【2010年日本リーグデータ~新人選手打撃成績】
2010年は36人の新人野手(投手登録の大工谷含め)が入り、そのうち34人が試合に出場し、29人が打席に立ち、7人が規定打席に到達した。比較的多いように思われるが、過去に全体的にまとめたことがなかったのでいずれデータを整理して比較してみたい。
そんな中、個人的には三人の高卒新人野手の活躍が強く印象に残った。
高卒新人ながら開幕から2番センターのレギュラーを掴んだ伊予銀行の松岡玲佳は、新人離れした落ち着いたプレーで1年を通してチームの中心選手として活躍した。特に守りに関して高い能力があり、センターのポジションを広い守備範囲と堅実なプレーで1年間を1失策で乗り切ったのが素晴らしい。
打撃面で活躍したのは太陽誘電の原田のどか。高校卒業前の3月の熊野オープンからチームに合流してすぐさまホームラン。開幕スタメンはならなかったが、7回に代打で出場するとデンソーの大卒新人投手山田麻未からレフトへ完璧な当たり。あわや「開幕戦・リーグ初打席・代打スリーランホームラン」の快挙かと思われたが、デンソーのレフト狩野香寿美のファインプレーに阻まれた。しかしその後は持ち前の打撃力でDPのレギュラーポジションを掴み結果を出すと、将来を見越して右翼のレギュラーを与えられ1年間を乗り切った。打率は2割強だが0.360の出塁率は立派だろう。
その原田に長打力で勝ったのが大鵬薬品の鷲野留実。新人最多の2本塁打に打率も高卒選手として十分な0.270。何よりとても打ちそうにないあどけない顔していながらあんなにパンチ力があるのが素晴らしい。まあ、顔から下を見たらパンチ力がありそうなのは一目瞭然ではあるのだが(笑)
さてそんな中で今年の新人賞は誰が取るのかなと思っていたところで小柳薫が新人賞と聞いたときには驚いた。実は織機の選手でありながら、小柳が新人選手だということをすっかり忘れていたのだ(笑)本気で「今年は原田だろうか、鷲野だろうか。松岡も頑張ったしなあ」と考えていた。
それはルネサスの西川友理も同じ。打率、出塁率は新人トップで、セカンドの守備でも1年間守り通して1失策という素晴らしいものだったのだが、彼女が新人選手ということをすっかり忘れていた。それくらい、この両選手は新人離れしたものがあった。
というか特に小柳の場合、すでに大学時代から日本代表なわけで、どうも彼女が新人賞を取ると言うこと自体が、野茂やイチローがメジャーで新人王を取るようなどことなくしっくり来ないものがあった。彼女には新人賞を取って喜んでるんではなく、一塁手のベストナインを取れなかったことに対して反省をしてもらいたいぐらいだ。
【打席数(試合数)】
81(22) 松岡玲佳(須磨ノ浦女子高→伊予銀行)
75(22) 原田のどか(岡山南高→太陽誘電)
62(22) 小柳薫(多治見西高→東京女子体育大→豊田自動織機)
57(21) 西川友理(藤村女子高→東京女子体育大→ルネサス高崎)
53(21) 寺本有希(鈴峯女子高→佐川急便)
53(21) 鷲野留実(多治見西高→大鵬薬品)
50(20) 塚田真美(滑川高→東北福祉大→戸田中央総合病院)
37(15) 岩川奈美絵(神村学園高→佐川急便)
32(13) 上田恵(篠山鳳鳴→東海学園大→シオノギ製薬)
28(13) 鶴澤眞緒(神戸常盤女子高→東京女子体育大→戸田中央総合病院)
23(14) 稲垣ゆみこ(豊橋商→東海学園大→大鵬薬品)
17(13) 伊藤瑠美子(藤枝順心→甲賀医専→大鵬薬品)
15(13) 吉良真利菜(神戸常盤女子高→東京女子体育大→豊田自動織機)
15(10) 武藤理恵(帝京安積→Honda)
12(12) 助川真貴(那須拓陽→東北福祉大→戸田中央総合病院)
9( 9) 山崎早紀(常葉学園菊川高→トヨタ自動車)
5( 5) 多田希(高松南→佐川急便)
4( 6) 石田奈々(東北生活文化大高→東北福祉大→豊田自動織機)
4( 9) 岡村珠希(夙川学園高→東海学園大→デンソー)
4(15) 椎木明日香(京都西山高→大阪大谷短大→シオノギ製薬)
3( 2) 遠山佑奈(須磨ノ浦女子高→甲賀医専→太陽誘電)
2( 3) 大工谷真波(門前高→ルネサス高崎)
2( 3) 玉利のぞみ(神村学園高→日立ソフトウェア)
2( 2) 安永美穂(九州文化学園高→デンソー)
2( 9) 和田美樹(厚木商→デンソー)
1(13) 中村早紀(神戸常盤女子高→園田学園女子大→トヨタ自動車)
1( 2) 吉川未知(星野高→トヨタ自動車)
1( 1) 増田奈津美(白鴎大足利→戸田中央総合病院)
1( 2) 吉島凪砂(横浜清風→戸田中央総合病院)
0(16) 齊藤優季(木更津総合高→日立ソフトウェア)
0( 8) 石濵真実(長崎商→太陽誘電)
0( 0) 駒野まみ(三重高→中京大→佐川急便)
0( 0) 伊藤愛(岐阜女子高→佐川急便)
0(14) 唐橋亜由佳(京都西山高→シオノギ製薬)
0( 1) 大庭麻衣(九州女子高→戸田中央総合病院)
0(11) 浜田京香(滑川高→大鵬薬品)
※はじめに述べた選手以外では、意外なところで頑張ったのが佐川急便の二人の高卒選手、寺本有希と岩川奈美絵。二人とも大事な場面での活躍もあったし、今後大いに飛躍が期待される選手だろう。戸田中の塚田も規定打席に到達したし、鶴澤やシオノギの上田も比較的多く打席に立った。この辺は大卒選手としては及第点か。
佐川急便の駒野と伊藤二人が出場機会がなかった選手。怪我もあったはずだし、監督が代わった来年(2011年)はなんとか初出場を果たしてもらいたい。
【安打(ベスト10)】
16 小柳薫
16 西川友理
13 鷲野留実
11 原田のどか
10 松岡玲佳
9 寺本有希
7 塚田真美
5 上田恵
4 稲垣ゆみこ
4 吉良真利菜
4 助川真貴
4 山崎早紀
※16安打で東女体大出の大卒新人二人が並んだ。吉良、鶴澤も含め、リーグの成績では東女体大出身選手が前年大学ソフトボール界を席巻した東北福祉大勢に圧勝した感じだ。
【二塁打+三塁打(全選手)】
7 小柳薫
3 原田のどか
2 松岡玲佳
2 寺本有希
1 西川友理
1 鷲野留実
1 上田恵
1 助川真貴
1 岩川奈美絵
※ここは小柳がダントツ。彼女は典型的な中距離打者なのだろうか。二塁打記録を作る日も遠くないかも知れない。
【本塁打(全選手)】
2 鷲野留実
1 小柳薫
※本塁打を放ったのは二人だけ。原田がゼロで終わったのが残念だが惜しい当たりもあった。
鷲野と小柳は同じ多治見西高出身だが、小柳が4つ上。その大先輩の小柳に勝った鷲野は立派。小柳は猛省すべし(笑)
【出塁率】
<規定打席到達選手>
0.386(57) 西川友理
0.371(62) 小柳薫
0.360(75) 原田のどか
0.340(53) 鷲野留実
0.280(50) 塚田真美
0.247(81) 松岡玲佳
0.170(53) 寺本有希
※4割近い出塁率の西川、小柳に負けない原田と鷲野は素晴らしい。他の選手も1年目にしたら十分だ。
<規定打席未満かつ10打席以上選手>
0.417(12) 助川真貴
0.400(15) 吉良真利菜
0.250(32) 上田恵
0.243(37) 岩川奈美絵
*0.556(9) 山崎早紀
※助川と吉良は来年(2011年)以降の選手。少ない打席の中でしっかりと結果は残した。
【打率】
<規定打席到達選手>
0.333(57) 西川友理
0.302(62) 小柳薫
0.271(53) 鷲野留実
0.204(75) 原田のどか
0.194(50) 塚田真美
0.170(53) 寺本有希
0.149(81) 松岡玲佳
※西川、小柳が3割を超えたのは最低限のノルマのようなもの。打率は低いが上野からもヒットを放った松岡もいずれ1部で高い打率を残すようになるはず。
<規定打席未満かつ10打席以上選手>
0.400(12) 助川真貴
0.364(15) 吉良真利菜
0.192(32) 上田恵
0.097(37) 岩川奈美絵
*0.500(9) 山崎早紀
※10打席未満ではあるが山崎のバッティングには注目している。ただ「大したことない」と言ってる人もいたことは確か(笑)でも僕は期待している。
<大卒新人として貫禄を見せた小柳薫(上)と西川友理(下)>
<高卒新人ながらレギュラーとして十分な活躍を見せた松岡玲佳(上)、原田のどか(中)、鷲野留実(下)>
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