【2011年第6節札幌大会二日目第1試合~夢の対決第2章は靜甲が雪辱果たす】

 ルネサス対トヨタ自動車という首位を争う対戦ももちろん楽しみだったが、やはり個人的にはこの試合、大鵬薬品対靜甲が何よりの楽しみだった。そして期待通りの好ゲームで北海道まで見にきた甲斐があった。また来年もこの2チームの対戦をぜひとも1部の舞台で…。



【両チーム先発メンバー】

【先攻:大鵬薬品】
1(5):佐藤光紗
2(4):酒井かおり
3(D):中山亜希子
4(7):佐々木瞳
5(9):千原香奈
6(6):稲垣ゆみこ
7(2):三崎奈緒
8(3):大村英利佳
9(8):上釜恵
FP(1):井俣茉莉

【後攻:靜甲】
1(8):植松尚子
2(5):白井奈保美
3(7):原田(滝)真由美
4(3):計盛志津子
5(D):萩藤寛子
6(9):白井加奈絵
7(6):松井志帆実
8(2):田中美穂
9(4):尾方栄里
FP(1):鈴木麻美


大鵬 0100010…2-11-0
靜甲 0000201x…3-8-0
大鵬薬品:●井俣茉莉-三崎奈緒
靜甲:鈴木麻美、○河部祐里-田中美穂
(本):稲垣ゆみこ
(二):稲垣ゆみこ



【戦評】

 普通、好きなチーム同士の対戦の場合は五分五分で応援するのだが、この2チームに関しては完全に10-10の力の入れよう。どっちが勝っても嬉しいし負けても悔しいというなんとも複雑な心境になるのだが、やはりこの2チームが1部の舞台で試合をしてくれるということそのものが何より嬉しい。今日は大鵬が負けてしまったが前半戦勝利しているので1勝1敗。なんとか結果はタイで終わってくれたので正直ホッとしている。

 ただそれでも入れ替え戦回避も考えると大鵬にとってはかなり痛い敗戦には変わりはない。勝って計4勝にしておきたかった展開で、靜甲を上回る11安打を放ち再三チャンスを作りながらもどうしてもあと1本が出なかった。特に3回の1死満塁、6回の2死満塁の二度の満塁機を逸したのが響いたのだが、3回はこの日絶好調の稲垣が、6回は強打者の中山がともに捕手ファールフライに打ち取られた。二つの場面はまさに強気を身上とする相手投手河部の真骨頂が出た投球で、特に中山などもはやリーグ屈指の強打者なのだから、ここは抑えきった靜甲の河部を素直に褒めたい。
 大鵬はその河部と鈴木に対して11安打と打線は好調で、負けはしたが井俣も完投。梅津も小澤もいいので何とかしがみついてでも今年1部に残留すれば来年はいよいよ飛躍の年になれる。中山、佐々木の三四番など今やリーグナンバー1の実力、勝負強さで、若手も順調に育ってきており、冗談抜きで来年はベスト4も狙えるようになる。そのためにも残り9試合がまさに正念場だ。

 さて勝った靜甲、つい2週間前に国体予選で大学生に負けたのを見て心配したがリーグにはなんとか調子を戻してきた。原田も攻守に活躍したし計盛、萩藤もしっかり仕事をしていた。そんな中でやはり大きいのは2番白井奈保美の働き。1打席目のヒットの後、1死一塁から二度の送りバント成功に最終回は死球での出塁と、レオパレス時代と変わらないいぶし銀の働き。やはり靜甲にとって彼女の加入は大きかった。
 そして最後に決めた菊池美咲。この靜甲の代打の切り札はとにかく勝負強い。どんづまりだろうが振り遅れようが不思議と野手のいないところにボールを落とす。この日のサヨナラ打もどんづまりがレフトの前に落ちるこれぞまさしく菊池の打球。今後も彼女の打席には注目だ。
 ただ今日勝ったとはいえまだ2勝。残留するには最低でも3勝の上積みが必要で、ルネサスに勝った大鵬、ソフトウェアに勝ったシオノギのようにやはりどこか強豪を倒す必要がある。もちろんライバルを倒す必要もある。そういう意味で織機、シオノギと戦う次節の地元静岡大会は今シーズン最大の山場かも知れない。とくに開幕戦で惜しい敗戦をしたシオノギ戦は最大の1戦。この試合に全精力を傾けて何としてでも勝利を得たい。


※b=ボール、s=ストライク、f=ファール、ただし一部不明なので参考までに


【1回表:大鵬~0点(鈴木)】

佐藤光:(sfbb)一直
酒井:(bbs)三ゴロ
中山:(bss)左前打
佐々木:(b)三邪飛

【1回裏:靜甲~0点(井俣)】
植松:三ゴロ
白井姉:(sbbbs)中前打
原田:(ff)遊ゴロ二封
計盛:(sbs)三ゴロ・好プレー

【2回表:大鵬~1点(鈴木)】
千原:遊内安(普通のゴロだが俊足でセーフ)
稲垣:(bffb)中飛(エンドラン進められず)
三崎:(b)一犠打
大村:(bbsffbf)中前打
 ※強肩植松で俊足千原も三塁ストップ
上釜:(bs)左前適時打
佐藤光:(bf)二ゴロ

<2死二塁からのセンター前で、二走は普通のショートゴロをセーフにしてしまう俊足千原だったが、肩のいいセンター植松を考えてここは無難にストップ>

<この何としてでも点を取りたい場面で、後半調子のいい上釜がレフト前に奇麗な流し打ちで先制のタイムリーを放つ>

【2回裏:靜甲~0点(井俣)】
萩藤:(sbbsb)三ゴロ
白井妹:左前打
松井:(sbs)三-遊ゴロ(サード佐藤が弾き稲垣がカバー、タイミングは微妙も稲垣好プレー)
田中:(bssbb)見逃し三振

【3回表:大鵬~0点(鈴木、河部)】
酒井:(ss)投ゴロ
中山:(sbbsbff)四球
佐々木:左前打
千原:左前打
 ※投手交代、鈴木麻美→河部祐里
稲垣:(sb)捕邪飛
三崎:(sbf)右直

<中山、佐々木、千原の大鵬自慢の強力クリーンアップに作られた満塁機にリリーフした河部>
<稲垣をキャッチャーファールフライ、三崎をライトライナーに打ち取りピンチを脱する>

【3回裏:靜甲~0点(井俣)】

尾方:(fsfbbb)四球
植松:(fb)三ゴロ二封(三前セフティーバントも正面強すぎた)
白井姉:捕犠打
原田:(ss)投ゴロ

【4回表:大鵬~0点(河部)】
大村:(bfbf)見逃し三振
上釜:(sbf)一ゴロ
佐藤光:(sb)左飛

【4回裏:靜甲~0点(井俣)】
計盛:(bbsbf)四球
高橋尚子(←萩藤):(fb)三小飛(送りバント失敗)
白井妹:(sbsff)左直
松井:(f)左前打
田中:(sbbf)遊ゴロ・走者タッチアウト

【5回表:大鵬~0点(河部)】
酒井:(b)三邪飛
中山:右前打
佐々木:(sb)中直
千原:右飛

【5回裏:靜甲~2点(井俣)】
尾方:(sff)見逃し三振
植松:(b)三前バント安
白井姉:(b)一前犠打
原田:(ss)左前適時打
計盛:(bbfb(wp))四球
RE萩藤:右前適時打
白井妹:(sf)遊ゴロ三封
 ※三遊間ヒット性の打球、稲垣が捕ってそのまま三塁へダイビング、間一髪アウト!

<2死二塁から原田がレフト前に同点のタイムリー>
<さらに萩藤がライト前に逆転タイムリー。名手酒井が差し出すグラブのわずか下、紙一重の一打>
<さらに白井妹が三遊間にヒット性の当たりもショート稲垣が回り込んで捕ってそのままサードへダイビング!ナイスプレー!>

【6回表:大鵬~1点(河部)】

稲垣:()左越本塁打
三崎:(bsbbf)一ゴロ
ph松本さとり(←大村):(fbf)左飛(大)
 ※原田が走って好捕
上釜:(bbs)中前打
佐藤光:(f)投強襲安
酒井:(bbbs)四球
中山:(fsbb)捕飛
 ※2死満塁で強打者中山の大ピンチも、またしても河部が踏ん張った

<今日絶好調の稲垣が値千金の同点ホームラン!>
【6回裏:靜甲~0点(井俣)】
 ※ファーストに大村が再出場
松井:(sbsfb)左前打
田中:一犠打
 ※二塁代走に中村夏美
ph吉田早希(←尾方):(sbsbfb)空振り三振
植松:(ssb)空振り三振

【7回表:大鵬~0点(河部)】
 ※ショートに松井が再出場
佐々木:(sbff)右飛
千原:(b)左邪飛
稲垣:(bs)左中間二塁打
 ※二塁代走に佐藤このみ
三崎:中飛

【7回裏:靜甲~1点(井俣)】
 ※稲垣がショートに再出場
白井姉:(bbb)死球
原田:(b)不正打撃(バント成功させたが足がボックスを出る)
計盛:(bbbs)一犠打(セフティバント)
萩藤:(bbb)四球(敬遠)
菊池美咲(←白井妹):()左前サヨナラ適時打

<原田に送りバントは心配したが何とか成功、と思いきや足が完全にボックスを出ていて不正打撃アウト(上)、しかし計盛がきっちり送りバント。靜甲は今日1死一塁から三度目の送りバント>
<このサヨナラ機に代打の切り札、菊池のどんづまりの打球は、この日絶好調の大鵬のショート稲垣が差し出すグラブですらわずかに届かないいかにも菊池らしい打球>
<このいかにも菊池らしい一打で靜甲がサヨナラ勝ち。後半戦初戦で待望の2勝目をあげた>

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