【2018年の各チーム総括と2019年に向けて】

 さて、2月1日となりました。

 プロ野球のような一斉キャンプインはないですが、2月に入ると各チームのキャンプも三々五々始まりますので、やはり実業団ソフトボールでも「新しい年」という感じでしょうか。
 昨年までの日本リーグの総括を本当は2018年内に終わらせたかったのですが、全試合の観戦と記録がどんどん遅くなり、なんとかギリギリ、1月31日までかかってようやく終了しました。
【リンク~2018年日本リーグ・全試合詳細(「ts」)】
【リンク~2019年日本リーグ日程】

 以下に各チームごとに昨年を振り返りつつ、今年の楽しみについて簡単にコメントしました。
 実は2018年度から2019年度にかけては「選手の移籍の自由化」「外国人投手の投球回数制限の撤廃」という二つの大きな改革があります。その点を踏まえつつ展望を述べていますが、それら改革に関しての意見は次の記事で詳しく書きたいと思います。

 

 



【1位:トヨタ自動車】

前半戦:10勝1敗
後半戦:10勝1敗

<2018年雑感と2019年に向けて>
 2018年ではリーグ戦ではビックカメラ高崎相手にアボットを温存して2敗しならが他を全勝。決勝トーナメントでも1戦目は負けたが最後に勝って見事優勝をかっさらった。
 今年は各チームがエースの外国人投手をぶつけやすくなってくるので、その点がどう変わるのかが見物でもある。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 2018年ももちろんモニカ・アボットは相変わらず凄かったし、首位打者を取ったのは塚本智名だが、個人的に一番評価したいのが鈴木鮎美。打席数、安打数、犠打数がリーグ1位で三振数が2番目に少ない。長打もあって、まさに理想以上の2番打者。
 今年の期待はやはり新人の後藤希友か。投打に一流で、M・アボットがいなくなった後のトヨタ自動車を支えていく存在になるはず。

 


【2位:ビックカメラ高崎】

前半戦:9勝2敗
後半戦:10勝1敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 明らかに2018年は一番強いチームだったが、最後に一回負けただけで2位に甘んじた。
 今年は引退選手もいないし、どうせ日本代表を餌にさらに良い選手も取っているだろうし、今年も優勝争いの筆頭だろう。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 ほぼ全員が活躍したが、個人的には中西舞衣を推したい。一時は5番も打っていたし、試合を決める一打もあった。今年の期待は特にいないが強いて言えば北口美海がレギュラーを奪えるか否か。

 


【3位:太陽誘電】

前半戦:5勝6敗
後半戦:7勝4敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦は躓いたが後半戦盛り返してギリギリで4強入りを果たした。決勝トーナメントでも良い試合をしたが、わずかに優勝に届かなかった。藤田倭が全盛期で、尾﨑望良とのW二刀流が確立されているここ数年が優勝に最も近づいている年代。ここを逃すとまた低迷しかねないので、なんとかここ数年のうちにリーグ優勝を成し遂げたい。そんな時なのに最も頼りになる打者の河野美里が退団したのは解せないが、まあ理由はともあれ河野が抜けた穴が響かないように後釜が出てこなければ。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 これはもう全員一致の意見だろうが、MVPは間違いなく尾﨑望良で決まり。昨年は藤田を差し置いてエースの存在感で、実際に防御率も上野に迫る3位と結果を残した。もちろん打つ方でも活躍した。
 2019年の期待選手は河野の穴を埋める立場の選手。新人で凄い選手が入っているかも知れないし、もし打撃を生かすなら色々動かして期待の佐竹紫乃の出番も増えるかも。

 


【4位:豊田自動織機】

前半戦:5勝6敗
後半戦:8勝3敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦を負け越しで終わりながら後半戦で大いに巻き返して決勝トーナメント進出。打率3割超えが一人もおらず(28位の洲鎌夏子の0.288が最高)、エースのK・リケッツも防御率10位。もちろん佐藤光紗、洲鎌夏子、中森菜摘のクリーンアップの「勝負強さ」はピカイチだが、「よくまあこの成績であれだけ勝ったわ」と、監督の手腕に脱帽する。
 そんな織機の2019年はエースのK・リケッツが抜けた代わりの、噂では「モニカ・アボット級」の新外国人投手が鍵を握る。
 あとは髙坂香月の抜けたショートを誰が守るのか、伸び悩んでいる若手にブレイクする選手が現れるのか。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 後半戦見事な選手起用だった永吉監督の手腕も凄かったと思うし、野手では髙坂香月の勝負強さに何度も助けられたが、やはり2018年のMVPは海部栞菜だろう。栗田美穂が抜けた穴をしっかりと埋めてくれた。あとワンプレーで上げるとしたら第6節のSGH戦でサヨナラホームランを阻止した中堅手のカースティ・メリットのビッグプレー。あのワンプレーがなかったら、正直終わってた(笑)
 2019年の期待はショートを争う新人須藤志歩宮本愛里の3人。特に宮本はそろそろブレイクしないと、このままで終わってしまう。

 


【5位:デンソー】

前半戦:5勝6敗
後半戦:6勝5敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦も6位につけ、最終的にも結局5位と上位で終わりはしたが、なんとなくシーズンを通して優勝争いに絡んだような印象がない。確かに開幕3連勝したときは一瞬このまま走るのかなとは思ったが、幸運な試合続きだったのでそこまでの強さも感じなかった。やはり増山由梨、竹林綾香というベテランや好投手の近藤光が抜けたことでなんとなくチームが軽く見えたのは否めない。
 今年はさらに江口未来子と山口美紀という主力が抜けたが、そこは若手もいるし新人を取ってくるのも上手いので、そんなに大きな穴にはならないだろう。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 活躍して当たり前の主力をあまり選びたくないが、デンソーはやはり川畑瞳だろう。一発で試合を決めたこともあるし、とにかくどんどん移籍でベテランや主力が出て行くチーム事情の中で、若くして既にしっかりと柱になっている。
 2019年の期待は、個人的にはやっぱり松木瑛里釼持祐衣の外野両翼コンビ。レギュラーを奪われないように、もっと活躍してもらわないと困る。

 


【6位:シオノギ製薬】

前半戦:7勝4敗
後半戦:3勝8敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦は4位で折り返しながら、後半戦失速して3勝8敗で6位に終わったシオノギ製薬。しかし最大でも4点差負けが一度あっただけで、1点差が3度、2点差が五度もあった。
 とにかく大差負けしない、常に接戦をする、という意味では日本リーグでもトヨタ自動車、ビックカメラ高崎に次ぐ存在だと思う。この強さは伝統的なものだろう。
 2019年もこの調子で戦って、そこに運も味方してくれれば、決して4強も夢ではない。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 新人の千葉咲実も頑張ったが、やはりそれら投手陣を引っ張った竹林綾香がチームMVP。そして防御率では日本人でリーグ3位の池田美樹、この二人は文句ないだろう。
 個人的な今年の期待は谷本奈々。もちろん昨年もレギュラーで打率3割と活躍はしたが、メチャメチャ良いバッティングしているので、しっかりと守備にもついて飛躍する姿を見てみたい。

 


【7位:SGホールディングス】

前半戦:6勝5敗
後半戦:4勝7敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 2018年は戸田中の後半戦失速での4強脱落が特に目に付いたが、実は一番惜しかったのがこのSGホールディングス。
 特に後半戦最初の6節の2試合。Honda戦ではK・パーナビーが6回終わるまでノーヒットに抑えていながら7回裏に初ヒットのサヨナラ弾を浴び敗戦。続く織機戦では0-0の7回裏にS・ポーターのサヨナラ弾をセンターK・メリットに強奪されるというあまりもの不運。あの試合を二つ勝っていたら4強に残っていただろう。そういう意味でも紙一重だった。
 そんなSGHも2019年は主力は残っているので大幅な戦力ダウンはないが、センター土肥里奈、サード増野瑠奈が抜けたのが地味に痛い。二人ともとにかく守備は安心して見ていられたのでその穴がどうなるか。太陽誘電同様、パーナビーが全盛期でポーターが残っているここ数年が決勝トーナメントに残れるチャンスなだけに、なんとかものにしたい。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 両外国人選手は当然の活躍として、やはり2018年のMVPは加藤あずさだろう。田中瑠莉も一時期首位打者にも立っていたが、最後は少し息切れしたか。
 2019年はとにかくセンターとサードに誰が入るのか、その入った選手に期待したい。あとは1年目から実力の片鱗をみせた藤原麻由のブレイクにも期待。

 


【8位:戸田中央総合病院】

前半戦:8勝3敗
後半戦:2勝9敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦8勝で後半戦初戦も勝って9勝、次のビックカメラ高崎戦も敗れはしたが0-1と惜敗。そして翌週の全日本総合でも準優勝。さすがに決勝トーナメント進出は間違いないかと思ったが、その後まかさの8連敗。最終戦で勝ったので星を並べると「○●●●●●●●●●○」となり、これがもしオセロだったら大逆転だったのに、残念ながらオセロではなかった(笑)
 後半戦は惜敗が続いたり、不運な判定もあったり、監督が退場食らったりと、まさに踏んだり蹴ったりだったが、個人的には「選手層の薄さ」が後半勝ちきれなかった原因だったような気がする。確かに水戸久瑠実も松本由佳も頑張ったが、前年オフに大量に選手が辞めたのが最後に響いた。死んだ子の数を数えても仕方が無いが、せめて長谷川優理でも残っていてくれたら間違いなくベスト4に残っていただろう。
 そんな戸田中は今年はコーチの荻原美也子の選手登録が外れただけで引退選手はなし。「2018年の戦力+α」で戦う2019年は間違いなく同じように期待できるが、更に上を狙うには1年目から活躍できる新人野手が出てきて欲しいところ。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 投手の中村美樹も捕手の坂本結愛も主力として大いに活躍したが、個人的にMVPに推したいのが水戸久瑠実。とにかくチャンスに強く良いところで活躍した印象が非常に強い。
 今年の期待としては伸び悩んでいる本間紀帆。ここ3年間は毎年1本ずつのホームランだが、この選手が5本、せめて3本くらい打ってくれないと困る。

 


【9位:日立】

前半戦:5勝6敗
後半戦:4勝7敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 前半戦は5勝6敗となんとか上位争いに踏みとどまったが、後半戦は6~7節の4連敗で9月半ばに早々と終戦となった。それでもその後トヨタ自動車相手に7回に一挙7得点で逆転するなど、日立にしかできないような面白い試合も随所で見せてくれた。田邊奈那と林佑季が抜けたのは痛いが、どうせ野手は育ってくるので心配はしていない。問題はピッチャー。去年は岡村奈々しか頼れる投手がいなかったが今年はどうなるか。泉花穂も小薗美希もそこそこは活躍したが、さらにもう一枚欲しいところ。そこであの投手に大いに期待がかかる。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 1年を通してパットしなかったチームの中で唯一、ようやく実力を発揮してくれた清原奈侑が当然MVP。今年はキャプテンにもなるのでもっと引っ張ってもらわなければ。今年の期待は抜けた外野の穴を埋めて欲しい加福直子と、ここ2年は今ひとつの那須千春に1年目のような大爆発を。そして何より期待大なのが満を持してのリーグ復帰となる元デンソーの近藤光。この選手がどれくらい投げてくれるかで2019年の日立は大きく左右される。

 


【10位:Honda】

前半戦:勝敗
後半戦:勝敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 一時は2部落ちまで危惧され、最終10位と低迷した2018年のHondaリベルタ。いろいろポイントはあろうが、個人的には第2節の豊田大会ですでに終わっていたと思う。
 まず1日目の戸田中戦、フォードから稲垣への継投で3-0と勝っていながら、6回以降の不用意な投手交代でみすみす敗戦。そして続くデンソー戦では精神的支柱でもあるキャプテン胡子路代が足を負傷して結局前半戦を棒に振ってしまった。結局前半戦の胡子不在は最後まで響いたし、あの戸田中戦敗退は逆に戸田中を勢いづかせてしまった。
 ただ昨年はJ・フォードが本格的に怪我から復帰し日本リーグにも慣れてきてノーヒットノーランも達成したし、主力打者も残っているので今年はさらに期待できる。良い外国人打者でも入ってきて若手も少しずつ伸びれば今年は十分上位争いに顔を出せそう。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 J・フォードはもちろん、打者では佐野由貴美も良かったが、個人的には常磐紫文。確かに1勝しか上げてはいないが、その1勝が無ければ下手したら入替戦行きだった。5敗したのもちゃんと先発として期待して起用されたからで、実際負けても好投したことも多かった。
 昨年はサード永友遙、ショート渡邊瑞貴の二人だけで1年間三遊間を及第点で守り切ったが、今年はここに元戸田中の長谷川優理が加わって、良い競争が生じるはず。特に2年ぶり復帰の長谷川には期待したい。

 


【11位:伊予銀行】

前半戦:1勝10敗
後半戦:4勝7敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 開幕戦に快勝してから前半戦残りはまさかの10連敗。やってる選手たちはしんどかったと思うが、接戦続きの敗戦だったので、傍から見ている分には「結局後半戦は巻き返して最後は残留するだろうな」と予測はしていた。それくらいの戦力はあった。
 2019年に向けて痛いのが3人の主力の引退。キャプテンでショートで主砲の對馬弥子が抜けるのが痛いのは当然だが、前川綾菜と金澤美優の九州文化学園出身のちびっ子名手コンビの抜けた守備陣も非常に痛い。あの二人の守備は絶品だった。
 残念ではあるが、変な意味で少し楽しみでもある。特に金澤なんかは打撃ではほとんど貢献しなかったが、とにかく守備が超一流で、金澤がサードを守っていることでどれだけチームが助けられたかわからない。そういう守備の名手が一人抜けたことがいったいチームにどう影響するのか、と言う、ある種実験的な意味で少し楽しみなのだ。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 MVPはやはり全5勝をあげたエースの庄司奈々。とにかく2018年の庄司の投球は見事だった。昨年も一昨年も防御率は2点台だったが、今年は80回を投げて1.83、全体の8位で日本人では4位。守備も抜群に巧いし、はっきり言って岡村奈々、濱村ゆかり、勝股美咲、中野花菜よりは日本代表に選ぶべき投手だと思っている。
 昨年から比べるととにかくチームに穴がいっぱい空いたので若手がどんどん出てきてくれないと困るのだが、昨年も21打席で打率0.368と良い成績だった浅石彩菜は間違いなくもっと活躍するはず。

 


【12位:大垣ミナモ】

前半戦:3勝8敗
後半戦:2勝9敗
<2018年雑感と2019年に向けて>
 5勝を上げて2部落ちは可哀想だが、外国人投手が二人もいたことを考えるともう少し打つ方が頑張って欲しかった。前半戦は確かに3勝したが、少し選手の起用法にも疑問が残った。いろいろしがらみもあっての選手起用だったと邪推するので起用法も大変だろうが、それでも日立にシーズン2勝したのは、元日立の溝江監督の執念が実ったか。
 2019年は2部での戦いとなるが、E・ロバーツが残るみたいなので、まあよっぽどのことでも無い限り優勝するだろう。ただそんな感じで呂偉投手がいたマクセルが優勝できなかった年もあったので油断は禁物だ。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 後半戦、特に終盤に来て大活躍した谷口敏子がMVP。最終節でK・リケッツから放った弾丸ライナーの2本塁打は凄かったし、特に1本目の低めの球を叩き込んだバッティングは驚愕だった。「元レオパレス21戦士」の面目躍如と言ったところ。
 その谷口と3番を打っていた兼益明日香が残念ながら引退。谷口なんか一番良い状態での引退はもったいない。今年の期待は、バッティングだけなら1部でも十分通用した田島萌愛。彼女が2部でどこまで打ちまくるのかを個人的には期待している。

 


【2部1位:NECプラットフォームズ】

<2018年雑感と2019年に向けて>
 2部の順位決定節では、戦力的にも相手が上と見られた日本精工に第1戦で大敗しながら最終戦で勝利して1部昇格を果たした。2年前と所属選手に大きな変化はないが、当時新人だった二人の左腕投手が成長しているので、その時よりは良い試合を期待できる。ただ1部は全体的にさらにレベルアップしているので、なんとか早い内での1勝がまずは目標となる。

<銀猫的、2018年MVPと2019年期待の選手>
 MVPは誰がどう見ても和田美樹。また1部の舞台で和田を見られるのが楽しみで仕方がない。
 期待の選手は巷で流れてきた噂が本当ならばなんと言っても元大和電機の望月朱里。昨年は2部でタイトルを総なめした凄い選手で、1部のスピードになれればきっと活躍できるはず。個人的にはソフトバンクの柳田とタイプが被るし、その望月が1部でやってくれるとしたら、こんなに楽しみなことはない。

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