【2017年 第57回全日本実業団選手権 3日目・決勝戦】

【3日目・A会場】

靜甲 002 0000…2-5-1
理化 000 0000…0-3-2

靜甲:○勢村香織 - 佐藤友麻
東海理化::●吉川瑞紀、河津かおり - 石田沙也佳

(本):
(三):
(二):【テーブルスコア】

 

<戦評>
靜甲が3回表にあげた2点を守り切って2009年福岡大会以来8年ぶりの実業団選手権優勝を遂げた。強豪靜甲としては優勝の間が空き過ぎたきらいがあるが、とにかく今年は優勝が絶対条件だったのでひとまずノルマはクリア。あとは2部で優勝して三度目の1部昇格を果たすだけだ。

まあ優勝した靜甲はおいといて、銀猫ブログ的には敗れた東海理化に話を移そう(笑)。
理化は今年はあわよくば優勝も狙える組合せだったが、ハッキリ言って靜甲との差は大きかった。
特に内野手の守備と細かい攻撃の差。ショートの片山郁乃は実績のあるいい選手だが、他の3人がまだまだ若い。サードの河倉郁美は守備も巧い良い選手なのだが時々やらかす(笑)。ファーストのキャプテン百瀬篠も可もなく不可もなく。そしてこの試合大きかったのがセカンド太田清花の守り。

実は太田は守備範囲も広く球際も強く、一二塁間や二遊間を抜けそうな打球を好プレーでアウトにすることも多い。身体能力は高いのだ。バッティングでもセンスがあり、これからの東海理化を間違いなく背負って行く選手ではある。ただこの試合の守備位置、状況判断のミスが、結果的にはチームの敗戦を招いてしまったように、ひとえに経験不足、勉強不足のように思える。

場面は3回表無死一二塁。無死一塁からファーストゴロを百瀬が二塁にやや悪送球してしまい一二塁にチャンスが広がったのだが、あのプレーは打球も速かったし判定も微妙だったので仕方がない。
無死一二塁にピンチが広がって、打者は2番のスラッパー櫻井円香。この場面は100%転がして走者を進めてこようとする場面で、櫻井もゴロを転がそうとしてファールを重ね早々にツーストライクに追い込まれていた。
ただそのファールの間、セカンドの太田が何故か二塁ベースに頻繁にカバーに入り、一塁ベースカバーがおろそかにならないかと不安で仕方がなかった。
果たして案の定、櫻井がファーストにゴロを転がすと、ゴロを捕ったファースト百瀬が三塁送球を諦め振り返って一塁に送球。しかしこの時、二塁ベースカバーに執着していたセカンドの太田の一塁カバーが大幅に遅れ、百瀬からの一塁送球を全く取れずに後逸。送球がファールゾーンを転々とする間に二塁走者が生還し、結局これが決勝点になってしまった。
実はこの場面、速球でファールボールを重ねさせ追い込んでいた東海理化バッテリーが、最後に投げたのがチェンジアップ。ゴロを転がしたい打者櫻井にとってはおあつらえ向きのボールで、結果的に簡単に進塁打のゴロを転がすことができた。
この最後にチェンジアップを選んだバッテリーの配球にも疑問が残るが、もしゴロを転がしやすいチェンジアップを投げさせるのなら、一三塁が猛ダッシュで前進し、セカンド太田、ショート片山も素早く塁のカバーに入って、確実に三塁でフォースアウトにできる守備態勢を作らなければならない。
結局はその辺の守りの駆け引きというか、ツメの甘さが、東海理化にはまだまだ全然足りない部分だろう。

実は靜甲は4回裏の守りで、東海理化が無死一二塁の場面で打者の後藤祐月が100%転がしてくると決めつけた守備態勢を敷き、思い通りにサードにゴロを打たせて三塁で楽々フォースアウトにした場面があった。
結局こういうところの差が、1部を2度経験している靜甲と東海理化の決定的な差だろう。

で、なんで自分が必死になってこんな東海理化を批判するようなことを書いているかというと、これは逆張りであって、実はこの大会を通じで東海理化にかなり肩入れを始めたからである(笑)
若手に有望株が多く、あと数年本気で勝つことを目指しだしたら、このチームは実業団大会で優勝もできるし2部優勝も夢ではない。

それくらい今の東海理化は期待を持てるチームなのだ。だからこそ、この決勝戦の守りの詰めの甘さには不満が大いに残った。
トヨタ、デンソー、織機と1部の強豪3チームがいる愛知県にあるチーム。選手はもっとそれらのチームの試合を見て勉強してほしい。とにかく、選手一人一人がもっと上を目指してほしいのだ。つって。

<優勝した靜甲>


<準優勝の東海理化>



【靜甲・先発メンバーと交代選手】
1(8):山崎奈美佳
2(5):櫻井円香
3(6):野木利佳子
4(2):佐藤友麻
5(D):鹿目真実
6(9):山崎菜々→(打)清水藍子→(9)金川祐子
7(4):麓みさき→(打)白井奈保美→(再4)麓みさき
8(3):中尾萌
9(7):泉夏帆
FP(1):勢村香織

【東海理化・先発メンバーと交代選手】
1(4):太田清花
2(6):片山郁乃
3(9):越智華奈子
4(2):石田沙也佳→(走)車田柚香→(再2)石田沙也佳
5(7):後藤祐月
6(8):阿部千尋
7(3):百瀬篠→(3)田口明璃→(再打/3)百瀬篠
8(D):麓さやか→(打)松本七海→(走)川辺ちなつ
9(5):河倉郁美
FP(1):吉川瑞紀→(1)河津かおり

 


【1回表・靜甲~0点】
山崎奈:投ゴロ
櫻井:二ゴロ・失(正面の緩い平凡なゴロ)
野木:中飛
佐藤:遊飛

【1回裏・東海理化~0点】
太田:投直(弾丸ライナーもグラブにすっぽり)
片山:二内安
越智:空振り三振
石田:二ゴロ

【2回表・靜甲~0点】
鹿目:二ゴロ
山崎菜:中前打
麓:空振り三振
※山崎菜、二盗
中尾:遊ゴロ(三遊間のゴロ、片山が好プレー)

<中尾萌が三遊間にヒット性の打球も、ショート片山の好プレーで一塁アウト>

【2回裏・東海理化~0点】
後藤:二飛
阿部:右前打
百瀬:セフティバント・三犠打
麓:三ゴロ
【3回表・靜甲~2点】
泉:中前打
山崎奈:一ゴロ・野選(百瀬が無理に二塁送球)
櫻井:一前安・送球エラー
※櫻井がファールで粘る間、セカンドの太田が二塁ベースに頻繁に入る
※最後はチェンジアップ。ゴロを転がすにはおあつらえ向き
※ファースト前に転がし走者は進塁。百瀬が一塁送球しようとするも、セカンドの太田のカバーがかなり遅れる
※百瀬が一塁投げるも、太田が後逸し、二塁走者が生還。さらに一三塁に。
※記録は櫻井の内野安打とファースト百瀬のエラーか。
野木:中前適時打
佐藤:遊飛
鹿目:左飛
山崎菜:投ゴロ

<3回表、無死一二塁からファールで粘った櫻井が最後はチェンジアップをファーストにゴロ>
<(続き)、ファースト百瀬の一塁送球にカバーの太田が間に合わず悪送球となり、二塁走者の泉が生還>

【3回裏・東海理化~0点】
河倉:遊飛
太田:セフティバント三ゴロ
片山:遊直
【4回表・靜甲~0点】
※東海理化はこの回から投手に河津かおり
麓:二ゴロ(二遊間より、太田が好捕)
中尾:空振り三振
泉:死球
山崎奈:遊飛

【4回裏・東海理化~0点】
越智:四球
石田:三ゴロ・送球失
※一塁代走に車田
後藤:三ゴロ三封
阿部:空振り三振
百瀬:二ゴロ

※代走の車田に代わり石田が再出場

<ダイコン切りでサードに転がす石田>

<その打球を櫻井が一塁悪送球で無死一二塁に>

<無死一二塁で後藤がサードに転がすも、前進守備の櫻井が余裕で三塁フォースアウトに>

【5回表・靜甲~0点】
※東海理化はファーストの守備に田口

櫻井:二ゴロ
野木:左直(レフトの後藤が好捕)
佐藤:見逃し三振

<野木のレフト線抜けそうな打球を後藤がランニングキャッチで好捕>

【5回裏・東海理化~0点】
麓:二飛
※センター前に落ちそうな打球、姉の麓みさきが好捕
河倉:二ゴロ
太田:三ゴロ

<東海理化の麓さやかのセンター前に落ちそうな打球を捕ってしまった無慈悲な姉の麓みさき>

<麓さやか「…(姉ちゃんなんで捕るんだよ~。ばか)」>

【6回表・靜甲~0点】
鹿目:左飛
清水藍(打←山崎菜):スラップ左前打
白井(打←麓):一犠打
中尾:三飛

※代打の清水に代わりライトに金川佑子、白井が退きセカンドに麓が再出場

【6回裏・東海理化~0点】
片山:遊飛(野木が好捕)
越智:遊ゴロ
石田:左前打
※テンポラリー走者に越智
後藤:遊ゴロ

<片山のレフト前に落ちそうな打球を背走して好捕するショートの野木>

【7回表・靜甲~0点】
泉:見逃し三振
山崎奈:右直
櫻井:セフティバント・三ゴロ

【7回裏・東海理化~0点】
阿部:二ゴロ
百瀬:見逃し三振
松本(打←麓):四球
※代走に川辺
河倉:遊ゴロ二封
※最後はショート野木がバックトス

<百瀬がファールを打った時に、なんとバットが根元からポッキリ>

<折れたバットはセカンドの守備位置まで。誰にも当たらなくて良かった>

<最後の打球、ショートゴロを二塁にバックトスでフォースアウトにする野木>


<試合終了~!>

<「優勝、わし!!」>

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