【2010年ゴールデングラブ賞】

【2010年ゴールデングラブ賞】
 今年もまた独断と偏見に満ちた銀猫的ゴールデングラブ賞やります。あくまで個人的な印象度、好みが第一なので話半分眉唾で聞いてください。
 でも今年は結構リーズナブルな選出になったかな。

 

【投手:松村歩(シオノギ製薬)】



 今年も上野由岐子以外で選ぶことにした。とにかく彼女はうますぎる。たまに魅せるグラブバックトスなんか芸術品。正直、上手すぎて見ていて腹が立ってくる(笑)
 そんな訳で松村なのであるが、しかし意外とああ見えて機敏な動きをする。特にピッチャー返しの強い打球が来たときなんか、難しいバウンドも軽く合わせて捕球したり、グラブで叩き落として素早く処理したりと、実にうまい。30近い守備機会で失策も1と結果も残した。バント処理の打球などもサードの宮がビビって逃げて松村が処理するくらいだ(これは意味が違うかw←ちなみにホッパーさんネタ)。
 同じように投手強襲打球を上手く捕球するのが織機の江本奈穂。どんな強烈なゴロでもしっかりとグラブに収めるのだが、彼女はいつも「あら、入っちゃった(笑)」みたいな照れ笑いをする。でもそこがまたいい。ただ守備機会が11と少なすぎた。
 上野以外で最も守備率が良かった伊藤美幸(無失策)や、終盤守りでもチームに貢献した藤原麻起子(ただし2失策)も印象に残ったが、やっぱり投げて守って孤軍奮闘、チームを残留に導いた松村が今年一番強く印象に残った。

 

【捕手:渡邉華月(トヨタ自動車)】



 今年は渡邉で文句はないだろう。鈴木由香、乾絵美が引退し、吉田真由美も一線から退き、日本リーグの捕手も世代交代の時期にさしかかってきた感がある2010年、ようやく渡邉が本物の一流選手になってきた印象を受けた。
 2年続けてアボットをリードし続けたが、ただ単にリードをして捕球しただけでなく、フェンス際のフライなどもしぶとく捕球する。谷川まきがやや精彩を欠き、峰幸代の良さにも慣れてきてしまった中、今年は渡邉が1番で文句なしだろう。

 

【一塁手:濱本静代(日立ソフトウェア)】



 伊藤幸子の年齢を感じさせないガッツ溢れるプレーにも魅せられたし、藤崎由起子の堅実なプレーも好きだ。織機の小柳薫もグラブ捌きはうまいし、大久保美紗は最多守備機会にして失策0の最高守備率と結果を残した。
 でも個人的に選んだのがソフトウェアの濱本静代。失策3や試合終盤になると手塚沙也花が守備固めに入るように、決して華麗な守備とは言えないのかも知れないけど、とにかく必死さが伝わってくるのがいい。
 一番大きかったのが開幕の織機戦。立ち上がりからヒットを浴び続けてきた藤原麻起子が3回裏2死満塁からトッピングに火の出るようなゴロを一二塁間に打たれた。しかしこれを濱本が完璧なタイミングでグラブを出して一塁ゴロに。そこから立ち直った藤原がこの試合を完封し、結局は苦労しながらもシーズン準優勝までたどり着いた。
 もちろんあのプレーも「まぐれ」だった可能性も高いが(笑)、しかしジャパンカップでも何度もダイビングキャッチしたりと、とにかく必死な姿に感銘を受けた。
 そのジャパンカップの試合後「上手いですね」と声をかけたときの「まだまだ素人なんで」という謙虚な答えも気に入った。
 つまり日本代表の一塁手は、素人が守っていたのだ(笑)

 

【二塁手:酒井かおり(大鵬薬品)】



 セカンドはもう文句なし。個人的にはHondaの中村瞳か酒井か、常にどちらかなのだが、中村は少し失策が多かったのと得意の「ここ一番のファインプレー」が出た試合(後半のルネサス戦など)を見られなかったのが響いた。
 他の二塁手としてはルネサスの新人西川が失策0で乗り切ったが、しかしやっぱりセカンドは酒井で誰も文句ないだろう。
 とにかくグラブさばきが柔らかく、いろんな質の打球に対してそれぞれに適したプレーをいくらでも繰り出せる。強烈な打球にはそれにあった力強い或いは強さを吸収するようなグラブさばきを、弱い打球には素早いダッシュの後に生卵も割れないような優しいボール処理でフワッと一塁でアウトにする。
 派手なダイビングキャッチが少ないのであまり印象に残らないが、最初から注目してみていると本当にうまいのがよくわかる。
 このくらい褒めとけば大丈夫だろう(笑)

 

【三塁手:廣瀬芽(太陽誘電)】



 リーグ最多に近い守備機会にして失策0。守備が完璧なのはわかっていたのだが今までは五輪金メダリストということで敢えて外してきた部分もあった。しかし今年はそろそろ喪が明けた(?)かなというのと、やはりこれだけの数字を残されると選ばざるを得なかった。あれだけ派手なファインプレーを連発した山本優にしても失策が5もあったし、同じくソフトウェアの林佑季が3、トヨタの坂元令奈が2、それから織機の古田真輝も3失策だった。彼女たちには来年(2011年)こそ失策ゼロで乗り切ってもらいたい。

 

【遊撃手:松岡恵美(豊田自動織機)】



 数字的にはDP出場も多かった西山麗の方が守備機会も多く失策もゼロで上だったのだが、やはりあの守備を魅せられると松岡を選ばざるを得ない。
 とにかく2度の大怪我と1年近いブランクから復活して2年目にして、ますます若々しくなったようなプレーの数々を魅せてくれた。
 そんな歴史に名を残すようなプレイヤーも、2010年限りでユニフォームを脱いだ。あの球際やチャンスにとことん強くしぶといプレーはもう見られないが、いろんな形でこれからも日本ソフトボール界に貢献してくれるだろう。

 

【左翼手:小野真希(トヨタ自動車)】



 今年は外野手はポジション別に選んでみた。レフトとしては開幕戦でホームランを何度も奪い取ったデンソーの狩野香寿美のプレーが強烈に印象に残っているのだが、やはり今年も小野真希を選ばざるを得ないだろう。それくらい小野の守備力は今は素晴らしい。
 トヨタ自動車はアボットが主戦なので他のチームと比較するとあまり野手、特に外野手に打球が飛ばない。小野の守備ももっと見たいのだが守備機会が他の選手の半分の20に過ぎないのが少し残念だ。

 

【中堅手:大橋美奈(Honda)】



 守備機会の少なさで言えばHondaの大橋が実は極端に少なく、1年間ほぼレギュラーで出ながらたったの13。ただそれでも選んだのはここ1、2年の成長が目覚ましいから。
 中堅手に関しては個人的には山田恵里と増山由梨と狩野亜由美の3人は今回も選ばない方向でまず考えた。個人的には増山のスピードとバネ、肩の強さなんかは毎年でも選びたいくらいではあるのだが、ただ正直増山にはフェンスに飛び乗ってジャンプしてホームランをキャッチして空中で一回転して着地するくらいのプレーでも見せてくれないと満足できないようになっているのかも知れない(笑)
 しかしそんなことは置いておいても、大橋の守備範囲の広さに肩の強さはこれからますます好プレーを魅せてくれる期待を抱かせるくらい素晴らしく、十分GGに値する。とくにあんなに華奢に見える体つきながら強肩なところと、高校時代ショートで鍛えた球際の強さは、試合前の練習の時から見ていて楽しいものがある。

 

【右翼手:藤野遥香(トヨタ自動車)】



 正直ここをどうするか迷った。もちろん藤野は素晴らしい野手なのだが、常に魅せるファインプレーを連発する高木美晴を入れて、ポジション別の選出をやめようかなと最後まで迷った。それくらい高木の観客を引き込むわざとらしいファインプレーは素晴らしい(笑)
 しかしやっぱり本質的な守備力としたら藤野は外せないだろう。右翼手としては他にルネサスの城戸絵理沙やソフトウェアの名手杉山真里奈、デンソーに移籍した永吉理恵がいてどれも甲乙付けがたい。
 しかしそんな中で藤野だけはどこか違う安心感が感じられる。他のチームのファンから見てそう感じられるのだからこれは本物ではないだろうか。その安心感こそ、藤野が長年堅実なプレーをし続けて築きあげてきた実績だろう。

 

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