【2011年全日本総合ピックアップ(2)~大和電機v.s.大鵬薬品 「堂々ベスト8入りした大和電機の1回戦」】


 まずはこの大会でベスト8に残ったチームを見てもらいたい(各ブロック前に書いたのがベスト4入り)。

  Aブロック:トヨタ自動車(1部1位)、日立マクセル(1部8位)
  Bブロック:豊田自動織機(1部3位)、佐川急便(1部9位)
  Cブロック:日立ソフトウェア(1部3位)、デンソー(1部6位)
  Dブロック:ルネサス高崎(1部2位)、大和電機(2部AS-5位)

 ベスト4は実力通り1部の現在4強が入った。
 ベスト8となると多分に組み合わせの運も大きく、特にルネサスと同ブロックということは他の1部強豪チームが一緒にならないという暗黙のシステムがあるのでその分勝ち上がるチャンスは広がるのだが、しかしそれにしてもこのメンツの中に大和電機が入り込むのは快挙だ。
 勝った相手も、1部では上位チームとも互角に戦う大鵬薬品に、そして地元の大垣ミナモ。ミナモはご存じ多くの1部経験選手が集まっているチームであり、しかも増淵まり子が先発ならほとんど1部チームと戦力は変わらない。つまりこの大会の大和電機は1部の2チームに勝ってベスト8入りしたようなものであり、決して運だけではない実力で勝ち上がった結果そのもの。それだけに余計に価値が高く、堂々と胸を張れる成績なのだ。 

 そんなわけで今回は大健闘の大和電機をメインにして試合を振り返ってみたい。ということで、このブログではいつも応援している大鵬薬品は今回は完全に引き立て役に回ってもらうことにしましょうね(笑)



大和電機
 002 3000…5
 000 0000…0
大鵬薬品

大和電機:○上野温子 - 榎本育恵
大鵬:●梅津佳奈子、井俣茉莉-増井知美、三崎奈緒
本:
三:
二:町田(大)
【テーブルスコア】


【1~2回表:大和電機~0点】
 先頭の児玉愛が内野安打も、2番の大林茉央が犠打失敗。続く町田がヒットと、2安打ながらもちぐはぐな攻撃で得点できず。
 そして2回もほとんど同じようなちぐはぐな攻撃。この回も2本、しかも無死から安打が出ながら福本がバント失敗で三封。榎本が送って二三塁とするも児玉愛が倒れて得点できず。

【1~2回裏:大鵬薬品~0点】
 一方の大鵬薬品も同じように拙攻のお付き合い。
 初回、先頭の中山がヒットで出るも2番の酒井が犠打失敗、3番稲垣が仕方なく再び犠打で送り走者の中山ががら空きの三塁を陥れチャンスを広げるも、今日4番に座った佐藤光が打ち取られて先制ならず。
 2回も先頭四球の千原をバントと進塁打で再び三塁へ進めチャンスを作るが得点できず。

【3回表:大和電機~2点】
 1、2回を両チームともにチャンスを潰しつつも、よりヒットが出ていた大和がようやくこの回先制する。
 先頭の大林茉央が右前打で出ると、続く町田が三遊間寄りに内野安打。この処理に慌ててファンブルしたショートの森田が投げずもがなの一塁に悪送球してしまい、大和がいきなり二三塁のチャンスを得る。
 4番小林は遊飛に、5番の辻村が投ゴロに打ち取られたが、6番の児玉沙織がライトにタイムリーを放ちようやく先制点を奪う。さらに7番の新美もショートにタイムリー内野安打を放ち2点目を奪う。

<児玉沙織の先制タイムリー>

<ファースト大村のすぐ脇をすり抜けた打球、捕っていたら展開も変わっていただろうが、こういう中途半端な近さの速い打球は一番難しい>

【3回裏:大鵬薬品~0点】
 ただこの時点ではまだ大鵬が「2点のハンデを背負った」くらいの感覚で、さてどんな感じで反撃し逆転するのかなというような見方をしていたが、得点したすぐ裏のこの3回の上野の投球がその雰囲気を断ち切った。
 先頭の好打者中山を厳しいコースで見逃し三振にとると、続く曲者酒井も見逃し三振に。そして打撃開眼間近の稲垣をファーストファールフライにと、フェアグランドに打球を飛ばさず三者凡退に抑えたのだ。
 この上野の投球で大鵬の選手は何となく「あれ、今日はやばいのかも」と思ったはずだし、大和の選手は逆に「あれ、今日はなんか行けるかも」と肌で感じたのかも知れない。
 そしてその流れが次の回に繋がる。

【4回表:大和電機~3点】
 3回裏の上野の好投による大和電機への微妙な流れを決定づけたのがこの回の攻撃だった。
 癒し系捕手の榎本が先頭で四球、児玉愛がチーム三度目のバント失敗で嫌な流れになるが、2番の大林茉央が再びライト前にヒットを放ってチャンスを広げる。
 この場面で頼りになる3番町田が梅津のアウトコース低めの難しいコースを逆らわず左にジャストミート。レフトに入った稲垣の頭上を越す二塁打となって大きな2点が入ると、2死後に辻村もタイムリーで続き、決定的な5点目が入る。

<1死一塁から大林茉央がライト前にこの日2本目のヒットでチャンスを広げると、>

<キャプテン町田が低めの球を左方向に大きな当たりを放ちこれが2点二塁打に>

<さらに辻村もセンター前に運び、町田がタッチをかいくぐってホームイン。決定的な5点目が入る>

【5~7回裏:大鵬薬品~0点】
 いかに長打力のある大鵬打線とはいえ5点差になるとかなり厳しく、そしてこういう展開ではますます技巧派左腕のピッチングが冴える。
 上野は5回にヒット2本でややピンチを迎えるも、それ以外は3回以降全て三者凡退というすばらしいピッチング。
 最後の打者の上釜もセカンドゴロに打ち取ってゲームセット。先発上野の見事な完封と打線の援護で、大和電機が快勝し翌日に駒を進めた試合だった。

<最後の打球を処理するセカンドの大林茉央、自然と笑みがこぼれる>

【試合終了】


<甲賀医専時代から、飛びぬけて凄い球があるわけではないがピッチングがうまく常に好投していた印象が強い上野温子>

<その上野とは同じ滋賀県の高校出身で1才年上の捕手榎本育恵。新人の頃は実業団でやっていけるのかと心配だったが、見る見るうちに成長して立派な捕手に。とにかくどことなく愛嬌があって面白い(笑)>

<この日は5失点と散々だった大鵬薬品の先発梅津佳奈子。彼女の名誉のために言っておくと、正直この日の投球内容は本来の実力からは程遠かった。調子がよくなかったね>

<そして翌日の朝の大和電機の練習風景。この直後に行われた大垣ミナモ戦でも上野温子が完封し、チームをベスト8に導いた>


 ※ちなみに、大和電機の同姓選手の大林莉央(りお)と大林茉央(まお)はもちろん姉妹だ。字を見りゃわかる。

 ※でも、児玉愛と児玉沙織は姉妹でもいとこでもなく、赤の他人。

 ※そして榎本育恵とアート引越センターのお姉さんは、実は同一人物だ。

(↓誰も違いがわかるまい)

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