【2017年 第57回全日本実業団選手権 2日目】

【A会場第1試合~2回戦】

花王 100 0100…2-8-2
理化 400 202x…8-10-2

花王コスメ小田原:●山賀緋那子、大森知香、高橋悠衣 - 本田菜緒子
東海理化:○吉川瑞紀、河津かおり - 石田沙也佳
(本):
(三):百瀬篠、越智華奈子(理)
(二):越智華奈子、阿部千尋(理)
【テーブルスコア】

<戦評>
花王は初回、先頭の佐々木百合香がサードゴロエラーで出ると、2死二塁から4番大柴麗のボテボテのサードへのゴロ(記録はヒットか)を、再びサードの河倉郁美が焦って無理に投げて暴投するエラーで1点を先制する。
前回優勝の花王が先制。その決勝戦でタイブレイカーの走者以外で完全試合を達成したエースの山賀緋那子が先発ということで花王有利かと思われたがその裏すぐさま東海理化がひっくり返す。
先頭の太田清花が四球で出ると、犠打で送り、3番越智華奈子のレフトオーバー二塁打であっさりと同点。続く石田沙也佳が四球後、5番の後藤佑月がセンター前にヒットで逆転。さらに二三塁から百瀬篠がレフトオーバーの2点三塁打でこの回一気に4点が入った。ただ越智の二塁打、百瀬の三塁打ともにレフトの深江由樹の守備位置がやや浅く、追い方も悪くて頭上を抜かれた打球。巧く守れば、無失点で切り抜けられた回だったかも知れない。
東海理化はその後も攻撃の手を緩めず、4回には越智のタイムリーとダブルスチールで2点、6回にも越智と太田のタイムリーで2点を奪い、計8点を奪って花王コスメを突き放した。

花王コスメとして惜しかったのが1-6の5点差で迎えた5回表の攻撃。志村えりなと大柴麗のヒットの後、代打柿崎萌乃のタイムリーで1点を奪いなお一三塁。ここでキャプテン人見夕希の打球はセンターへ大きな当たり。入れば1点差に迫るスリーランだったがセンターフェンスギリギリで阿部千尋がキャッチし万事休した。

<昨年、完全時試合で優勝投手になった花王コスメの山賀緋那子。今年は今一つ>


<1回表4番大柴麗が三塁前にボテボテの打球>



<これをサードの河倉郁美が悪送球してしまい花王が先制点。河倉はその前にエラーしてたために取り返そうと焦ったな。ミスはすぐに取り返してはいけない。忘れなければ>



<1回表、深江由樹の左前打。前進してきた川辺ちなつが地面際で好捕かと思ったがわずかに地面に付いたか>


<1回裏、3番の越智華奈子が左越えエンタイトル二塁打であっさり同点>


<後藤祐月が中前にタイムリーで逆転>


<百瀬篠がレフトオーバーの三塁打で1回に4点目>


<百瀬の打球、レフトの深江由樹の守備位置がちょっと浅すぎたか>


<3回表、志村えりなの二遊間のゴロを好捕する太田清花。わずかに及ばずヒットに>


<3回裏、右中間にエンタイトル二塁打を放ち、ベースの上にちょこんと立つ癒し系の阿部千尋>


<花王は5回表、代打の柿崎萌乃がクリーンヒットを放ち1点を返す>


<さらに5回表、走者を二人置いて人見夕希が大きな打球もセンターフライに>


<6回裏、後藤祐月が三遊間へタイムリー内野安打を放ち8点目で突き放す>


【A会場第2試合~2回戦】

平金 000 0010…1-6-0
YKK 010 201x…4-9-1

平林金属:●岡崎栞菜、中村絢夏 - 外間光
YKK:○血分智香 - 青木千秋
(本):廣橋あかり(Y)
(三):宮坂佑希(Y)
(二):山本眞優(平)、関口紅里(Y)
【テーブルスコア】

<戦評>
YKKは2回裏、7番関口紅里の右中間二塁打を足がかりに、1番剣田あかねのレフトへライナーの犠牲フライで先制。4回にはYKKの秘密兵器、8番廣橋あかりがセンターに特大のツーランホームラン。6回にも9番大竹莉乃のセンター前タイムリーと、YKKは7番~9番の伏兵の大活躍で4点を奪った。
一方の平林金属は先発の岡崎栞菜が宮坂佑希に二塁打、三塁打を打たれながらも、初回は相手の犠打失敗、3回はエンドラン失敗などに助けられていただけに、4回に廣橋に浴びた一発があまりにも痛かった。
攻撃面でも6、7回に4安打を集め、特に6回には相手のエラーもあって無死満塁のチャンスをもらいながらも佐藤倫の犠牲フライの1点で終わったのが響いた。

<2回裏、先頭打者で右中間に良い当たりの二塁打を放ち塁上でガッツポーズのYKK関口紅里>


<4回裏、走者一人を置いてセンターに大きな本塁打を放つYKK廣橋あかり>



【B会場第1試合~2回戦】

靜甲 801 2…11-9-0
佐東 000 0…0-1-2
(4回コールド)

靜甲:○渡辺恵里花、藤田真理子 - 佐藤友麻、土屋允砂貴
佐川急便・東京:●鈴木伶奈、橋口麻弥 - 楠美瑞紀
(本):山崎奈美佳(靜)
(三):山崎奈美佳(靜)
(二):佐藤友麻(靜)
【テーブルスコア】

<戦評>
前日は佐川対決を制して2回戦に進んだ佐川急便東京だったが、さすがに靜甲相手では厳しい試合になった。
靜甲は初回、先頭の山崎奈美佳が右中間三塁打。その後、櫻井円香の適時内野安打、佐藤友麻の適時二塁打、麓みさきの適時打、中尾萌の2点適時打ときて、山崎奈美佳に再び回ってきたこの回2度目の打席でトドメのスリーランホームラン。結局この回、7安打2四球の猛攻で一挙8点を奪って試合を決めた。
佐川東京は靜甲先発の渡部恵里花の前になすすべなく、4回1死まで一人の走者も出せなかったが、2番宮崎結衣が三遊間をゴロで抜けるレフト前ヒット。コールド負け直前でパーフェクト負けを阻止した。

<保崎麻優、遠藤千夏の佐川東京の左中間コンビ>


<佐川東京のセンター遠藤千夏>


<佐川東京のライトはメガネ界のスーパーアイドル、面白メガネこと外岡羽織vv>


<4回表、靜甲は金川祐子のエンドランで10点目が入ったが、さらに一塁手の悪送球で11点目が入る>


<4回裏、三遊間を抜けるチーム初ヒットを放つ佐川東京の宮崎結衣>



【B会場第2試合~2回戦】

大和電機 230 0010…6-12-0
佐川中京 001 0000…1-4-1

大和電機工業:平木綾佳、○小西あかり - 岡村香織
佐川急便・中京:●松木あゆみ - 濱田夏希
(本):岩田英莉、望月朱里(大)
(三):濱田夏希(佐中)
(二):新田和音、望月朱里(大)、高山未由(佐中)
【テーブルスコア】

<戦評>
大和電機は1回表、無死一三塁から角山瞳が二盗。この時三走の望月朱里が飛び出し、2-4-5と送球が渡り三本間に挟んだものの最後は落球があって望月が本塁生還。佐川中京としてはこの走者をキッチリと殺しておけなかったのが痛かった。
大和電機電機はさらに2回表に9番に抜擢された岩田英莉がレフトに完璧なツーランホームラン。さらに1番の望月朱里が、セフティバントがギリギリファールになった後に狙いすましたバッティングでレフトに特大ホームラン。この2者連続弾で一気に5点差をつけた。

一方の佐川中京は3回裏、8番高山未由のライトオーバー二塁打を足がかりに1死三塁から2番渡辺愛美のショートへのタイムリー内野安打で1点を奪う。
その後1点を返され最終的に5点差とされた佐川中京だが、先発のエース松木あゆみが試合を通して終始落ち着いた丁寧なピッチング。序盤大量失点したが、3~7回は1失点に抑えてコールド負けは阻止。あの強力打線の大和電機を相手に、7回まで戦い抜けたというのは、佐川中京としては十分手応えの残る今年の実業団の戦いだったのではないだろうか。

<2回表、岩田英莉のツーランに続き二者連続のホームランを放った大和電機の望月紅里>


<2回裏、2死から右中間をライナーで真っ二つに破る三塁打を放つ佐川中京の濱田夏希。この小さな下位打者は、実はなかなかいいバッティングをしている>



<3回裏、ライトオーバーの三塁打を放つ佐川中京の高山未由。意外性の9番打者>


【A会場第3試合~準決勝1】

YKK 010 0000…1-8-1
理化 003 000x…3-6-0

YKK:●血分智香 - 青木千秋
東海理化:○吉川瑞紀、河津かおり - 石田沙也佳
(本):
(三):関口紅里(Y)
(二):宮坂祐希(Y)、片山郁乃、後藤祐月、越智華奈子(理)
【テーブルスコア】

<戦評>
試合はYKKが2回表、2死二塁から関口紅里が右中間を破る三塁打で先制する。関口は内野の守備位置を後輩に奪われライトに回って2年目だが、今年は復活。パワーがついて長打もよく出るようになった。
東海理化は1点を3回裏、先頭の河倉郁美がレフト前ヒットで出塁すると1番太田清花が送り、2番片山郁乃が右中間への二塁打で同点。続く越智華奈子がヒットと盗塁で二三塁となり2死後、後藤祐月がショートへゴロ。この正面へのゴロが直前で大きくイレギュラーしショートの宮坂が捕球できず、、結局これが決勝の2点タイムリーとなった。
YKK先発の血分智香も好投し8奪三振。1、4、5回はそれぞれ2三振を奪い東海理化打線を圧倒していただけに、3回のイレギュラー2点タイムリーはあまりにも不運な打球だった。

この試合、YKKでもったいなかったのが2点差で迎えた4回の攻撃。下記に詳細を載せたが、1死二三塁から大内麻里奈がライトに浅い飛球。タッチアップはできなかったが、この返球が逸れて打者走者に当たりそうになり、捕りに来た一塁手が激突。結果的に「守備妨害」ということで、三塁に止まっていた三塁走者の宮坂佑希がアウトになり、併殺となってしまった。

<終盤を締めて決勝進出を決めた東海理化、河津かおり>


<決勝の2点イレギュラーヒットなど、不運が重なり残念ながら3位に終わったYKKナイン+アナウンス少女>


【B会場第3試合~準決勝2】

靜甲 000 1101…3-8-0
大和 000 0200…2-5-0

靜甲:勢村香織、清水琴乃、○勢村香織 - 佐藤友麻
大和電機工業:●大串都未希 - 岡村香織
(本):佐藤友麻(靜)
(三):
(二):中尾萌(靜)、近藤紗帆(大)
【テーブルスコア】

<戦評>
今現在のチーム力的には「事実上の決勝戦」となったこの試合、期待通り接戦が続いたが、最後は靜甲が自力で突き放して決勝進出を決めた。
大和電機で痛かったのは7回に与えた決勝の1点。2死三塁から2番の櫻井円香の打球はセンターの前にふらふらっと上がる。あの打球はセンターの新田和音が軽くダイビングキャッチする場面を何度も何度も見てきた得意とする打球。今回も普通に捕球するかと思ったが、セカンドの角山瞳の守備位置が良かったのか悪かったのか、セカンドも捕れそうな打球でついつい深追いしてしまい、最後はセンターの前にポトリ。新田に任せていれば…、と、言ってもしょうがない「たられば」をついつい言ってしまいたくなるような不運な打球だった
ただ靜甲はさすがに試合巧者。4回に佐藤友麻の一発で先制すると、5回には櫻井円香が三塁走者とのエンドランを成功させて2点目。7回の決勝点の場面も無死一塁の走者をバントと内野ゴロで確実に三塁に進めるなど、やはり2部リーグ以下のチームの中ではワンランク上の試合運びを見せる。

大和電機は靜甲先発の勢村香織の前には4回まで無得点だったが、2点を追う5回裏、代わった清水琴乃を攻め先頭の代打岩田英莉がレフト前ヒットで出塁。1死後、頼りになる下位打者近藤紗帆が左中間をライナーで抜く二塁打を放ち1点差。望月朱里がレフトへのライナーで倒れるも良い当たりで、2番の中島瞳は敬遠気味に歩かせて2死一二塁になると靜甲は先発の勢村が再登板。しかし3番新田がレフトへ渋いタイムリーを放ち同点とする。ただその後は6回、7回を三者凡退で抑えられてゲームセット。2年ぶりの優勝はならなかった。

<靜甲先発のジャンパー勢村香織>


<大和電機の先発は新エースの大串都未希>


<0-0の4回表、靜甲の4番佐藤友麻がレフトに貫録の一発>


<3回裏、望月朱里のヒットなどでチャンスを広げるも無得点>


<5回裏、大和電機は近藤紗帆の左中間タイムリー二塁打で代走の今崎七海が生還し1点差>



<5回裏、一二塁から3番新田和音がレフトの前にしぶとく落として同点に>


<新田のタイムリーの後、一走の中島瞳が二三塁間に挟まれサード櫻井円香にタッチされるもボールがこぼれてセーフ。チャンスが広がるも、ここは逆転できず>


<7回表、先頭の中尾萌がレフトオーバー二塁打でチャンスメイク>


<7回表1死三塁から櫻井円香がセンターの前に。新田和音がダイビングキャッチするお得意の打球だったが、運悪くセカンドの角山瞳も捕れそうだったため深追いしてしまい、無念にもポテンヒットに>


<2年ぶりの優勝を逃し3位で終わった大和電機ナイン>


※とにかく死ぬほど暑いことで有名な実業団大会も、突然の大雨を挟みながらも順調に予定を消化し、あとは決勝戦を残すだけになりました。
決勝は「靜甲v.s.東海理化」という、ほぼ予想通りの組み合わせ。

※ところで、3-1の僅差の試合となった準決勝のYKKv.s.東海理化戦で、一つ揉めたプレー、判定がありましたので、その詳細をお伝えします。

(1)YKKの攻撃、1死二三塁で、打者大内がライトに浅いフライを打ち上げる。
(2)打球が浅かったため、三塁、二塁の走者はタッチアップせず自重し、そのまま。
(3)捕球した東海理化のライト越智から、カットのファースト百瀬への返球が右(ファールグラウンド側)に逸れる。
(4)逸れた返球を捕ろうとしたファースト百瀬が、アウトになった後の余力で走っていた打者走者の大内と交錯。
(5)交錯したためファースト百瀬が返球を捕れず、後逸し、ボールはバックネット裏に点々と転がる。
(6)ボールが逸れたのを見て、三塁走者、二塁走者がそれぞれ進塁する(三塁走者は生還)。
(7)東海理化ベンチからの抗議もあり、ここでタイムがかかり中断。審判団協議。
(8)協議の結果、守備妨害が認められ、本塁に一番近い三塁走者がアウトでスリーアウトチェンジ。
(9)この判定にYKKベンチが猛抗議するも、判定は覆らず。

以上です。
確かに返球を捕ろうとした理化のファーストと、アウトになった後のYKKの打者走者がぶつかってボールが点々と転がったのは事実。
でもその時点では二三塁のランナーは、元のベース付近にいただけ。
これでなぜ「守備妨害で三塁走者がアウト」となるのか、正直個人的には理解できません。
仮に守備妨害ボールデッドでも、2死二三塁から再開、とかならないんでしょうかね?
この判定が正解なら、外野手は返球するときにわざと走者の方向にボール投げて、それをカットの野手が捕りに行ってぶつかれば、簡単に三塁走者をアウトにできてしまう(笑)

【追記】
どうも状況が伝わっていないようですね、これが「守備妨害で三塁走者アウト」になるのなら、今後考えられるプレーの例を書いてみたいと思います。
●走者は1死三塁。
●打者はセカンドフライ
●セカンドはカットのファーストに投げる振りをしてアウトになった打者走者めがけて投げる。
●捕りに行ったファーストがアウトになった打者走者とぶつかる
●守備妨害で三塁走者アウトでチェンジ(三塁走者はホーム狙わずにベースに立っていただけなのに)これが審判さんのいう「ルール上正しい判断」のようです。
僕はルールの適用ミスだと思いますが。
日本リーグの審判的にはこれがまかり通るようですので、今後はこういう状況ではいくらでも三塁走者を殺したい放題ですね(笑)

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