先週に引き続き愛知県一般女子選手権の2日目が今日行われた。
前回の記事でも書いたが、これは愛知県ソフトボール協会が主催するれっきとした「公式戦」であり、当然のことながらオフィシャルルールに則って運営されることが大前提の大会である。その公式戦において一つ揉めた問題があった。
【問題点】
先週から個人的にもちょっとおかしいぞ、とは思っていたのだが、その「公式戦」にトヨタ自動車チームが2週にわたりなんと「練習用ユニフォーム」で参加するという前代未聞の暴挙。監督に至ってはユニフォームすら着ていないジャージ姿。アボットにいたってはスパイクすら履いてないアップシューズ。要するにユニフォームバラバラ。よくこれで公式戦に出る気になったなと、逆に感心してしまうほど。
最初は淡々と試合が進んでいたのだが、自分を含め見ていた観客の多くがその問題点に気づいたキッカケが織機の監督シュナイダーさんの抗議である。
まず織機の三塁コーチの松岡がウィンドブレイカーを着ていたら、大会本部席くらいから大きな声で「ウィンドブレイカーを脱がせろ」というようなクレームが入った。シュナイダー監督が理由を聞くと球審が「番号が見えないからだ」という返答で、それに対して「いや、そもそもトヨタ自動車は体の前面に番号のない練習用ユニフォームで参加しているじゃないか。オフィシャルルール違反なのに、なんでそれがよくてウィンドブレイカーがダメなんだ?」と反問したところ、球審が本部席に確認し「練習用ユニフォームは許可した」という返答だったように思う。
大会本部や球審が論理的に支離滅裂なのはまあ置いておいて、話しを先に進める。
【そもそもはトヨタ自動車がおかしい】
やっぱりトヨタ自動車側に大きな問題があると思う。もちろんトヨタ自動車としては「大会委員長が許可をしたから」という言い分なのかも知れないし、実際に事前に許可もとったのだろう。しかしハッキリいってそういうレベルの問題じゃない。そもそも公式戦に当たって「練習用ユニフォームで出るけどいいか」なんて許可を求めること自体頭がどうかしている。もちろん、織機もデンソーも東海理化も、佐川急便中部も大学生も、他のチームはみんなオフィシャルルールに沿った正式な公式戦用ユニフォームを着ていた。
そんな中でトヨタ自動車だけが練習用ユニフォームだった。もちろん何らかの理由で新ユニフォームが間に合わなかったというような可能性もあるが、去年のユニフォームもあるんだし、そもそも公式戦に合わせて用意しなければいけないもの。どういう理由であれ1ミリの言い訳もできない。
個人的に思うが、トヨタはあらゆる意味に於いてそういう横紙破りみたいなことをしてはいけないチームなのだ。
トヨタ自動車と言えばソフトボール界の強豪、どころか、前人未踏の三連覇を達成したような史上最強クラスのチーム。そのチームが公式戦に対して堂々と練習用ユニフォームで参加すること自体が思い上がっているとしか言いようがない。来週行われるトヨタカップはオープン戦でありながら1部2部の12チームに台湾と中国からも参加する立派な大会。それに比べたら大学生や2部以下のチームが半分以上の愛知県一般女子なんて「うちからしたら練習試合以下だ」とでも言いたいのかもしれないけど、それはあかん。
トヨタ自動車のように強ければ強いチームほど、むしろ模本、手本となる行動をしないといけないのに、逆に強くなりすぎて勘違いしてしまったのだろうか。こんなチームじゃないはずなんだが。
そういうやりたい放題は群馬県の(太陽誘電ではない方の)強豪チームのお家芸で、トヨタ自動車はそうではない品行方正な強豪チームになって欲しかったのだが、これじゃあ似たようなチームが西にもう一つできたのと同じことだ。
そりゃもちろん、日本代表を私物化しているようなチームに比べたら愛知県内の公式戦でのユニフォーム違反など微々たるものかも知れない。ただこういう小さなおごりが将来日本ソフトボール界の大きな癌になりかねない。正直こんなことやってたら他のチームや関係者から嫌われてしまうかも知れないし、たとえ嫌われないまでも尊敬を受けることはなくなるだろう。
日本リーグ4連覇も夢ではない強さはあるが、横綱になれるような品格はどうやら欠如してしまったようだ。トヨタ自動車には猛省を促したい。
<しかし16年続く公式戦の愛知県一般女子選手権に、よーこんな練習用ユニフォームで出る気になったなと…、しかもよーこの格好で優勝の表彰を受ける気になったなと(笑)。自分なら恥ずかしくて辞退する。キャプテンの渡邉は何も思わなかったのだろうか?>
【でも根本的にはやっぱり協会、大会実行委員が悪い】
その後他の試合を見ている時に、愛知県の協会の方が審判の方と「トヨタは練習用ユニフォームで参加していた。相手に失礼と思わないのか?恥だとは思わないのか?監督なんかユニフォームすら着ていなかったぞ」と怒って話しているのを聞いたが、個人的には正直それもどうかと思った。
そもそも主催している愛知県協会(担当は豊田支部か?)、大会委員長が許可しているのが大きな間違いで、最初から不戦敗扱いにしてやればいいだけの話し。或いは近くにクラブハウスがあるんだから、すぐにでも公式戦用ユニフォームを取りに行かせ、到着次第着替えさせるとかすればいい話し(もちろん相手に了承をとった上で)。というか先週も練習用ユニフォームで大学生と試合していたのだから、最悪でもそこで注意して今週はちゃんとルールに適合したユニフォームを着させるべきなのだ。
何に遠慮してるのかわからないが、正式なユニフォームを着させる、ユニフォームを揃えさせる、なんていうのはそれこそルールの根幹に係わるような問題。そこを徹底させてもらわないとそもそも大会自体が成り立たない。
こんな感じでなあなあで続けていくくらいなら、もうこんな大会なんか止めてしまえ。
【審判にも問題点が】
そう、ルールの徹底で言うともう一つ疑問がある。
先週、豊田自動織機の外野手が守備についたとき、サングラスを帽子の上に乗せていたことに対し「帽子の上にサングラスを乗せるな。かけないのならベンチに戻せ」と審判が注意をしてサングラスをわざわざベンチに戻させていた。
織機ベンチからの質問に対して審判が「サングラスはかけるならいいが、帽子の上に乗せれば“装飾品”にあたる。ルールブックでは装飾品は禁止されている。ちゃんと読みなさい!」とかなり激しい口調で返答していた。そもそも個人的にはその「乗せれば“装飾品”」という解釈自体がどうかと思うが、まあそれはいい。
問題なのは、オフィシャルルールブック上そういう解釈が出来るのなら、全体的に統一してもらわなければ困る、ということ。
今日の試合、トヨタのレフトの小野選手とライトの長崎選手は試合中ずっとサングラスを帽子の上に乗せていたが、一切お咎めはなかった。長崎選手などは1回から7回まで、ほとんどファッションの一部かのようにサングラスを乗せていたが、全く問題なしだった。塁審の前を何度も何度も行き来していたにも係わらず、注意すらなかった。
トヨタだからどう、織機だからどう、どのチームだからどう、というのはもちろんないとは思いたい。
しかしある時は「ユニフォーム番号が見えないからウィンドブレイカーを着るのはダメだ」で、ある時は公式戦にも係わらず「本当はオフィシャルルール違反だが、体の前にユニフォーム番号のついていない練習用ユニフォームでの参加もOK」、
はたまたある時は「サングラスを帽子の上に乗せるのは装飾品だから今すぐベンチに戻せ」で、そしてある時は「試合中ずっとサングラスを帽子の上に乗せていてもOK」では、運営やルールに携わる資格がそもそもこの人達にあるのだろうかと疑ってしまう。
たかが地方の公式戦と言うなかれ。それでも大学生や2部以下のチームの選手たち、1部チームでも若手選手達にとっては記録に残る貴重な公式戦。
そういうれっきとした公式戦の大会でのこういうことの積み重ねが、結局は「協会不審」や「審判不審」に繋がって行くのではないだろうか。
<もちろん長崎本人には全く何の落ち度もないが、これが審判によってある時は違反である時は問題なしの「帽子の上のサングラス」>
【最後に問題点をまとめると、コントになった】
しかしほんと、織機の監督のシュナイダーさんは気の毒で仕方がない。
先週は審判に「サングラスを帽子に乗せるな。ルールブックをちゃんと読め!」と言われ、今週はルールブックをちゃんと読んで「あのユニフォームはオフィシャルルール違反ですよ」と指摘してあげたら審判に「あれは違反だが許可した」と言われ、しかも相手チームの選手は試合中ずっと帽子にサングラスを乗せていてもルール違反にならないという…。
何のコントやねんコレ(笑)
※個人的にはトヨタ自動車の選手スタッフに何の悪意もない。むしろ好きなくらいだ。
しかし、いわゆる「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」。強く正しいチームになって日本のソフトボール界を引っ張っていって欲しいからこそ、あえて指摘した。
※ちなみにそれでも、公式戦に練習用ユニフォームで出るようなチームには、今後一切ルールや判定に対してクレームをつける資格はないと個人的には思う。