今年も熊野オープンを観戦してきました。1日雨で中止になり計3日間。いろんな選手が見られて非常に楽しかったのです。
とにかく多くの会場で沢山試合が見られるのが熊野オープンの良さなので、1試合を丁寧に見ると言うより散々ハシゴをして回りお腹いっぱいになって帰ってきました。それでも10試合くらいはスコアをつけたのですが、いかんせん試合数が多くて詳細なスコアを載せることもできません。それで全体をざっと見渡して、それぞれのチームの現状を個人的にまとめてみました。
【豊田自動織機】
<投手>
昨年ようやく開花した宮本が本物の好投手へと確実に成長している。どこと対戦してもしっかり抑えるし、四死球を出してもそこから崩れることがなくなった。新外国人投手の来日はもう少し後になるようだが、その投手が来たとしても今年は織機のエースとして活躍しそうだ。一方江本姉はまだ少し昨年来の不調を引きずっている。球は走っているし近くで見ると本当に迫力のある投球をするのだが、なぜかヒットを重ねられることが多い。江本の持ち味は多彩な変化球や投球術なので、捕手のトッピングとの呼吸を合わせて上手くはまれば復活はしてくれるだろうが・・・。熊野ではどうも風邪で体調も悪かったようで、今後に期待したい。
大ベテランの高山が今年は調子が良い。オープン戦ではここ数年は大学生相手にも打ち込まれるような試合もあったが、今年は持ち前の投球術でレオパレスやHondaの1部の打者を翻弄していた。織機では一番球速は遅いだろうがそれでも対戦した打者にほとんど外野に打球を飛ばさせない投球は見事。若い投手が見ればとても勉強になるだろう。ファンとしても楽しみなので、今年は1部での投球も見たいものだ。他にも、3年目の栗田がますます球速を増しており、2年目の江本妹も落ち着いた投球ができる。将来にも期待ができる。
<今年はエースとしての期待が大きい宮本直美>
<捕手>
昨年までは長打力を誇るリベラが守っていたが今年からアメリカ代表も務めたトッピングにかわった。この選手、それほど有名な捕手であるにも関わらずとても真面目で熱心で向上心があり、投手の特徴や性格を掴んだりコミュニケーションを取るのに必死になっていて好感が持てる。オープン戦の1打席1打席にも常に全力で、際どいコース一つを見逃す場面でも見ているこっちが本番かと錯覚するほど真剣に食らいつく。そのソフトボールに対する真摯な姿勢はミッシェル・スミスを彷彿させる。若手選手にはこういう部分を是非見習って欲しい。
昨年高卒1年目にして捕手で出場した西井も着実に成長している。桝本が引退し小森も肩に不安があることから実質2人体制。今年も数多く出番は回ってくるだろう。去年出なかった初ヒットも期待したい。
<元アメリカ代表の左投げ捕手、ジェニー・トッピングは好守にかなり活躍しそうだ>
<二遊間>
ショートに内藤が戻ってきた。今年のショートは酒井との併用で、だましだましかと思ったが、どうやら1年間通して内藤がレギュラーで活躍しそうだ。足をまだ少し庇っている様子で深い当たりを踏ん張って投げるようなプレーには慎重になるが、しかしそんな足の状態でも見ているものを唸らせるようなプレーを連発するのが凄い。シオノギ戦で松村投手からホームランを打ったように打つ方も文句はない。さてどこまでの成績を残すか楽しみだ。
去年ショートを守っていた酒井が今年は本職のセカンドに戻った。規定打席に到達して3割を打った打力は本物で、今年もオープン戦からしっかりと結果を残している。
<復活した世界一の遊撃手・内藤恵美、シオノギ戦でも貫禄の一発>
<一、三塁>
一方ちょっと心配なのがファーストの長澤とサードの古田。ヒットも出てはいたがまだまだ本調子ではない。とは言っても3月はじめのオープン戦の段階。この2人は1年間を通して絶対に外せない戦力なので、シーズンに入ってからはガンガン打ってもらわないと困る。
<外野手>
内藤がショートに戻り、酒井がセカンドのレギュラーに固定されそうなことから、外野が飽和状態になった。勝負強い白井が再び外野に戻り、レフトの本田、センターの狩野、ライトの田中、若手の千葉とすぐに使える外野手が5人揃った。狩野はセンター固定で、ライトの田中も守備と打撃を考えると外したくない。本田と白井の併用だろうが、天才打者本田は毎試合使ってこそ本領を発揮する。
<DP>
とすると外野の一人をDPでも良いのだが、DPには日本一勝負強い小森が控えている。実に贅沢な悩みである。
<総括>
ミッシェルが昨年で引退した。決勝トーナメント連続出場16年はまさにミッシェルの日本での活動年数であり、今年はミッシェル抜きでも戦えるという証明をするためにも大事な一年である。苦労した昨年以上に苦労するだろうが、そこは経験と抜群のチームワークで乗り切ってくれるだろう。復活した内藤の活躍も楽しみだ。
不安材料は控えとレギュラーの差か。外野の千葉や内野の矢野をはじめ若手にも良い素材が多いのだが、あまりにもレギュラー陣がしっかりしているためにこうやってオープン戦などで控えの若手選手を見るとやはりその差の大きさを感じてしまう。恐らく上が凄すぎて控え目に成りすぎているのが原因の一つだろう。内藤や狩野をはじめ凄い選手を身近で見ながらも、本気で追い越すつもりで頑張ってもらいたい。
【トヨタ自動車】
<投手>
アボットが来ればもはや怖いものなしか。若手にも森田、大野、上村と好投手がいるが、アボットと露久保の2人でもしかしたら上野を擁するルネサス以上かも知れない。長身で剛速球のアボットと、小柄ながら魔球チェンジアップを操る露久保、この両投手のコンビは想像するだけでワクワクする。
<魔球チェンジアップを操る好投手・露久保望美と、一塁へのコンバートが予想される藤崎由起子>
<捕手>
去年デビューした渡邉は次の世代の代表クラスだろう。アボットとどんなバッテリーを組むかも非常に見ものだ。ベテラン西山も控えているし、安心して守れるはず。
<内野手>
熊野オープンでは昨年までショートを守った坂元をサードに回し、ショートには2年目若手の渥美が守っていた。これはショートにアメリカ代表のワトリが入ることによる坂元コンバートのためだろう。それに連動してサードを守っていた藤崎がファーストに移り、ファーストを守っていた日本代表の伊藤幸子はDPあるいは代打での出場が多くなるかも知れない。セカンドに丸山と鈴木がいるが、打撃の成長著しい鈴木をレフトにコンバートし、セカンドはレギュラーの丸山がそのまま守ることになるだろう。
<今年こそはやってもらわないと困るサードに回った坂元令奈>
<外野手>
その急成長の鈴木がレフトを守るとなると、センターの前園はそのままで去年のレフトの小野はライト藤野のバックアップになるだろうか。藤野や伊藤の状態、調子によって、右翼、DPに関しては調子の良い選手を柔軟に起用するかも知れない。とにかくどう選手を動かしても使いたい選手が余るほど、トヨタは選手層が厚くなってきた。
<今年大ブレイクの予感がするレフトへコンバートされた鈴木美加>
<総括>
もともと選手の層が厚くなってきたところにアボットとワトリーが入った。個々の選手の実力としては優勝してもおかしくないくらいに充実している。とにかく2年目の鈴木美加の成長が著しく打線に厚みが増した。藤崎や坂元、藤野など実績のある好選手もいるし前園もようやく本来の実力を発揮してきた。加えて伊藤幸子もいる。今年は本当に楽しみだ。
敢えて不安材料をあげるとすると「勝ち慣れていないところ」だろうか。オープン戦ではあるが2-6と負けていたレオパレス戦で7回裏に4点を取って追いついた直後のタイブレーカーの8回表、送球ミスなどからあっさり失点し負けてしまった。オープン戦だろうが何だろうがとにかく勝ちにこだわり、「普通にやれば勝てるチーム」であることを選手全員が認識することが大事だ。
【追記】
どうも鈴木がセカンドそのままで、小野がレフトもありえるような予感がしてきた