【繰り返された過ち~体に当たったファールチップがフェア判定に…】

【記事再掲載時の追記】

 ※一度この稿を数日前にアップはしていたのだが、「あまり誤審をあげつらうようで申し訳ないな」と思い公開を控えていた。

 ※しかしよく考えると、ファールチップが体に当たったトヨタの小野真希が即座に痛がっているのに、球審のみならず塁審も全員が「フェア」の判定を下した、ということは、小野の行為を「当たってもいないのに痛がる嘘の演技だ」と決め付けたことに他ならない。これでは小野があまりにも可哀想だ。ということで、やはりこの記事もちゃんとアップしておくことにした。


 第45回ソフトボール日本リーグ1部は延長タイブレイカー10回、1-0のサヨナラでトヨタ自動車がルネサスを破り、トヨタの3連覇で幕を閉じた。
 大会が終わるまでは「どうにかルネサスがトヨタの三連覇を阻止して欲しい。織機でも成し遂げていないのだから」と思っていたが、終わった今は「本当にトヨタが勝ってくれて良かった」と胸をなで下ろした。
 それは全てあの「誤審」による。

 2012年の全日本総合選手権決勝戦、トヨタ自動車はルネサス宇野のスクイズがファールチップになりながらそれが膝に当たって跳ね返ったのに「フェア」と判定される大誤審によりサヨナラ負けし優勝を逃した。
 それと同じ誤審がこの日本リーグでの決勝戦でも繰り返されたのだ。
【2012年全日本総合決勝での誤審】

 ただ立場は真逆。延長タイブレイカー、9回裏で守りがルネサスで攻撃がトヨタだった。
 0-0で迎えた8回裏1死三塁の場面、打者はトヨタでは唯一何でもできる器用な打者の小野真希。トヨタとしてはここでサヨナラを決める絶好の場面でもある。
 その初球、上野の高めの投球が小野が止めたバットにかする。そのかすった打球が下に弾かれ小野の腰の部分に当たり、それが跳ね返って投手前へのボテボテのゴロになった。

<小野のこのファールが「フェア」判定され投ゴロに。トヨタはサヨナラのチャンスを逃す>

 普通に見ていても明らかにファール。バットに当たってから下に落ち体に当たって転がったのは明白だった。明らかにおかしな軌道でボールが転がった。
 そもそも上野の剛球がバットにだけ当たって跳ね返ったのなら、もっと強い打球になっていないといけない。
 それが実際には勢いが死んでボテボテのゴロになった。それだけを見ても普通の打球とは思えないのだが、このボールを上野が取って一塁に送球すると「アウト」の判定が下された。

 当然のことながらトヨタの福田監督も抗議に行くが、総合の時のように激しい抗議ではなかった。
 判定を受け入れるというよりも、むしろ「正確な判定を期待するだけ無駄だ」と諦めたかのような刹那的な抗議に見えた。

 ちなみに総合では、この「明らかなファール」をトヨタ野手陣が「ファール」として処理して抗議している間に三走が生還しルネサスのサヨナラになった。
 しかし今回は全く同じ状況でも立場が逆で、トヨタの小野も三走の神山もファールチップが体に当たっているため「ファール」として判断している間にルネサス側にボールを処理されてアウトになってしまった。
 ルネサスとしては総合で大儲けしたのと全く同じ状況なので記憶にも新しかったのだろう。明らかにファールなのにしっかりとそのボールを処理してアウトにすることができた。

 しかしこんな「大誤審」が、全日本総合の決勝戦と日本リーグの決勝戦の大舞台で二度も繰り返されるとは一体どういうことだろうか。
 両方ともトヨタに不利、ルネサスに有利に働いたのは偶然と思いたいが、しかしあれほど明白なファールをフェアと判定してしまうということは何か根本的、本質的な問題があるのではないだろうか。
 二度とも、明らかなファールを球審が「フェア」判定した後に、全審判が集まっても判定を覆すことができなかったからだ。

 こういうプレーはそもそも人間の能力で判定することは不可能なのか、あるいは当該審判の未熟さによるものなのか、あるいは塁審の中にはファールとわかっていたのに主張を通せなかった社会的問題なのか。
 総合やリーグの決勝戦を任される審判が未熟とは思えない。練習試合でもあったのでこういうプレーを個人的には三度見た。やはり球審と塁審の位置からは見ることが不可能なのだろうか?ベンチからははっきりと見えてるのだが。あるいは「判定を覆すのはプライドが許さない」みたいなしょうもない部分も大きいのではないかとも思う。

 ソフトボール界の未来のためにも、是非ともこの「誤審」を真剣に受け止めて議論しあって、真摯に向き合うことで判定の向上に繋げていってもらいたいと切に願いたい。

 初回のトヨタの攻撃、
 確かにワトリーの離塁は若干早かったが、ルネサスの宇津木監督が一塁塁審に「離塁が早いからしっかりみなさい」的な抗議をし、塁審が「うんうん」と頷いて次の投球でワトリーが離塁アウトになる場面もあった。こういうあからさまな判定には穿った見方をされても仕方がない。

 本当に、こんな判定がありながらもトヨタが勝ってくれて良かったと思う。
 ただトヨタが勝ったことで全てが「なかったこと」にされては何も前進しない。

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