【新生日本代表選手の紹介~内野手編・その1(一塁手と二塁手)】

【代表一塁手の紹介】
<新たに選出された選手>
小柳薫(22、東京女子体育大学)
濱本静代(23、日立ソフトウェア)

<北京五輪代表選手>
伊藤幸子(34、トヨタ自動車)
※ただし伊藤は今年は代表活動に参加しない予定

 

小柳薫(22)はとにかく打撃が素晴らしいことで有名な選手だ。一塁手、左投げ左打ち、立派な体格、パンチ力抜群の打撃と、全てにおいてまさにレオパレスの「井上絵里奈二世」である。
日本代表に名を連ねたこともあり、日本リーグのベストナイン常連で時には上野からもオーバーフェンスを放てる井上は日本でも有数の打者であったが、この小柳はその井上を上回る可能性を秘めている。
大学選抜の主将で4番をつとめて今度のワールドゲームズに参加するが、初めて日本代表に選ばれたのは大学1年生の時のカナダカップで、この時すでに全世代の代表であるB代表に名を連ねていた。
正式な代表はこの大学1年の時ではあったが、2005年の多治見西高時代にすでにジュニアの海外強化合宿のメンバーとして選ばれており、高校時代から知られた存在だったのだろう。
実業団との練習試合でも力強いバッティングを見せ実業団選手からも一目置かれる存在であり、代表選考会のケースバッティングでもホームランを連発していたように記憶している。
大学生選抜を兼ねていることから代表参戦はジャパンカップのみだが、何番を任されるのか、どれくらいの結果を残すのか、非常に楽しみな選手だ。

濱本静代(23)は昨年ようやく開花したバッティング技術のとても高い左打者。代表選手目白押しのソフトウェアにあっては実績的に他の打者に比べて劣るが、バッティングに粘りがありとてもしぶとい打撃をする。
チーム内では早くから期待されて昨年の活躍を見ても今回代表に選ばれたのは誰にも異存のないところだろうが、しかし今シーズンはまた 一昨年以前の濱本に戻ってしまった感がある。
前半戦を終えて打率0.167で長打も2塁打が2本のみ。打率0.333で3本塁打1三塁打1二塁打でありながら選考されなかった林佑季に比べてかなり成績が悪い。
何より、(数少ない試合を見た範囲で言うのだが)打ち取られ方や打席での雰囲気、凡打の後の表情が良くない。気弱な一面が出ているというか、どことなく凡打になっても「仕方がないな」と諦めてしまっている雰囲気がある。
去年の濱本はもっと打席で風格があり、相手を見下ろしていてアウトになっても何かしらの手ごたえがあった。今年は調子が悪いうえに淡白になってしまっている。
おりしも一塁手として代表に選ばれたのが同じ左投げの一塁手である小柳と二人だけ。1年後輩だが同じ東海地区出身で同じポジション、昔から互いに存在は知っていただろう。
一塁を守れる選手は代表には伊藤綾香や藤崎由起子など他にもたくさんいるだけに、よほど打たないと今後の出番がなくなってしまう。
今年の前半は忘れて、また本来の濱本のバッティングを早く思い出して欲しい。

 

【一塁手の選考について】
今年も現役を続けておりチームでも一塁手としてフル出場の伊藤幸子が、今年は代表では参加しないことを表明した。しかし一塁手としては伊藤綾香や藤崎由起子など守れる選手が多いため一人の選出でも良かったが、やはりこの二人は外せなかったか。
もともと実力を高く評価されており、選考会でも力を見せ付けた小柳が代表でのレギュラー候補として最初に選ばれたはずだ。左投げの一塁手と同じタイプ(体型は全然違うが)であり一塁しか守れないという点はあるが、濱本もバッティングを考えるとやはり選ばれるべき選手だったであろう。
同じ一塁しか守れない選手であっても、本来ならここに右の大砲を選べればバランスとしては良かった。
その候補の一人が、僕も含めた一部のマニアに可愛いと評判のHondaの田中清香(24)である。身長176cmは坂井寛子とほぼ同じで打者としては最長身。背の低い打者の多い日本としてはこういう打者が一人いれば見栄えがするのだが、それにはもう少し田中の打撃にパンチ力と正確性が必要だ。いや、少し正確性を犠牲にしてもいいからもっともっと飛ばせる打者に成長して欲しい。どことなく遅咲きの選手のような気もするので、今後突然化けることを本気で期待している。
もう一人、同じ右の大砲候補としては東北福祉大の粕張舞がいる。まだ大学3年生であるが今年のワールドゲームズにも参加する強打者である。この打者も今後の成長に期待したい。
このポジションは北京での佐藤理恵を見てもわかるように他のポジションを兼務できる選手を持ってくる可能性もある。本職の一塁手ではないが、一塁を守れる選手ということをある程度は念頭において他のポジションの選考も行ったはずで、今回の代表としては捕手の伊藤綾香やどこでも守れる藤崎由起子がその役割を担う選手だろう。

 

 

【代表二塁手の紹介】
<新たに選出された選手>
溝江香澄(24、日立ソフトウェア)

<北京五輪代表選手>
藤本索子(29、レオパレス21)
三科真澄(28、ルネサステクノロジー高崎事業所)
※ただし藤本、三科は今年は代表活動に参加しない予定

溝江香澄は長年期待されて昨年ようやく、ベストナインという最高の形で結果を出した打撃力のある二塁手だ。今年も変わらず打撃好調なうえ、パンチ力もましてすでに3本塁打を放っている。代表の二塁手としても実績のある三科真澄と互角に勝負できそうなレベルにまで育ってきている。
昨年の決勝トーナメントでエラーを連発したことから守備に難のある選手と思われがちだが、当時は肩を故障しておりそのことから送球ミスを繰返していた様である。もともと守備も堅実で、今年の前半も1失策で乗り切っている。
八戸聖ウルスラ学園では代表に選ばれた瀬川絵美の2年先輩。初の代表として東北仙台で行われるジャパンカップでは二人揃っていいところを見せたいだろう。

【二塁手の選考について】
もともと遊撃手でありながら五輪では二塁を守り続けた三科真澄、北京五輪では大活躍で日本の金メダル獲得に大いに貢献した藤本索子がともに今年の代表活動に参加しないことを表明。結果的に二塁手として選出されたのはこの溝江一人であった。今年は正セカンドとして一人で乗り切らないといけない。
選出が一人になったのは必然的なものだろう。昨年ようやくブレイクし、今年も実力どおりの結果を残している溝江が選ばれるのは当然として、他に選ぶべき選手がいなかったからである。
もう一人セカンドを入れるなら、潜在能力としてはトヨタの鈴木美加(20)だろう。内野も外野も守れるうえパンチ力のあるバッティングは非常に魅力的である。鈴木のあの惚れ惚れするような豪快で美しいスイングを見ているだけで楽しいのだが、やはり若手としてまだ選ばれるだけの実績がなかったか。しかしまだ高卒2年目の内野手。そうそう簡単にジャパンのユニフォームを着れなくても仕方がない。しかしいずれこの鈴木が代表のユニフォームを着て、日本の打線の軸を担うような選手になるのは間違いないだろう。

「他に選ぶべき選手がいなかった」というのにはもう一つ理由がある。
守備に関しては今や日本でもトップの力を持ち、昨年から急激に打撃に力をつけ今年も好調を維持している酒井かおり(26、織機)が本来ならここに名を連ねていないとおかしい。
もし酒井がいなくても、やや守備力は落ちるが打撃のしぶとさとしてはリーグ屈指の今泉早智(25、戸田中央病院)がその選択肢に加えられていなければいけない。
ただ残念ながら、この二人は選考会に参加はしていなかった。
この二人に関してはチーム内でも不動のレギュラーとして安泰であるが、当の本人たちが自らの実力を過小評価しているのではないか。
今の実力なら代表のレギュラー二塁手を張ってもおかしくはないのだが、そこまでの選手と思っていない唯一の人間が本人なのかもしれない。酒井などは大学選抜にも名を連ねた選手である。本当に残念でならない。

※年齢は今年度に達する年齢

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