレギュラークラスで活躍した城戸絵理沙>
【豊田自動織機】
退団選手:7人
(6/SS)松岡恵美(13)
(7/2B)菅野愛(6)
(19/P)江本奈穂(1+6)
(21/3B)矢野みなみ(4)→東芝北九州へ
(23/C)小森由香(6)
(42/C)ジェニー・トッピング(2)
(99/P)ケイティ・バークハート(2)
新人選手:4人
(7/SS)高坂香月(多治見西)
(18/P)北岡志帆(多治見西)
(8/P)キャット・オスターマン(テキサス州立大)
(23/C)メーガン・ウィリス(テキサス州立大)
移籍入団選手:なし
※退団選手
北京五輪での活躍がなかったことから一般のファンには印象が薄くなってしまったかも知れないが、やはりここ10年の日本の野手陣を、いや日本代表そのものを引っ張り続けてきたのは松岡(内藤)恵美だった。伝説的ショートでもある“世界の”安藤美佐子からレギュラーを奪い取り、シドニー五輪銀メダル獲得に貢献(シドニー時は代表のセカンドであったが、最終的にはショートの座を奪い取った)。その後は日本代表の内野の要としてそしてチームの主将としても活躍し、大怪我で北京五輪だけを棒に振ってしまうも復活し、そして31才で迎えた現役最後の年の2010年も日本代表主将として世界選手権とアジア大会で活躍した。これほど長く第一線で活躍し若い頃と変わらないプレーを見せ続けた選手もいないだろうし、そして何より彼女の良さはチームメイトからの絶大な信頼感と、そして守備打撃で見せる球際での神懸かり的なしぶとさ、勝負強さ。もうこんな選手は二度と現れないかもしれない。
長年の控えから昨年ようやくレギュラーを獲得し、今年さらに飛躍するかと期待された菅野愛もユニフォームを脱いだ。グラブ捌きが上手くバランス感覚の優れた守りは玄人好みするタイプで打つ方でも急激に伸びてきていたのだが。ただ元々頭の賢そうな選手。ソフトボールが終わった第二の人生でもきっと花を咲かせてくれるだろう。
金メダリストの江本奈穂も今年でユニフォームを脱いだが、彼女に関しては来年以降にまた復帰してくれると信じているのでここでの回顧は敢えて控えたい。
小森由香はとにかく可愛いことで全ソフトボールファンの間で有名だった選手で、ソフトボール選手だって(?)実は可愛い選手がいるんだ、というように古い先入観を変える多大な貢献を果たしたのではないだろうか。そして単にルックスが良いだけではなく小さな体ながらパンチ力があり、バッティングセンスが抜群で、しかも上野由岐子に強かった。前監督のカサレスさんなどルネサス戦で1番打者に起用したほどで、しかもその試合ではいきなり初回の打席でセンターフェンスにライナーでぶち当てた。とにかくチャンスにはめっぽう強く、常に何かを期待させてくれるファンとしてとても頼もしい打者だった。
矢野みなみは退団後ギリギリのタイミングだったようだが無事東芝北九州に移籍が決まった。
ケイティ・バークハート&ジェニー・トッピングの両外国人選手も揃って退団。長身で左投げの外国人投手でありながらコントロールと変化球を駆使して打ち取るバークハートと、左投げの捕手にして勝負強い打撃のトッピング。2年間だけであったが十分勝利に貢献してくれた良い選手たちだった。
※新加入選手
北岡志帆、高坂香月ともに日本代表に選ばれていた多治見西出身の選手。北岡は同世代の投手としては完成度的にトップクラスの投手で、高坂も守備が堅実でバッティングもしぶとく雰囲気を持った内野手。ともに次の世代の織機を長く支えてくれそうだ。
<日本代表として2010年のジャパンカップに出場した松岡恵美。今後も日本の精神的支柱であり続けるだろう>
<とにかく思い切りのいいフルスイングでチャンスにめっぽう強かった小森由香>