【2011/2012シーズンの引退・移籍・新加入選手~1部・その1(織機、トヨタ、ルネサス、ソフトウェア)】

 ※表記は「(背番号/ポジション) 選手名 (在籍年数または出身校)」

 ※選手名鑑については協会ホームページでもアップされていますし今月号のソフトボールマガジンにも付録でついてきていますので正確にはそちらを参照ください。
 ※マガジンの名鑑がある5月号、我が家では毎年2部買うのが恒例なのだ



【豊田自動織機】

退団選手:8人
( 2/OF)藤崎絵未莉(6年)
( 4/OF)千葉逸美(7年)
( 8/P)キャット・オスターマン(1年)
(13/P)宮本直美(9年)
(24/IF)川口藍(4年)→武庫川女子大進学
(27/1B)河内雅美(3年)
(28/C)西井春菜(4年)→鈴鹿国際大進学
(29/P)江本侑香(4年)→5年目は伊予銀行へ移籍
新加入選手:8人
( 8/IF)洲鎌夏子(知念→環太平洋大)
(15/ P)ダニエル・ローリー(カナダ出身)
(20/LF)山科麻由佳(鳥取城北)
(21/IF)金澤美優(九州文化学園)
(27/ P)江里口淳子(佐賀女子→環太平洋大→クラブチーム)
(28/OF)中村白(長崎商)
(移籍入団選手:2人)
( 2/OF)神田結美(大津商→甲賀医専)
( 4/IF)中森菜摘(京都成安→伊予銀行)

※退団選手
 宮本直美は東海学園大では2年生の時にインカレ準優勝。2年で中退して実業団に進んだため大卒6年の表彰は受けられなかったが、それでも9年間もの長きにわたって織機投手陣の縁の下の力持ち的存在であり続けてくれた。1年目から期待されていたが初登板でソフトウェア相手に滅多打ちにあい、その後もチーム内にミッシェル・スミスや高山樹里、江本奈穂がいたため登板機会にも恵まれなかったが、それでも腐らず努力し続けてついにはチームの日本人投手の柱になってくれた。そして9年目の2011年に初めての日本代表選出。もしかしたら史上最年長の「初代表」だったのかも知れない。大学時代のバッテリーで同じく中退して実業団に進んだ北京五輪金メダリストの乾絵美が引退した翌年の29歳での初代表という遅咲きだったが、努力を続ければいつかはきっと報われるということを証明してくれた宮本のソフトボール人生は、一ファンとしても本当に誇らしい。
 チーム内外を問わず人気があって友達が多かったのが藤崎絵未莉。サービス精神満点でいつも愛想が良くどこのファンからも人気があった。内外野どこでも守れて物まねが上手で、講習会なんかで司会させてもしゃべるのも上手でもちろん宴会の盛り上げ役にもうってつけ。まさにチームに一台的な最高のキャラクターだった。それだけにいなくなると淋しさも増すけど、きっと良い指導者になってくれるだろう。
 2008年当時の監督のルーシーさんが「前半戦で一番伸びた選手」にも上げていたのが千葉逸美。足が速く打撃もパンチ力があり身体能力が高く潜在能力の高い選手だった。ただいかんせん織機の外野陣の層が厚すぎてなかなかチャンスが回ってこなかったのがとても悔やまれる。もし1年間ずっと試合に出られる状況だったらどれだけ成長したかわからない。田中幹子が引退した時は千葉が後継者として育ってくれるといいなと期待したのだが。
 川口藍には去年の前半戦の織機は本当に助けられた。絶対に落とせない下位チームとの対戦、シオノギ戦では決勝点となる2点適時打を放ち靜甲戦では同点の2点適時打を放った。豪快なホームランもあったし、代打での犠牲フライなど、とにかくチャンスでは必ず仕事をしてくれた印象がある。チームには必要な選手だったが、引退ではなく大学に進んで新たなソフトボール人生を歩んでくれるのが嬉しい。大学のリーグも始まったようで、今後の活躍が本当に楽しみだ。
 西井春菜と言えばやっぱり一番印象深いのが2008年後半のレオパレス戦でのリーグ戦初打席。1点負けていた織機は7回裏2死走者なしと絶対絶命のピンチ。しかしそこから本田小百合、古田真輝が起死回生の連続二塁打を放ち同点に追いつき、一気にサヨナラか!?の場面で打席に立ったのが西井だったのだ。ミッシェルが怪我で投げられず江本奈穂が先発し、終盤リリーフした宮本直美との相性から初めて公式戦マスクを被ったのだったが、同点に追いついたことで大事な場面で打席が回ってきたのだった。三塁線に強烈なファールもあったが結果的には一塁ゴロ。あの時にサヨナラのヒットでも出ていたらどういう人生に変わっていたかなと、ふと思う。その西井もソフトボール引退ではなく川口と同じように大学で新たなスタート。さて何本ホームランを打ってくれるだろうか。
 地元三河は岡崎出身ということで隠れファンも多かった河内雅美。一つあげるとしたらやっぱり2010年第9節、10月11日に地元刈谷大会でのシオノギ戦で放ったバースデーアーチだろう。元々強豪の星城高でキャプテンも務めていたくらいの良い選手だったが、あのホームランでまた一つ成長しその後のバッティングが飛躍的に成長したのが素人でもわかったほどだった。3年間という短い期間だったけど、とても印象に残る選手だった。
 高校時代に厚木商で選抜準優勝したのも有名だが、何より江本侑香を有名にさせたのがソフトボールマガジン誌上での利根川監督によるピッチング教室でそのモデルを務めたことか。違うか(笑)。とにかく真面目で努力家。熊本大会でホームランを放ったようにバッティングも良いものがあって、1年目はファーストの練習もしていた。とにかく江本に関しては日本リーグでの活躍がまだまだ続くわけで、思い出はここまで。伊予銀行での飛躍に期待したい。
※新加入選手
 今年は若い選手を多く獲得したことから今後はゆっくり育てていくことになるだろうが、中森菜摘だけは別格。ベストナインを獲得したほどの選手であることは周知の事実だが、織機のスタッフも間近で見て改めて凄さに気づいたのではないだろうか。2年ぶりの1部参戦で再びベストナインが取れるかどうか。最初からそれくらいを期待される選手である。

 


 

【トヨタ自動車】
退団選手:4人
( 1/CF)前薗理絵(7年)
(17/1B)吉川未知(2年)→マネージャーとしてチーム残留
(20/ P)森田千晶(4年)→5年目は東芝北九州へ移籍
(24/OF)若月恵子(4年)
新加入選手:4人
(16/IF)神山みどり(環太平洋大)
(17/IF)林真由(三国高校→東京女子体育大)
(20/ C)木村麻美(佐賀女子)
(24/ C)馬場今日子(多治見西)

※退団選手
 名門須磨ノ浦女子高から入って7年間ずっとレギュラー的存在だった前薗理絵が昨年でユニフォームを脱いだ。1年目の2005年からすでに15試合32打席に立ち、2年目には全試合出場。3年目は1番センターで大活躍するのが期待されたが怪我で出遅れて規定打席に到達出来なかった。それでも翌年からは守備範囲の広い好守のセンターとしてチームを支え、二度の日本一と全日本総合での優勝にも大いに貢献した。その優勝した2010年の全日本総合決勝戦で、決勝点となるタイムリー「二塁打」を放ったのがこの前薗だったが、実はあれはセンター前ヒットをHondaの大橋が弾いたエラーだったのだが、バックネット裏の記録員が柱が邪魔でプレーを見損ねて適当に「二塁打」としてしまったのだった(笑)。そんなことはさておき、選手としてはまだまだこれから何年も一線で活躍出来そうな前薗が惜しまれながらも引退。色白で綺麗な顔立ちをしていたとってもスマートな選手だった。
 園田学園女子大から期待されて入った吉川未知だったが怪我に泣かされ続けた2年間だった。昨年春にトヨタSC(スポーツセンター)の女子ソフトボール場を改修した際にライト側の桜が3本伐採された。そしてその直後から3人の選手が足を大怪我するという災難がトヨタに降りかかったのだが、これがトヨタSCの半径1.5km圏内で噂されていたいわゆる「桜の木の呪い」である(あくまで都市伝説である)。そして復帰直後にも再び怪我をしたこの吉川がその最大の被害者になってしまったのだ。その吉川が桜の木の霊を鎮めるべく今年からトヨタのマネージャーに就任した。これで全てが解決するであろう。か。
 足が速く「代走のスペシャリスト」であった若月恵子も引退した。個人的には話したことは一度もないのだが、会社の人の応援や、一度でも接触したことのある人みんながファンになってしまうのを見ると、それだけ愛される選手だったんだなあと思う。
 今年の移籍情報の中ではとにかく森田千晶の移籍ほど嬉しいことはなかった。トヨタに残っていれば生活の安定は保証されていただろうが、ソフトボールを愛するあまりに2部チームに移籍したのだから。森田に関しては詳しくは東芝北九州の項に書く予定なのでこの辺で。

※新加入選手
 木村麻美、馬場今日子という二人の超高校級捕手を獲得したトヨタ。ただやはりこの中では東京女子体育大出身の林真由が即戦力か。あまり学生情報には詳しくない自分でさえ、星野メモリアルで見たこの選手は強く印象に残っている。


【ルネサスエレクトロニクス高崎】
退団選手:4人
( 5/ P)メラニー・ローチ(11年)
( 8/OF)西舘果里(7年)
(24/SS)蔭山遥香(5年)
(25/3B)山本優(5年)
新加入選手:3人
(18/ P)中野花菜(神村学園高等部)
(19/OF)小野沙也加(岡山南)
(28/IF)植木千晴(星野)

※退団選手
 ミキハウス、レオパレス21、佐川急便、ルネサス高崎と4チームを渡り歩き11年間日本リーグで投げてくれた世界的投手のメラニー・ローチが引退した。北京五輪の初戦の相手が豪州でその時の先発投手がこのローチだった。元豊田自動織機で17年間も活躍したソフトボールの神様・ミッシェル・スミスと同様に、ローチが日本リーグで投げてくれたおかげでどれだけ日本の打者が成長したかわからない。長く日本で投げてくれたことに、心からお礼を言いたい。
 バッティングセンスがありとても礼儀正しくてルネサス高崎の中では一番応援していた西舘果里だったが、とにかく悔やまれるのが2010年の開幕戦西武ドームでの試合中の肩の脱臼。2009年の決勝トーナメントの対織機戦、ソフトボール界の神様ミッシェル・スミスが現役最後のヒットを打たれたのがこの西舘による満塁走者一掃の二塁打で、それだけに翌年開幕早々の怪我が残念でならない。ただ引退したこの後も、ミッシェルから最後にヒット打った事実は大いに自慢できるだろう。
 蔭山遥香、山本優という前年に日本代表に選出された同年代のコンビの揃っての引退は余りにも唐突で衝撃的だったのだが、何となくその理由が分かるような気がしないでもない。彼女たちに関しては復帰の可能性も十分あると思うのでコメントはこの辺にしておこう。
※新加入選手
 ソフトボールマガジンによると「全中三連覇」の凄い投手(だった)というのが神村学園出身の投手中野花菜。ただ今年はお得意の東京女子体育大出身者がおらず3人とも高校生で、しかも星野でも木更津総合でもないというのが珍しい。ただ単に欲しい選手がいなかったんだろうが。来年ルネサスに入りそうな大学生が二人いることは既に分かっているが(笑)


【日立ソフトウェア】
退団選手:3人
( 2/C)鮫島憂子(8年)→園田学園女子大コーチ
(14/P)藤原麻起子(6年)
(20/P)瀬川絵美(6年)
新加入選手:3人
( 6/OF)井上みのり(神戸常磐女子)
(15/P)高橋知子(細田学園→山梨学院大)
(26/IF)近澤実穂(星城)

※退団選手
 いつも元気でベンチでは目立ちまくっていたのが鮫島憂子。チームには不動の正捕手に鈴木由香がいたことから大卒後4年間は控えだったがそれでもやっぱり鮫島は目立っていた。鈴木が引退し、眞鍋幸維が一本立ちする間の2010年1年間だけが正捕手としてフルに活躍した1年であったが、それでもやっぱり強く印象に残るくらい目立つ選手だった。春のオープン戦の時に園田女子大のベンチに一際やかましい元気な人がいるなあと思って見たら鮫島だった。コーチになってもやっぱり目立っていた(笑)
 藤原麻起子が高卒の年で東邦銀行に入り、廃部に伴って東北福祉大に進み、再び日立ソフトウェアで実業団選手に返り咲いたのは有名な話だろう。実業団選手から大学に進んだ最初の選手だったのかも知れない。東北福祉大時代から日本代表に選ばれていたことからすごく長く活躍したイメージはあるが、結局ソフトウェアでは5年間という短い期間でのプレーだった。それでも東邦銀行から数えれば延べ10年。大学生時代も含め中身の濃い10年間だっただろう。個人的に「日本リーグで1番好きな投手」とよく言っていたが、露久保望美、宮本直美と「3人横並びで1番」好きだった投手が、これでみんな引退してしまった。
 瀬川絵美の引退だけはどうしても切なくなってしまう。有り余る才能があり、日本の中心選手として世界で活躍する姿を多くの人が期待していたのだが、結局はノーコンを克服出来なかった。チームメイトも、監督も、ファンもみんなが復活を願い続け見守っていた選手だったが、そういうのも全てが重圧になったのかも知れない。今は全ての重圧から解放されて心から休めるようになっていてくれるといいのだが。
※新加入選手
 ソフトウェアの19番と言えば山田恵里だが、11年前の山田の前に19番を背負っていたのが宮城の聖和学園出身の高橋智子元投手。智と知の違いはあるが、投手にまた「たかはしともこ(高橋知子)」選手が入ったことになる。


【豊田自動織機】
<代表ユニフォームを着た宮本直美>

<2011年開幕戦での千葉逸美>

<2008年、若かりし頃の藤崎絵未莉>

<2008年レオパ戦でリーグ初マスクの西井春菜>

<2011年大鵬薬品戦でホームランを放つ川口藍>

<2009年の戸田中戦でホームランを打った江本侑香>

<2011年ナゴヤドーム開幕戦で笑顔の河内雅美>

【トヨタ自動車】
<2010年の国体予選でヒットを放つ若月恵子>

<2009年鹿児島大会での前薗理絵。俊足巧打のスラッパーだった>

【ルネサスエレクトロニクス高崎】
<2007年レオパレス時代のメラニー・ローチ>

<2009年ミッシェル・スミスから二塁打を放つ西舘果里>

【日立ソフトウェア】
<個人的ベストゲームの一つ、2008年に露久保望美と延長まで投げ合ったときの藤原麻起子>

<あの頃の瀬川絵美は本当に速かった…>

<昨年の開幕節、トヨタに敗戦後に延々と話し込む姿が印象的だった藤原麻起子、鮫島憂子のバッテリー>

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