【2010年開幕節2日目第3試合：ルネサス vs トヨタ】
トヨタ 000 0000 01…1
ルネサス 000 0000 00…0
トヨタ：アボット－渡邉
ルネサス：上野－峰
【先攻：トヨタ】
１（６）：ナターシャ・ワトリー
２（８）：前薗理恵
３（９）：藤野遥香
４（３）：伊藤幸子
５（５）：坂元令奈
６（Ｄ）：藤崎由起子
７（４）：鈴木美加
８（７）：小野真希
９（２）：渡邉華月
FP（１）：モニカ・アボット
【後攻：ルネサス高崎】
１（５）：山本優
２（３）：大久保美紗
３（８）：岩渕有美
４（２）：峰幸代
５（１）：上野由岐子
６（Ｄ）：中野久美
７（６）：蔭山遥香
８（７）：関友希央
９（４）：西川友理
FP（９）：城戸絵理沙
＜結果詳細＞ ←結果詳細はココ
【1回表：トヨタ～0点（投手・上野）】
四球のワトリーが二盗後、藤野がレフト前ポテンヒット。
ワトリーがこのタイミングで三塁へ。セーフかと思われたが判定は無情にもアウト。初回のこのアウト判定はトヨタには余りにも痛すぎた。
ただし、俊足のワトリーも意外と判断が悪い。そもそも余裕で三塁に到達すべき当たりではなかったか。
＜このアウトは大きな判定だった＞
【4回裏：ルネサス～0点（投手・アボット）】
今日もファールファールでアボットを散々苦しめた大久保。もはやファール打ちの名人、芸術家だ。
時折、「今のはバントでスリーバント失敗では？」と思うようなのもあるが、もはや審判を味方に引き入れるほどの名人芸だ。
【5回裏：ルネサス～0点（投手・アボット）】
無死からの連打でチャンスを作り、2死後に代打に出たのが西舘。昨年プレー中に転倒し肩を脱臼した因縁の球場に元気な姿で戻ってきてくれたが、さすがにアボットからヒットは奪えなかった。
この回、またしても中野がプッシュバントでアボットの頭を越す内野安打を放つ。
【6回裏：ルネサス～0点（投手・アボット）】
この回もファールで粘った大久保。観た試合で大久保のファール1球の度に貯金でもしようかと思うくらい見事にファールを打つ。
ただアボット投球前に2度、タイムをかけてリズムを崩そうとしたがさすがに2度目は球審から注意を受けて頭をかく（笑）
【7回表：トヨタ～0点（投手・上野）】
今日はいつも以上に迫力のあった上野。7回は三者三振。坂元はチェンジアップで完全に翻弄される
【7回裏：ルネサス～0点（投手・アボット）】
無死から峰のヒットでランナー一塁。続く上野もセフティーバントなどで揺さぶるが最後は三振で走者を進められず。
【8回表：トヨタ～0点（投手・上野）】
1死三塁と絶好の先制機に期待の鈴木が空振り三振。打てば早くスタートを切りたかった三塁走者の代走若月が飛び出してしまい痛い三振ゲッツー。
【9回表：トヨタ～1点（投手・上野）】
小野の進塁打で1死二塁から、9番渡邉が値千金のライト前タイムリーヒット。速い打球が前進守備の一、二塁間をまっぷたつ。
ただし、その後山本のエラーなどで築いた1死二、三塁のチャンスを前薗、藤野でモノに出来ず。この辺がまだまだ甘い。
＜相手のミスでもらった絶好の追加点のチャンスをものに出来ず。まだまだ甘い＞
【9回裏：ルネサス～0点（投手・アボット）】
最後まで力の衰えなかったアボット。
最後は1死三塁とされるも上野と中野を連続三振に切って取りゲームセット！
～ルネサス～
ある意味トヨタ以上に感心したのがルネサスのチーム作り。乾、三科が抜けてどうなってるのかと思ったが、予想を超えていた。
もちろん打線の小粒化は容易に予想できたのだが、それがたとえば西館を使わないなど自分の想像以上に小粒化していたことである。そしてそこが凄いと思った。
言うまでもなく上野のチーム。大怪我でもしなかぎり5年10年は防御率0点台を維持できそうな絶頂期である。要するに「1点」取れば勝てるのである。
もちろん峰や三科、他チームなら山田や馬渕みたいな選手が入ってくるならまだしも、そういう選手が出てこない以上、徹底的に「守備が上手くて足が速くてバントが出来る」という選手で固めようとしている。
こういう「明確な意図」を感じられるチームの試合は見ていて実に楽しい。
開幕戦は結果的にはアボットに完封され、バントも失敗して送れないなど随所に失敗もあったが、それでも上野にすらバントさせるなど徹底させていたし、相変わらず大久保はファールで粘りに粘るし、中野がアボットの頭上を越すルネサス必殺のプッシュバントも成功させた。
さらに幸運はレオパレスが廃部になってやってきた選手が蔭山だったこと。三科の後のショートを守れ且つこういうチーム作りにはうってつけの選手ではないか。
東女体大から入った新人もすぐに使えそうであり、ファンとしては点が取れない打線にやきもきするかも知れないが、それだけに昨年以上に「応援甲斐」のあるチームになるかも知れない。
～トヨタ～
勝つには勝ったが、ルネサスとは逆にがっかりしたのがトヨタ。
もちろん相手は上野なので18三振しても仕方がないのだが、攻撃にチーム全体として上野をどう攻めて崩すのかという意図が全く感じられなかった。
個々の選手の能力は非常に高いが、それでも上野と互角に戦えるのはワトリー一人。もちろん比較的上野に対応できる鈴木や藤野もいるが、点を取るためにはチームとして全体で攻める必要があるのではないか。
三振も速球に振り遅れてチェンジアップで泳ぐというワンパターンが実に多かった。真っ直ぐに絞るなら最初から3つ振る覚悟を、チェンジアップを待つならそれで三振しても責めないなど、ベンチとしての強い意図を伝えないととても上野には勝てないだろう。
今回は渡邉がタイムリーを放ってたまたまタイブレイカーで勝てたが、その後の1死一、三塁で策なく無得点に終わるなど課題ばかりが目についた。ルネサスならスクイズやエンドランなど、ダブルプレー覚悟で点を取りにくるはずだ。そこまでしないと上野から点は取れないと思った方がいいのではないか。
とにかく開幕一戦をみた限りの感想だが、今年もトヨタは最後の最後でルネサスに負けそうな気がしてならない。