【2011年⽇本リーグ⼊れ替え戦前特集〜「⼤鵬薬品 vs ペヤン グ」】

 さて、いよいよ今週の木曜日、金曜日に伊豆天城ドームにて日本リーグの入れ替え戦が行われる。
 1部からは、上位チームとも互角に戦いルネサスにも勝利しながら勝ち数が伸びず11位に甘んじてしまった大鵬薬品が、2部からは、終盤になって調子を落とし不運な誤審にも見舞われた伊予銀行ではなく、常に安定した成績を残してきたペヤングが出場する。

 実力的に上の大鵬薬品優位は変わらないが、ベテラン選手が多く試合運びもうまいペヤングにも十分にチャンスはあり、どちらが勝ち抜くのかは予想できない。おそらく、よほどのことがない限り大差はつかず、かなりの確率で3戦目にまでもつれ込むのではないかと思われる。
 果たして、実力はありながら勝負弱い大鵬が徳俵で踏ん張り、1部に残留して来年はいよいよ飛躍の年とできるか。はたまたお湯を注いで3年目、ペヤングソース焼きそばのできあがり♪となって1部に新風を吹き込むことができるか、とにかく注目度抜群の今年の入れ替え戦なのだ。



【大鵬薬品の紹介~個々の選手の潜在能力は素晴らしいが、勝負弱さを克服できるか】

 昨年防御率0点台で新人賞をとり、将来日本代表選手にもなれるような逸材投手・井俣茉莉に、昨年打率4位の1部4割打者・中山亜希子、今年打率8位に2位の4本塁打、そしてなにより抜群に勝負強いキャプテン佐々木瞳と、大鵬にはリーグを代表する選手が揃っている。とくに佐々木は右打者では今年リーグナンバー1の活躍で、中山、佐々木の3番4番はリーグでも1番だと、少々の贔屓目込みながらも、かなり本気でそう思っている。
 さらに1番打者はアボットからホームランも放った佐藤光紗で、2番は決勝トーナメント常連の織機でもレギュラーだった名手酒井かおり、さらに1年目の才能豊かな千原香奈や大村英利佳に、技ありの打撃をする森田まゆや上釜恵、さらに上野からも2安打した売り出し中の稲垣ゆみこに、パンチ力抜群で少ない打席ながら2本塁打の大砲鷲野留美など、打線は非常に強力だ。とくに長打力には自信があり、昨年も多かったが今年もチーム本塁打数は12本と、あのソフトウェアと並んで全体の3位なのである。

 であるにも係わらず、4勝止まりなのだ。なぜなのか?それがわかれば、誰も苦労しない(笑)

 投手力では井俣がやや昨年より成績が落ちたとはいえ、小澤芙美子と梅津佳奈子の二人も成長してきたので投手力の問題ではない。何より強豪チームとの戦績である。負けたとはいえ、前半の強いトヨタ相手に0-2、ソフトウェアに対しても6回までリードていて5-7、デンソーにも5-6、上野先発のルネサス相手にも3-5、後半戦の織機戦は大雨の影響で逆転負けしたが6回まで4-0でリード、そしてとうとう後半戦ではルネサス相手に4-0勝利と、上位陣すべてと少なくとも一度は互角の戦いをしているのだ。
 それほど力のあるチームでありながら、実は下位を争ったシオノギとも2-3、3-2、靜甲とも3-1、2-3と、どんなチームが相手になっても互角の勝負をしてしまうのである。
 このチームの課題はそのあたりにある。なんとなく気が優しいというか控えめな選手が多いというのか、打線が爆発して大量点で圧勝という試合がどんな相手にもほとんどないのだ。つい相手に合わせてしまう気の優しさ、格下にも負けてしまう勝負弱さ、そういうものはなんとしてでも克服していかなければならない。

 さてついつい応援しているチームに対しては愚痴が出るのでこの辺にして、最後は個々の選手に目を向けてみよう。
 何度もいうがこのチームは中山、佐々木の3番4番が素晴らしいのでそこでどう点に繋げられるかだが、勝負を避けられた場合である。しかしここにきて心強いのが、その後ろの5番を打つ千原が終盤に来てグッと調子を上げてきたこと。9節でサヨナラ犠飛を放つと、10節でもヒットを重ねホームランも放った。6番の稲垣も安定している。下位の上釜、増井、森田も1試合に1本は打てるくらいの調子を維持しているし、打線は十分機能している。
 とにかく自信を持って思い切って自分のスイングさえすれば、きっと結果はついてくる!

【ペヤングの紹介~チームは若いが選手たちは経験豊富!】
 2009年に創部し、2010年2部リーグ参戦と、まだお湯をかけてふたをした状態のペヤングだが、日立高崎で現役時代大活躍し、その後はパナソニック電工津でも監督をしていた田上美和さんが監督を引き受け選手を集めたことから、実に経験豊富な選手が揃っている。
 菊池沙樹は元湘南ベルマーレで活躍した内野手で、同じ湘南ベルマーレ出身には丹野朝香もいる。売り出し中の強打者岩本典子もスタートは2部の大和電機で、これは有名だが土谷祐美子はルネサスでもレギュラークラスで活躍したこともある好選手だ。秋山磨貴子は昨年1年間は戸田中央病院に在籍し今年自らペヤングの門を叩いた三塁手で、平子智恵美などはNECアクセステクニカで7年プレー後に鈴鹿国際大学に進学して卒業、今年再び2部リーグに戻ってきた波乱万丈の人生だ。蛯名沙季は1年目だけソニー埼玉に所属し廃部後に松下電工津に移籍、再び廃部を経験してペヤングに移ってきた苦労人で、同じ電工津からの移籍としては正捕手の村中梢がおり、そして絶対的なエースであり防御率セクション1位の小長井美希も同じく電工津からの移籍組だ。
 波乱万丈と言えばこのエース小長井は最たるもので、2004年に1部初昇格したホンダ時代はエース級の活躍で、第8節では、上野がリリーフしたルネサス相手に1-0の完封勝利もあげている。翌2005年に旅亭紅葉・甲賀医専に移籍するとそこでも2部防御率1位。紅葉がリーグから退いたことから2007年に松下電工津に移籍。電工津が廃部となる1年前にチームを離れ地元静岡に帰ると、2009年には強豪クラブチームであるCLUB JAPANに所属し中日本総合女子大会では完全試合も達成した。そして再びペヤングで日本リーグに復帰すると、昨年、今年と2年連続でチームを2部プレーオフに進出させる原動力となるなど、実績は申し分ない。そのクラブ時代に中京学院大相手に達成した完全試合の内訳の「三振2、内野ゴロ19」という内容を見れば、この小長井がどういう投手かというのも非常によくわかる。
 そんな紆余曲折のありすぎる選手たちのなかで、今回最も注目したいのが中村藍子だ。彼女は今回戦う大鵬薬品の元選手。2005年シーズン限りで引退後、海外に渡って勉強していたが帰国後再びソフトボールの世界に身を投じてペヤングに入部。そして何の因果か今回古巣と入れ替え戦で戦うことになってしまった。ただ今現在の大鵬で一番長くやっている中山と森田でさえ2007年の入部だから、2005年引退の中村と接点のある選手はいない。しかし逆にいえばもっと古い時代の大鵬を知っている選手でもあり、その選手が生まれ変わった若い大鵬の選手たちとどう戦うのか、非常に興味深い。
(しかしこれだけの経験をして集まってきた選手たちにも、なんとか1部の舞台を踏ませてあげたい気にもなってしまう)

 さてそのように、歴史の浅いチームながらベテランが多いペヤングにおいて、ペヤングから実業団選手をスタートさせた若手選手もようやく台頭してきた。その筆頭が小長井以外の4投手である小澤麻美、深尾愛璃、背戸あゆみ、菊池遥と、チーム1の打率を残した野手の大塚枝里香である。とくに若い4投手についてはシーズンを通してほぼ均等にチャンスを与えられ、終盤にきて菊池が大和電機戦で完封したり、小澤がプレーオフ決勝で戸田中相手に1失点完投したりと、結果も残すようになってきた。2日で3試合をこなす短期決戦において多くの投手を使えるのもペヤングの強みだ。この若い投手たちがどんな投球をするのかにも、今回大いに注目したい。

(注:間接的な情報に基づいてますので間違いがあるかもしれません。あったらコッソリ訂正します)



【これまでの対戦成績から】

 以上で両チームの紹介を終えるが、次にお互いのチームの今までの対戦成績を見てみたい。
 とは言っても2009年創部と歴史の浅いペヤングゆえ、大鵬薬品と公式戦で対戦したことは1度もない(はずだ)。
 練習試合等でもほとんどないはずで、自分が知る限りにおいては過去に対戦したのは今年の夏のオープン戦である「奥多野交流戦」で一度だけである(この情報については「サイタマンさんのblog」を参照させていただいた)。
 結果は、
 「大鵬1-0ペヤング」
 と、いかにも大鵬らしい接戦で勝利している。

 ちなみにその大会には日立マクセルと靜甲(静岡選抜)も出ていたので、それらのチームの対戦結果も見てみよう。
 「マクセル2-1大鵬薬品」
 「静岡選抜3-1大鵬薬品」
 「静岡選抜3-3マクセル」
 「静岡選抜1-5ペヤング」
 もちろん練習試合ゆえに勝敗は問題にならないが、この1部3チームと2部のペヤングの試合結果を見ても、ペヤングがいかにしぶとい試合をし、互角に戦えるチームかというのがよくわかる。

 その他の両チームの接点としては、直接対決はないが全日本総合選手権がある。ペヤングが参戦した2009年以降の両チームの結果を見てみよう。
 実は非常に興味深い共通点がある。

<全日本総合女子選手権における過去3年間の両チームの試合結果>
<ペヤング>
 「9-0東芝北九州」(2011年)
 「0-1日立マクセル」(2011年)
 「2-3シオノギ」(2010年)
 「1-4園田」(2009年)

<大鵬薬品>
 「0-5大和電機」(2011年)
 「1-0園田」(2010年)
 「2-3シオノギ」(2010年)
 「0-7織機」(2009年)

 この短い3年間であるにも関わらず、ともに園田女子大、シオノギ製薬と兵庫勢の2チームと対戦しており、しかもシオノギには同じ2010年に互いに「2対3」で敗戦している。
 なんとも因縁めいた互いの成績。
 入れ替え戦本戦も、本当にどう転ぶか全く予想だにできない…。



【果たして、大鵬薬品は1部に残留できるか】

 さて蛇足になるがやっぱり最後はファン目線で語らせてもらいたい。
 果たして、大鵬薬品は1部に残留できるのか。非常に心配でもあり、かつ、入れ替え戦勝利を味わえるのも楽しみにもしている。
 心配の最大の理由は、大鵬には緊張すると異常にテンパってしまう選手が多く心配で仕方がないこと。誰とは言わないが、まあ梅津とか、佳奈子とか。あと佐藤光紗とかも心配だし、増井がボールすっぽ抜かせて酒井にまた怒られるんではないかというのも心配だ。
 だから実名あげるなっつーの余計緊張するんだから!(笑)
 しかしもう僕は腹をくくった。靜甲も2部だし、これで大鵬もってなったら、来年の半分は2部行脚すりゃいいや。
 1部でやろうが2部でやろうが、大鵬のソフトボールに変わりはない。どこまでも(かどうかはお金次第だけど)僕は付いていく。ファンには変わりはない。だからまあせいぜい気楽にやって、絶対に1部に残留してくれ。2部落ちは許さん!(どっちやねん)。

<頼んだぞ中山!>

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