※今回は【レオパレス21、トヨタ自動車、太陽誘電】の3チームについて
【レオパレス21】
“2009年に飛躍しそうな選手”
☆伊藤綾香(捕手、DP・2年目)
「2008年飛躍した選手」にも書いたので簡単に。
とにかく、潜在能力としては日本代表の将来の4番も任せられそうな逸材でる。捕手としてか一塁手としてか、どこでもよいが、とにかく日本代表の常連選手になるためにもしっかり守れるところもアピールして欲しい。
☆陰山遥香(遊撃手・2年目)
来年は本格的に活躍が期待できそうだ。というか、佐藤が引退したチーム事情から何が何でも試合に出てくれないと困る状況になった。
レオパレスに3人在籍する2007年世界ジュニア選手権代表選手の一人。内外野に加え投手までできるそのオールラウンダーぶりは昨年引退した元渡邉の潤子さんに、長身で細身の体型は金メダリスト佐藤理恵に、熱い砂浜の上を裸足で走っているような華麗な走り方は河野美里に、それぞれそっくりだ。陰山はこのレオパレスの歴史そのものとでもいうべき3人の名選手を足して3で割って(今のところ)20引いたような選手なのだ。
今後は活躍が義務づけられると言っても、実は既に大仕事を一つこなしている。それは同じ三重県出身でもはやエースになりそうな1年後輩の山根佐由里をレオパレスに引っ張ってきたこと。もちろん陰山本人がスカウトしたわけではないが、世界ジュニアで一緒になった山根が、同郷でリーダーシップ抜群の陰山に憧れてレオパレスを選んだそうだ。しかし今年1年で後輩の山根に実業団での実績は大きく先を越されてしまった。早く追いつかねば。
☆田中梢子(三塁手・3年目)
強豪、厚木商業の4番を張った選手。「~その1」にも書いたが、同期にはすでにデンソーで大活躍の新崎涼子がいる(高校時代は5番打者だった)。さらにはマクセルで1年目から遊撃手のレギュラーとして出場し好守連発で大活躍の田中涼子は実の妹である。
3年間で11、7、10と打席を与えられているがまだ初ヒットが出てない。妹の田中涼子ですら新人の今年2本のヒットを放った。元厚木商の4番打者として、これはちょっと頑張らないといけない。
個人的には直接知らないのだが、試合を見ているだけでもソフトボールに対してすごく真面目で情熱のある選手のような気がする。常に真剣に試合に臨んでる姿勢に好感が持てる。
2007年、決勝に駒を進めたレオパレスと織機の試合は終盤まで織機・狩野の先頭打者ホームランとレオパ・ティッカムのソロホームランで1-1の接戦。終盤、狩野の3塁打などで織機が2点を勝ち越し、投げてはミッシェルが好投して迎えた最終回。ツーアウトから小野が四球で出塁し、代打にはこの田中梢子が送られた。ツーストライクと追い込まれたあと最後のボール。外角かなり遠い球を見逃したが判定は無情にもストライクだった。田中の見逃し三振で2007年の決勝戦の幕は閉じた。
見ていたファンとしては、かなり厳しい判定に「可哀想だな、あの見逃しは仕方がないな」と同情したのだが、どうやら本人は違ったようだ。試合終了後、この試合でチームを去る選手に対する悲しみもあったろうが、何より全く手を出せなかったその最後の三振が悔しかったのだろう。涙が溢れて溢れてどうしようもなかった。最後はティッカムに抱きかかえられ慰められていたが、その悔しい気持ちさえ持ち続けていればきっと活躍する時が来るだろう。
“そろそろ飛躍して欲しい選手”
☆森果愛(投手、DP・5年目)
投手としては1年目の2005年に5試合11回、2年目に2試合3回1/3だが、打者として2年目以降に42打席、37打席、17打席と試合に出ている。徐々に減ってきているのが気がかりだが、まだまだ未開花の魅力は秘めている。お人形さんみたいな可愛い顔をしているが身長174cmの大柄な選手で潜在的な長打力は相当なもの。当たれば弾丸ライナーでホームランを叩き込む力は魅力的である。毎年期待されながらも今ひとつ監督の期待に応えきれないシーズンが続いているが、主力が抜ける来年は絶好のチャンスではないか。DPあるいは奮起して一塁など、毎試合出られるチャンスを手に入れれば、何かしらタイトルに絡むような活躍も期待できる。とにかく来年、森にとってはソフトボール人生最大の正念場だろう。
【トヨタ自動車】
“2009年飛躍しそうな選手”
☆鈴木美加(内野手・1年目)
日出高校から入った新人選手。一つだけ確実に言えることは、日焼けした黒さで言えば日本リーグでナンバーワンだと言うこと(ライバルはレオパレスの秋元理紗投手。笑)
しかし高卒新人ながらおもにセカンドで9試合に出場、17打席で4安打の打率0.267は立派。レギュラーは5年目の丸山が努めたが、鈴木の成長次第では来年はいい競争が見られそうだ。
“飛躍して欲しい選手”
☆福本汐梨(内野手・3年目)
3年間で与えられた打席は7、7、5と少ない。しかも今年が一番少なかった年だが、その少ない5打席において3安打1四球の4出塁、4打数3安打と大いに結果を残した。
大阪の四条畷学園高校出身。高校の1年先輩には戸田中から昨年トヨタに移籍してきた好選手の坂元令奈がいる。5つ上には今年ようやく頭角を現してきた織機の宮本直美がいる。大阪の名門出身の選手として、これらすでに一流の域に達しつつある諸先輩には負けずに頑張ってもらいたい。
今まであまりチャンスも与えられず、それほど大きな期待をかけられているような雰囲気ではなかった選手が、ある年数少ないチャンスを確実にものにして結果を出した。さあそういう選手がその次の年にどう化けるのか、どう成長するのか、あるいはそう簡単には開花しないのか。そういう興味の対象としても、来年の福本には注目してみたい。
☆若月恵子(内野手・1年目)
2008年入社で、新人賞を穫った戸田中の内田千恵美、金メダリスト馬渕智子の妹で同僚の馬渕朝子と同じく、今年早稲田大学から実業団に進んだ選手の一人である。先の2人、内田と馬渕が打力を売りにする選手なのに対し、若月の魅力は小技とスピードである。1年目の今年から16試合おもに代走として起用された。そうやって出るチャンスを手に入れつつ、次代のトヨタ自動車を担えるくらいの試合経験を積んで欲しい。2006年インカレを制したこの世代の早稲田大出身選手が、将来リーグでも長く活躍してくれそうな気がするのだ。
ちなみに大学は早稲田だが高校は静岡の城南静岡高校。飛龍や常葉菊川に隠れてあまり耳にすることはないかも知れないが%color(orange){__(というのは認識間違いだった。城南静岡は十分強豪として鳴り響いているらしい)__県内でも強豪。レオパレスの森果愛はこの若月の1年後輩である。
“いい加減そろそろ飛躍して欲しい選手”
☆坂元令奈(遊撃手・5年目)
もう日本リーグではそれなりに実績もあり全てのチームから警戒されるレベルの選手ではある。雨中の決戦となった2005年の日本リーグ宮崎大会の織機戦勝利でも、前半全敗で迎え2部落ち必至のチームを危機から救った2007年後半刈谷大会での織機戦勝利でも、大投手ミッシェル・スミスから戸田中の勝利をたぐり寄せる得点に係わるヒットを放ったのがこの坂元令奈であった。今年の終盤、ソフトウエアとの死闘を制した試合でも、延長戦で貴重な2塁打を放っている。
勝つこと以上に無惨な大差で負けないことに一生懸命だった去年の戸田中においても、坂元は捕手の吉田真由美と並んでレベルの違うプレーをファンに見せ続け戸田中のプライドを保ってくれた。入れ替え戦においても大活躍し戸田中の1部残留に貢献した。ゆえに、そのオフのトヨタ自動車への移籍に関してもどこからも不満の声は上がらなかったのではないか。特に素行に問題のない主力選手が1部のライバルチームに翌年移籍するような例をほとんど知らないからだ。チームを1部に残留させることに堤千佳子投手と並んで最後まで大いに貢献をしてからの移籍であり、実に跡を濁さない綺麗な移籍であったのだろう。
そんな印象深い活躍をし続ける坂元だが、シーズントータルで見る成績には見栄えがしない。チームのピンチには滅法強いが、それゆえムラッ気があり普段は少々雑な気持ちで打席に立ってはないか?打率が2割そこそこで終わるような選手ではないのだ。坂元本人にさえ自覚が出れば、彼女の持っている抜群の勝負強さは、日本代表に顔を並べても恥ずかしくないものがあるはずなのだ。
今年は序盤戦2番打者に置かれてバントやバスターなど小技を強いられた。坂元の器用さが逆にあだになった感じがするが、後半5、6番に座ってからは調子を取り戻した。来年は開幕から楽な打順で打ちまくる坂元が見られるかも知れない。
【太陽誘電】
“2009年飛躍しそうな選手”
☆佐藤みなみ(捕手、三塁手、DP・1年目)
レオパレスの山根と同様に、高校生時代に世界ジュニア選手権に選ばれた逸材。1年目の打率は0.114だったが、高卒新人ながら21試合に出場し主にDPながら規定打席以上の54打席に立ったのは立派すぎる。山路監督の期待がひしひしと伝わってくる。来年さらに飛躍するのはもはや確実だろう。
少数精鋭である太陽誘電において今年4人の新人が入ったが、それぞれチャンスを与えられ今後のチームの将来を担わせられる人材であることを予感させた。思い切りの良いスイングを信条とする川原若菜や、ベテランショートの水谷直子の後釜を狙う中村茜、地元高崎出身で5打数2安打と結果を出した丸山実希子、と、それぞれが試合に出て新人なりの結果を残した。ベテランの好選手前田智子がチームを去って迎える来期以降、この佐藤みなみを筆頭に今年の新人4人がどこまで将来の太陽誘電の世代交代の担い手になるのか、楽しみだ。
☆川原若菜(二塁手・1年目)
そこ出身というだけでなぜか無条件で応援したくなる「甲賀健康医療専門学校」出身の選手。1部には先輩として佐川急便の梅村麻弥、戸田中の中條未香子、今年大活躍のHonda志水麻里がおり、この川原が今季登録4人目の1部選手。ちなみに2部には靜甲の萩藤など5人の選手がいる。ちなみに高校時代の同級生にはデンソーの狩野妹や竹林などがいる(デンソーの新崎涼子の項参照)。
1年目の今年は5試合に出て11打席、2安打1二塁打の1打点で打率は0.182。今季リーグ最終戦となった織機戦で4打席に立ち、ミッシェルから右中間へ会心の二塁打を放った。その二塁打の打球の素晴らしいライナーと、一つ一つのスイングの力強さが見ていて気持ちがよいくらいで、正直なところこの試合で初めて川原という選手を認識したのだが一発で気になる選手になってしまった。セカンドを守っても一二塁間の当たりを好捕してピンチを救うなど、好守にいいものを見せてくれた。誘電のセカンドと言えばA代表レベルの実力を持ちソフトボール界きっての美人選手として有名な上西晶がいるが、今年はちょっと打の成績が芳しくなかった。同じく内野を守る佐藤みなみとともにベテランのレギュラー陣を脅かして欲しいものだ。
“もう一度飛躍して欲しい選手”
☆後藤真理子(投手・4年目)
とてもソフトボール選手には思えないような色白でか弱く薄幸そうな女の子(と言った個人的に勝手なイメージ、笑)だが、2006年には日本代表として世界選手権やアジア大会にも出場したほどの投手。
まずはここ4年間の太陽誘電の投手の投球回数を見てみたい(端数回は省略)。
2005年(庄子107、伊藤美33、後藤7、伊藤廣6)
2006年(伊藤美85、後藤57、伊藤廣8)
2007年(坂井78、伊藤美53、後藤21、相馬1)
2008年(坂井111、伊藤美43、後藤1)
(残念ながら今年の太陽誘電については情報があまり得られていないのですが、後藤投手、どうしたのでしょうか。怪我?ほとんど登板してないじゃないですか・・・)
2005年までは現在Hondaにいる庄子(この投手もA代表だった)、2007年からはご存じ日本のエース坂井寛子と、素晴らしい投手が在籍しチームのエースとして君臨したので仕方がないが、その間の年となった2006年、つまり後藤が世界選手権の代表となった年ですらチームでの最多投球回数投手ではなかった。細すぎるくらいの細身の投手でやはりか弱いイメージは正しいのか、体力的なものや怪我か何かの影響(?)があるのかも知れないが、まさか今年投球回数が1回だけだとはデータを見るまで思わなかった。当然来年も現役を続けてくれると信じ、後藤の復活を願いたい。