昨年は数多く(15人)の新人投手がデビューし、特に新人賞の井俣茉莉(大鵬薬品)や伊予銀行から今年日立マクセルに移籍した西村瑞紀など、高卒新人投手の大活躍が印象的だった。今年新人賞を獲得した森真里奈も昨年デビューした2年目の投手であるし、山中しほ(日立ソフトウェア)や信長香菜(佐川急便)などすでにチームの柱になろうとしている投手も多い。
その昨年に比べると、今年は入団人数そのものが7人と半数以下のうえ、特に目立った活躍をした投手がいなかったのも事実である。1年目から大活躍した野手陣とは非常に対照的なのではあるが、ジュニア代表でも活躍した中村友佳(トヨタ自動車)や北岡志帆(豊田自動織機)のように素材的には素晴らしい選手もいるので今後の飛躍に期待したい。
そんなあまり目立った活躍がなかった今年の新人投手の中で、最も活躍したのが佐川急便の関根有希(淑徳大出)である。関根は最多の24.7回を投げ2敗と未勝利だが、防御率2.55と新人としては及第点の成績を収めた。試合ごとの投球の詳細がわからないのだが、投げた相手がマクセル、デンソー、ルネサス、織機、トヨタに2試合と、強豪が多い中でのこの成績は今後に期待を持たせるものではないだろうか。昨年入団の信長とこの関根で試合を作れるようになると、佐川急便の試合運びはもっと楽になる。個人的にはリーグではなく総合や練習試合での投球を見させてもらったが、球に力があって投球フォームもクセがあるタイプでなかなか良い投手だなあと感じた。
Hondaの西岡里恵は大学時代から名の売れた投手でチームとしても期待の大きい投手だろうが、10回投げて6四球に2暴投とコントロールを乱して自滅するパターンが多く見られた。来年こそは本来の実力を見せてくれるだろうか。
駒の豊富な投手陣の中で投球回7回とチャンスをなかなかもらえなかったが、少ない登板機会の中でも光るモノを見せたのがジュニア代表でもエース格のトヨタ自動車の中村友佳。今年の新人では唯一となる1勝をあげたし、何より防御率が0.00で被打率も0.192という数字が素晴らしい。栴檀は双葉より芳し、か。
その他の4投手についてはともに投球回数4回以下と今年は顔見せの1年で、この冬鍛えて来年本格デビューといきたいところだが、中村と同じく期待度の高い北岡志帆の「被本塁打2」にやっぱりひとこと言いたい。前の記事でも書いたが打たれた相手が同じく新人でジュニアの代表仲間でもあるルネサスの市口侑果とトヨタの長崎望未なのがどうにもいただけない。来年はこの二人には絶対に打たれちゃいかん。
【投球回数】
24.7 関根有希(佐川急便)
10.0 西岡里恵(Honda)
7.3 中村友佳(トヨタ自動車)
4.0 尾﨑望良(太陽誘電)
4.0 更ヱ万梨菜(靜甲)
3.3 北岡志帆(豊田自動織機)
3.0 佐藤佑樹(日立ソフトウェア)
【投球数】
401 関根有希(佐川急便)
214 西岡里恵(Honda)
190 北岡志帆(豊田自動織機)
112 中村友佳(トヨタ自動車)
108 更ヱ万梨菜(靜甲)
89 尾﨑望良(太陽誘電)
39 佐藤佑樹(日立ソフトウェア)
【防御率】
0.00 中村友佳(トヨタ自動車)
0.00 佐藤佑樹(日立ソフトウェア)
2.55 関根有希(佐川急便)
5.25 尾﨑望良(太陽誘電)
6.72 北岡志帆(豊田自動織機)
7.00 西岡里恵(Honda)
12.25 更ヱ万梨菜(靜甲)
【被打率】
0.182 佐藤佑樹(日立ソフトウェア)
0.192 中村友佳(トヨタ自動車)
0.302 関根有希(佐川急便)
0.390 北岡志帆(豊田自動織機)
0.423 西岡里恵(Honda)
0.429 尾﨑望良(太陽誘電)
0.500 更ヱ万梨菜(靜甲)
【奪三振】
7 関根有希(佐川急便)
5 中村友佳(トヨタ自動車)
4 西岡里恵(Honda)
2 北岡志帆(豊田自動織機)
1 尾﨑望良(太陽誘電)
0 更ヱ万梨菜(靜甲)
0 佐藤佑樹(日立ソフトウェア)
<2011年の新人投手成績>
<今年の新人投手の中では一番活躍した佐川急便の関根有希。野球のアンダースローのような独特な投球フォーム>
<1年目は今ひとつだったが今後大いに期待したい豊田自動織機の北岡志帆>