【2010年1部リーグ決勝トーナメント~Game-3(ソフトウェア vs ルネサス) ~ ルネサス、三連覇の夢とだえる】

ル高崎 000 1000…1
日立ソ 010 200x…3

ルネサス:●上野-峰
ソフトウェア:○藤原-鮫島

 

【1回表:ルネサス~0点】
 初回、蔭山が藤原からファースト左に鋭い打球。これが一二塁間を抜けてライト右へ。抜ければ三塁打、バウンドによればホームランにもなりそうな打球を杉山が懸命に抑える。
 蔭山も好走塁で二塁を奪ったが、ここは藤原が落ち着いて岩渕をボテボテのゴロに打ち取る。この打球も難しいところに飛んだが藤原が軽快に処理し、二つの好プレーで無失点に抑える。

【2回裏:ソフトウェア~1点】
 先頭の馬渕が空振りの三振。続くはこの大会のラッキーガール杉山。常々、どうせ速球に力負けするのだから三振覚悟で上野が投じるチェンジアップだけを狙ってフルスイングしてくれる打者はいないかと思っていたが、杉山がこの大事な決勝トーナメントでそれをやってくれた。
 チェンジアップを狙い澄ましてフルスイング。そしてその場面でチェンジアップが甘く入るのがまさに「ラッキーガール」。
 ジャストミートした打球がセンターへ。岩渕がフェンスを乗り越えんばかりにジャンプするも届かず、貴重な先制ホームランとなった。
<ラッキーガール杉山がセンターへ先制のホームラン>

【3回表:ルネサス~0点】
 1死後、9番の西川がセンター前ヒット。続く山本がセカンド左を強い打球を放つと、難しいバウンドになるがこれを溝江が右手で素手キャッチ。抜けたらランナーがサードに進んでしまうところをなんとか抑えたことでセカンドフォースアウト。必死の守りでルネサスに点を許さない。
<山本の強い打球を溝江が素手で捕球し二塁アウト>

【4回表:ルネサス~1点】
 先頭の蔭山がレフトフライに倒れるも、岩渕がセンター前ヒット。しかしここで不可解な作戦で岩渕が二塁へ単独スチールを試みる。離塁に気をつけたような慎重なスタートだったことから二塁は楽々アウトに。その後のベンチの様子を見ていると、どうもサインミスだったようだ。
 痛すぎるサインミスだったが、これを取り返すのがさすが峰。藤原の投球を完ぺきに捉えると打球はレフトへ一直線。フェンスを大きく越えるホームランで同点に追いつく。
<岩渕が二盗失敗という痛いミス(サインミス?)の後、峰がホームラン>

 その後、蔭山の四球と中野のヒットで1死一二塁と一気に藤原を崩すにかかるルネサス。8番橋本もレフト前に運び、勝ち越しかと思われたが、ここで馬渕が目に見えないファインプレーをする。二塁走者蔭山の足、馬渕の肩を考えれば、ホームに十分還ってこれると思われたが、レフトの馬渕が気迫のチャージ。西京極に来てからの練習でも初戦の織機戦でもなかなかボールがグラブに収まらず、守備に関しては不調だったがこの場面は猛然とダッシュして返球する。
 今までのルネサスなら100%走っていたはずだ。そしてルネサスが最も得意とする場面でもある。打球がレフトに飛べばこっちのもの。蔭山の足、馬渕の肩を考えてもタイミング的には十分行けるし、もし微妙なタイミングになれば捕手の動きを見ながら走路を変え、送球を背中に当てれば済むのである。そういう練習はきっと何度も繰り返しているはずだ。
しかしこの場面では馬渕が勝った。体中から「絶対にホームには走らせない」という気迫があふれたプレーで走者を三塁に止めたことで勝ち越し点を許さず、続く西川を三塁ゴロに仕留め、結局1ホームランを含む4安打を浴びたこの回を1点で切り抜けた。
あの馬渕のプレーが、この試合で一番大きかったかもしれない。

<実はその後もルネサスはヒットを重ねチャンスを作ったが無得点。一二塁から>

【4回裏:ソフトウェア~2点】
 1点に終わったとはいえ、ルネサスが峰の一発ですぐさま同点に追い付いた時には「やはりルネサスは決勝トーナメントでは無類の強さを発揮するのかな」という印象だったが、この回すぐさまソフトウェアが勝ち越したのが大きかった。
 先頭の山田がレフト戦へ二塁打。前の回には西山がライトに三塁打を放っており、この西山、山田の代表コンビは上野相手にもしっかりと結果を出す。
 ここで迎えるのは4番の馬渕だが、こういう場面で打者が4番に回るというのが実はかなり作戦の立てづらい場面でもある。普通に打たせても良かったのではないかも思ったが、ただ最初の打席で馬渕が三振していることもあり、藤本監督が選択した作戦は送りバント。初球をセフティー気味のバントでファールになると、藤本監督が馬渕を呼び寄せアドバイスを送る。「とにかく何が何でもバントを成功させてくれ」というものだったのかもしれない。2球目はしっかりと打席で構えてのバントだったがファールに。次の投球もファールとなり、結果的に送れずにスリーバント失敗(結果は三振)となってしまう。
 しかしここで迎える打者は昨日の6番から5番に上がり先制ホームランも放っているこの大会のラッキーガール杉山。上野の投球をやや差し込まれながらもうまくレフト前に運び、一三塁とチャンスを広げる。
 そして次の林の場面でも、ひとつ大きなプレーがあった。
 カウントが整ったところで三走山田との間にエンドランをかけるも、この時の上野の投球が不運にもコントロールミスでインコース低めに。これでは林もバットに当てられず空振りし、万事休すかと思われたが、やや慎重なスタートを切っていた山田が空振りの瞬間にサードへ戻ると山本のタッチより一瞬早く三塁ベースに手を伸ばしてセーフ。杉山も二塁へ行き、この山田の好走塁で二三塁とチャンスを残す。
 こうなればまさに林の最大の魅せ場だ。何も考えずにとにかく思いっきりバットを振ることができる林は、この場面では最適な役者だっただろう。
 上野の渾身のストレートを芯で捉えると打球はサード山本の上を越えてレフト前に弾み、貴重な勝ち越し点を奪う。
こうなるともうソフトウェアのやること全てが上手くいく。
一走の林が二塁へ盗塁、峰からの送球を受けた蔭山がタッチしようとするがやや送球がそれたことから林が一瞬止まってからそれを交わしつつ二塁へ。鬼ごっこで逃げるようにうろうろ走り回ると思わず蔭山がその林を追いかけてしまう。
 見ていた自分もほんの一瞬だけ三塁に走者がいることを忘れてしまっていたが、もしかしたら蔭山も瞬間的にそうだったのかもしれない。
 その鬼ごっこを見た三塁走者の杉山がそこからホームへ。そしてとにかくこういう試合では何から何までうまくいくもの。
 蔭山から峰に送球され、峰がタッチに行くも杉山がこれを交わし回り込んでスライディングするが、回り込みすぎてベースに手が届かずにそのまま遠ざかる。
 峰がそのままタッチしに行けば普通にアウトだったのだが、球審のアウトセーフの判定を聞かずに一回のタッチプレーで終えてしまうという峰には信じられないミス。通り過ぎた杉山がこっそり戻りベースにタッチしてから峰が気付いても時すでに遅し。この重盗でソフトウェアが貴重な貴重な追加点となる3点目を奪った。

<3回の西山の三塁打に続き、この回は先頭の山田が左翼線に二塁打>



<しかし4番馬渕はバントで送れずスリーバント失敗>



<しかし杉山がヒットでチャンスを広げる>



<エンドラン空振り、山田が好走塁で帰塁、その後、林が勝ち越しのレフト前ヒット>



<林と蔭山の鬼ごっこの間に杉山がホームへ。峰のタッチを交わしすぎたが戻ってホームにタッチ>

【5回表:ルネサス~0点】
 先頭の死球王山本が死球で出ると昨年さんざんプッシュバントを成功させ、その小技一つでチームを優勝に導いた大久保が打席に入る。
 しかしこの試合2打席連続で三振に倒れている大久保がここでも信じられないミス。中途半端な強さのバントを投手前にしてしまい、そしてここでも藤原がダッシュして地面すれすれでキャッチする好プレー。飛び出した山本も戻れず痛すぎる併殺打となる。
<大久保のバントを藤原が地面すれすれで砂ごとノーバンキャッチ。併殺打に>


【6回表:ルネサス~0点】
 なんとかしてこの回に1点でも返しておきたいルネサスは先頭の岩渕がダウンスイングで斬ったような打球。おそらくかなり変則的な回転が加わり打球がどんどん左に切れたのではないか。
 名手山田がゆっくり追い続けるもどんどん打球が逃げ最後はグラブを出すも届かずでんぐり返し。二塁打となる。
 ソフトウェアバッテリーは、先ほど本塁打の峰とはここは無難に勝負を避けて塁を詰め、迎えるのは小技もできるベテラン中野。しかしこの場面でもルネサスはバントができない。この中野でさえ打球を上げてしまい、守備固めに入っていたファースト手塚が掴んでワンアウト。
 続く期待の上野もいい当たりだったがサード真正面の打球。林が落ち着いて捕球し、ベースを踏んでから一塁へ。5回に続く併殺打で最大のチャンスをつぶしてしまう。
<先頭の岩渕が左中間に二塁打>



<しかし中野が痛恨の犠打失敗>



<上野の一打に期待が高まったが、打球は不運にもサード正面。併殺打となる>

【7回表:ルネサス~0点】
 そして最終回。先頭の山本が四球で出て、ここでようやく大久保が投手前に犠打を決めたがあまりにも遅すぎた。
 昨日から数えて4つのバント失敗というルネサスの試合とはとても思えない下手な試合運びで完全に自滅。
 最後の打者、蔭山もセカンドゴロに倒れ、三連覇を狙ったルネサスの野望はここでついに途切れてしまった。
<今年のルネサスをここまで強くした影の立役者、蔭山が倒れるという象徴的な最後でゲームセット。三連覇は夢と散った>


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です