【2018年飛躍した選手~ソフトボール日本リーグ1部】

みなさまこんばんは。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
1週間滞在している宮古島は日中25度の暑さです。
さて毎年恒例の「飛躍した選手」をお送りします。
もしかしたら大事な選手を忘れているのかも知れませんが、気づきましたらご教授ください。


<投手>

☆☆☆中村美樹(4年目:星野→戸田中央総合病院)
年度:2015→2016→2017→2018
投球回:1.3→0.0→24.3→43.0
対打者:4→0→98→180
防御率:0→0→2.88→1.47
勝利数:0→0→0→2

 昨年(2017年)もやや飛躍の兆しは見せていたが今年は一気に才能を開花させた。
 有名なソフトボール三姉妹の末っ子。上二人が元トヨタ自動車で、特に真ん中の姉の中村友佳が逸材として期待が高かったがトヨタということで登板機会も少ないまま引退。戸田中に入った3番目の美樹はそれほど前評判は高くなかったが、結果的には一番活躍する選手になった。
 2018年は開幕戦で先発に抜擢され4回途中まで投げ1失点と好投。次のHonda戦でも先発、さらにリリーフを挟んで伊予銀行戦で先発しリーグ戦初勝利を挙げた。
 そして圧巻だったのがBIC高崎戦での先発1失点完投勝利。そこまで全勝のBIC高崎に初めて土をつけると、後半戦のBIC高崎戦にも先発して負けはしたがまたしても7回1失点完投。もはや完全に「ビックカメラ高崎キラー」とでも言える投球内容だった。
 結局勝利は上記の二つだけだったが、後半のHonda戦では2失点完投負け、トヨタ自動車戦でも先発して途中まで投げ1失点と、負けた試合でも内容が良い。
 大平未沙稀が抜けて信頼できる日本人投手が五味彩華一人となっていた2018年の戸田中だが、中村が出てきてくれたおかげでかなり楽になった。それどころか、もはやジョーダン・テーラーと比較しても遜色ないような投球内容で大事な試合でも積極的に任せたいくらい。
 2019年は念願の決勝トーナメント進出へ、本当の真価を問われる年になる。

 

☆☆海部栞菜(4年目:木更津総合→IPU環太平洋大→豊田自動織機)
年 度:2015→2016→2017→2018
投球回:6.0→23.0→34.0→49.0
奪三振:3→10→13→25
勝利数:1→2→2→5

 2017年までも徐々に出番が増えて良いピッチングは続いていたが、栗田美穂が抜けた2018年はチームが必然的に海部栞菜に期待せざるを得なくなり、そしてその期待に見事に応えた。
 きっかけは前半戦最終節、太陽誘電戦でのケイラニ・リケッツの大乱調。先発の海部が好投し、7回まで豊田自動織機が3点差をつけて勝っていながらリリーフしたリケッツが死球連発で大逆転負け。これで逆に「後半戦は大事な試合でも海部で行く」とベンチも腹をくくったのではないか。
 そして再開した後半戦では大事な大事なライバルのデンソー戦に海部が先発して見事なピッチングで勝利。その後はリケッツも復調し、海部もシオノギ製薬、戸田中央総合病院、伊予銀行と絶対に落とせない試合で好投して勝利をあげ、チームをリーグ戦3位に導いた。
 5勝という数字はもちろん立派だが、その数字以上に海部の独り立ちがチームに与えた影響がものすごく大きな1年だった。

 

☆加藤あずさ(4年目:須磨ノ浦女子→立命館大→SGホールディングス)
年 度:2015→2016→2017→2018
投球回:37.0→23.0→38.0→50.7
防御率:3.03→5.48→2.95→2.63
勝利数:0→0→1→5

 入団1年目から比較的登板機会を与えられ好投は見せていたがやや敗戦処理的な使われ方も多かった。それが2018年はチーム内での信頼感が確固たるものになった年ではなかったか。
 5勝はチーム10勝の内の半分。カーヤ・パーナビーが上位チームに積極的に登板していたので下位チーム相手の登板が多かったが、そこを取りこぼさずしっかり勝てたのはこの加藤あずさのピッチングがあったからこそだろう。
 内訳は伊予銀行戦で完封勝利、デンソー戦で先発勝利、シオノギ戦で先発勝利、戸田中戦でリリーフして最後まで無失点で勝利、そして大垣ミナモ戦で先発勝利の計5勝。
 負けは4つあったのだが、その負けの内容もよくて大垣ミナモ戦で1失点完投負け、トヨタ自動車戦で先発して負け、伊予銀行戦で5回2失点で敗戦、BIC高崎戦でリリーフして3失点負け。それ以外にもデンソー戦で先発して1失点などの好投もあったし、例え負けた場合でも決して試合を壊してはおらず、「頼れる投手」としてもはやチームの柱となりつつある。

 

 

☆山口清楓(4年目:福大若葉→日立→1年ブランク→伊予銀行)
年 度:2013→2014→※→※→2017→2018
投球回:5.0→4.0→※→※→11.3→36.7
対打者:21→18→※→※→58→158
奪三振:2→1→※→※→2→22
勝利数:0→0→※→※→0→0
敗戦数:0→0→※→※→1→4

 まだリーグ戦未勝利だが、間に2年間のブランク(うち1年は伊予銀行に帯同)がありながら2018年は前年の3倍の36回に投げ、4度の責任投手(敗戦)になったというのは本人としてもようやく「伊予銀行の一員になれたかな」と実感したのではないだろうか。1勝上げてこそ本当の実感だとは思うが。
 新しい投手も入ってくると思うが、内海花菜が抜けた2019年の伊予銀行にとってはどうしてもこの山口に2番手として活躍してもらわないと困る。そういう期待値も込めての飛躍選手とした。
 元々は高卒で日立に入った潜在能力の高い大型投手。2019年は本物の飛躍を期待しよう。



<野手>
☆☆☆塚本智名(4年目:水口→中京大→トヨタ自動車)

年度:2015→2016→2017→2018
打席数:31→15→31→55
安打数:6→4→6→19
打撃率:0.222→0.308→0.250→0.432
本塁打:0→0→0→5

 塚本智名のように活躍して当たり前の選手をここであげるのもなんなのだが、怪我で満足に送れないシーズンが3年続いて満を持してレギュラーとして登場した2019年に早速首位打者を奪ってしまうあたりはさすがとしか言い様がない。
 大学レベルで活躍していたのはもちろんだが、個人的に印象深いのは揖斐川で行われた大学日本代表と日本代表との壮行試合。そこで大学生打者が上野由岐子相手に手も足も出ない中、塚本だけはいとも簡単にレフトへクリーンヒットを放った。「さすがにこの選手はレベルが違うなあ…。織機に来てくれんかなぁ」とそのときは思ったものだ(笑)
 もしトヨタ自動車に入って1年目から万全の状態なら、当然のように今頃日本代表の候補にあげられていたのは間違いない。2018年のブレイクは2020年を考えると遅きに失した感じでなんとももったいないが、しかし2019年も圧倒するような成績を残して「代表以外にもこんなにいい選手がいるんだぞ!」ということを見せつけてほしい。

 

☆☆水戸久瑠実(白鴎大足利→戸田中央総合病院)
年度:2016→2017→2018
打席数:9→29→71
安打数:0→2→14
打撃率:0.000→0.083→0.241

 2017年までショートのレギュラーだった長谷川優理が抜けたことで、2018年は与えられるような形でショートのレギュラーになった水戸久瑠実。
 数字を見ると71打席としっかり1シーズンを乗り切ったが、打率は0.241と平均以下で終わってしまった。それでも、実際の試合を見ていた感想ではこの数字以上の「ここぞと言うときの勝負強さ」があったように思う。リーグの織機戦や総合のHonda戦など、とにかく最後の一番良いところで水戸が試合を決めたという印象が強い。数字以上に重要な働きができる水戸のような選手がいたからこそ、戸田中央総合病院の前半戦の躍進があったのだろう。

 

☆☆釼持祐衣(5年目:藤枝順心→日本ウェルネス→デンソー)
年度:2016→2017→2018
打席数:4→12→69
安打数:1→2→17
本塁打:0→0→2

 2部リーグで2年の経験があるので5年目扱いの選手であるが、その2部が専門学校の日本ウェルネスであったことを考えると実質3年目の選手。
 2部時代に弱小日本ウェルネスにいながら圧倒的な打率で首位打者を獲得したような実力十分な選手。タイプ的に言うとNECの和田美樹のような感じで、とにかく柔軟なバッティングで左右に的確に打ち分け、パンチ力もある。
 3年目にして規定打席に到達し安打も17本放った。ホームランも2本放ち、ようやく1部のスピードにも慣れてきたところか。個人的には2019年の成績ではこの釼持はもっとも楽しみにしているうちの一人である。去年までは「日本ウェルネス出身の選手が1部でレギュラーとってくれた!」というだけで大満足だったが、2019年はさらに圧倒的な成績をあげて2部ファンを喜ばせてほしい。

 

☆☆中西舞衣(3年目:高松南→ビックカメラ高崎)
年度:2016→2017→2018
打席数:21→19→68
安打数:3→6→19
打撃率:0.188→0.333→0.339
出塁率:0.381→0.368→0.406

 中西が、というより、一人レギュラーが抜けたらこの中西のようにちゃんと穴埋めする選手が出てくるところがビックカメラ高崎の強さの秘密だろう。個人的には2018年は北口美海がレギュラーとして飛躍するのかと思ったが、この中西の活躍では北口の出番が限られても仕方がない。
 ただその活躍の秘密にもちゃんと理由があり、1年目からある程度の出場機会をもらい、試合の大事な場面でも打席に立たせてもらって、そして良い活躍もあった。だからこそ、この3年目にしっかりとレギュラーを掴んで力を発揮できるのだろう。
 成績としては何より出塁率が4割を超えているのが見事。打席が今年の3分の1だった1、2年目も出塁率は4割近かったのでその実力の片鱗は見せていた。

 

☆山田静佳(3年目:伊奈学園総合→東京女子体育大→Honda)
年度:2016→2017→2018
打席数:9→32→59
守機会:5→22→11
安打数:2→7→11

 2017年も試合出場は多かったが守りから入ることが多かった。2018年はようやくHondaのセンターのレギュラーの座を確実にした1年だった。
 2017年から2018年は打席が2倍近くあったが安打数は1.5倍。ということで打率がやや下がった(0.241→0.208)こともあって飛躍度は☆一つになった。ただ数字の中では59打席にたって四球1、出塁率0.222はいただけない。今年は18安打、出塁率3割5分を目標にしたい。

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