【2009年1部2部入れ替え戦~Honda・平林の大活躍で1部残留、靜甲執念の粘りも無念の2年連続入れ替え戦敗退】

1部2部ともに日本リーグのレギュラーシーズンが終わり、プレーオフとなる入れ替え戦や決勝トーナメントも終わった。最後のトヨタ対ルネサスの劇的な決勝戦を西京極で見終え、ようやく今シーズンも全て終わったと思った次の日、仕事で向かった先は三重県熊野市、そして集合場所が「山崎運動公園」。
うむ。まだまだ終わらせてはくれないようだ(しかも目の前でフェリーが横転した)。
そんなわけで少々抜け殻のようになっていたのだが気合いを入れ直し、最後の最後まで興奮させてくれた入れ替え戦と決勝トーナメントを少しずつ紹介していきたいと思う。
まずは入れ替え戦から。

※靜甲v.s.Honda、やはり思い入れが強くて文章が長くなってしまいます。済みません。

 


 

【靜甲、驚異の粘りも無念~Hondaがとうとう本領を発揮し2連勝で1部残留】

<靜甲には大きな誤算だった河部の不調>
スピード、キレともになくコントロールも悪い。こんな河部は見たことがなかった。緊張したのかどうか、とにかく本来の河部にはほど遠い内容で靜甲敗退の一番の要因は河部の不調といっても過言ではないだろう。それくらい本調子の河部は良い投手で、Honda相手に7回1失点くらいの好投をしてもおかしくはない実力はあるのだ。返す返すも残念でならない。
ただし、その河部の不調の穴を見事に埋めたのが元エースの鈴木麻美だ。昨年と同じように、1試合目は滅多打ちをくらい大敗したが、どうも初戦に弱い靜甲の癖のようなもので、2試合目は去年と同様、堂々互角の勝負に持ち込んだ。昨年もシオノギ相手に7回1失点だった鈴木だが、今年の2試合目も点を取られた河部の後を受けてしっかりと試合を立て直した。河部の陰に隠れて今ひとつ目立たなかった鈴木麻美が、ここぞという試合で本来の投球を見せてくれた、それが何より嬉しかった。負けはしたがこの好投はきっと来年に繋がるだろう。
<入れ替え戦ではまるで本来の力を出せなかった河部。この借りはリーグ全勝で晴らす>

<やはりここぞという試合で活躍した天才打者・平林とラッキーガール・大橋>
先制打に中押し犠飛とラッキーガールな大橋の活躍も大きかったが、やはりこの試合は天才平林の4安打が全てだっただろう。4番ヘザーに若きスラッガー加藤がともに1安打、頼りになる菊池と島崎がノーヒットと、村上も合わせ3番~7番が完全に不発だったこの試合、2人で4打点とこの仲の良い1、2番が大車輪の活躍だった。この試合の平林、レフトオーバーの二塁打と三塁打、左中間を破る二塁打、そして中前打と、凡退した中飛も大飛球であり、全打席センターから左に完璧に捕らえた打球ばかりだった。1部で4割5分を超える打率を残した1年目の彼女を彷彿とさせる手の付けられないようなバッティングだった。この感触を持ったまま半年間過ごすことが出来たら、来年こそは大化けしてくれるだろう。

 

<非常に大きかった9番中村瞳のバッティング>
打線の組み替えも成功したHonda。9番に置いた中村瞳がチャンスメイクもしタイムリーも放つ3安打と盆と正月が一緒に来たような活躍だった。とにかく、今日大当たりの3人が9番~2番に揃ったのが大きな勝因だった・普段から気合いいっぱいの中村瞳だが今日は自ら当たりにいくなどいつも以上に気合い抜群。この中村が打てなかったらどうなっていたか、非常に大きな役割を担った。

 

<2部の詰めの甘さが出た靜甲>
珍しく日本ソフトボール協会が負けた靜甲に対してHP上でかなり辛口の評価を書いた。実際に見ていたファンなら、どちらのファンかは別にしてもやはり靜甲の戦い方に対する歯がゆさを感じたのではないだろうか。
初回に4番萩藤へ課した2度のスクイズ(結果は失敗)という消極さ、序盤に何度も繰り返された走塁ミスは1部のチームでは見られないものだ(今年後半戦の織機ぐらいなものだ、笑)。確かに良い当たりだったが外野に上がり長打になった大きなフライ3本も、1部の外野手なら最低2本はキャッチしているのではないか。長年2部に甘んじているとその壁を乗り越えるのは難しくなるのだろうが、だが逆に見ている方が(協会関係者までもが)そこまで歯がゆく感じてしまうのも、靜甲というチームが持つ潜在能力の高さを認めているからに他ならない。なんとかその壁を乗り越えられないものか。
その乗り越えられていない壁、つまり全体としての詰めの甘さがHondaに連敗した原因なのだが、特に大きかったのはこの場面ではなかったか。
延長タイブレイカーの8回、犠打を決められ1死三塁となるが中村瞳を打ち取り2死三塁となり平林を迎えた場面。今日二塁打、三塁打を含む3安打と大当たりの平林に対し、初球簡単にストライクを取りに行ってしまい決勝の二塁打を浴びてしまったのだ。冷静に考えればどう考えても平林は敬遠で大橋勝負だっただろう。今日2打点とラッキーガールぶりを発揮していた大橋とはいえ、やはり1点もやりたくないあの場面で好打者平林との勝負は考えられなかった。太陽誘電をあと一歩まで追い詰めた全日本総合においても、決勝点は相手の攻め方を特に考えずに普通に投げて簡単に決勝スクイズを決められている。詰めの甘さというしか言いようがない。
一方のHonda、この試合先制しながらも7回に2死無走者から追いつかれ、一打サヨナラの場面ではやはり1部のチームとしての冷静さを見せつけた。同点とされなおも2死一三塁。ここで好打者の植松を敬遠気味にボール4つであっさりと歩かせて満塁にしている。
もちろん、1点もやれない場面での満塁策はセオリーでもあるのだが、ただ押し出しも危惧される場面。金尾のコントロールを信じつつもしっかりセオリー通りのソフトボールをやったHondaが勝つのは当然だったかも知れない。
平林を歩かせていたところでどうなっていたかはわからないが、しかしながら、この試合にもし靜甲が勝っていれば、続く第3戦はジーナに疲れが見え金尾も捕まりだしたHondaが不利だったのではないか。勢いのついた靜甲が連勝する可能性が高かったと思っている。
2部では頭一つ抜けるくらい個々の選手の能力は高いものがあるのだから、特に走塁や作戦面、試合を見渡せる冷静さなど、ソフトボール全体に対する詰めの甘さをしっかり克服して欲しい。そうすれば間違いなく、来年は靜甲が優勝して文句なしに1部に復帰できるはずだ。


では、二日目の試合の詳細を振り返りましょう。

【スターティングメンバー】

【先攻:Honda】
1(9):平林真由子
2(8):大橋美奈
3(5):加藤恵理
4(2):ヘザー・スカグリオネ
5(D):菊池亜佐美
6(7):島崎望
7(6):村上由里子
8(3):田中清香
9(4):中村瞳
DEFO(1):ジーナ・オークス

 

【後攻:靜甲】
1(7):尾方栄里
2(9):白井加奈絵
3(6):鈴木優子
4(D:萩藤寛子
5(3):計盛(かずもり)志津子
6(2):田中美穂
7(5):松井志帆実
8(8):植松尚子
9(7):中村夏美
DEFO(1):河部祐里

<一日目はHondaの大勝だったが靜甲の巻き返しはなるか、二日目の試合が始まった>


 

【1回表:Honda~1点】
平林左三塁打
<先頭の平林が三塁打でチャンスを作る>


<ドームの天井の影響もあったか、中村夏美がやや目測を誤ったのも痛かった>


大橋左前適時打(ポテン)
<貴重な先制打はやはりこの選手、大橋>


加藤左前打
ヘザー:死球
菊池:右飛
(この右飛に一走ヘザーが飛び出し、仕方なくホームを狙った大橋がタッチアウト)
島崎:四球
村上:二ゴロ

 

【1回裏:靜甲~0点】
尾方:死球
白井:投犠打野選
鈴木:二ゴロ(二三塁に)
萩藤:一ゴロ併殺打
※一度スクイズ失敗のあと再びスクイズ敢行。しかし一塁正面で尾方は悠々アウト、萩藤も転んでしまい痛恨のダブルプレー

 

【2回表:Honda~1点】
田中:三ゴロ
中村右中間二塁打
平林中前打
<この打順がズバリ当たった。9番中村瞳と1番平林の連打でチャンスを広げる>


(平林二盗で二三塁に)
大橋中犠飛
<(上)念入り過ぎる打ち合わせの中村瞳と平林、(下)2点目も大橋。まさにラッキーガール>


加藤:空振り三振

 

【2回裏:靜甲~0点】
計盛中前打
田中:遊ゴロ(走者二塁)
松井:三ゴロ(走者二塁そのまま)
植松右前打
※この打球に計盛が三塁をオーバーラン、戻りきれず痛恨のタッチアウト

 

【3回表:Honda~0点】
ヘザー投強襲安打
☆代走に沢幡優佳
菊池:遊直併殺打(エンドラン失敗)
島崎:中飛

 

【3回裏:靜甲~1点】
中村中前打
<中村夏美の美しいバッティング>


尾方:三犠打
白井:一半直
鈴木遊内野安打
(鈴木二盗)
萩藤中前適時打
<頼りになる萩藤の追撃タイムリーに本人も気合い>


計盛:四球(満塁に)
☆ここでHondaは投手交代、ジーナ→金尾和美
<今日は室内ということもありメガネの金尾>


田中:投ゴロ

 

【4回表:Honda~2点】
村上:左飛
田中右三塁打
<低めをうまくすくった田中、ライトの白井、グラブの先わずかに届かず>


中村右前適時打(ポテン)
(三走との間にエンドラン、中村打ち上げるが幸運にもライト前にポトリ)
<中村のヒット(上)と平林のタイムリーでベンチに還った中村を迎えるHondaベンチ>


平林左中間適時二塁打
☆ここで靜甲は投手交代、河部→鈴木麻美
大橋:左飛
加藤:空振り三振

 

【4回裏:靜甲~1点】
松井:遊ゴロ
植松左前打
(植松二盗)
中村:二ゴロ(走者三塁)
尾方:四球
代打菊池美咲右前適時打
<密かに応援を続けている菊池美咲。大事な場面でようやく結果を出してくれた>




鈴木:遊ゴロ二封

 

【5回表:Honda~0点】
ヘザー:右飛
菊池:見逃し三振
島崎:三直

 

【5回裏:靜甲~0点】
萩藤右前打
計盛:二ゴロ
田中:遊ゴロ(二走の萩藤タッチアウト)
松井:投ゴロ

 

【6回表:Honda~0点】
代打原田美樹:遊ゴロ
田中:遊ゴロ
中村中前打
平林:中飛

 

【6回裏:靜甲~0点】
植松:空振り三振
中村:空振り三振
尾方:右飛

 

【7回表:Honda~0点】
大橋中前打
(大橋二盗)
加藤:一ゴロ(犠打失敗三塁アウト)
ヘザー:遊ゴロ野選(6-4)
菊池:中飛
島崎:四球
村上:右飛

 

【7回裏:靜甲~2点】
白井:一ゴロ
鈴木:一飛
※簡単に2死を取られるもここから粘る

萩藤中前打
計盛:四球(計盛の提灯)
田中左前打
松井右前2点適時二塁打
<ここまで凡退続きの松井もこの打席は表情がまるで別人。執念で打球を運んだ>

<ふらふらっと上がった打球、平林が走り込んで一旦好捕するも、そのままの勢いでスライディングしたときに人工芝に叩きつけられ落球>


※普通の芝生ならそのまま普通にスライディングできて落としていなかっただろう
※しかし執念の靜甲、2死無走者から2点を追いつく!

植松:四球(敬遠)
中村:右直
※簡単に追い込まれてから会心の一撃、サヨナラか!?と思われたが伸びすぎてライト正面。平林、今度は慎重にまるでドッチボールのように体全体で捕球。

<試合は延長タイブレイカーに>

【8回表:Honda~1点】
☆二走に村上
田中:三犠打
中村:三ゴロ(グリップに当たってしまう)
平林左越適時二塁打(初球)
<最後に決めたのもやはりこの選手、今日大当たりの平林>


大橋:遊飛

 

【8回裏:靜甲~0点】
☆この回から投手にジーナが再出場
尾方:一犠打
白井:中飛(浅い当たりで犠飛にならず)
鈴木:四球
萩藤:空振り三振
<最後は最も頼りになる打者、萩藤だったが、無念の空振り・・・>

<Hondaが辛くも勝利し1部残留を決めた>

Honda 110 2000 1…5
靜 甲 001 1002 0…4
Honda:ジーナ、金尾、ジーナ-ヘザー
靜甲:河部、鈴木麻美-田中
(三)平林、田中(H)
(二)平林2、中村(H)、松井(靜)

 


 

<おまけ。熊野での仕事の途中、目の前で海で横倒しになってしまったフェリー。有村海運のフェリーにはよくお世話になったのだが・・・。ちなみに泊まった宿は「はるさめ」>

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