【2019年第59回全日本実業団女子選手権大会 ~ 2日目(準々決勝、準決勝)】

【準々決勝】
 前日の1、2回戦でリーグ未加盟のチームは全て敗退。2日目からは2部リーグチームによる戦いになりました。
 とにかくこの日も暑くて暑くて見ているだけで精一杯。そんな中でプレーしている選手はもちろん、審判さんにも頭が下がりますが、前日、この日と二日続けて熱中症で選手、審判が救急車で搬送されました。無事回復されたことを願います。
 この残ったチームの力関係を考えたら日本精工が無難に優勝するのかなぁ、と思いきやさにあらず、takagi北九州に足下をすくわれました。

<酷暑で熱中症で倒れこの大会2度目の救急搬送>


 

【準々決勝:第1試合(Game-11)】
靜甲
 100 0001…2-3-0
 001 003x…4-8-0
東海理化


靜甲:
渡部恵里花、●大塚巳那子 - 米倉綾香
東海理化:○永谷真衣 - 朝田雅音
(本):
(三):
(二):米倉綾香(靜)、藤木未来(理)
<テーブルスコア>


<戦評>

 この実業団大会ではなかなか2部リーグの上位チームに勝てない東海理化が、ようやく靜甲に勝利した。ある意味この勝利を見て「今年は東海理化が優勝するのでは」と予測してこそファンと言えるのかも知れないが、まだこの時点ではそこまで予想できなかった。2部リーグファンとして、まだまだ自分は経験が足りない。
 初回、靜甲は先頭の八鍬あゆみがヒット、盗塁、進塁打で三塁に進むと3番鹿目真実に犠牲フライが出るという完璧に効率的な攻撃で先制点。逆に東海理化はヒット2本で無死一二塁のチャンスのあとにファーストゴロ三塁封殺とサードゴロ併殺打という走者も進められないまずい攻めで無得点。この時点ではまあ靜甲が勝つんだろうなと思ったが、そこからは東海理化先発の永谷真衣が好投。すると3回裏、2死一三塁の場面で百瀬篠の二盗に対し捕手が二塁送球する間に三走の太田清花が本盗を決めてあっさり同点に。1-1の6回には勝負強い打撃で4番の座を掴んだ藤木未来が無死一二塁から左中間に2点二塁打を放って勝ち越すと、川辺ちなつにもタイムリーが出て3点を奪い靜甲を突き放した。
 靜甲も7回に2死から米倉綾香にタイムリー二塁打が出るも時すでに遅し。昨年勢村香織の好投で優勝した靜甲だったが、今年はベスト8での敗退となった。


<両チームのスタメンと交代選手>

<靜甲>
1(8):八鍬あゆみ
2(4):櫻井円香
3(9):鹿目真実
4(5):本間睦
5(D):中上みかさ
6(6):野木利佳子→(打)大参花菜→(再6)野木利佳子
7(2):米倉綾香
8(3):中尾萌
9(7):山崎菜々→(打)鳫平綾香→(再7)山崎菜々
FP(1):渡部恵里花大塚巳那子


<東海理化>

1(4):太田清花
2(9):百瀬篠
3(3):麓さやか
4(D):藤木未来
5(7):後藤佑月
6(8):川辺ちなつ
7(6):小倉美衣菜→(打)室屋美希→(再6)小倉美衣菜
8(2):朝田雅音
9(5):内田成美→(打)穴見里織→(再5)内田成美
FP(1):永谷真衣

<6回、左中間に勝ち越しタイムリーを放つ東海理化の藤木未来>

 


【準々決勝:第2試合(Game-12)】
平林金属
 000 0000…0-5-2
 010 000x…1-3-0
大和電機工業


平林金属:
●中村絢夏、岡崎栞菜 - 弦田彩加、片山瑠奈
大和電機工業:○大串都未希 - 岡村香織
(本):
(三):
(二):車亜希子(大)
<テーブルスコア>
<戦評>
 大和電機は2回裏、小柳結が四球で出ると続く車亜希子が左中間を深々と破るタイムリー二塁打を放ち先制。その後は先発した大串都未希が平林金属打線を完封して結局この1点を守り抜いて昨年に続きベスト4入りを果たした。
 平林金属は先発中村絢夏がその後は好投し、予定通り交代した岡崎栞菜も好投して結局被安打3に抑えただけに、結局はあの長打1本だけで敗れたような惜しい敗戦だった。
 攻撃の方では相手を上回る5安打を放ったが、5回は2死から四球、ヒット、ヒットで満塁にするも無得点だったり、6回には送りバント失敗やタッチアップで離塁が早くアウトになったりなど、どこかちぐはぐな攻撃で得点に結びつけられなかった。


<両チームのスタメンと交代選手>

<平林金属>
1(9):松口明日香
2(1):中村絢夏岡崎栞菜
3(4):川渕真由
4(3):山本眞優
5(7):大坪真子
6(2):弦田彩加→(2)片山瑠奈→(再打)弦田彩加
7(6):酒井美咲→窪田真由
8(D):佐藤倫→(走)田畑まなみ
9(5):前田亜美→(打)齋藤梨加→(再5)前田亜美
FP(8):田畑まなみ→(8)一岡楓


<大和電機工業>

1(4):上原涼花
2(6):山元麻莉絵
3(8):新田和音
4(2):岡村香織
5(D):小柳結
6(7):車亜希子
7(5):清水梓未
8(9):渡邊佳世
9(3):堀あかね
FP(1):大串都未希

<左中間を深々と破る車亜希子のタイムリー二塁打>

<好投した大和電機の大串都未希>

<2部のセクションマッチでも見たが、ここのところの大和電機のライト、渡邊佳世の守備がキレキレ。ダイビングキャッチのファインプレーを4試合連続くらいみた>

<平林金属応援団。暑い暑い中での応援、お疲れ様です>


【準々決勝:第3試合(Game-13)】
YKK
 001 0200…3-9-0
 000 0000…0-1-2
ペヤング

YKK:安逹麻優、○川尻いずみ - 青木千秋
ペヤング:●中島智奈都、川添恵 - 清水菜々子
(本):
(三):
(二):青木千秋(Y)
<テーブルスコア>

<戦評>

 0-0で迎えた3回表、YKKは1死二三塁で飯野志保が二遊間にゴロを放ち、三走の大竹莉乃が本塁を狙うも、ペヤングの黒崎美香の好プレーに阻まれ本塁タッチアウト。チャンスが潰えたかと思われたが、続く横山美咲がセンターに運んでYKKが1点を先制する。
 さらにYKKは5回に、エラーに2本のヒットで無死満塁とし、大内麻里奈が内野ゴロ本封でアウトになるも続く青木千秋が2点タイムリーをはなって突き放す。
 YKKは投げては安逹麻優、川尻いずみのリレーでペヤングを1安打完封。四死球ゼロの継投準完全試合でベスト4に駒を進めた。

<両チームのスタメンと交代選手>

<YKK>
1(6):宮坂佑希
2(9):飯野志保
3(4):横山美咲
4(5):大内麻里奈
5(2):青木千秋
6(3):剣田あかね
7(7):井田遥
8(8):大竹莉乃→(打)浅井日加里→(再8)大竹莉乃
9(2):馬場捺夕
FP(1):安逹麻優→(1)川尻いずみ


<ペヤング>

1(8):小森真央
2(3):磯貝保乃
3(2):清水菜々子
4(5):大﨑小夏
5(9):古閑千愛
6(6):内山真帆
7(4):黒崎美香
8(D):宮原葵
9(7):田島佑奈→(打/7)酒井若菜
FP(1):中島智奈都→(1)川添恵

<3回、チャンスを広げるセンター前ヒットを放つYKK宮坂佑希>



【準々決勝:第4試合(Game-14)】

日本精工
 100 1000…2-8-0
 000 401x…5-4-2
takagi北九州


日本精工:
●藤嶋涼菜 - 鬼澤麻純
takagi北九州:○小林咲嬉 - 福元美紗
(本):
(三):前田衣里奈(t北)
(二):野木あや(日)
<テーブルスコア>

<戦評>

 いろいろな佐川急便のチームが出てきて楽しかったこの今大会だが、優勝を争うという意味で一番注目したのがこの対戦。ただ日本精工がまず2点をリードし、藤嶋涼菜がバシバシ三振を奪うのを見ると、さすがに日本精工は負けはしないだろうと思ったが、そう簡単な試合ではなかった。
 0-2で迎えたtakagi北九州は4回裏、まずは先頭の有吉萌々子がヒットで出ると1死後に増山由梨もヒットで繋ぐ。この二人の元1部選手がチャンスを作ると、藤嶋が徐々にコントロールを乱し4番の渡邊真央には死球で満塁に。ここで5番の畠田奈実が意地の同点2点タイムリーをセンターに運ぶと、さらに高山美蓉子も四球を奪って満塁。ここで打席に入った細見真由に対し、投じた1球はインコースへやや外れた普通のボール。しかしこれをサイン違いか魔が差したのか、捕手鬼澤麻純が後逸して三走が還ってtakagi北九州に勝ち越し点が入る。結局はこのパスボールが決勝点になったが、takagi北九州はその後にもきっちりエンドランで4点目を奪ったり、6回裏には代打の高卒新人前田衣里奈にダメ押しのタイムリー三塁打が出るなど、会心のゲーム運びだった。
 しかし、日本精工は横綱相撲で楽に優勝しないといけなかった大会。ただ今年の大目標は来年1部に上がること一つなので、この大会で負けたことを逆に気を引き締め直すチャンスにしてほしい。


<両チームのスタメンと交代選手>

<日本精工>
1(3):沢柚紀
2(D):松尾ほの華
3(5):野木あや
4(9):山本悠未
5(4):黒木美佳
6(7):穐山奈央→(打)重石華子→(再7)穐山奈央
7(2):鬼澤麻純→(打)馬場未波→(再2)鬼澤麻純
8(8):中村白
9(6):松田愛実
FP(1):藤嶋涼菜


<takagi北九州>

1(7):有吉萌々子
2(4):山根悠夏
3(8):増山由梨
4(D):渡邊真央→(走)比内美波→(再D)渡邊真央
5(9):畠田奈実
6(5):高山美蓉子→(打)前田衣里奈→(再5)高山美蓉子
7(3):増田みゆき細見真由
8(6):塩澤こころ
9(2):福元美紗
FP(1):小林咲嬉

<2-2の同点の場面で痛恨のパスボール。これでtakagi北九州が勝ち越し>

<さらに細見真由がエンドランを決めてこの回4点目>


【準決勝】

【準決勝:第1試合(Game-15)】
東海理化
 010 0100…2-9-1
 000 0000…0-2-0
大和電機工業

東海理化:○鈴木成実 - 朝田雅音
大和電機工業:●北山柚花 - 岡村香織
(本):
(三):
(二):川辺ちなつ(理)
<テーブルスコア>

<戦評>

 準決勝の第一試合、先制点を挙げたのは東海理化。2回表、先頭の川辺ちなつが左中間に二塁打を放つと小倉美衣菜が犠打で送り、朝田雅音がきっちりレフトにフライをあげて先制点を奪う。
 さらに5回には1死二三塁から川辺ちなつがショートに転がす間に麓さやかが本塁に生還して貴重な追加点。
 一方の大和電機も、所々で良い当たりや大きな打球が出るも、ファールになったり好捕されたりとチャンスも作れず。東海理化先発の鈴木成実の前に、いつでも打てそうな雰囲気でありながら終わってみれば結局2安打に抑えられる完封負けで、今年も昨年に続いて決勝に駒を進めることはできなかった。


<両チームのスタメンと交代選手>

<東海理化>
1(4):太田清花
2(9):百瀬篠
3(3):麓さやか
4(D):藤木未来
5(7):後藤佑月
6(8):川辺ちなつ
7(6):小倉美衣菜
8(2):朝田雅音
9(5):内田成美
FP(1):鈴木成実


<大和電機工業>

1(4):上原涼花
2(6):山元麻莉絵→(打)黒木明日華→(再6)山元麻莉絵
3(8):新田和音
4(2):岡村香織
5(D):新海雪奈
6(7):車亜希子
7(5):清水梓未
8(9):渡邊佳世
9(3):堀あかね→(打)小柳結→(再3)堀あかね
FP(1):北山柚花

<2安打完封勝利をあげた東海理化の鈴木成実>

<大和電機の岡村香織の大飛球も切れてファールに>

<5回、2点目となるタイムリーを放ってもクールな川辺ちなつ>

<最後は後藤佑月が左飛を捕球してゲームセット>


【準決勝:第2試合(Game-16)】
YKK
 100 0000…1-4-1
 110 000x…2-4-1
takagi北九州


YKK:
●安逹麻優、古川由乃、川尻いずみ - 青木千秋
takagi北九州:○小林咲嬉 - 福元美紗
(本):
(三):
(二):山根悠夏、渡邊真央(t北)
<テーブルスコア>

<戦評>

 1回表、YKKは飯野志保がヒット、盗塁で二塁に進んだあと大内麻里奈にレフト前タイムリーが出て先制。takagi北九州もその裏すぐ山根悠夏の二塁打と渡邊真央のセンター前で同点に追いつく。
 さらにtakagi北九州は2回裏、高山美蓉子が死球で出ると細見真由のセカンドゴロがエラーを誘い無死一二塁。ここから塩澤こころの犠打、福元美紗の犠飛とソツのない攻めで勝ち越し点を奪う。
 しかし序盤の攻防で点を取り合ったあとは完全な膠着状態。takagi北九州は4回に1死二三塁のチャンスも無得点。YKKも相手のエラーや打撃妨害でチャンスをもらうもあと一本が出ず。両チームの投手も好投し、結局このまま2-1でtakagi北九州が勝利し決勝戦に駒を進めた。


<両チームのスタメンと交代選手>

<YKK>
1(6):宮坂佑希
2(9):飯野志保
3(4):横山美咲
4(5):大内麻里奈
5(2):青木千秋
6(3):剣田あかね
7(D):井田遥
8(8):大竹莉乃→(打)浅井日加里
9(7):馬場捺夕
FP(1):安逹麻優→(1)古川由乃→(1)川尻いずみ


<takagi北九州>

1(7):有吉萌々子→(7)佐藤果歩
2(4):山根悠夏
3(8):増山由梨
4(D):渡邊真央
5(9):畠田奈実増田みゆき
6(3):高山美蓉子
7(5):細見真由
8(6):塩澤こころ
9(2):福元美紗→(打)馬込穣→(再2)福元美紗
FP(1):小林咲嬉

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