【2011年開幕節第6試合(2日目):日立ソフトウェア v.s. トヨタ自動車~痛い走塁ミスでソフトウェアが惜敗】
日立ソ 000 0010 …1
トヨタ 000 020x …2
日立ソ:●藤原-鮫島
トヨタ:○アボット-渡邉
【先攻:日立ソフトウェア】
1(6):西山麗
2(4):溝江香澄
3(8):山田恵里
4(5):林佑季
5(9):杉山真里奈
6(3):濱本静代
7(D):眞鍋幸維
8(2):鮫島憂子
9(7):田邊奈那
FP(1):藤原麻起子
【後攻:トヨタ自動車】
1(6):ナターシャ・ワトリー
2(8):前薗理絵
3(9):藤野遥香
4(5):坂元令奈
5(3):濱本静代
6(4):溝江香澄
7(7):小野真希
8(D):長崎望未
9(2):渡邉華月
FP(1):モニカ・アボット
※テーブルスコア←
<写真の説明>
1:トヨタから一人(藤崎)、ソフトウェアから四人の連盟表彰選手で写真を撮ろうとしたら…
2:ソフトウェアの山田が何か提案、
3:するとトヨタの藤崎を真ん中にして並び替わって、
4:はいポーズ!!(アナウンサーの方もこれには賞賛)
5:銀「お~いやまだ君、山田くんに座布団20枚やってくれ!」
以下、試合経過
【5回表:ソフトウェア~0点】
この回先頭の杉山の強い当たりをショートワトリーがファンブルし一塁へも悪送球。手塚がバントで二塁に送った後、七番に入っているDP眞鍋がアボットからセンター右後方に大きな当たり。名手前薗の差し出すグラブの先を抜ける完璧な二塁打となるが、二塁走者のベテラン杉山が判断ミス。タッチアップ体勢からのスタートがかなり遅れてしまい本塁へのスライディングもミスしてタッチアウト。痛すぎる走塁ミスで先制機を逃してしまう。
<先頭の杉山の強いゴロをショートワトリーがファンブル>
<DP眞鍋がセンター後方に会心の一撃>
<センター前薗が懸命に追うも届かない>
<杉山が懸命にサードをまわりホームに突っ込むが、ホームでも無理に回り込んでしまったせいでベースに手が届かない>
【5回裏:トヨタ~2点】
この回先頭の新人長崎が藤原のチェンジアップを上手く拾うもファースト手塚がジャンプ一番好捕。抜ければ三塁打の当たりを食い止めピンチを救う。しかししぶとい九番渡邉にレフト前ヒットを打たれ、一番ワトリーには計算通りの四球も、二番前薗に死球を与えたのが痛かった。うちに行った前薗の膝をかするという不運な死球で満塁とピンチが広がり、迎えたのが藤原の中学、高校の1学年後輩でもある三番藤野。
その藤野を詰まらせボテボテの当たりに打ち取るも飛んだコースが悪く、藤原の足下をゆっくりと転がってセンターへ抜ける2点タイムリーとなる。この恩知らずな後輩の詐欺みたいなヒットでトヨタが待望の先制点を奪う。
<長崎のリーグ初ヒットと思われたがここは途中出場の手塚が好捕>
<打ちに行った前薗の膝をかする不運な死球で満塁とピンチが広がる>
<この場面で決めたのが藤原の後輩、藤野>
【6回表:ソフトウェア~1点】
ソフトウェアは1死一三塁のチャンスを作って打者は山田。この場面、作戦の是非は問われるが1点を取りに行ったソフトウェアはダブルスチールで一塁ランナーを殺しつつも三走を生還させたが、逆に言えばトヨタ側は三走を無死しながらも確実にアウトを増やすためにセカンド送球して二盗走者を刺した。
打者は山田の場面。一気に逆転を狙うなら一人のランナーも無駄にはしたくはないが、とにかくまずは1点取りたかった場面でもある。何があるかわからないリーグ戦を考えると負けるにしても2-0で終わるより2-1で終わる方がいいことも確か。
互いにどういう意図の元のプレーだったかはわからないが、ソフトウェア側にとってもトヨタ側にとっても非常に興味深い作戦であったことだけは確かだ。
ただ結局は1点が届かず試合終了。トヨタとしては無難に勝った試合だったが、逆にソフトウェアにしては「馬渕は抜けたが今年もなんとかやれそうだ」という手応えをつかんだ試合になったかも知れない。
【ソフトウェア~痛すぎたベテランの走塁ミス】
ソフトウェアには余りにも痛すぎるベテランの走塁ミスだった。
眞鍋のセンターへの大きな当たりで二走の杉山がタッチアップ体勢。さらにホームへも無理に回り込んでしまいアウトになった。普通にハーフウェイで打球を見て普通にスタートし普通に滑り込んでいたら余裕でセーフだった。たとえ捕球されていても、ハーフウェイから戻ってリスタートしても十分サードに行ける打球だった。
もしかしたら杉山にはベテランならではの先入観が邪魔をしたのかも知れない。打球の方向とセンター前薗の守備力を判断し「絶対に捕球する」と判断してしまったのではないか。そしてホームへ滑り込んだ場面も、トヨタの中継プレーならホームへストライク返球がくるものと思いこんでいたのではないだろうか。中継の鈴木美加からの返球がベースからやや逸れて高く浮いたが、それを立って捕球する捕手渡邉に杉山は自らタッチされに行ったような形になってしまった。
それとネクストで待つ鮫島が杉山にスライディング方向を指示せず突っ立て見ていたのも隠れたミスと言えるだろう。とにかく普通にプレーすれば入っていたはずの貴重な先制の1点が入らなかった、ソフトウェアには痛すぎる走塁ミスだった。まあ先入観が邪魔をしたという部分では、「眞鍋が打った」ことにビックリしたのもあったのかも知れないが(笑)
ただこの場面、もしかして杉山が「タッチアップで一気にホームまで行ってやれ」、と考えていた可能性もあったんだろうか。さすがにそれはないか。
【トヨタ期待の長崎、デビュー戦は可もなく不可もなく】
とにかく今年唯一にして最大の変化がチームの支柱だった伊藤幸子の引退と、その背番号8を受け継いだ次世代ジャパンの宝・長崎望未の加入だ。
その長崎が開幕でどんな結果を残すかも大きな楽しみだったが、そこは百戦錬磨の藤原麻起子が軽く料理して面目を保った。
とくに最後の打席が面白かった。打つ気がないと見るや1球目、2球目でポンポンとストライクを取り簡単に追い込むと、定石通り次の球は外角に外して1ボール2ストライク。
この場面、高校生レベルや今までのオープン戦でなら当然のごとく次は勝負しに来ただろうがこのバッテリーがそんな甘いはずはない。絶対に振ってくると確信したソフトウェアバッテリーが次のボールに真ん中高めライズを選択すると、釣られた長崎が手を出して空振り三振。まさに赤子の手をひねるように簡単に打ち取ってしまったのだ。
長崎に学習能力があれば次は引っかからないだろうが、わざとスリーボールにしてからでもピッチングを組み立ててくるのが藤原の持ち味。それに長崎も2打席目はしっかりチェンジアップをバットの芯に当てている。この若き天才打者と超一流の技巧派投手藤原の対戦は今後も楽しみで仕方がない。
<ストーリーのある4球で怪物新人長崎を簡単に三振に打ち取ったソフトウェアバッテリー>
<軽~く、一丁上がり!といったところか>