※一部訂正【2011年開幕節第1試合(1日目):靜甲 v.s. シオノギ~粘りのシオノギ、劇的サヨナラ】
※同点に追いつかれた7回の場面がyoutubeのtaroさんの動画により明らかになりました。若干事実誤認があったので訂正します(赤色部分)
全てに於いて好ゲームだった今年の開幕節。次の節まで2週間空くので1試合ずつゆっくり振り返って行きます。
とにかくリーグが始まりました。改めてソフトボールって面白い、というのを実感した二日間でした。
最高のプレーの数々と募金活動、選手達も関係者の方々もご苦労様でした。今年もよろしくお願いします。
【女子ソフトボール日本リーグ開幕節第1試合@ナゴヤドーム】
靜 甲 010 1000 0…2
シオノギ 000 0002 1…3
靜甲:鈴木、●河部-田中
シオノギ:○安福-橋元
※詳細は以下に(靜甲と大鵬薬品が関わると長くなり、そして内容が厳しくなります。愛するがゆえですのでご了承を、笑)
※テーブルスコアはここ←
【2回表:靜甲~1点】
この回先頭のキャプテン萩藤。2004年に1年間在籍したデンソー時代は高卒1年目ながら期待の打者として8打席に立ったがノーヒットで3三振。7年ぶりの1部復帰のその最初の打席で、しかも開幕試合の2011年のリーグ第一号ホームランを右中間に叩き込んだ。
<7年ぶり1部復帰の萩藤のリーグ初ヒットが2011年の第1号ホームランに>
【2回裏:シオノギ~0点】
先頭の4番宮がレフト前にヒットを放つとすかさず二盗。橋元の一塁ゴロで走者を三塁に進めると鹿出が四球を選んで再び二盗。さらに8番の新人三宅も歩いて二死満塁。ここで打席に立つのは高卒ルーキーの山根。絶好の反撃のチャンスではあったが、ここは鈴木麻美がセカンドゴロに打ち取ってピンチを脱した。
ボールが先行しても慌てずに粘り強く投げ抜く鈴木らしいピッチングでこの後も打たせながら抑えていく。
【5回表:靜甲~1点】
萩藤が7年ぶりなら白井奈は2008年以来3年ぶりの1部復帰で、かつ3年ぶりの現役復帰。しかしさすがにセンスは抜群の選手。ブランクを感じさせないようなバッティングで軽くバットに乗せて運ぶようにレフトに放り込んだ。しかも2001年の大徳時代と、2003年~2008年の7年間で打てなかったホームランをこの復帰第1戦の開幕戦で放つのがすごい。
好投手安福からなかなかヒットを放てない靜甲だが、この頼りになる二人の打者の一発で差を2点と広げる。
<復帰した“お姉ちゃん”、白井奈保美がレオパレス時代にもなかったホームラン>
【6回裏:シオノギ~0点】
シオノギ最大のチャンスだったのがこの回。しかし靜甲のセンター植松の二つのビッグプレーが鈴木を、靜甲を救う。
まずは先頭の杉本が放った大きな当たり。今まで130打席以上に立ち長打は二塁打が1本だけの杉本の最高の当たりだったが、靜甲が誇る名手植松が一直線にバックしてフェンス際に、そしてそこから最高のタイミングでジャンプ!完全にホームランの当たりを執念でもぎ取った。
1点を取り損ねたシオノギはしかしさらに鈴木を攻める。二死から橋元が四球で出ると鹿出がヒットで繋いで二死一二塁。ここで5回の守りから紺野に替わってセカンドに入っている坪田が詰まりながらもセンターの前に落とす。この打球で二塁から代走の椎木が本塁を狙うがここでも阻止したのが植松。完璧なバックホームで俊足椎木をアウトにし、この回一人で2点を食い止めた。
<杉本のホームランをもぎ取った植松>
<坪田のヒットでホームを突いた椎木も植松の好返球でタッチアウト>
【7回裏:シオノギ~2点】
1部復帰を果たした二人のベテランのホームランに、植松の二度のビッグプレー、そしてエース鈴木の粘りのピッチングと、どう考えても全てが靜甲のための試合だった。しかし、靜甲の1部復帰開幕戦勝利という夢を打ち砕いたのが、開幕スタメンに抜擢されたシオノギの高卒ルーキー山根すずかだった。そして靜甲の方にも最後の最後に二部あがりのチームの甘さが出る。
先頭の代打上田を打ち取り1アウトで迎えたのが9番の山根。2打席目にショート内野安打を打たれているが打ち取った当たりであり、正直バッテリーの側に油断があったのではないか。やはりここは宮や橋元と対戦するくらいの慎重さが欲しかったが、目の前まで来た勝利に対して先を急ぐのは仕方がなかったか。山根に完璧に合わされた打球がレフトの頭上へ。萩藤も前進気味に守っていたため間に合わず、エンタイトルツーベースとなる。さらに藤田にもヒットを打たれ一三塁からすかさず盗塁され二三塁に。
一打同点の場面でバッターは陽山。気負いまくった陽山は鈴木のスピードを殺した変化球にタイミングが合わず一塁側への引っ張りまくるファールの連続。とうとう振った後のバットの先に投球が当たってかろうじてファールになったものの、この打球が陽山の顔面を直撃(鼻の骨が折れたらしい)。ここで代打を送るか、あるいはこの打球が顔に当たっていなかったらその後の展開も変わったかも知れない。
粘りに粘り、鼻の骨折のまま打席に入った陽山がここで執念のセンター前ヒットを放つ。三塁から山根が還り、打った陽山も二塁を陥れ、一気に逆転サヨナラの場面を作る。
ここで3番杉本が打席に入るが、打球が一塁ファールゾーンのフェンス際ギリギリの所に上がる。この完全に打ち取った打球が難しい位置に上がったのも、そしてこれをファーストの計盛が好捕してしまったことも、そしてセカンドランナーの陽山が鼻骨骨折して意識が朦朧としていたのも、全てが靜甲に不利に働いた。
一死2、3塁の場面で計盛がファールフライを好捕して振り返ると、なんとセカンドランナーの陽山が思い切り飛び出してほとんど三塁ベースに着くくらいの位置に。骨折で頭がボーッとしていたとしか思えないボーンヘッド。
<ファールフライを捕った計盛が振り返ると二走の陽山がとんでもない場所に…これが靜甲にとって不運の始まり>
しかしここから靜甲にも長年二部チームだった甘さが出る。
計盛がそれに気づいてセカンドに入ったショート松井に送球。松井がそのままセカンドベースを踏めばアウトで試合終了だったのだが、計盛が二塁に投げた瞬間にサードから藤田がタッチアップのスタートをしたのが目に入り、思わずホームに送球してしまう。タイミングはアウトだったが交錯してボールを落としてセーフに。痛すぎる判断ミスで同点に追いつかれてしまう。
<キャプテン藤田が一瞬の隙を突いて三塁から好走塁でホームへ。激突しながらもベースに触れる>
【8回表:靜甲~0点】
タイブレイカーで靜甲は二走に尾方、一番の植松が送って一死三塁となれば、やはりエンドランで1点取りに来るのが靜甲のお家芸であり得意とするところなのだが、その靜甲にあって白井加奈絵と原田真由美にだけは、ともに好打者でありながらどうにもエンドランが成功するイメージが湧かない。打球を転がそうとするあまり極端なダウンスイングをしてしまい空振りしてしまう印象だし、やはり左打者では成功しづらいか。ここでもその最悪の結果が出てしまった。尾方がスタートするも白井が空振りしては万事休す。一気にチャンスが潰えてしまった。
<三走尾方と白井妹との間のエンドランは白井が空振りして万事休す>
【8回裏:シオノギ~1点】
こうなればもう完全にシオノギペース。7回裏同点にされた後からマウンドに上がったもう一人の靜甲のエース河部でもシオノギの勢いを止められない。
暴投で三塁とされながらも、二死までこぎつけたが、三宅に死球を与え迎えたのが山根。詰まらせて打ち取った当たりも新人山根の勢いと幸運がまさり、ライトの白井妹がグラブを差し出すわずか手前にポトリと落ちてサヨナラ。
互いに大事な対戦相手との試合だったが、粘りのシオノギが貴重な貴重な勝ち星をあげた。
<ルーキー山根が振り切った打球はライトの前に>
<新人山根の3安打目がサヨナラヒットとなった>
【1部復帰戦となった靜甲について】
十中八九手にしていた勝ちを判断ミスで落とすという余りにも痛すぎる敗戦で試合後はしばし呆然としてしまったのだが、それでも二部の雄としてのチームの意地を見せられたと思うし、大勢集まったファンにも「靜甲なかなかやるじゃないか」と思わせるものを見せてくれたと思う。特に萩藤と白井のホームラン、それに何より植松のビッグプレーには魅了されたファンも多かったはずだ。
しかし7回裏の陽山の飛び出しをアウトに出来なかったプレーにはファンとして「何やっとんねん!もう一回二部でやり直してこい!」なんて愛するがあまりに怒り心頭で頭の血管が切れそうだった。しかし冷静に考えると焦って仕方がない場面だったのかも知れない。普通に考えたらあんなファールフライでスタートして飛び出している走者はいない。あんなあり得ない状況を目の当たりにしたら誰だってパニックを起こすだろう(笑)
それにライバルと目されるシオノギに延長タイブレイカー1点差負け。負ける中では最大限許容範囲でもある。この2週間の間に、いったい何が足らなくて負けたのかを早急に洗い直して心機一転、1節以降に臨んで欲しい。
それでも敗戦投手にはなったが1部の舞台で見るのを待ちわびた河部の投球は素晴らしかった。1点もやれない場面、外野フライも打たせられない場面こそ河部の真骨頂。さらに気合いが入り、とにかく打者の内側を攻めまくって詰まらせる。8回裏の1点もやれない場面では鹿出、坪田、山根と三人とも計算通りに詰まらせて浅いフライに打ち取ったが、最後の山根の当たりがポテンヒットになってしまった。その山根の前の打者の三宅にぶつけてしまったのが流れ的に惜しまれるが、それも攻めに行った結果なので悔いはないだろう。
そして鈴木麻美の粘りの投球も素晴らしかった。遅い球を有効に使えるようになり、打たれながらも試合を作れる投手になった。
ミスを厳しく糾弾しながらも最後にはやっぱり甘い。これもファンだからこそゆえ(笑)
【ビッグ3、プラス1】
今年の日本リーグでは高卒ルーキーである長崎望未(トヨタ)、高坂香月(織機)、山城みな(誘電)の三人の野手を「新人ビッグ3」と書いたが、山根すずかも入れて「4」に訂正しなければいけない。さらに松木瑛里(デンソー)も入れて5になることもあるかも知れないが。
良い選手と名前は聞いていたのだが、ただ直前のオープン戦などにもほとんど出場しておらずまだまだ出られる状態ではないのかと思っていたらリーグの開幕戦で抜擢された上いきなりの3安打。しかも同点に追いつくきっかけの二塁打とサヨナラヒットというとんでもない大活躍。今後シオノギの中心選手になっていくであろうルーキーの華々しいデビューを見られてこれは自慢できそうだ。
それから最後になったが、2発打たれたがやっぱりそれでもしっかり8回を投げきった安福の好投は何より大きかった。
※訂正前の間違えた文章※
「セカンドベースに野手が入るのを待って送球しアウトにすればそれで試合が終わっていたのだが、計盛が慌ててすぐにセカンドの尾方に送球してしまう。それでも尾方が先にセカンドベースを踏みに行けばそこで試合が終わっていたはずだ。
しかし計盛が投げた瞬間に、三塁走者の藤田が最高のタイミングでスタート。しかし写真を見るとセカンドの尾方かショートの松井がホームを指しているようにも見えるので、もしかして藤田はこのフライでタッチアップのスタートを切っていたのかも知れない。いつか全体の映像で確かめたい。どちらにせよ、完全に飛び出した二走陽山をアウトにするために二塁に送球したにもかかわらず、1点もやりたくない尾方が計盛の送球を受けてバックホームしてしまう。しかしこれが間に合わず、三走の藤田が捕手田中にぶつかりながらもホームベースに触れて、粘りのシオノギが最終回とうとう同点に追いついた。」