【母子鷹(おやこだか)~ソフトボール選手がお母さん】

 第100回の記念大会で大いに盛り上がった今年の夏の全国高校野球選手権大会。
 金足農業の健闘がその大会に花を添えましたが、大会を通じて高校野球に関わるエピソードもいろいろとニュースになりました。

 そんな中で、岡山創志学園高校の2年生で代打でヒットを放った宮崎選手のお母さん「宮崎(旧姓児玉)千佳さん」が元ソフトボール選手で、しかも正式競技第1回目のアトランタ五輪メンバーの名選手だったことが報じられていました。創志学園野球部監督の長沢宏行さんが児玉さんの元夙川学院時代のソフトボール部の監督で、かつ当時のジュニア日本代表の監督でもあったのでまさに教え子。母子二代にわたって教え子になったということもまた、話題になりました。

<岡山創志学園の宮崎選手について報じた記事のスクリーンショット>

 ちなみに児玉千佳さんは太陽誘電に所属する三塁手でしたが、この当時の太陽誘電と言えば投手が日本代表のエース渡辺正子さん、キャッチャーに現日本代表コーチの山路典子さん、ファーストが選手兼任監督だった中田まりさん、セカンドが川島久美さん、サードがこの児玉さんで、ショートに「世界の安藤」こと安藤美佐子さんと、今の太陽誘電以上の完璧な布陣で、内野にゴロが飛んだら絶対に抜けることはないし、ピンチで内野陣が集まったらその日の晩ご飯の話をしていたとかいなかったとか。そういう「超一流」の選手の息子さんが創志学園の宮崎選手なのです。ちなみに児玉さんは当時の太陽誘電のトレーナーだった宮崎さんとご結婚なされて姓が宮崎になり、その後に大鵬薬品に移籍(お父さんの方がかな?)。現在は徳島県に在住されているようです。

 

 さて、その創志学園野球部で言えば、宮崎選手の一つ下、つまり現在の1年生に「有働選手」という有望な選手もいます。その有働選手のお母さんが元豊田自動織機のソフトボール選手の「田中英理」さん。その田中選手も夙川学院出身なので、長沢監督は夙川のソフトボール選手のお子さんを2年続けて面倒みるということになるわけです。

 

 この二つの例でもわかるように、「お母さんが元ソフトボール選手」という場合、結婚して姓が変わることが多いので、そのお子さんがソフトボールとか野球をやっていても実は気づかないことが多いのです。

 たとえば昨年のプロ野球日本シリーズ「横浜DeNA vs ソフトバンク」第6戦で始球式を努めたのが「山崎いぶき選手」。小学6年生でソフトバンクジュニア所属の野球少女で、豪快に投げ下ろす速球が見た人の度肝を抜きましたが、この山崎いぶき選手のお母さんが元松下電工のソフトボール選手でチーム一のスラッガーだった「竹内祐子」さん。これも事情を知らないと全く分からないと思います。
 そうそう、主旨は変わりますが始球式と言えば元デンソー監督で現東海学園高校監督の望月孝雄さんのお嬢さんも、よく刈谷大会の前などで始球式をされていましたね。

 

 元ソフトボール選手が母親で、子供もソフトボール選手(野球選手)というのは、こういう「姓が変わる」という理由もあって分かりにくいんですが、そんな中で自分が知っているのが昨年までHondaでキャプテンを務めていた「又吉薫選手」のお母さんが元豊田自動織機の選手で、現在YKK所属の「関口紅里選手」のお母さんが元倉敷紡績安城の選手だったこと。それくらいでしょうか。
 (その後、数名判明しました)
 以前日本精工にいたお調子者、「児嶋紗衣選手」と、Dream Citrineにいた大砲「児嶋麻由選手」姉妹の母さんが、実は松下電工に所属していた外野手だったようです。姉の紗衣さんは最近結婚しましたのでこれは三世にも大いに期待ですね。またシオノギ製薬にいた「小松沙奈江選手」のお母さんが元トヨタ自動車らしいです。控え選手ながらもソフトボールに対する気持ちがとても熱かった小松選手も、お母さんの球歴を見れば納得できます。
 またいわゆる「父子鷹」として高校野球界で有名になった前橋育英の「荒井監督(元社会人野球選手)-荒井海斗キャプテン」親子。全国制覇を成し遂げた最高の父子鷹でしたが、母親もソフトボール選手だったようです。母親の「寿美世さん」は野球部の寮母として陰で野球部を支えてきたわけで、父子、母子の二重の意味での「おやこ鷹」ですね。

 逆にお父さんがプロ野球関係者としては5年以上前に大和電機にいた「長島あゆみ選手」のお父さんが、たしか東北福祉大出初のプロ野球選手でロッテに入り、現在楽天のスカウト部長の長島哲郎さんだったはず。高校は仙台育英だけど書道部だったという異色の経歴のようです。

 

 では「母子」関係ではなく、現在や少し前にともに活躍している「兄妹(姉弟)」となると、これは姓が同じだし情報も入手し易いので、もう少しわかりやすくなります。
 一番有名なのが川端慎吾選手(ヤクルト)と「川端友紀選手」(女子野球)の兄妹でしょうか。友紀選手は現在では日本代表でも4番を打つ女子野球で最も有名な選手ですが、市立和歌山商を出た後にソフトボールのシオノギ製薬に投手として入団し、半年で蒸発した過去があります(笑)

 兄がプロ野球選手と言えば日立の「倉本美穂選手」の兄が現在横浜DeNAの倉本寿彦選手なのは有名なはなし。デンソーに所属している「江口未来子選手」の兄が元千葉ロッテの江口亮輔選手だったことも、知る人は知るかもしれません。昔で言えば、豊田自動織機に「野田祐加選手」という美人捕手がいたのですが、そのお兄さんが西武ライオンズにいた野田浩輔捕手。逆に弟がプロ野球選手としては、先にあげた創志学園野球部1年生の有働選手のお母さんの「田中英理」さんの弟が、甲子園で松坂大輔投手と死闘を演じた時のPL学園の選手で、後に横浜ベイスターズにドラフト1位で入団した田中一徳選手でした(現在は大学3年生)。

 (追記)さらに一人居たのを忘れていました。かつて豊田自動織機に2年ちょっと在籍し、今年8月の世界選手権にはカナダ代表のエースとして参加して大活躍だった「ダニエル・ローリー選手」。自身も幼い子供3人の母親ですが、このダニエルさんの弟がメジャーリーガーのブレット・ローリー選手。2017年にホワイトソックスを自由契約になってから現在はFA選手ですが、カナダ出身でトロント・ブルージェイズで活躍していた頃はまさに地元のヒーローでした。

 

 本当はもっともっと「元ソフトボール選手の子供さん」がソフトボールあるいは野球で活躍しているのでしょうが、今のところ自分が知るのはこれが精一杯の情報でしょう。聞いたけど忘れているのもあるような気もしますが…。

 女子ソフトボール選手が結婚してお子さんを産む機会も増えてきたように思えますし(某チームでは昨年1年間でここ数年来のOG選手に計10人以上のお子さんが産まれたようですし)、今後はますます増えていくでしょう。情報も入手しやすくなるでしょうし。

 ますます「母子鷹」として、女子ソフトボール選手の二世選手が活躍してくれることを期待しています。

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