【2部リーグを勝ち抜くために必要なこと】

 久しぶりにパソコンに向かい、2009年の2部の日程を載せて個人的な見どころをまとめてみようと思って居たのですが、案の定横道にそれること5時間。気がつくとまるで違うものが出来てしまいました(しかもそんなに呑んでないのに)。
 取りあえず仕方がないので今日はそれを掲載し、2部の全ての日程の方はまた明日にでもしようかと思います。

 さて昨年、一昨年の2部リーグの対戦成績を見て何か特徴があるのか、どういうチームが勝っているのかと眺めていたのですがとにかく2部チームの対戦成績というのは複雑怪奇でよくわかりません。
 「なぜこの強豪がこのチームに負けてるの???」みたいな謎が多いのを改めて実感したのですが、それでも上位陣だけというようにはしょることで何かしら流れもありそうなので、今回はここ2年(特に昨年)の2部リーグのシーズンを簡単に振り返って見たいと思います(ですます調ここまで)。

※基礎知識として
○2部リーグ17チームは総当たりで各チーム16試合を5節にわけて行う
○1位チームは1部の12位と交代で自動的に1部昇格、2位は1部11位との入れ替え戦にまわる

 

【2007年の上位陣の勝敗】
(※かっこ内は敗戦相手)
1位:日立マクセル15勝2敗(大鵬、島根三洋)
2位:大鵬薬品14勝3敗(甲賀医専、NECアクセステクニカ、平林金属)
3位:島根三洋13勝4敗(大鵬、日本精工、三島中央、平林金属)

 大鵬薬品は日立マクセル、島根三洋という上位2チームに勝っていながら、甲賀(13位)、NEC(11位)という下位に取りこぼしたのが余りにも痛かった。健闘した島根三洋も日本精工(10位)戦の敗戦が響いた。逆に日立マクセルは上位2チームに負けていながら4位以下との対戦の取りこぼしはゼロ。この堅実な戦いぶりが1部昇格を決定づけた。なおこの年6位の平林金属が上位陣2チームを破っており、リーグの鍵を握る形となった。

 

【2008年の上位陣の勝敗】
(※かっこ内は敗戦相手とその順位)
1位:伊予銀14勝3敗(大鵬薬品、NECアクセステクニカ(10位)、松下電工津(4位))
2位:靜甲14勝3敗(伊予銀行、東海理化(12位)、三島中央病院(6位))
3位:大鵬13勝4敗(靜甲、TOETECK(9位)、日本精工(15位)、松下電工津(4位))

この年の上位3チームの直接対決は完全に三つ巴であった。ただ2007年と違いその3チームともに10位以下の下位チームに足下をすくわれている。さらにこの年躍進した松下電工津に伊予銀と大鵬が、実業団大会で優勝した三島中央に靜甲が、と中堅チームにもそれぞれ仲良く敗れており、これらのいわゆる“取りこぼし”が大混戦の理由となった。ただこの上位3チームの中で、1つ余分に取りこぼした大鵬が2位以内に入れなかったのは必然かも知れない。下位チームとの戦いが明暗を分けたと言えるだろう。

さてこのような結果に終わった2008年の2部であるが、鍵となった試合を見ながら1年をもう少し詳しく振り返ってみたい。

 

【2008年の上位陣の対決を振り返る】
(1)上位チーム最初の直接対決は伊予銀と靜甲。予想通りの好試合
 毎年最終戦にまでもつれ込む大荒れの2部だが、この年は特にもつれた。
 まずは第2節、新見市で行われた大会で伊予銀と靜甲がぶつかり、序盤の4点差を追いついた靜甲であるが延長8回の熱闘も最後は伊予銀に振り切られ、強豪同士の試合は伊予銀が制する(実は最終的には2部の優勝はこの試合で決まった)。
<第2節2日目@岡山県新見市>
伊予銀 400 000 01—5
靜 甲 200 002 00—4

 

(2)2度目の上位チーム直接対決は靜甲と大鵬。まさかの展開に・・・
順調に、とは言い難いがそれぞれなんとか白星を積み重ねる上位陣が次に顔を合わせたのが第4節草津大会の靜甲-大鵬戦。前半戦に下位チームに3敗し、これ以上負けられない大鵬だが先発の小橋が1死を取ったあと2番の中村に四球を出してから急に調子が狂う。ヒットに四球、タイムリーにライトのトンネルまであり、あっという間に初回に6点を献上。打線も沈黙し5回コールドで大事なライバル大会をあっさりと落としてしまいこれで4敗目。もはやこれまでか、と思われたのだが・・・。
<第4節1日目@滋賀県草津市>
靜 甲 601 00—7
大 鵬 000 00—0

 

(3)最後の上位陣直接対決は四国の伝統チーム同士。大鵬が意地を見せる
 そして迎えた最終節。この3チームに松下電工津を加えた上位争いは、この時点ではまだまだ展開次第ではどこが上位に来るか予想できなかった。
 1日目、四国の強豪、伊予銀と大鵬薬品が直接対決する。もはや1敗もできない大鵬がこの上位直接対決では歴史に残るような戦いをする。初回に1点を先制され、5回に追いつき、勝ち越されればまた追いつく。その数5回。延長12回までもつれ、表の伊予銀の攻撃を無失点に抑えると、とうとうその裏1点を取りサヨナラ勝ちし死闘に終止符を打った。これで上位陣は完全な三つ巴となり、加えてこの日靜甲が東海理化に敗れたため半歩遅れている大鵬にも他力本願だが上に行けるチャンスが復活してきた。
 ちなみにこの時点で靜甲と伊予銀が3敗、大鵬が4敗である。
<第5節1日目@富山県魚津市>
伊予銀 100 001 011 010—-5
大 鵬 000 010 111 011x—6

 

(4)絶体絶命の伊予銀行が奇跡を見せる
 最終節2日目、上位陣の直接対決も終わり、各チームあとは下位に取りこぼさないことだけであるが、毎年奇跡が起きる2部ではそれが非常に難しい。ただ前日大鵬に奇跡的な試合をされて敗れた伊予銀が、この日は逆に奇跡を演出する方にまわった。
 初回に先制するもすぐに東芝北九州に逆転され3点を追いかける苦しい展開。6回にようやく追いつき延長にもつれ込んだが、8回表、タイブレーカーから東芝北九州に1点を勝ち越されてしまう。そしてその裏の攻撃もランナーを置いて同点に出来ないまますでにツーアウト。しかしここで奇跡が起きる。矢野がこの日チーム4本目となる、起死回生の逆転サヨナラツーランを放ったのだ。この試合を落とせば、この日も勝った靜甲に1位の座を譲り、尚かつ大鵬と負け数で並んでしまう。そうすると直接対決で負けている大鵬にも上に行かれてしまい一気に3位転落もあった。まさに起死回生の一発であった。
<第5節2日目@富山県魚津市>
東芝北九州 020 400 01—-7
伊予銀行   120 012 02x—8

 

(5)そしてリーグ戦最終日・・・
 そして最終節3日目、伊予銀1試合(湘南ベルマーレ)靜甲1試合(甲賀医専)大鵬2試合(平林金属、東芝北九州)を残すも、この日はそれぞれのチームが無難に勝利し、結局は勝敗で並んだ伊予銀と靜甲のうち直接対決で勝利している伊予銀が1位で1部自動昇格、靜甲が2位で入れ替え戦となった。
伊予銀か靜甲か、2チームのうち1チームでも敗れると2位以内に入れる可能性のあった大鵬薬品も最終戦で延長9回を戦い、2点勝ち越されたその裏に3点を取ってサヨナラ勝ちをするという素晴らしいゲームで最後の最後まで諦めなかったが、やはり前半戦のつまずきが大きすぎて取り返すことができなかった。先に挙げた2007年も1位チームと3位チームに勝利していながら下位との試合を2つも落として2位どまりで入れ替え戦に回り、1部の戸田中に敗れて昇格ならなかった。どうもこのチームは強いチーム同士の戦いには勝っても、負けるときに簡単に負けすぎる嫌いがある。

 

【2部リーグを勝ち抜く条件~2部で起こる奇跡】
 「2部の試合はもつれる」「最後の最後まで全く順位が読めない」「信じられないような奇跡が(試合展開でもプレーでも)起きる」とはよく言われることで、それゆえに密かに2部が大好きだというファンも多いと思う。グランドレベルで試合も見られて臨場感もある。僕もその口なのだがいかんせん日程が1部とほとんど被っていることからなかなか見に行けないのが残念だ。
 しかし「順位が読めない」とはいえ、結局終わってみると1位2位は勝つべくして勝ったチームが上がってきていることが多い。それでもここ最近は日立マクセル、大鵬薬品、靜甲、伊予銀行、松下電工津(パナソニック電工津)などと強いチームがひしめいており、その中から抜け出る条件も必要だ。

 

ではそのリーグを勝ち抜くために必要な条件とは?
 2部は試合数が少なく各チームが年に1度だけ対戦する。特に上位陣の間の直接対決は最終的に勝敗で並んだ場合に重要であり、実際それが効いて今年は伊予銀が1部に上がったのだが、しかし直接対決が効いてくるのもベースに高い勝率があってこそである。つまり「試合数が少ない」というのは、下位チームとの1試合についても「ただの1試合」にはしてくれないのである。毎年のことであるが、下位チームに取りこぼした1試合がとてつもない重圧となりチームの戦いに大きく影響してきたりする。
 しかし「下位チームへの取りこぼし」についても、試合の中身を見ると単なる強豪チームの慢心から出るものではなく、ソフトボール2部リーグの気まぐれな神様が適当に散らばらせた「奇跡」を拾ったことによるものとしか思えないようなことが多い。突然金縛りに遭ったように選手のプレーが悪くなり下位チームに完敗してみたり、下位チームのエースが何かが乗り移ったかのように好投してみたり、とんでもないエラーが出たり、打球があり得ない方向に跳ねたり、球場内をネコが走り回ったり酔っぱらいが一升瓶ぶらさげて外野を歩いていたり・・・(最後の方はウソ)。

 そう2部リーグを勝ち抜くのに必要なことは、全ての試合について絶対に勝つという強い気持ちで向かうことはもちろんのこと、「2部で起きる奇跡」を味方につける運を持つこと、それに尽きるのだ。

 

<第4節草津大会 この中村の四球から靜甲は初回6点を先制する>


<2008年は打率2位にベストナイン獲得と大活躍した大鵬の森田だが、チームは報われなかった>


<第5節で起死回生のサヨナラホームランを放った伊予銀の矢野(この打席は全日本実業団決勝において)>

【追記:東芝北九州の2008年】
<11勝6敗-5位>
0-3 靜甲
4-5 大鵬薬品
7-8 伊予銀行
2-3 松下電工津
0-1 島根三洋
1-3 三島中央病院

※よく見ると東芝北九州が非常にいい戦いをしていた。6敗の5位だが上位チームにいずれも惜敗。今年は飛躍の年となるか。

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