【2009年全日本実業団大会観戦記】

※1大会全部について書きましたので長いです。
※長いですが、二部も頑張ってるということで僕も頑張りました(笑)

まずこの「全日本実業団大会」について。
もともと全ての実業団を対象としていた大会であったが、1部チームと2部チーム以下の差は大きく、結局は1部のチームが勝ち残ってしまい、全てのチームに参加資格があり最も歴史の古い大会である全日本総合選手権との差別化が計れなくなってきた。そのため(もちろん他にも理由は多いだろうが)、今から15年以上前(正式な変更年は未確認だが1991年には1部の日立ソフトウェアが参加していたためそれ以降)に、この実業団大会からは1部チームの参加が除外され「2部以下の実業団チームによる3日間トーナメント大会」という形が定着することとなった(ようだ)。
実業団大会であるためにクラブチームや専門学校に参加資格はないが、2部に所属していなくても各地の予選を勝ち抜いた実業団チームであれば参加することができる。2部チームは前年度順位の上位チームは予選を免除されそれ以外は予選を勝ち抜く必要があるが、実業団チームが少ない昨今は出場意欲のあるチームが予選を経ずして推薦で参加することも多いようである。

2009年度の大会は去る7月17~19日の三日間、福岡県で行われた。以下に大会の概況を報告します。

 

 

<1,2回戦>

<A1ブロック>


【佐川急便関東支社0-3東海理化-A球場1日目第1試合(観戦)】
東海理化は超スローボールを武器とする先発の新里が佐川関東を完封。
佐川関東も途中満塁機を作るなど健闘するも及ばなかった。
負けはしたが佐川関東は守備も含め元気で見ていて気持ちのいいチームだった。
ちなみに昨年まで1部の佐川急便にいた長山祐子投手がこのチームに入りソフトボールを続けているのをみて、なんだか嬉しくなった。最強高厚木商を破り横浜清風が高校総体初出場した時のエースで本大会では京都西山も完封した投手。まだまだ頑張れる。
<完封した東海理化の新里(上)と佐川関東のベンチ(下、長山投手は29番)>

【島根三洋電機8-2東海理化:A球場2日目第2試合(観戦)】
島根三洋が終始押し気味に試合を進め、東海理化は再三ランナーを出すものも決定打が出なかった。
島根三洋は3回裏、久保のタイムリー二塁打で先制したあとバックホームがそれ2点目。3対0になったあと東海理化は5回表に3本のヒットで2点を返すが、その裏島根三洋に2死から5点を追加されて万事休す。古瀬→古賀のリレーで島根三洋が勝利した。
<好投した島根三洋の古瀬(上)と古賀(下)>

 

<A2ブロック>


【靜甲7-2日立マクセル:A球場1日目第2試合(観戦)】
靜甲が8番植松の逆転スリーランとレフトへのホームランの2本塁打、5番萩藤の本塁打の3発でライバルのマクセルに快勝した。
マクセルは特に遊撃手の守備が乱れて自滅。2回は2死1、3塁から重盗をしかけてきたランナーをそれぞれ1,2塁間、3本間で挟みながらアウトにできず、直後に逆転のスリーランを被弾した。この他にも暴投や中継ミスなどを連発。攻撃でも初回1点を先制しなお無死満塁の好機だったが三振とエンドランがサードライナーになるダブルプレーで逸機。敗れるべくして敗れた試合だった。
<ホームランを放った靜甲の植松(上)と萩藤(下)>


<マクセルは守りのミスが続出した>

【東芝北九州3-1YKK:A球場1日目第3試合(観戦)】
東芝北九州は3番打者笹田のホームランで先制。6回にも笹田が2打席連続ツーラン本塁打を放ち突き放す。
YKKは最終回ようやく反撃し1点を返してなお1、3塁と粘ったが、初回から好投の徳田が最後も締めて、福岡だけにゲーム攝津。東芝の笹田の2発で決まった試合だった。
<東芝・笹田の今日2本目のホームラン>

【靜甲6-1東芝北九州:A球場2日目第2試合(観戦)】
靜甲は2回、1点を先制したあとの1、3塁から1番の中村夏美が右中間に公式戦初(人生初?)の本塁打となるスリーランを放つ。その後も追加点をあげ計6点。
一方の4回まで靜甲の先発河部にノーヒットに抑えられていた東芝北九州も5回以降毎回先頭打者が二塁打を放つが次打者が普通に打って凡退し一度も走者を進められず。最終回になんとか竹下のヒットで1点を返すも時すでに遅し。まずい攻めで地元の大きな声援に応えられなかった。
<靜甲・中村のホームランと、好投する河部>

 

<B1ブロック>


【佐川急便(株)九州支社0-1株式会社イカイ:B球場1日目第1試合(観戦できず)】
地元佐川九州相手に最近チームを結成した(株)イカイが完封し1点差勝ち。最後は右中間二塁打で同点のピンチも好返球でホームタッチアウトとなり試合終了。
ちなみに(株)イカイには昨年までデンソーにいた小浜美保選手、同じく元デンソーで木更津総合では峰幸代選手と同期だった村田まどか選手、元NECアクセステクニカで佐賀女子時代は現Hondaの島崎望選手ともバッテリーを組んでいた石田麻未投手、元カネボウ小田原で2003年ジュニア世界選手権優勝メンバーでもある佐次田一美捕手、好投手の薄井友美投手などが所属しており、いずれ近いうちに2部に上がってくるだろう。

 

【パナソニック電工津4-2カネボウ化粧品小田原:B球場1日目第2試合(一部観戦)】
選手数10人、控え投手大下だけがベンチにいるだけで守備時の投球練習には監督がブルペンキャッチをするという苦心のパナソニック。この試合は元戸田中央病院の本田のホームランなどで先制しリードを保ち、投げては投手高岸がカネボウの野毛に一発を浴びたがそれ以外は好投して一回戦を突破した。

 

【株式会社イカイ2-3パナソニック電工津-B球場2日目第1試合(途中観戦)】
2部への参戦条件である悲願の実業団大会ベスト4入りを狙うイカイが初回に2点を先制。電工津も2部の先輩として負けじとその裏1点を返し1点差とする。
膠着状態のまま回は進み6回裏、電工津は同点のあとランナ1死3塁でセンターへのフライ。ホームに良い返球が返ってくるも逸らしてしまい犠牲フライとなり土壇場で試合を逆転する。
最終回、イカイは1死から左前打のあと続く打者もレフト戦へ鋭い当たりを放つ。完全に二塁打(あるいは三塁打)コースと思われた打球をレフトの本田がハーフバウンド逆シングルで好捕し1、2塁に止める。なんとか1点を取りたいイカイは次打者がバントで送って2死ながらも2、3塁とし、次の打者が投手左へゴロ。高岸がグラブで弾きながらも拾いなおして1塁へ送球、これが間一髪のアウトとなり試合終了。イカイの来年2部昇格の夢が絶たれた。
<(株)イカイ、二部昇格にあと一歩及ばず・・・>

 

<B2ブロック>


【日本精工8-6佐川急便中部支社:B球場1日目第3試合(観戦できず)】
ここのところ社を上げて応援している感のある日精工。今日も大勢応援する人が会場にきていた。といってもこの日本精工、かつては1部でも戦っていたことのある歴史のあるチーム。廃部したチームを除けば1部経験チームとしては最も長く1部から遠ざかってるチームでもあり、応援に熱が入るのも頷ける(1994年以降実に15年間も1部から遠ざかっている)。
その日精工、2部には加盟していないが愛知県一般女子や国体予選などで活躍する佐川中部に苦戦し、5回を終わって5-3とリードを許す苦しい展開。しかし自力を見せて終盤には追いつき、延長に持ち込んでなんとか勝利した。

 

【日本精工2-3大鵬薬品:B球場2日目第2試合(観戦できず)】
5回まで大鵬が2点リードするも6回に日本精工の3番打者(松山?津田?遠藤?福本?)が同点のツーランホームラン。しかし続く回に大鵬がすぐに1点を勝ち越して勝利した。

———-

<準決勝>__

【島根三洋電機3-5靜甲:A球場2日目第3試合(観戦)】
靜甲の先発はこの大会初先発の鈴木麻美。
靜甲は初回、中村が右中間に先頭打者ホームランを放ち先制。続く2回には田中がレフトへホームラと、伏兵の2発で2点をリードする。
1点差にされた6回にはランナー二人を置いて松井の打席。ふらふらっと上がった右飛が強風で戻され、ライト福田が目測を誤りダイビングするも後逸、タイムリースリーベースとなり痛い2点を献上する。
島根三洋は舟木のタイムリーや古関のホームランで2点を取り、最終回にも古賀のタイムリーで1点をとっただけに、非常に惜しいプレーとなった。
それでも靜甲はこの試合も含めこの大会終始リードする余裕の展開で実力どおりの決勝進出を決めた。
<靜甲のホームラン攻勢、中村(上)と田中(下)>


<島根三洋戦で初先発した靜甲のエース鈴木麻美>

 

【パナソニック電工津2-0大鵬薬品:B球場2日目第3試合(観戦できず)】
2回、元戸田中の本田の二塁打のあと、村中がショート強襲ヒットを放ち先制。5回、佐々木のショート強襲ヒットのあと海老名が送り、またしても本田が二塁打を放ち追加点をあげる。
投げては連投になる高岸が強打の大鵬打線を完封してゲームセット。選手10人のパナソニック電工津が決勝進出を決める!
<この大会大活躍だったパナソニック電工津の高岸宮由来(みゆき)投手>

 

__<決勝戦>__

電工津 0010000・・・ 1
靜 甲 022073x・・・14

【2回裏:靜甲】
6番田中の左中間二塁打で先制、走者三塁から松井のエンドランで1点追加。
【3回表:パナソニック電工津】
9番山田と1番川村の連続二塁打で1点返す。
【3回裏:靜甲】
鈴木優のレフトオーバーのタイムリー二塁打で2点追加。
【5回裏:靜甲】
4番計盛のタイムリー、5番萩藤のスリーラン、8番植松のスリーランでこの回計7点のビッグイニング。
【6回裏:靜甲】
代打攻勢でさらに2点を追加。

投げては1-4回を鈴木麻美が1点に抑え、5回からは河部が好リリーフ、14-1の大差で靜甲が圧勝し、一昨年に続いて2回目の実業団大会優勝を果たした。
<電工津も川村の二塁打で追いすがったが>


<靜甲は萩藤のこの大会2本目(上)植松のこの大会3本目(下)のホームランで電工津を粉砕>

 

<二度目の優勝を果たし三井監督を胴上げする靜甲ナイン>


<優勝に大喜びの熱狂的な靜甲ファン3人(さて誰でしょうか、笑)>


<MVPには10-5、1本塁打の田中美保(右、靜甲)が、最優秀投手には河部祐里(中、靜甲)が、優秀選手には高岸宮由来(左、パナソニック電工津)がそれぞれ選ばれた>

<チーム寸評>

1位:靜甲
今回は島根三洋戦など数字上の接戦はあったが、実際には2部の大会に1部のチームが混じっているような、終始余裕の戦い。

2位:パナソニック電工津
リーグ戦1勝の電工津が準優勝。組み合わせに恵まれたのも理由だが、何より投手の高岸の好投に尽きる。後半もこの調子で!

3位:島根三洋
古瀬&古賀の両投手は頑張ったが、不用意な投球で長打を食らったのが響いた。第4節の靜甲戦でリベンジできるか。

3位:大鵬薬品
前半戦全勝で優勝にまっしぐらの大鵬だが、なかなかそう簡単にはいかないのでは。今回パナソニック電工津に負けたように後半思わぬチームに足をすくわれる可能性もある。初っぱなの東芝戦が最大のヤマ。

5位:東海理化
新里はそこそこ頑張ってるが玉城の調子が上がってこないと厳しい。打線は実力のある打者が揃っていて打つときは打つがなかなか点を取るのがうまくない。その辺が課題。

5位:東芝北九州
エースの徳田はいつでも試合を作れるくらいの投手にはなった。ただ靜甲戦で中村に打たれたスリーランは余分。打線は笹田が2打席連発と一人気を吐いたが、他の打者がもっと頑張らなアカン。

5位:イカイ
ベスト4入りもう一歩だったが無念。新興チームだがリーグ経験者も多くいて今後に期待。このチームの試合見に行きたいけど、次どこでやるんだろうか。

5位:日本精工
なんかどのチームと試合してももつれた接戦しているようなチーム。チーム力から言ってもっと勝ってもおかしくないチームなのに。かつての5割打者松山もっとガンバレ。

初戦敗退:佐川急便関東、中部、九州
佐川急便の支社から今回は3チームも。これだけ参加してくれたこと自体がなんとなく嬉しい。中部は愛知県で何度か見たことがあり、今回は関東を見られた。レフトのちっさい選手が元気いっぱいで良かった。全体的にいいチーム。今度は九州も見たい。

初戦敗退:カネボウ化粧品小田原
リーグ戦では5勝4敗と勝ち越しているのに今回は初戦で電工津に敗退。後半戦初日に再び当たった時にどうかがみどころ。

初戦敗退:YKK
先発の坂本が好投したが東芝笹田に2発を浴びて撃沈。武田が2安打し最終回も攻めたけど主審が倒れてリズムが途切れたのは残念。東芝には前半も0-1で負けてるだけに惜しかった。

初戦敗退:日立マクセル
まあ優勝した靜甲に1回戦で当たるというのは不運と言えば不運だけど、負けるにしても互角の勝負をしないといけないチームだし、しかも守備で自滅はいただけない。
今年は夏休みなしで小林監督の地獄のノックを毎日受けるしかないだろう(笑)

なおスコアの詳細はいつも丁寧な記録のアップで定評のある[[愛知県ソフトボール協会HP|http://www.aichi-softball.jp/2009nenn07gatunosiai/2009nenn07gatunosiai.htm]]で見られます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です