【2008年入れ替え戦特集をするに当たり】
毎年11月の初旬、西京極球場において日本リーグベスト4のチームによるページシステムの決勝トーナメントが行われるが、その直前、伊豆は天城ドームにおいて1部11位と2部2位のチームによる入れ替え戦が行われる。
ソフトボールの1部2部の差は、実はとてつもなく大きい。1部は年間22試合を全国各地の球場において多くの観客を集めて開催される。一方、2部リーグは年間17試合前後、対戦相手も1度きりで、会場もほとんどがその辺の公園のグランドのような場所であり、球場を借りることもまずない。1部に残留するか、2部に落ちるかは、試合環境としてはまさに天と地の差なのである。特に1部を長年経験した選手にとっては悔しいものもあるのではないだろうか。
(ただ見る側からすれば、ほとんどベンチの横にまで立ち入れて、選手と同じ目線で試合を見られると言う素晴らしい環境であり、2部の試合を見るのが大好きだと言う人も中にはいるが)。
そうある意味、決勝トーナメント以上に熱い戦いがそこにあるのだが、なにぶん一般人がおいそれとは観戦に行けないような伊豆の糞田舎の公共交通機関皆無の球場が開催地であり、しかも平日に行われることから観戦に訪れる一般のファンはほとんどいない(僕もいつも行けない)。
ただそんな熱い戦いを一ファンとしては放っておけないので、今回見に行けないせめてもの罪滅ぼしに、と両チームの紹介をさせてもらう気になった(他にやってくれそうな人がいなくなってしまったー)。
まずは1部11位のシオノギ製薬から紹介します。
今からととやで飲み会なのでここまで。投手の紹介や写真の添付は、飲み会後に死んでなければ今日やります(その可能性は限りなくゼロに近いですが)。
明日は、二日酔いで死んでなければ靜甲をお届けします。
【シオノギ製薬~古豪チームの危機脱出なるか】
日本リーグきっての古豪である。チーム創立60年はトヨタ自動車の61年に続いて2番目の古さである。今年41年目を迎える日本リーグ設立当初からの所属チームであり、ここ17年は一部の常連である。最近10年間では99年に4位になり決勝トーナメントに進出もしたがここ最近はやや低迷している。それでも入れ替え戦回避の10位にはギリギリで踏みとどまってきたが、とうとう今年は11位になってしまった。クラブの歴史上の大ピンチである。
昨年も同じように苦戦し、5勝17敗のギリギリ10位。それでも後半のルネサス戦ではエース松村歩が好投し、1-0で上野に投げ勝つ大金星もあげた。しかし今年はその松村投手が不調で、ジュニア日本代表でもあった左のエース安福投手も今ひとつ、3番手高崎投手の踏ん張りで試合を形にしてはきたが、結局はシーズントータルで戸田中からの2勝、マクセル、佐川からの各1勝の計4勝止まりと、上位チームには全敗でシーズンを終えてしまった。昨年の戸田中と立場が逆転してしまったわけだが、戸田中は今年の後半戦で日立ソフトウエアを破っている。10位以内に入るには、やはりどこか強豪から金星を上げる必要があるのだ。
戸田中がデンソー、佐川といった強いチームと対戦する最終節、1勝すれば残留が決まる最終戦の相手は最下位で2部降格が決定している日立マクセル。その今シーズン1勝の相手にほとんど手中にしていた勝利を、4回二死満塁からセンターの名手・高木の落球で3点を奪われ逆転されるという考えられないプレーがきっかけで、逃してしまった。この明るくて常に一生懸命なチームが、今まで味わったことのない「勝たねばならない」という強烈なプレッシャーに押しつぶされた瞬間であった。そしてそれ以上の重圧をうけて挑む入れ替え戦である。どれだけ気持ちを入れ替え、楽な状態で試合に挑めるか、すべてはそこにかかっている。
かつて日本代表Bの監督も勤め人間的な魅力に溢れた名将・亀井監督から監督を引き継いだのが上田監督である。今年からは亀井総監督が抜けて上田監督が単独で率いるチームになった。亀井監督と上田監督はその風貌があまりにも似ているため間違える人が続出しているが、上田監督もなかなかの監督である。ベンチの雰囲気を見ればわかるように、伝統的に抜群のチームワークを誇り、選手たちもみんな仲が良くいつもまとまっており、それもファンをひきつける要素である。また他の1部強豪チームが外国人選手や有名高から積極的に補強するのに対し、地道に選手を集めチームを作りあげる姿には根強いファンも多い。
さらにシオノギと言えば、手作りの特製ブロマイドや、シオノギ製薬関連グッズを試合前に無償配布するなど、応援団が醸しだすアットホームな雰囲気や気前の良さはリーグ1であり、試合会場に足を運んでシオノギの応援団と直に触れあい、一発でファンになってしまう人も多い。
その抜群のチームワークでこの最大の難局を乗り越えることができるか、監督やコーチ、選手全員のまさに正念場である。
ただ入れ替え戦の結果はどうあれ、少なくとも今の選手たちにとっては、この経験は何ごとにも変えがたい素晴らしい財産となるであろう。
【主な選手の紹介:野手~打順(守備)「背番号」(今シーズン成績)~】
1(5):宮幸代「8」(22試合、63打数、打率0.190、打点4、二塁打2、本塁打2)
打率はやや低いが長打力のある1番打者。マクセル戦で見せた先頭打者ホームランの飛距離は驚愕であった。2007年も1年間を通してのチーム唯一のホームランを放ったのはこの宮である。
開幕戦先頭打者ホームランを放ったのがチーム最終戦でその試合2安打している。その勢いをなんとか持続したいところだ。
2(7):田城博美「5」(22試合、64打数、打率0.234、打点3、二塁打4、本塁打1)
1番やクリーンアップも任されることもあるが、ここのところ2番に置かれることが多いようだ。宮が凡退した後にここからチャンスを作ることも多い。シオノギ打線の中でのキーパーソンで、田城が打つかどうかで試合が左右されることも多い。実にチャンスに強く頼りになる打者でもあり、8、9、1番の頑張りで、なんとか田城の前にランナーをためたいところだ。
3(9):安田真富果「28」(22試合、62打数、打率0.306、打点1、二塁打4)
今年のシオノギ打線唯一の3割打者。最終戦までギリギリ3割を続けていたが、最終戦でも2本ヒットを放ち、なんとか3割台をキープした。固め打ちは少ないが、1年間を通して平均して打ち続けた安定感がある。この選手もセカンドの藤田と同じように体全体に気合をみなぎらせるガッツ溢れる選手だ。
4(D):津本麻美「10」(20試合、43打数、打率0.209、打点4)
DPとしてシオノギの4番を打ち続けるシオノギの主将。2006年にはDP部門でのベストナインも獲得し、また日本代表Bに顔を並べていたこともある。シオノギ打線の核である。しかしながら今年は実力に見合った結果を出せていない。入れ替え戦において力を発揮できるか、津本の活躍も大きなウェイトを占めている。
※注目選手
5(8):高木由美子「7」(22試合、58打数、打率0.224、打点4、本塁打1)
センターの名手として数々の好プレーで何度となくチームを救ってきたが、最終戦のマクセル戦で難しい打球に追いつきながら落球してしまいマクセルに逆転負け、結局は10位の戸田中に及ばなかった。しかしながら彼女の今までの好守を思えば、それでもお釣りがくるくらいだろう。
その最終戦においての一時はマクセルを突き放すツーランは圧巻であった。今年はやや打率は低かったが、昨年はチーム唯一の3割打者。
走攻守全てにおいて高いレベルを見せる選手。マクセル戦での失敗なんて何とでもなる。是非気持ちを切り替えて頑張って欲しい!!
6(3):増野由佳「3」(22試合、60打数、打率0.133、打点3、二塁打1)
グラブ捌きの美しい左投げの一塁手。右左への難しい打球を華麗なグラブ捌きでうまく処理してしまう。体の柔軟性が抜群で、間一髪のゴロを捕球するときは両足を180度開いて精一杯体を伸ばして捕球する。
7(2):橋元春華「12」(19試合、44打数、打率0.182、打点3、二塁打1)
投手3人を併用するシオノギであるが、捕手もその日のおもにリード面での調子によって橋元と松村昌を使い分ける。昨年はほぼ同じ試合数であったが、打撃において勝っている橋元が使われる頻度が今年は多かった。打つ方はもちろんであるが、とにかくこのチームは投手が抑えないことには勝機がなかなか見出せない。入れ替え戦においても、いかに橋元や松村昌が投手陣をリードできるか、かなり重要な役割を担うことになるだろう。
8(6):佐藤早苗「6」(15試合、19打数、打率0.053、打点0)
山梨大会でレギュラーの杉本が足を怪我してしまい、代わりにショートを守っている。打撃はまだまだ非力だが、もともと素質のあった守りがようやく安心して見ていられるようになってきた。入れ替え戦においても、とにかく打つ方には目をつぶるから、しっかり落ち着いて守ってくれさえすればいい。
9(4):藤田恵「20」(22試合、47打数、打率0.085、打点2)
常に気合を前面に押し出す元気いっぱいな二塁手。チャンスで味方選手が凡退すると、そのままひっくり返るんじゃないかと思うくらいにのけぞって悔しがる。熱いハートの選手である。
(6)杉本夏子「15」(14試合、25打数、打率0.200、打点1)
シオノギのショートを守り続けてきたが第9節、ヒットを打った後の一塁でのリード時に足を負傷してしまった。もし入れ替え戦に出られないとなると悔しいだろうが、代わりに出ることになる先輩の佐藤をバックアップしてなんとか力になって欲しい。
(H)熊谷陽香「21」(18試合、20打数、打率0.100、打点0)
ベテランの南ひとみと並ぶシオノギの代打の切り札。昨年は4打席だったが今年は21打席とほぼ毎試合出場。それだけ打力がアップした証だろう。ショート佐藤の場面でチャンスが回にかかわりなくおそらく行くことになるはず。なんとかチャンスをモノにしたい。
(R)岩切奈那「11」(16試合、8打数、打率0.000、盗塁1)
(H)紺野智美「13」(10試合、6打数、打率0.167)
(4)坪田佳奈「14」(8試合)
(2)松村昌美「22」(13試合、10打数、0.100)
(R)陽山亜美「26」(12試合、1打数、打率0.000、盗塁1)
(H)南ひとみ「27」(4試合、5打数、打率0.200、打点1、二塁打1)
【投手】
安福智「1」 (投球回数66回1/3、奪三振24、与四死球31、被安打71、防御率3.38)
松村歩「19」 (投球回数61回0/3、奪三振31、与四死球24、被安打67、防御率3.33)
高倉さやか「18」(投球回数21回1/3、奪三振4、与四死球11、被安打26、防御率3.94)
川端友紀「16」 (投球回数 4回0/3、奪三振0、与四死球4、被安打4、防御率1.75)