【2009年全日本総合選手権~大会前特集】

ようやく再開したかと思ったリーグ戦が2週間で再び休みに入ってしまったが、秋のこの期間には待ちに待った「全日本総合女子ソフトボール選手権」が行われる(今年は9月25~27日)。
32チームが一堂に会し、三日間で31試合、決勝進出チームは5試合も行うという壮絶な大会であるが、見ている方も会場を移動したり立ちっぱなしで応援したりとかなり体力勝負の大会である。
実業団の選手達はリーグ戦を終えるとすぐに普段の黄色いボールから学生が使用している白いボールに替えての練習をスタートさせるが、普段から慣れておらずかつ反発力も大きいこの白いボールでの試合では実にいろんなことが起きる。
クラブチームや大学生が1部のチームと本気で戦う数少ない大会でもあり、ソフトボールの面白さを満喫できると、この最も伝統のある大会のファンも沢山いることだろう。
さてそんな待ちに待った総合大会であるが今年は千葉の成田で開催される。総合ほど予想できない試合もないのだがそこは酔った勢い、恥も忘れて各ブロックごとの見どころやブロック突破の確率なんかを予想してみることにしたのでござる。

※もちろん、全てのチームが全力を尽くす以上、優勝する確率はどのチームにもある。しかし、ここは一つ一ファンのぶっちゃけた予想として理解していただきたい。
こんなただのファンの予想なんか裏切って、進出確率0%のチームが優勝したら、それこそソフトボールの一人のファンとして、こんなに嬉しいことはない。みんながんばれ!!

 


 

【Aブロック】
「ルネサスのために用意された鉄板ブロック(笑)」

<組み合わせ>
(1)ルネサス高崎vs.島根三洋
(2)高知ファイティングドッグスvs.パナソニック電工津
(3)日本体育大学vs.日立マクセル
(4)ペヤングvs.園田学園女子大
(5)「(1)の勝者vs.(2)の勝者」
(6)「(3)の勝者vs.(4)の勝者」
(7)「(5)の勝者vs.(6)の勝者」→ベスト4


~ベスト4進出確率~
ルネサス高崎 —100%

<コメント>
ルネサスの一人勝ちブロック。
全体を4ブロックに分けていながら、ルネサスの含まれるブロックだけが他に1部チームがゼロ。一応昨年のベスト4までは四つのブロックに振り分けているがそこから先は基準がなさそうだ。
毎年組み合わせには恵まれるルネサスだか、さすがにこれはない。やりすぎだ(笑)

~各ブロックの1部チーム~
Aブロック(ルネサス)
Bブロック(誘電、佐川急便、Honda、戸田中)
Cブロック(デンソー、レオパレス、ソフトウェア)
Dブロック(織機、伊予銀、シオノギ、トヨタ)

というわけで、とにかく島根三洋とパナソニック津、日立マクセルはガンバレ!!
ただそんなブロックではあるが、個人的にはひとつだけ良い面もあるとは思っている。1部の選手以外、なかなか公式戦で本気の上野と対戦する機会がない。こういうブロックで大学生や2部のチームとあたり、それらの選手に「本気の上野」の剛速球を体感させてあげるのも良い機会ではないか。そのためにもできれば毎試合、せめて一回りだけでもいいから上野が登板し、9連続三振を狙うくらいの気持ちで力を見せ付けて欲しい。ルネサスはこんなに楽なブロックに入れてもらったんだから、そのくらいしても罰は当たらんだろうに(笑)
それからやはりここの注目はペヤングか。ペヤング目当てのファンも増えるであろうし、園田も日体大も強い大学で、毎年クラブチームを送り込んでくる高知にも頑張ってもらいたい。1部チームはルネサスだけだが、何かと楽しみなブロックだ。


 

【Bブロック】
「ずば抜けたチームのいない、どのチームにもチャンスのあるブロック」

<組み合わせ>
(1)YKK vs.佐川急便
(2)Honda vs.福岡大
(3)戸田中央総合病院vs.大阪国際大
(4)靜甲vs.太陽誘電
(5)「(1)の勝者vs.(2)の勝者」
(6)「(3)の勝者vs.(4)の勝者」
(7)「(5)の勝者vs.(6)の勝者」→ベスト4


~ベスト4進出確率~
太陽誘電 —40%
佐川急便 —30%
戸田中  —15%
Honda   —12%
靜甲   — 3%

<コメント>
去年準優勝の誘電と二部の雄・靜甲が初戦から激突する組み合わせ。このカードは1回戦で最も注目される試合だ。
靜甲は去年の総合では1部の戸田中を撃破しているので誘電も油断できない。河部が通用すれば打線の良い靜甲の勝つ可能性もある。
ただ順当に誘電が勝ったとすると次は戸田中か。ここは接戦になるとみた。今泉&吉田が元気で太田が好調の打線はたとえ坂井相手でも1、2点は確実に計算できる。堤が好投してここを乗り切れば、相性の悪くない佐川相手なら戸田中のベスト4入りも見えてくるだろう。
佐川急便は2部のYKK、Hondaは福岡大学と、ともに格下の相手。下克上が魅力の総合とはいえここ最近は大きな番狂わせもあまりない。順当に1部同士が勝ちあがっての対戦だろう。佐川急便はローチがしっかり抑えてポーターが爆発すればベスト4入りもある。誘電戦までローチを上手に温存できれば特にその可能性も高まる。そのためにはベテラン左腕の帰山が踏ん張らないといけないが、最近は好調なようで期待はできるだろう。
ここで読めないのがHonda。去年は1回戦のIPU環太平洋大との試合を3-2と苦戦しつつなんとか勝ち上がりながら、次の日立ソフトウェア戦ではなんと7-1と快勝した。ソフトウェアが自滅した部分もあったが、リーグでも突然ミッシェル・スミスの織機相手に10点差以上で大勝するなど、相手を勝手に自滅に追い込む不思議な魅力を持ちあわせている(笑)。熊野オープンでも強豪チームの試合が雨で流れて勝手に優勝が転がり込んだ。この“不思議チームHonda”が勢いに乗れば、佐川も誘電も破って一気にベスト4に行く可能性もある。短期決戦はリーグで低迷してるチームが往々にして快進撃をするものだ。
とはいえやはり最右翼は昨年準優勝の誘電か。しかしここ最近湿りっぱなしの廣瀬と谷川のバットがそのままだと、勝ち抜くのは容易ではない。


 

【Cブロック】
「トヨタと織機の一騎打ち」

<組み合わせ>
(1)豊田自動織機vs.大鵬薬品
(2)伊予銀行vs.東海学園大
(3)平林金属vs.シオノギ製薬
(4)トヨタ自動車vs.TOETECK
(5)「(1)の勝者vs.(2)の勝者」
(6)「(3)の勝者vs.(4)の勝者」
(7)「(5)の勝者vs.(6)の勝者」→ベスト4


~ベスト4進出確率~
織機 —49%
トヨタ —49%
シオノギ — 2%

<コメント>
ここは織機とトヨタの一騎打ちだ。
アボット&露久保を擁するトヨタと、バークハート&宮本の織機の対戦は非常に興味をそそられる。世界一二を争うような大投手アボットだが、直前のリーグ戦ではしぶとい織機打線が見事に攻略した。試合巧者揃いの織機が再びアボットを攻略できるかに全てがかかっている。
対するトヨタ打線も宮本には抑えられたが防御率1位のバークハートから2点を奪っている。1番のワトリーから9番の渡邊まで穴がなく、ベテラン伊藤、勝負強い藤野、藤崎、坂元、若きスラッガー鈴木、俊足巧打の小野、前園など、バラエティー豊富な打者が並ぶ打線はソフトボールの1チームとしては完成形ではないか。
この2チームに唯一対抗できそうなのがシオノギだ。点を取るのには苦労しそうだが松村&安福の2枚看板が踏ん張りタイブレーカーにまで持ち込めれば勝機はある。ただし2回戦でトヨタに勝てたとしてもすぐ次の試合で織機が相手。この連戦はあまりにも厳しすぎる。
連覇を続けるルネサスを倒せる可能性の高い織機とトヨタの2チームがこの段階で潰しあうのは非常に惜しいのだが、勝ったほうにはルネサスの連覇を止める至上命題が下されたものと肝に銘じて優勝まで突き進んで欲しい。
この織機かトヨタで鉄板のブロックではあるが、面白い存在なのが2部で1位を快走する大鵬と元気なチームである平林金属。この2部の2チームが1部のチームにどう食らいつくのかにも注目したい。


 

【Dブロック】
「実力チームが集結した戦国ブロック」

<組み合わせ>
(1)レオパレス21vs.大和電機
(2)カネボウ小田原vs.デンソー
(3)東北福祉大vs.山梨学院大
(4)東芝北九州vs.日立ソフトウェア
(5)「(1)の勝者vs.(2)の勝者」
(6)「(3)の勝者vs.(4)の勝者」
(7)「(5)の勝者vs.(6)の勝者」→ベスト4


~ベスト4進出確率~
レオパレス —37%
デンソー —33%
ソフトウェア—29%
東北福祉大— 1%

<コメント>
レオパレス、デンソー、ソフトウェアというリーグ4位を争う3チームが集まった大注目のブロック。総合で強いレオパレスに、実力のあるデンソー、ソフトウェアが挑む構図は一昨年とまるで同じだが、その時よりチーム力が格段に上がったデンソーがカギを握るのは間違いない。
ソフトウェアは昨年は2回戦でHondaに完敗、一昨年は準決勝でレオパレスに惜敗。デンソーは昨年は準決勝でルネサスに完敗、一昨年は2回戦でレオパレスに惜敗と、ここ2年は似たような戦績で総合を終えている。特に一昨年はデンソー、ソフトウェアともにベスト4を前にレオパレスに敗れており、今回は雪辱を果たす大会となる。
ただしこの実力互角の3チームでは、瀬川が計算できず藤原一人に頼らざるを得ないソフトウェアがやや不利とみた。デンソー、レオパレスはそれぞれ「染谷&ギブソン」、「山根&ティンチャー」といった2枚看板が万全であり、この厳しいトーナメントを戦うには有利で互いに力は互角だろう。
ソフトウェアは打線が爆発すれば一気に決勝まで行き上野を攻略できる実力はあるが、なかなか最近の不調を見ると苦しいか。昨年Hondaに完敗したように1回戦の東芝北九州戦も瀬川が先発し四球連発など、油断していると足元をすくわれる可能性もある。東芝北九州も好打者揃いで乗ると確変するチームなのだ。
上記3チーム以外ではインカレを圧勝で制した東北福祉大も面白い存在。かなりの幸運がなければ勝ち進めないだろうが、エース長南が踏ん張ればインカレ優勝の勢いを買って漁夫の利を得る可能性を秘めている。
なかなか勝ち抜けるチームを予測できない戦国ブロックだが、総合で実績のあるレオパレスが最も有力とした。


 

【参考~昨年の大会における注目点】
○1部のシオノギが2部の大鵬との製薬対決で大苦戦、1-0と辛勝
日体大が2部の東芝北九州富士大と破りベスト8
松本大が1回戦でその年の2部の優勝チーム伊予銀に1-0で勝利、次のデンソー戦でも0-2と健闘
Hondaが1回戦のIPU環太平洋大に3-2と苦戦しながら、2回戦で優勝候補のソフトウェアに7-1と快勝
○2部の靜甲が1部の戸田中を4-3と撃破
太陽誘電がトヨタに1-0、レオパに2-1、織機に2-0と快進撃。大雨で押しに押した決勝戦、連覇中のルネサスを苦しめ延長タイブレイカーで1-2と惜敗。

※準優勝に終わったが1部の強豪を次々と撃破した太陽誘電。大車輪の活躍をしたエースの坂井寛子は、この年の総合選手権の紛れもないMVPだった。

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