【真夏の昼の夢~ロンドン五輪決勝戦・1回】


 ※予選から順位決定戦と試合を経過し、数々の死闘が有りながらも決勝戦に駒を進めたのは予想通りに日本とアメリカ。この2カ国による決勝戦がいよいよ行われる。


銀猫アナウンサー
(以下、銀猫)「さあ試合が始まります。この試合の解説はソフトボール界の重鎮にして日本が誇る絶叫マシーン、打木太鼓子(うつき・たいこ)さんと、ロンドン五輪の放映権を全て落札したテレビ新広島の解説者でもあります達川光男さんです」


打木
(敬称略)「どうもこんばんは」


達川
(敬称略)「ハイ、どうも」


銀猫
「達川さんソフトボールの方はどうですか?」


達川
「そりゃもう~ねえ、ちゃんと過去のビデオもね、なんいうんですか、刈谷のKATCHですか?あのビデオも見て来ましたけぇ。それからね、『なんとかのソフトボール観戦記』言うんですか、あのブログも見てね、勉強してきましたけん。おかげでちょっとー口が悪うなって、辛口通り越して悪口なりそうですし、口だけじゃなくておかげで性格もずいぶん曲がってしまいましたが、まあこらえてつかあさい」


銀猫
「…」


銀猫
「さあ試合が始まります!」


銀猫
「まずは試合に先立って始球式が行われたのですが、すごく大がかりな始球式になりましたね打木さん」

打木「そうですね~。IOCのソフトボール競技に対する期待の大きさがひしひしと伝わってくる始球式でした」


達川
「あのね~あのね~」


銀猫
「その始球式ですが、北京五輪の決勝戦終了直後にファーストの佐藤理恵が放り投げたウイニングボールが4年間地球の軌道を回り続けていたのですが、それをロシアの宇宙船ソユーズに滞在中の星出彰彦さんが回収してロンドン五輪のソフトボール会場に投げ入れるという、宇宙工学の粋を集めた素晴らしい始球式でした」


銀猫
「ここで両チームの先発オーダーの紹介です」

【日本のスタメン】
 1(右):平林真由子(Honda)
 2(二):鈴木美加(トヨタ自動車)
 3(一):中森菜摘(豊田自動織機)
 4(遊):小野奈津子(日立マクセル)
 5(左):佐々木瞳(大鵬薬品)
 6(三):柳瀬友紀(佐川急便)
 7(捕):橋元春華(シオノギ製薬)
 8(D):大満百央(日本精工)
 9(中):阿部環(日立マクセル)
 FP(投):UN20番

【アメリカのスタメン】
 1(中):クリスティ・ムルトリー
 2(三):ミッシェル・メイジョンソン
 3(二):ステーシー・ギブソン
 4(左):ローレン・コックラン
 5(一):ケイトリン・アリオト
 6(遊):バレリー・チデスター
 7(捕):アマンダ・ホロコム
 8(指):アシュリー・ジョンソン
 9(右):モリー・オルゲロン
 FP(投):キャット・オイスターソースマン

銀猫「ちなみにベンチ入りの控え選手に関しましてはおいおい考えます(何)」


銀猫
「さて打木さん、日本の先発は上野ではなく背番号20番の大きなマスクをした投手ですね。名前は最後まで伏せられているようですが」


打木
「そうなんですよね。残念ながら上野は世界選手権直後に五輪関連の取材を受けたときにマスコミから猫インフルエンザをうつされたみたいでして、今は高崎の寮の部屋でニャーニャー叫んでいるみたいです」


銀猫
「そうですか。どうせサンスポでしょう。あいつらろくなことしないですから。まあしかし上野が『にゃー』って、なんか想像すると若干可愛いですね。あくまで“若干”ですが(笑)」


銀猫
「ちなみに他の国は世界選手権のメンバーそのままですが、日本だけはフレッシュなメンバー構成になりました。どうやら上野を通して世界選手権代表選手のほとんどに猫インフルエンザが感染してしまったようです。そんな中で唯一、トヨタ自動車の鈴木美加だけが罹患せずに今回も代表に参加しました。」

達川「あのね~あのね~。そうですか、鈴木だけですか。まあ、“なんとかは風邪引かん”、言いますけんね、あっはっは。」


銀猫
「…、えーっと、そ、そうですね。美人は風邪引かない、でしたっけ(ほんまに口悪くなってるな達川さん…)」


銀猫
「ちなみに日本の首脳陣は監督が福田六志さん、三塁コーチに餅突さん、一塁コーチに長与志さんで、投手コーチに藤原麻起子さんが入ってます。監督と三塁コーチとのコミュニケーションが若干不安です」

打木「まあ逆に緊張感があっていいでしょう(笑)。それに長与志さんが緩衝作用をしてくれるはずです」


銀猫
「さあ試合がはじまります!」



【1回表・日本の攻撃】

銀猫「日本の攻撃が始まりますが、スタメンでは日本は3番に中森を抜擢してきましたね。どうでしょうか打木さん?」


打木
「…、えーっと。…。中森って、誰ですか?」


銀猫
「えええーーー!!??」


打木
「中野の間違いじゃないですか?」


達川
「あのね~あのね~…」


達川
「あのね~、打木さんが知らんのも無理ないですわ。中森はもともと伊予銀行におってですね、去年は2部リーグの選手やったんじゃけえ。まあそういう僕もこの前愛媛からミカン送ってもらった時に段ボールの底に敷いてた愛媛新聞の記事で初めて知ったような状態なんですけどね。はははは。それより、これはまあ宣伝なるんですけど、僕もテレビ新広島のHPで『ものが違います』いうブログやっとんですわ。そこのHP開いてもろたら右の上の方にバーコードいうんですか、白黒の四角いのが貼ってありますけえ、そこに携帯電話かざしてもろたら着ボイスがダウンロードできるんです。その着ボイスでも「あのね~あのね~」言うとりますんで、またこれもダウンロードしてください。それから新幹線の広島駅行ったらカープカツいう大きな袋がよう目えつくとこに置いとるはずなんですけど、そこの横にも「達川の携帯ストラップ」いうのが並んどるはずです。そのストラップのボタン押しても「あのね~あのね~」いいますんでね、コレも広島行ったら買うてください。670円くらいやったはずでね、しゃもじ弁当買うよりなんぼか安う済みますけえ。そないようーけ買うてくれ言うとりゃあせんですけえ、1個2個でええんでね、ちーと小遣い使うて買うてください。よろしゅうお願いします」


銀猫
「え~っと…、与太話が続いているうちに日本の攻撃が三人で終わってしまいました…。いったんCMです」

【1回裏・アメリカの攻撃】

銀猫「さて創建ホームのコマーシャルが20回繰り返されている間にアメリカの攻撃が5番まで進んでしまいました。日本の先発の20番投手、先頭のムルトリーから5番のアリオトに対するまで、20球連続のボールで押し出しで2点を与えてしまいました。達川さんどうですか」


達川
「あのね~あのね~。立ち上がりから20球連続ボールて、江戸川大会での元戸田中の稲垣絵莉子じゃないんじゃけえ、しっかりしてもらわんといかんよ~」


銀猫
「そうそう元戸田中と言えば、先輩の坂井寛子にならってか五輪復活を機に堤千佳子投手が現役に復帰して今回の代表にも選ばれてますね。その堤が1回裏に早くもブルペンに走りました。それからマウンドには投手コーチの藤原麻起子が走り、20番投手にアドバイスを送ります」

 ※その後、20番のマスク投手が藤原コーチのアドバイスで見違えるようにコントロールを取り戻し、三者三振に切って取りこの回を2点で切り抜けた。


<1回表:日本~0点>
平林:サード前セフティバント、一塁ヘッドスライディングも間一髪アウト
鈴木:空振りの三球三振(初球、2球目とホームラン性のファールも)
中森:初球をファーストライナー

<1回裏:アメリカ~2点>
ムルトリー:四球(ストレート)
メイジョンソン:四球(ストレート)
ギブソン:四球(ストレート)
コックラン:押し出し四球(ストレート)
アリオト:押し出し四球(ストレート)
チデスター:空振り三振
ホロコム:空振り三振
ジョンソン:空振り三振

日本 0
米国 2


(つづく。たぶん)

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