靜甲 110 0020…4
ＤＷ 010 1000…2
靜甲：鈴木麻－田中
ドリーム：熊澤、陳－伊藤
（三）植松（靜）
（二）計盛（靜）、小野（ド）
【先攻：靜甲】
1(8)：植松尚子
2(9)：白井加奈絵
3(6)：鈴木優子
4(D)：滝（原田）真由美
5(3)：計盛志津子
6(7)：萩藤寛子
7(2)：田中美穂
8(5)：松井志帆実
9(4)：尾方栄里
【後攻：ドリーム☆ワールド】
1(9)：小原友里
2(7)：辻井晴名
3(4)：小西つどい
4(2)：伊藤綾香
5(6)：小野奈津子
6(5)：宮野祐子
7(D)：谷口敏子
8(8)：川上恵莉子
9(3)：古宇田佳愛
＜先発は靜甲が鈴木麻美、ドリームがエース松村ではなかう熊澤。ともに明日の試合を計算できるチーム。靜甲はこの試合を鈴木麻にすべて任せ、ドリームは明日の試合を松村に任せる意味合いが強かったはずだ＞
＜試合経過＞
【1回表：靜甲】
初回、靜甲打線がコントロールの定まらない熊澤を攻める。
先頭の植松がしっかりと死球を選び、白井が叩きつけて内野安打とすると3番鈴木の時に重盗。鈴木がバントの構えから見送ったが捕手は伊藤綾香。慌てることなくしっかりと三塁に送球して余裕でアウトにする。
強硬策が裏目に出るも鈴木が四球でつなぐと4番の原田が一二塁間にゴロ。小西もグラブに当てるのが精いっぱいでセカンドから白井が還り先制点を奪う。
しかしその後の1死満塁のチャンスに萩藤がセカンドゴロ本封などで得点できず、下手な攻めで熊澤を捕まえ切れない。
＜原田のタイムリーで先制も、1点しか奪えなかったという攻め方＞
【2回表：靜甲】
靜甲は続く2回も熊澤を攻め、先頭の松井がヒットとエラーで無死二塁とし尾方の進塁打で1死三塁とすると植松の打席でエンドランをかける。
しかし硬くなった植松が空振りで三塁走者が憤死してしまう。
それでも植松が三塁打を放ち、続く白井のサードゴロを宮野がエラーして1点は奪ったが、序盤大量点を奪ってもおかしくない場面での最少得点で、流れを相手側に与えてしまう。
＜天才打者植松も力んだか、エンドランを空振り。だがその後の三塁打で面目躍如＞
【2回裏：ドリーム】
先頭の小野が二塁打で出ると犠打と内野ゴロで2死三塁となり川上のゴロがセカンド前に。ボテボテの緩いセカンド正面の簡単な打球だったがこれを焦った尾方がファンブル。表の回にエラーでもらった1点をすぐにエラーで返してしまい再び1点差に。
【4回裏：ドリーム】
靜甲の雑な攻めで1-2で持ちこたえていた4回裏、1死から小野が足首に死球で出塁し宮野の右前打で一三塁とすると谷口が中前に適時打。連続ヒットでドリームが同点に追いつく。
＜ドリームの軸は何といってもこの伊藤。とにかく小野と伊藤は風格が違う。しかしその伊藤と真っ向勝負し無安打に抑えた鈴木麻美も立派で、大きな勝因の一つだっただろう＞
【6回表：靜甲】
5回をともに無得点で迎えた6回。5番の計盛から始まる靜甲と4番の伊藤からのドリーム、ともにこの回が勝負の回だっただろう。
こういう緊張する試合になればなるほど頼りになる計盛だが、この日の彼女はまさにチームの太陽のような存在だった。守りでも強い当たりを何度も好捕し、ピンチでも笑顔で鈴木麻美を盛りたてた。そして打撃も今日は絶好調だ。先頭で打席に入ったこの回、左中間に目の覚めるような二塁打を放ってチームを勢いづける。
逆にガチガチに固まった萩藤はセカンドフライであっさり凡退するも（プレッシャー感じすぎやねん、笑）、代打の切り札菊池がきれいに三遊間を破り一三塁とチャンスを広げるとバッターは今日2安打の松井。
ここで靜甲は再び三塁走者とエンドランを行うも、松井が上げてしまいレフトへのフライとなり走者は塁に戻るのがやっと。
ベンチの作戦がことごとく失敗する重苦しい雰囲気の中、この窮地を救ったのは尾方の「職人技」だった。
30歳の最年長にして今年新境地を開拓した尾方。実業団大会での呂投手相手でも全日本総合でのソフトウェア山口投手相手でも、ファールを打つと決めたら永久に打ち続けられる必殺技をこの大事な場面で披露する。
熊澤の渾身の投球をとことんファールにし、ボールはしっかりと見極めて、必然的結果のように四球を選んで満塁とし、そして1番の植松にチャンスを渡す。
この場面でやはり決めてくれるのが植松だ。
2-2からの5球目、インコースに詰まりながらもしっかりとバットの芯で捉えて押し込むと、打球は一二塁間の真ん中を抜けて二者が生還。ミス続きで得点の奪えなかった靜甲打線がついに自慢の強打で勝ち越し点を奪った。
＜菊池がチャンスを作り…＞
＜尾方がつなぎ…＞
＜そして最後はやっぱりこの打者、植松が決めた。右前に決勝の2点タイムリー＞
【7回裏：ドリーム】
ドリームも最終回、古宇田のヒットでチャンスを作ったが、最後は小原のショートライナーに代走の石山が飛び出してダブルプレーでゲームセット。
1位対決を制した靜甲が、明日の決勝戦に駒を進めて最低でも入れ替え戦に出られる2位以上を確保した。
＜ドリームワールドも粘ったが最後はダブルプレー。しかし、気を引き締め直してまた明日＞
敗れたドリームワールドは明日の第1試合で今日の2位対決で勝ったマクセルと試合。
今日温存したエースの松村と呂投手のぶつかり合いも白熱した展開になるのは間違いない。
一方の靜甲、悲願の優勝まであと一勝に迫ったが、今日はとにかく攻め方のちぐはぐさが目立った。初回からの重盗に2度の三塁走者とのエンドランがことごとく失敗。普通に打たせたらもっと点を取っていたんじゃないかと疑問だったが、こういう攻め方で行くと決めて徹底しているとすればそれはそれで筋の通った芯のしっかりとした采配と言えるのかもしれない。
とにかく明日。何も迷わず、信念の采配、信念のプレーを続ければ自ずと道は開けるだろう。