【2009年1部リーグ投手の記録を解析する~その2:投手のタイプ分析】

【2009年1部リーグ投手の記録を解析する~その2:投手のタイプ分析】

 

さて少し間が空いたが投手のデータ分析の続きを。
前回の解析で、やはり上野とアボットは群を抜いているというのが改めてわかった。
その続きとして昨年同様に主成分分析を用いて投手のタイプ分けををするのだが、この飛び抜けて凄い2投手が入ると突出したデータが邪魔をして他の選手の違いがほとんどわからなくなる。
それで今年はこの2投手を除いて他の投手を分析してみた。

(1)解析に用いたデータと解析方法
用いたデータも方法も昨年と同じで、投手の五つのデータを用いた主成分分析で、結果としてタイプ的に似た投手がグラフ上の近くに位置するように図示される。
個々のデータについては以下にまとめた。

(2)5つのデータを用いた分析結果
主成分分析の結果は以下の通りである(ちなみにややこしい説明や結果は省略するが、この下の図でおよそデータの90%近くを説明できるまあまあの結果であった)。


分析結果から、横の軸は防御率の善し悪し、縦の軸は球数の多さに強く相関していることがわかった。
繰り返すとつまり、この図では、
「左に行くほど好投手」「下に行くほど球数の少ない投手」
ということがわかった。

※なんかややこしいこと書いてますが、要は
「近くに位置している投手はタイプや実力的に似ている」
ということにつきます

 

(3)もっとタイプの違いが出るよう、データを3つに減らした分析結果
上記の結果でもなんとなくわかるのだが、もっと分かり易くならないかと思い切って防御率と球数のデータを削ってみた。
つまり使用したデータは「奪三振率」「与四死球率」「被打率」である。


この図を少々詳しく見て、それぞれの特徴を考えてみたい。

 

<特徴1>
真ん中に位置するのは堤、松村、オークス、坂井といったそれぞれの所属チームのエースであり、2009年のリーグでは中堅から下位チームに位置したチームのエースである。三振の数や被打率、四死球から見てほぼ全体の平均的な投手と言えるのではないか。

 

<特徴2>
右上の赤丸のグループである。このグループからやや離れたところに位置するローチ、染谷も同じようなタイプであるが、やや奪三振が多いことで特徴づけられる。
もう一つの赤丸で囲んだグループと合わせ、これら二つの赤丸グループは平均的な投手からかなり離れて位置する特徴的な投手である。
まず一番右に位置するグループにはギブソン、ティンチャー、バークハートという外国人選手に加えて瀬川が入る。瀬川は昨年も外国人(大黒人て誰やねんw)選手のグループに入ったが、特に四球を出しても三振も奪うという特徴がある。

 

<特徴3>
一方、真ん中下に位置するグループに山根、藤原、宮本が集まっているのもおもしろい。この3人は特に三振や四死球での特徴はない平均的なタイプであるが、被打率が低いことから他のグループから区別できる。
そのさらに下に位置するのが露久保。同じように奪三振は平均的だが、ことに被打率が低いことから一人離れて位置している。2009年の露久保の好成績を表しているだろう。

 

<特徴4>
最後に左上のグループ。三振が少なく被打率も高いというやや残念な結果から特徴づけられるグループである。
ただ今年かなり打たれ点を取られた感のある武井、末次、清水に比べ、外山は比較的抑える場面もあったのではないだろうか。特に末次と並んで与四死球が少ないのは褒められる。
外山の一番の売りはとことんスピードを殺したチェンジアップである。そのチェンジアップを駆使して、時には強豪チームの打線を抑え込んだこともあったように記憶している。
清水や武井などにとっては、同じように三振を取れるスピードもなくヒットも打たれるが抑えることもできる外山のピッチングは何かのヒントになるのかも知れない。

 

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