今回の大垣大会では「守備妨害」を巡ってかなり揉めた場面があって、その後個人的にもいろいろ調べて勉強にもなったので、観戦レポートとは別の記事として書き留めておこうと思います。
【その1~走者が守備をしようとする野手に直接ぶつかっていなくても(触れてなくても)、守備妨害になることがある】
大垣大会2日目の太陽誘電対戸田中央総合病院の試合で、とにかく揉めに揉めたプレーがあったので、まずはそれをおさらいしてみようと思う。
<状況>
戸田中の攻撃、5回表1死一二塁のチャンスの場面でバッターは小沢佳那子。小沢が放った打球がセカンドの正面へのボテボテのゴロで、そのゴロをセカンドの丸本里佳が捕球する直前、目の前を一塁走者の坂本結愛が通過。その打球を丸本が半身で捕ろうとしてファンブルし後逸。そのままプレーが流れれば丸本のエラーとなり、打球が転がる間に二塁走者が三塁を回って生還し、戸田中に1点が入り、なお一二塁と続くはずだった。
<判定>
しかしここで二塁塁審が「守備妨害」を宣告。走者の坂本がアウトになり、「守備妨害発生前の投球時に占めていた塁に走者は戻る」という基本原則のため2死一二塁からの再開となった(戸田中は一三塁から始めようとしたが、それは初歩的な間違い)。
ただ走者の坂本は恐らくセカンドの丸本には直接当たっておらず、もちろん打球にも当たっていなかったので、この「守備妨害」の判定には戸田中の田上監督が大激怒。長時間の抗議で「あわや退場か」というところまで行った次第だ。
もちろん鮮明な写真や映像が残っていないので真相は不明だが、何人かこのプレーを見ていた人の証言も合わせてまとめると、事実は以下の二つ集約される。
●丸本が捕球する直前に、その目の前をギリギリで一塁走者の坂本がすり抜けた(結果的に丸本はファンブルしたが、このことは直接的には関係ない)
●一塁走者の坂本はセカンドの丸本に触れていないし、もちろん打球にも当たっていない
で、個人的な結論としては
<結論>
以上の事実から塁審が「守備妨害」を適用したのは、「正しい」
<理由>
田上監督は「走者は野手に絶対に当たっていない!」と激しく抗議していて、自分も最初は「走者の坂本は当たっていないから、守備妨害ではないんじゃない?」と思っていたが、帰宅してからルールを勉強したら、実は自分がルールをよく分かっていなかったことが判明した(笑)
簡単に言うと、
「走者が守備機会のある野手の守備を故意に邪魔をした場合(と審判が判断した場合)、守備妨害となる。もし走者が守備機会のある野手に触れたり、その打球に触れれば、問答無用で(故意か偶然かに関係なく)守備妨害となる」
というもの。
つまり、走者が野手に当たったかどうかは守備妨害の必要条件ではないということ。よく考えたら当たり前で、腕を広げて打球を目隠しすることもできるわけだし、野手に当たる当たらないは根本的には関係ないことなのだ。
この場面でも、打球を捕ろうとするセカンド丸本の直前を坂本が走って通過してるんだから、「体で打球を目隠しした」ようなもの。もうそれだけの事実で守備妨害になるだろう。塁審さんも自信を持って「走者と野手が接触したかどうかは本質的には関係ないんです。体がかすったかどうかまで審判が確認するのは不可能ですし。そんなことは関係なく、捕球に行ったセカンド丸本の目の前スレスレを坂本が通り過ぎているのだから、あれは故意に捕球の邪魔をしたと見なせます。よって守備妨害です」と伝えれば良かったのだ。
ただどうも塁審さんが「ちょっと当たった」みたいなことを言ってしまったようにも見えて、それで「当たった、当たってない」の水掛け論となり余計に紛糾したのかも知れない。とすれば、要らんこと言ったもんだ(笑)
とにかく塁審さんの今回の「守備妨害適用」は、何らおかしくはなかったと思う。ただ会場説明もなかったし、一二塁から試合再開することに関してもモタモタしていたし、その後の対応は不手際と言われても仕方がない。まああんなに激しく抗議されたら、審判さんも冷静で居られないし大変ですわな。同情します(笑)
しかしちょっと待てよと根本的なことが疑問になってきた。
ルールに書いてある「故意に邪魔をしたら守備妨害」って、審判が故意かどうかを判断することになっているが、そもそも故意かどうかなんて誰にもわからんだろうに。当の本人ですら咄嗟のことでわからないことも多いと思う。分かるとしたらそれこそ全知全能の神様だけだろうと(いるとして)。それなのに第三者の、しかもただの人間である審判に「故意かどうかを判断しろ」と明記している公認ソフトボール(野球)ルールって、ひでぇールールだ。ていうかこんなもんルールでもなんでもない、詐欺みたいなもん(笑)
【その2~打球が直接走者に当たっても、守備妨害になるとは限らない】
もう一つ、大垣大会2日目の第2試合でも守備妨害が一つあった。
大垣ミナモの攻撃で場面は1死一塁。
(1)打者奥あかねの放った打球は一塁手のすぐ横を鋭いゴロで通過。一塁手の田中真紀子が飛びついてグラブを出すも捕れず。
(2)しかし、この打球が真後ろを走っていた一塁走者の松井陽日を直撃。
(3)跳ね返った打球を捕ったセカンドの川畑瞳がひとまず一塁へ送球し打者の奥はアウト。この間に松井は二塁へ進んでいた。
(4)しかし当たった直後に間髪を入れずに一塁塁審が「ボールデッド、守備妨害」を宣告しており、一塁走者がアウトになり、打った奥が一塁に残って試合が再開された。
打球が走者に当たって守備妨害になるのはよく見るパターンで、それだけを考えると上記のケースは何の問題もないかありふれたもの。と、思いきや!
ついでにルールブックを読んでいたら、実はそんな簡単な問題じゃないということが判明した。
実はルールブックには要約すると「野手が守備をする前に打球が走者に当たると守備妨害」と書かれており、実は打球が当たったのが「守備機会の前か後か」が重要なポイントっだったのだ。
そしてその後に続く注意事項には、これも要約すると、
“(守備機会を終えた)野手を通過した打球が走者に当たった場合は、即座に「守備妨害」とはならず、当たらなかったらどうなっていたかを審判が判断して、守備妨害かそうではないかを決める”
ということらしい。
たとえば簡単に捕れそうなファースト左のゴロを一塁手がスルーしてしまった打球がランナーを直撃したとしよう。一塁手がトンネルした打球ならもっとわかりやすいか。しかもセカンドも二塁寄りにいたのでその打球のカバーもできず、ライト前に運ばれていたのが確実、と審判が判断したら、打球が直接走者(×打者、5月9日訂正、肝心な所を間違えてた)に当たっていても守備妨害にはならない、ということもあり得るということ。
今回の場面でも、(1)において、奥の打球はファースト田中のすぐ横を抜けており、そのまま一二塁間真っ二つでライトに抜けただろうと思われるので、「守備機会が済んだ打球が走者に当たった」と塁審が判断していれば、そのままプレーは続行されて(3)まで進み、結果として「2死二塁(二塁走者は松井)から試合再開」ということも可能性としてあり得たと言うこと。これには自分もルールブックを読んでいて驚いた。
ただあくまで審判の判断なので今回のように「守備妨害」とするのも何ら間違ってはいない。あの場面を冷静に考えると、ファーストの田中が飛びついてる横を抜けているので、「野手のすぐ横を抜けた」というように簡単な打球を後逸したわけではない。なので「打球が走者に直撃しているのに守備妨害とならないケース」にするのはちと無理はある。でもどうせならそういう「非情に稀なケース」というのを一度見てみたかったなあ~と今となっては思う。
ただあの場面で守備妨害をもし取らなかったら、そしたら今度はデンソーの監督が激怒して猛抗議してエラいことになっただろうけど。
もちろんそれはそれで見てみたかったとは思うが。揉め事大好き(笑)
8 comments for “【「守備妨害」に関するルールの再確認】”