【2010年1部リーグ決勝トーナメント~Game-2(トヨタ vs ルネサス) ~ 世界最高レベルの投手戦に決着をつけたのは伊藤幸子!】

【2010年1部リーグ決勝トーナメント~Game-2(トヨタ v.s. ルネサス) ~ 世界最高レベルの投手戦に決着をつけたのは伊藤幸子!】

※決勝トーナメント第1試合の織機v.s.ソフトウェアの記事では少々取り乱してしまった。
 どうもまだまだ織機の負け試合を冷静にレポートできない(笑)
 反省して、このあとはできるだけ穏やかに。

※小野選手の守備妨害については私が初歩的なルールを知らなかった部分があったので訂正訂しました。


ルネサス 000 0000 00…0
トヨタ自 000 0000 01x…1

ルネサス:●上野-峰
トヨタ:○アボット-渡邊

【テーブルスコア】


【1回~4回:両チーム無得点】
トヨタ自動車のアボット、ルネサス高崎の上野の投手戦は予想以上に互いの投手のライバル心が燃え上がり全く相手に打たれる気配もないまま4回を終える。
ここまで、アボット、上野ともに打者13人に対し死球一つのノーヒットピッチングと全くの互角。

【5回表:ルネサス~0点】
 先頭の蔭山が三遊間に転がすとワトリーが懸命に送球するも内野安打に。両チームはじめてのヒットが出る。
 ここで迎えるは好打者の中野。とくればルネサスがアボット相手にやってくるのは一つ。投手の頭の上を狙った“必殺のプッシュバント”である。
 しかし昨年も今年のリーグでもさんざん成功し相手を翻弄したこの必殺技が、この決勝トーナメントでは結局1度も成功せずに終わったのがルネサス敗退の大きな要因でもあった。
 この場面も、プッシュバントというよりややバスター気味にジャストミートすると打球はアボットの頭上を越えたまでは良かったがなんと伸びすぎてセンター前薗の正面に。
 これをダッシュしてきて捕球した時には一走の蔭山が二塁近くにまで走ってしまっており痛恨の併殺打となってしまった。
<ルネサス必殺のプッシュバント、バントバスターが出たが、打球が伸びすぎた>



<蔭山が一塁に戻れず併殺打に>

【5回裏:トヨタ~0点】
 2死から小野が投ゴロを放つと、これを処理した上野の送球が小野の肘に当たりファールグランドを転々。小野が一気に二塁を陥れ思わぬチャンス到来かと思いきや、判定は「守備妨害」。
 確かに小野はフェアゾーンを走っておりルール上はそうなるのかも知れないが、実際には右打者が一塁に走るときはほとんどすべてフェアゾーンを走ることになる。厳密に適用せずにプレーを流すことも多いと思われるのだが、この場合はルールを厳密適用した。
 同じようなシーンでアウトにされたのを以前一度だけ、中日対広島、打者谷繁で見たことがある。その時はその守備妨害で試合が終了したが、遵法主義者で有名な中日の落合監督が猛烈に抗議し、試合が終わって球場の電気が消されてまで延々と抗議を続けていたのを覚えている。
 明らかにフェアゾーンに膨らんで走ったならもちろん悪いが、まっすぐ走った場合にまでアウトにするのはどうなのだろうか。そもそもルールに問題があるからこそ、落合監督もあそこまで猛抗議したのだろう。以上、余談。
 ↑
 上記はそもそも私自身がルールをよくわかってなかった。間違いはとりあえずそのまま文章で残しておきたいと思う。
 この場面、よく映像を見たが小野が背中に当たったのがいわゆる「スリーフットライン」が引かれている一塁ベース寄りの位置でかつややフェアゾーンであった。この位置で当たれば明らかにルール上守備妨害だ。逆にスリーフットラインが引かれていないホーム側でなら、いくらフェアゾーンで走者に当たろうがアウトにはならないルールだ。要するにスリーフットラインが引き始められている場所より本塁側か、一塁側かでアウトかセーフかが分かれる。中日の落合監督が抗議したのは、このライン引き始めの位置より手前で走者に当たったという主張だったのではないだろうか。以上、余談

<小野の投ゴロは上野の送球が当たるも守備妨害に>

【6回裏:トヨタ~0点】
 2死からワトリーが初ヒットをレフト前に放ったがそれ以外の打者三人が空振り三振に倒れ無得点。
<7回、ようやくワトリーが上野からチーム初ヒットも無得点>

【7回裏:トヨタ~0点】
 先頭の藤野が四球で出ると、小技もできる伊藤が送りバントを試みるがこれが三塁への小フライ。ルネサス山本が飛びついてキャッチし、走者を進ませない。
 痛い犠打失敗だったが、すぐさま一走にすべてをかける俊足若月が二塁へ盗塁。伊藤の犠打失敗を取り戻す。
 ここでもう一つ問題のシーンが。
 打席に入った坂元は前の打席でもスラップ気味のバッティングをしており、この打席でもしきりと左足の置き位置を確認し、念入りにバッターボックスの一番前を踏み固める。
 「何かにおう、怪しいな」と感じていたら、やっぱりやった。
 打席の一番前で構えていた坂元が投球と同時にバッターボックス内を下がりながらバントの構えからバットを後ろに引いた。
 すると坂元の立ち位置に吊られ前に出てきたいた峰のマスクの喉部分に坂元が引いたバットが直撃したのだ。幸い峰はボールを落とさず捕球し、走者も二塁に止まったままだったのだが、判定は坂元がアウト。
 少々汚いラフプレーだが、足はボックス内からもちろん出ていないし当たったのも峰が前に出すぎた理由もあるのだが、やはり故意に妨害したと判断しアウトにしたのだろう。
 あそこは明らかにバントを引いて当てに行ったのだから、基本的にこの判断は間違いではないと思う。
 当てない程度に邪魔をするとか、気づかれずに静かに下がってスイングするときにグラブに当てるとかならなんとか頭脳的プレーの範囲内だったろうが。
 それでもまだ二塁に走者は残っていたがここは上野が高めの速球で藤崎を空振り三振に。ともかく両投手譲らずともに1安打無失点のまま延長タイブレイカーに突入する。
<先頭の藤野が四球で出るも、伊藤の送りバントがサードライナーに>



<打席の一番前に立っていた坂元が下がりながら引いたバットが峰に当たり守備妨害を取られる>



<サヨナラの走者は二塁に残っていたが藤崎が空振り三振>

【8回表:ルネサス~0点】
 先頭の蔭山が送りバントを失敗しキャッチャーファールフライ。続く中野が右に転がして走者をなんとか三塁に進めたが、期待の上野が空振り三振。先制点を奪えず。

【8回裏:トヨタ~0点】
 トヨタもまるで同じようにお付き合い。
 先頭の小野が上野の投球に対してセフティーバントするもキャッチャーフライで走者を進められない。上野相手にそんな舐めたバントが通用するはずがない。
 続く鈴木、渡邊も軽く三振で料理。9回に突入する。
<上野相手にセフティじゃ送れない>

【9回表:ルネサス~0点】
 先頭の西川がバントで送れず痛い見逃し三振。しかし続く関はきっちり送って2死三塁。この辺の徹底的なところこそがルネサスの強さの理由でもある。そしてアボット相手には最も頼りになる山本を迎え先制点が期待されたがここはアボットが渾身の力を込め空振り三振に切って取る。
<期待の山本だったが空振り三振に>

【9回裏:トヨタ~0点】
 そして運命の9回裏。
 冷静なルネサスバッテリーはワトリーを敬遠で歩かせ塁を詰める。ここで前薗がバントするも、三塁フォースアウトの場面ではいいバントが要求されることから気負ったか一塁側に上げてしまいワンアウト。3番藤野も空振り三振に倒れツーアウトとなり迎えるは4番の伊藤。
 その伊藤が放った打球は、速球に差し込まれどんづまりの当たり。しかしこの打球が伊藤の執念が乗り移ったかふらふらっと上がり一塁大久保の頭の上を越し二塁西川が回り込んで追いつくのがやっとの奇跡的な打球。
 全日本総合で見たHondaの田中清香の奇跡のコロコロ打球の再現を見るかのような絶妙のどんづまりで二塁から代走の中村がホームに生還。ここもよく走った。
 伊藤も一塁へ頭から滑り込んでセーフ。
 事実上の決勝戦と見る向きも多かったこの大きな大きな1位2位対決を制したトヨタ自動車が、大きく優勝に前進することとなった。
<先頭の前薗がバント失敗で送れず>



<藤野も高めを振らされ空振り三振>



<しかし最後は伊藤が決めた。どんづまりを執念で一塁の後ろに落とし、二塁から中村が好走塁で生還>



<大喜びの伊藤に若月が飛びつく>

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