【内野手(打率順)】
<カナダカップ>
古田真輝(豊田自動織機)
☆打率0.355,34打席,31打数,3得点,11安打,3二塁打,1三塁打,0本塁打,8打点,3四死球,4三振,0犠打,1失策
蔭山遥香(ルネサス高崎)
☆打率0.318,28打席,22打数,5得点, 7安打,1二塁打,0三塁打,0本塁打,5打点,4四死球,7三振,1犠打,2失策
山本優(ルネサス高崎)
☆打率0.290,36打席,31打数,5得点, 9安打,1二塁打,1三塁打,1本塁打,5打点,3四死球,5三振,1犠打,0失策
坂元令奈(トヨタ自動車)
☆打率0.280,25打席,25打数,1得点, 7安打,1二塁打,0三塁打,0本塁打,3打点,0四死球,3三振,1犠打,1失策
林佑季(日立ソフトウェア)
☆打率0.269,26打席,26打数,7得点, 7安打,4二塁打,1三塁打,0本塁打,3打点,0四死球,3三振,0犠打,0失策
大久保美紗(ルネサス高崎)
☆打率0.231,29打席,26打数,0得点, 6安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,2打点,1四死球,2三振,8犠打,0失策
松本尚子(デンソー)
☆打率0.167,19打席,18打数,3得点, 3安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,3打点,1四死球,1三振,0犠打,0失策
<USAカップ>
蔭山遥香(ルネサス高崎)
☆打率0.538,15打席,13打数, 5得点,7安打,0二塁打,0三塁打,1本塁打,3打点,0四死球,1三振,2犠打,0失策
林佑季(日立ソフトウェア)
☆打率0.385,15打席,13打数, 4得点,5安打,2二塁打,0三塁打,0本塁打,3打点,1四死球,1三振,0犠打,0失策
山本優(ルネサス高崎)
☆打率0.368,22打席,19打数,11得点,7安打,0二塁打,1三塁打,2本塁打,5打点,3四死球,2三振,0犠打,0失策
溝江香澄(日立ソフトウェア)
☆打率0.222, 9打席, 9打数, 0得点,2安打,1二塁打,1三塁打,0本塁打,2打点,0四死球,5三振,0犠打,0失策
大久保美紗(ルネサス高崎)
☆打率0.167,15打席,12打数, 3得点,2安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,1打点,1四死球,2三振,2犠打,0失策
古田真輝(豊田自動織機)
☆打率0.143,15打席,14打数, 2得点,2安打,1二塁打,0三塁打,0本塁打,1打点,1四死球,4三振,0犠打,0失策
鈴木美加(トヨタ自動車)
☆打率0.063,16打席,16打数, 3得点,1安打,0二塁打,0三塁打,0本塁打,0打点,0四死球,3三振,0犠打,0失策
【コメント】
両大会を通じてショートのレギュラーに固定だったのがルネサスの蔭山遥香。良い選手なのだがまさかジャパンのショートに固定なんて悪い冗談かと最初は目を疑ったのだが、今回は十分及第点の成績は残した。ただもちろんショートとしては最初から蔭山にしかチャンスが与えられていないわけでこの辺の疑問は残る。USAカップは打率5割以上と数字上はとても良かったが、そもそも打数も少ないし放った7安打のうち打球が走者に当たったり、普通のゴロを相手ショートがナメクジ並の速さで出てきて内野安打になったりポテンヒットもあったりでかなりの幸運でもあった。
日本のショートと言えばそれこそ内藤(松岡)恵美、三科真澄、西山麗、佐藤理恵など、キラ星のごときスター選手がひしめいていたのに、蔭山固定が許されるくらい他に人材はいないのか、と言えば実はそうで(松本しっかりしろ!)、その一世代上に名ショートが大勢いた反動か今の世代にはサードに人材が揃っている。今回選ばれた選手だけを見ても古田真輝、坂元令奈、山本優、林佑季など誰に4番を任せてもいいような選手が揃っている。特に今回ほぼ初めてフル代表で活躍した山本、林などはもはや打線には不可欠な選手になった。
成績的にはいつもパッとしないが勝負強さではピカイチの坂元などは元々戸田中時代はショートで活躍していた選手なのでできれば代表だけでもショートに戻したいくらいだ。
両大会通じて打率2割前後だった大久保美紗だが、大久保の良さは数字には表れない部分が大きい。個人的には非常に好きな選手で(リーグではとても嫌いな相手選手でもあるのだが、笑)、カナダカップでも8犠打と持ち味を存分に発揮したし、彼女が2番打者として繋いでくれるのは日本のような打線では非常に大きな武器になる。ただ一つだけ残念なのが守備位置がファーストということ。上に述べたように人材が余っているサードのうちの一人をファーストに回したり、あるいは今回はなぜか招集されなかったが伊藤綾香、小柳薫は本来ならジャパンの4番に据えてもいいような一塁手である。そういう意味でも大久保のような繋ぎの打者をファーストに置くのは非常にもったいない気もする。大久保がもしショートあるいはせめてセカンドでも守ってくれると完璧にピースが埋まるのだが…。
セカンドに関しては北京五輪での三科の役目をそのまま引き継ぐべき存在として鈴木美加の成長に期待する部分が大きい(五輪での成績まで引き継ぐ必要はないがw)。ただカナダカップ前に左肩を脱臼した影響で急遽古田に変更になったり(そのせいで坂元がセカンドを守った)その怪我の影響かUSAカップではさっぱりのバッティングだったが、ただこの将来性豊かな大型セカンドには育ってもらわないと困るので、本格的代表デビューは秋のアジア大会からということでUSAカップの結果には目をつぶってあげることにしたい。
さてそんなわけで全体的に総括すると大久保、山本、蔭山とルネサスの3選手がほぼスタメン固定で古田もファーストやライトを守ったり坂元がセカンドだったりと他のチームの選手はルネサスの選手のサポートをするような使われ方だったのは事実だ。この点が打撃結果の数字をそのまま評価しづらい大きな理由でもある。
本来なら日本の鉄壁内野守備の伝統を受け継ぐ第一人者の松本尚子がもう少し守る方でも打つ方でも活躍し、繋ぎの部分でも大久保並の活躍が出来ればショートに松本を入れファーストに強打者を一人置けるわけでベストな布陣が組めるわけだが、ただ上述したように松本にしろ溝江香澄にしろ大会を通じてほとんどスペア扱いで落ち着いて試合に出られるチャンスも与えられなかったので可哀想な部分も大きい。まあそれにしても松本にはリーグも含めて「もっとしっかり打って!」とは言いたくなるが。今回初代表に選ばれたセカンドの今泉早智のような職人的好打者も代表でどういう活躍をするのかとても楽しみな選手だったが、代表合宿のみの招集で一度も大会に連れて行かないというなんとも可哀想な扱いで残念だ。
さて代表選手についてはこういうところだがやはり個人的にとてももったいない気がしているのが日立マクセルのショート小野奈津子とトヨタ自動車のショート渥美万奈。どこでも守れてあんなに思い切りのいいバッティングをする小野など代表に名を連ねてもおかしくないとことある毎にプッシュしているのだが一向にその気配がない。渥美などは本来鈴木とジャパンの二遊間を組んでもおかしくない逸材なのだが、練習試合からポロポロ繰り返してるようではアカン。もちろん若手ショートもぽつぽつ出てきたし、代表のショートに関しては正直もっと高いレベルでの定位置争いが行われることを期待したい。