【準決勝】
NECアクセス 000 0100 …1
鈴鹿国際大 000 1001x…2
NECアクセステクニカ:●宮崎-井本
鈴鹿国際大:○平木-西井
【試合経過・戦評】
昨年の総合予選も同じ組み合わせで、NECアクセステクニカが鈴鹿国際大に勝利し総合本大会の出場権を勝ち得たが、今年は鈴鹿国際大が雪辱を果たした。
初回、1死三塁から3番西井春菜がライトに犠牲フライを上げて1点先制。と思われたが、ライトの田畑このみ(震災時にTOETECKに所属しており今年移籍)がやや目測を誤ってポケットキャッチしており、その分タイミングがずれたことで三走宮澤早紀のタッチアップが早く、アピールによりアウトとなる。NECとしてはラッキーな立ち上がり。
4回裏、西井のヒットと稲垣亜美の四球で作ったチャンスに河田有加がセンターオーバーのタイムリーー二塁打。しかしその後の1死二三塁のピンチはNEC宮崎夏菜が踏ん張り追加点を与えず。
先制されたNECは5回、田畑の二塁打のあとに8番井本琴美がしぶとくピッチャーの足下を抜けるセンター前タイムリーで同点に。井本は送球の間に二塁に進み、バックホームへのボールが逸れて三塁に達したが、1死三塁のチャンスに期待の代打今村千春と1番キャプテンの馬場香織が凡退し勝ち越し点を奪えなかったのが痛かった。
延長突入も見えた7回裏、先頭の河田がヒットで出ると(代走に松山裕衣)服部真央が送って1死二塁。ここで8番津商業出身の新人木村彩乃がセンターへヒット。センター渡辺祐子の捕った体勢が悪かったが、二走の松山のスタートが遅れたことで良い返球なら十分アウトのタイミング。しかし中継が機能せず渡辺からの返球が二遊間で転がる間に松山がホームイン。鈴鹿国際大がサヨナラ勝ちで全日本総合選手権への出場権を勝ち取った。
<1回表、西井が右犠飛を上げるもライト田畑このみのポケットキャッチに惑わされた三走のスタートが早すぎてアウトに>
<4回裏、河田有加がセンターオーバーの先制タイムリー。好守のセンター渡辺祐子もわずかに及ばず>
<5回表、井本琴美がセンター前タイムリーを放ちNECがすぐさま同点に追いつく>
<7回裏、木村彩乃がセンター前へサヨナラタイムリー>
<サヨナラ打を放ち祝福される木村彩乃>
【準決勝】
靜 甲 000 0000 …0
ミナモ 000 0001x…1
靜甲:●鈴木-田中
大垣ミナモ:○増淵-蔵澤
【試合経過・戦評】
靜甲の鈴木麻美、大垣ミナモの増淵まり子の投げ合いでお互いにチャンスらしいチャンスも作れないまま7回に。
7回裏、ミナモは元靜甲の主力選手で長年ショートを守っていた鈴木優子が平凡なショートゴロ。この打球を意識しすぎたか靜甲ショートの後継者の松井志帆実が一塁へワンバウンド送球してしまう悪送球で無死一塁。続く監督兼任の伊藤良恵はレフトフライに倒れるも、田中亜由美がセフティーバントでの犠打で送って2死二塁。続く下山洋子がファールで粘って四球を選んだが、この粘りの打席も大きかった。
2死一二塁となったところで代打に出た柳田優香が2球でツーストライクと追い込まれながらも4球目を捉えて一塁右を抜けるライト前ヒット。好返球ならば際どいタイミングだったが、ライト中村夏美からの返球が左に逸れて鈴木が生還。
靜甲は過去十数年連続で出続けてきた全日本総合への出場が、今年ついに途切れてしまった。ミナモはこれで3年連続の出場。
<靜甲を完封し全日本総合行きを決めた増淵まり子>
【決勝】
鈴鹿国際大 400 0200…6
大垣ミナモ 000 0200…2
鈴鹿国際大:三井、○近田-西井
大垣ミナモ:●増淵、武井-蔵澤
【試合経過・戦評】
大垣ミナモは増淵まり子が連投したが疲れからか初回に相葉美穂、河田有加にそれぞれ2点タイムリーを打たれて4失点で降板。2回から代わった武井智穂が好投したが、5回に西井春菜にしぶとくセンター前に運ばれ2点を奪われ6点差とされ万事休す。
ミナモも再三チャンスは作るも良い当たりが正面を突くことが多くあと一本が出ず。3回の鈴木優子のホームラン性の大飛球も準決勝のヒロイン木村彩乃がフェンスのポールにぶつかりながらキャッチするファインプレーに阻まれた。結局、6点差とされたあとに鈴木のタイムリーで2点を返すのがやっとで、2年連続で優勝していた東海地区総合の優勝の座を大学生に渡してしまった。
<初回、相葉の先制タイムリーで生還する宮澤早紀>
<3回、鈴木優子の大飛球をファインプレーする鈴鹿国際大レフトの木村彩乃>
<6回、西井春菜がボテボテながらもセンター前に抜ける駄目押しの2点タイムリー>
<優勝した鈴鹿国際大ナイン>
【全日本総合予選・雑感…】
長野大会では大和電機が松本大に敗れ、近畿大会では日本精工が園田女子大に完敗。中国では島根三洋がIPU環太平洋大に競り負け、関東ではカネボウが1回戦で山梨学院大に力負け。
大学生相手に受難続きの今年の全日本総合予選の2部チームだが、さすがに靜甲とNECアクセステクニカが出た東海予選では大丈夫だろうとタカをくくっていたら、まさかまさかの2チームともどもの敗退になってしまった。
大学生が頑張っていて強いのももちろん面白いが、やっぱり2部チームが1部チームに挑む対戦が全日本総合では一番好きな構図なだけに、ここまで2部チームが出場しない今年の全日本総合は正直楽しみの半分以上がなくなってしまったような気分だ。
特に毎年楽しみな靜甲がいないのは非常に物足りない。それでも、ここ数年注目している日本精工、NECアクセステクニカに島根三洋、去年ベスト8の大和電機のどれかでもいればいいのだが、それら全てが出場出来ないとは。
「福生行きの切符」を買うのもお守りだけになってしまうかも知れないなこれは…。