【女子ソフトボール日本代表選手紹介~内野手】

【No.10 伊藤幸子(トヨタ自動車)】


今回の完璧なメンバーからすると獲得タイトル的には若干見劣りがするが、それは周りがすごすぎるだけで伊藤も実績がある素晴らしい選手であることには変わりはない。
若い選手の多い代表の中では32歳にして最年長。リーグの決勝トーナメント常連のトップ5で複数人の代表を配するチーム(豊田自動織機、ルネサス高崎、日立ソフトウエア、レオパレス21、太陽誘電)以外からは唯一の代表選出選手である。
今年の最初に五輪仕様として代表主将が山田恵里になったが、それまではこの伊藤幸子が日本代表の主将を務めていた。年齢的なこと以上に性格的にも「姉御肌」でありナインをまとめる能力も高く選手間の信望も厚い。内野手でもあり今回も主将にと期待した人も多かっただろう。
左打者がほとんどの代表の中においては三科と並んで貴重な右打者だ。毎年高い打率を残す選手ではないが、チームが窮地に陥ったときに実に頼りになる打撃をする。今年のリーグでも神様ミッシェル・スミス(豊田自動織機)からサヨナラ打を放ち、チームの前半戦4位躍進に貢献した。
三科が豪快にレフトに放り込む力強い打者であるのに対し、伊藤は外角の球をライトにライナーで叩き込む技術も兼ね備える。昨年のリーグでもそのリーグ最高の左腕投手、スミスからライトにライナーで叩き込んだ。
ご存知の通りアメリカには日本が一番苦手とする難攻不落の世界最最強左腕、オスターマンがいる。日本が苦手と言うだけでなく、世界中のどの打者でも容易に打てる投手ではないのだが。ただこの投手を攻略しないことには日本の金メダルはありえない。オスターマン相手に右打者の伊藤や三科がどこまで結果を残せるか、それが大きなポイントになるだろう。

 

【No.24 佐藤理恵(レオパレス21)】



 走攻守、全てに完璧な上に、ルックス、ファンサービスもソフトボール界1、明るく優しくリーダーシップも抜群である。加えてプライベートでゲームもやれば読書も好む%color(red){(ウーバーとかは、知らん})。もはやこれ以上完璧な選手はいないのではないだろうか?

欠点といえば「何も欠点がないこと」としか思い浮かばない。強いてあげればイケメン好き過ぎるようなところであろうか(勝手にそう思ってるだけだが。笑)

かつて大徳というチームが日本リーグにあったが2001年に廃部。チームをそのまま引き継いだレオパレス21が井上絵里奈や渡辺いずみ、渡邊潤子、柘植香奈子の活躍で1部に昇格した2003年に藤本索子などとともに入団した。
その年から毎年1部リーグの上位を争い、昨年は19勝をあげとうとう1位通過するまでになった。親会社によるチームの強化が第一だが、佐藤のリーダーシップなくしては今のレオパレスはなかっただろう。
ジュニア時代から注目されていたがその当時は身長が150cm未満だったそうだ。そのままの身長であのルックスなら芸能界からアイドルとしてスカウトされること必至だったろうが、成長してくれたおかげでソフトボール界のアイドルになってくれた。
前回五輪でも代表に選ばれたが選出に納得してないのは周り以上に本人だったようで、なんと自らその後の日本代表を辞退してしまった。あるいは協会に喧嘩を売るような行為だが、佐藤の人間性を考えるに、自分自身が自信をもって代表に相応しい実力をつけたと思うまでは選ばれるのは情けないと本気だったのだろう。あるいはルックスや人気で評価されている部分を完全に排除したかったのかもしれない。

そして今である。もはやたとえ佐藤が岩石岩子みたいなルックスであったとしても、たとえ二部の選手であったとしても、もはや戦力として日本代表に必要不可欠な選手になった。
本当に全てにおいて完璧な選手なのである。がゆえに、五輪のような大きな大会で活躍してニワカファンから人気が出るのも、なんだか悲しいような気がする・・・。

 

 

【No.7 藤本索子(レオパレス21)】



 2004年のあのプレーから、僕は藤本の大ファンである。

2002年に大徳から引き継いで2年目にして1部に昇格したレオパレスは、翌2004年には早くもリーグ戦4位に入り決勝トーナメントに進出した。
勢いに乗ったレオパレスは勝ち続け、とうとう決勝戦まで駒を進めた。相手は何度も優勝している強豪豊田自動織機である。
互いの投手が踏ん張りリードを許さず、試合は延長タイブレイカーにもつれ込んだ。
先攻はレオパレスである。走者を二塁に置き打席に入ったのは藤本索子。小技も抜群な彼女は当然のように送りバントをしたがこれが最悪の結果を生む。打球は一塁前への小フライに。猛然とダッシュした織機の名一塁手、長澤佳子がこれを好捕。完全なバントシフトだったので二遊間はそれぞれ1,3塁のベースに入っていたが、センターの狩野亜由美が走り込んでとっさに2塁をカバー。飛び出したランナーが刺され一瞬にしてチャンスが潰えた。
そしてその裏、確実にランナーを進めた織機がサヨナラに結びつけ優勝を手に入れたのである(実はその回の守りでも藤本はチャンスを広げるまずいプレーをしてしまうのだが、このいきさつについては長くなるので改めて書こうと思う)。

負けた方に感情移入する僕は、この延長でのプレーから藤本に思い入れを抱いてきた。
今振り返ると、決勝トーナメントに駒を進めたこの4年間、レオパレスが優勝に最も近づいていたのは藤本が打席に入ったあの瞬間であった。その後は毎年決勝トーナメントに進むも、いつも簡単に試合を落としてしまい惜しい試合もないからである。
その間に、大徳時代からチームを支えて引っ張ってきたベテラン選手はほとんどが引退してしまった。
あの時優勝していればどれだけ先輩たちと喜びを分かち合えたか・・・。責任感の強い藤本はそう思っていることであろう。だからこそ、毎年毎年努力を続けてとうとうここまでの選手になった。2003年にすでに打率6位で翌年の五輪代表に選出されてもおかしくないくらいの名選手であったが、まだ決勝戦でこういうミスを犯してしまう若さもあった。今や全くその心配もないくらい、全てにおいて完璧なプレイヤーに成長した。
アキレス腱断裂の内藤恵美の代役という追加召集の形であったが、本来なら最初から選ばれていないといけないくらいの選手である。
7月のカナダカップ10試合を通じても大当たりで、どうやら9番DP(もしくはセカンド)のレギュラーは確保しそうだ。1番狩野に続けるために敢えて置いた9番打者である。9番藤本、1番狩野のこのコンビはWBCにおける川崎、イチローと非常によく似ている。それくらいにこの二人の打撃には勢いがあり、センスもある。
「9番・藤本」に大いに注目である。

 

【No.8 廣瀬芽(太陽誘電)】



いわゆる古典的な(失礼)ソフトボール体型で日本のブストスと言われている(いや、個人的にそう呼んでいるだけだがw)。
ただし一見不器用そうにも見えるがグラブ捌きもうまくサードもファーストもこなせる器用な選手である。もとより、現在日本代表に選ばれるレベルの選手において守備の一流でない選手はいない(前回のアテネではいたが(笑))。廣瀬も守備に関しては一流の選手である。
前回アテネの年にすでに年間5本塁打で3位という強打者であり、それ以来、毎年好成績を収めてはきたが、かといって圧倒するよな成績でタイトルを獲ったことはない。
それでも常に代表に選ばれてきた廣瀬のよさは、ここ何年も毎年一定以上の成績を残してきた安定感と、何より同じ所属チームの太陽誘電の坂井寛子同様、国際試合に滅法強いことであろう。同じ左の強打者としては代表に4番打者の馬渕がいるが、廣瀬は馬渕より荒削りだが思い切りの良さ、豪快さでは勝っているように思う。左打者の強打者揃いの日本ではあるが、レフトに放り込む力強さを持っているのは代表では廣瀬が随一であろう。同じようなタイプでさらに打撃センスのある打者としては織機の田中幹子がいるが、外野手である。三塁、一塁を高いレベルで守れることも廣瀬が代表に選ばれた大きな理由であろう。
太陽誘電と言えば長年代表に選ばれてきた名捕手で、現在も選手登録している監督の山路典子が率いるチームである。同じチームには今回代表には選ばれなかったが2006年の世界選手権で活躍し、五輪代表権獲得に貢献した俊足巧打の名二塁手、上西晶がいる。ともに夙川学院の出身で上西とは同期である。上西の分まで、という思いも強く思って挑む五輪になるだろう。

 

【No.4 三科真澄(ルネサス高崎)】




 前回のアテネ五輪代表選手だが 、レオパレスのW佐藤や坂本、宇津木などと同様に「なぜこの選手が選ばれたのか?」と物議を醸した選手でもある。ただし4年が経ち、佐藤理恵と同じように今回は誰にも文句を言わせない実力と実績を身につけて挑む五輪になった。

先にも述べたが、それは前回選んだ協会関係者に見る目があったのではなく、三科や佐藤がそれに恥じない選手になるために大いに努力した結果なのである。だから関係者はこの2選手に足を向けて眠れないはずなのだ。寝てたら叩き起こす。
リーグでは応援するチームの最大のライバル、ルネサス高崎の中心選手と言うことで、常々「こんな嫌な選手はいない」と思って見ていたが、逆に言うとそれだけ全てにおいて完璧でソツがない名選手なのである。主将の山田恵里や西山麗と同じ、ソフトボール界の名門中の名門、厚木商業出身である。高校野球に置き換えるとPL学園か、地元ということでは横浜高校みたいなものか。高校時代に一流のソフトボールを完璧に叩き込まれており、全てのプレーを安心して見ることができる教科書のような選手でもある。
ルネサスでは三科軍団の団長を務めている。まあ勝手に僕が三科軍団と呼んでいるだけだが、常に先頭に立って声を上げベンチを盛り上げ大騒ぎしている明るい選手だ。それが相手チームから見ると、逆に調子に乗りすぎの憎たらしい選手にも見えるわけだが(笑)。
そんな明るく調子乗りの憎たらしい(あくまで相手チームからの感想。むしろ褒め言葉)の三科選手だったが、昨年の決勝トーナメント準決勝で織機に敗れた後の姿を見て印象が変わった。試合後、外野フェンス向こうの芝生に座り込み、悔しさを目に焼き付けるようににじっと織機の決勝戦を見つめていた。あの姿を見て以来、ただ憎たらしいライバルチームの中心選手という印象だけでなく、長く選手を続けて日本ソフトボール界をずっと支えていってほしいと応援したくなる選手になった。


 

【No.3 西山麗(日立ソフトウエア)】
「病気を克服した」なんて馬鹿マスコミが散々に煽ってたので割愛。

※2010年1月追記
この頃はあまりにもマスコミが美談作ろうと必死なもんでムカついていたんですねぇ。
西山さんには罪は全くないのに(笑)五輪での大活躍は周知のとおり。そして人柄も人間性もとても素晴らしい人でした。

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