デンソー
000 0101 …2
001 0101x…3
豊田自動織機
(7回サヨナラ)
デンソー:アイリーン・キャニー、●染谷美佳 - 竹林綾香、伊藤綾香
豊田自動織機:○栗田美穂 - メーガン・ウィリス
(本):田中美奈子(デ)
【戦評】
それにしても、田中麻里奈の同点ホームランには鳥肌が立った。7回2死走者なし。2ストライク0ボール。恐らく1球外すはずの球が甘く入ったのだろうが、それにしてもはるかにフェンスを越える打球を放った田中が立派だったとしか言いようがない。
田中は栗田より1学年後輩で静岡の飛龍高出身。栗田が高3のインターハイ予選で敗れた相手が鈴木麻美(靜甲)がエースの飛龍だったが、恐らくこの田中も出ていたはずで対戦もしているはず。栗田は静岡大会で中学高校の同級生の中村夏美(靜甲)にも三塁打を打たれているし、またしても同じ静岡の昔を知る選手に打たれてしまった。
ただ失投と言えるのもその一つくらい。7回2死まで1失点なのだから十分だ。1試合ごとに経験を積み成長している栗田のこと、このホームランもきっと次に生かしてくれるだろう。
その栗田もそうだが、キャニーをリリーフしたデンソーの染谷も絶妙なコントロールで勝負するだけに球審の判定にはかなり苦しんでいた。そこから結果的に2点を奪われたが、しかしメーガンのタイムリーは完全に打ち取った不運な打球で、最後の小柳のヒットも完全に高めに外したボール球。それをこの試合の2打席目のヒットからようやくバットにボールが当たるようになってきた小柳が勢いで打ったヒットであり、ともに仕方がない結果だろう。
そのヒットの打球を最後は衣笠がファンブルする間にサヨナラの1点が入ったが、この衣笠も余り責めたくない。実はこの刈谷大会では、デンソー対マクセル戦でマクセルのレフト東綾華がレフト前ヒットをファンブルする間に二塁からサヨナラの走者が生還。シオノギ対デンソー戦ではシオノギのセンター三宅がセンター前ヒットをファンブルする間にデンソーが貴重な2点目。シオノギ対織機戦ではレフト前ヒットを白井が後逸して三塁打にしてしまい失点に繋げるなど、4チームそれぞれで外野手の痛いファンブル、後逸があった。
具体的な理由としては、試合解説の星野伊都子さんも指摘していたが、刈谷球場は外野の土と芝生の境目が高く、そこを避けて捕るためにどの外野手も無理をして難しいバウンドでも前に捕りに行ってしまうとのこと。実際に白井のプレーもその芝生のつなぎ目で打球がイレギュラーしたものだったし、それにこれだけミスが揃ったと言うことは、各チームに一つずつこういうミスをするような大会になっていたんだろう。衣笠、ドンマイ。
【先攻:デンソー】
1(8):増山由梨
2(4):今泉早智
3(7):永吉理恵
4(2):伊藤綾香
5(D):狩野香寿美
6(6):松本尚子
7(9):衣笠久美
8(2):竹林綾香
9(5):倉成真子
FP(1):アイリーン・キャニー
【後攻:豊田自動織機】
1(7):白井沙織
2(8):狩野亜由美
3(5):古田真輝
4(9):国吉早乃花
5(D):本田小百合
6(2):メーガン・ウィリス
7(3):小柳薫
8(6):高坂香月
9(4):吉良真利菜
FP(1):栗田美穂
<オスターマンが離脱後は大事な試合を任されることが多くなった栗田。期待通りの好投がこの日も7回2死まで続いたが…>
【1回表:デンソー~0点(栗田)】
増山:空振り三振(ハーフスイング)
今泉:二ゴロ
永吉:右飛
【1回裏:織機~0点(キャニー)】
白井:空振り三振
狩野野:空振り三振(200本安打ならず)
古田:中飛
【2回表:デンソー~0点(栗田)】
伊藤:右飛
狩野:捕飛
松本:二ゴロ
【2回裏:織機~0点(キャニー)】
国吉:左中間フェンス直撃単打
※あと20cmでホームラン。当たりが良すぎて二塁打にならず
本田:遊ゴロ・二失三進(エンドラン、今泉がやや入り遅れ後逸)
ウィリス:二飛(初球)
小柳:四球
高坂:三邪飛
吉良:空振り三振
※無死一三塁から何も出来ずに無得点
【3回表:デンソー~0点(栗田)】
衣笠:左飛
竹林:三ゴロ
倉成:三ゴロ
【3回裏:織機~1点(キャニー)】
白井:四球
狩野:中前打(通算200本安打達成!)
古田:二ゴロ二封(一三塁に)
国吉:敬遠四球
本田:遊ゴロ(3球目のエンドラン成功)
ウィリス:中飛(大)
<2試合ノーヒットだったが地元刈谷での最後の試合で記録のヒットを放った狩野亜由美>
<大きな先制機を潰した次の回のチャンスで、本田がうまくエンドランを成功させ先制点を奪う>
【4回表:デンソー~0点(栗田)】
増山:遊内安(高いバウンドで投手を越す)
今泉:投ゴロ二進(エンドラン)
永吉:左直
伊藤:中飛
【4回裏:織機~0点(キャニー)】
※セカンド今泉に代わり野木あや
小柳:左前打
※代走に藤崎絵未莉
高坂:投犠打
ph横野涼(←吉良):左邪飛
白井:四球(ストレート)
狩野:左飛
【5回表:デンソー~1点(栗田)】
※小柳が再出場
狩野香:遊内安(詰まった当たりが幸い)
松本:遊飛(バント二度ファール後、松本らしくもない!)
衣笠:左飛
ph江口未来子(←竹林):遊ゴロ失(高坂が捕りに行くも難しい当たり)
ph和田美樹(←倉成):中前適時打
※狩野が完全に間に合わない本塁返球で二三塁にしてしまう痛いミス
増山:二飛(抜けたかと思われたが吉良がキャッチ)
<前日も代打で綺麗なヒットを放っている和田が今日も結果を出し、センター前へのクリーンヒットで同点に追いつく>
【5回裏:織機~1点(染谷)】
※竹林、倉成が再出場
※投手交代、キャニー→染谷美佳
古田:四球
国吉:投ゴロ二封(当たっている国吉にエンドランしてまで進めたかったが)
本田:遊ゴロ二進(エンドラン)
ウィリス:中前適時打(どん詰まりが幸いし松本と増山の中間地点にポトリ)
小柳:遊直
<来日している両親の目の前で勝ち越しのタイムリーを放ったウィリス。オスターマンが離脱してからむしろチームに溶け込んできた>
【6回表:デンソー~0点(栗田)】
phメーガン・ランゲンフェルド(←野木):見逃し三振
永吉:中飛
伊藤:右飛(大)
【6回裏:織機~0点(染谷)】
※セカンドに今泉が再出場
高坂:死球(追い込んでから)
吉良:一犠打
白井:四球
狩野:一ゴロ・二三塁
古田:四球
国吉:見逃し三振(ほぼ真ん中。意外すぎて手が出なかったか)
【7回表:デンソー~1点(栗田)】
狩野香:投ゴロ
ph松木瑛里(←松本):二ゴロ(強烈なゴロが栗田の体を弾き吉良が処理)
ph田中真里奈(←衣笠):右越え同点本塁打(0-2から!)
ph中岡理美(←竹林):右飛(大)
<吉良の好プレーもあり、2死を奪い、あと一人>
<しかしここで代打に出た田中がまさに起死回生の一発。完璧な当たりをライトへ>
<土壇場で追いついたデンソーベンチは大騒ぎ、0-2からコントロールミスで甘く入った失投を打たれた栗田は呆然…>
<続く代打中岡の打球も角度さえ良ければ入っていた完璧な打球。この打球は国吉がフェンスギリギリで何とか捕球>
【7回裏:織機~1点(染谷)】
※松本、衣笠が再出場。捕手に伊藤、ファーストに新崎涼子
本田:死球(背中に)
ウィリス:三犠打
※二塁代走に千葉逸美
小柳:右前打・適失
※二走の千葉が三塁をまわっていったん止まりかけるも、ライトの衣笠がファンブルするのを見てスタート、サヨナラのホームを踏む
<判定に苦しんでいた染谷が唯一のコントロールミスで本田に当ててしまうと、ウィリスがきっちりと送りバント>
<このチャンスに調子の上がってきた小柳が染谷の高め、ボール球を強引に引っ張って一二塁間まっぷたつ>
<バックホームを焦った衣笠がファンブル、この隙に俊足千葉がホームへ>
<土壇場で同点にされたが7回を投げ抜いた投の殊勲者栗田と、サヨナラに繋がるヒットを放った打の殊勲者小柳>
【試合終了】
<試合後は200本安打の狩野亜由美選手へ刈谷ソフトボール協会から表彰>
<そして妹のデンソー狩野香寿美選手から姉への記念品贈呈>
直前まで死闘を演じた両チームだったがこの場面では笑顔で狩野亜由美選手を祝福。この両チームにはライバルを超えた何か友情のようなものが存在する。